電子決済サービス不正引き出し~問題は2段階認証をしていないゆうちょと地銀にある

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月16日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。不正引き出しが問題となっている電子決済サービスについて解説した。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

電子決済サービスの不正引き出し

高市総務大臣は9月15日、ゆうちょ銀行が提携する電子決済サービスのうち、「ドコモ口座」以外にも5つのサービスで被害が確認されていることを明らかにした。ゆうちょ銀行は提携するキャッシュレス決済事業者12社のうち、合計10社との新規登録や入金サービスを一時停止している。

飯田)銀行の方も、ゆうちょだけではありません。

【ドコモ口座不正引き出し】会見するNTTドコモの丸山誠治副社長=2020年9月10日午後、東京都千代田区 ©産経新聞社

ドコモ口座ではなく、2段階認証していないゆうちょの問題

佐々木)ゆうちょで不正引き出しがあったのは、ペイペイなどです。これまでは「ドコモ口座がいけない」という話でした。そこにペイペイが入って来た。ドコモ口座とペイペイは違います。アカウントを登録する際、ドコモ口座で必要なのはメールアドレスだけで、携帯電話の番号もいらずに緩いため、それが原因だと言われていました。しかし、ペイペイは2段階認証です。IDとパスワードを登録するときには、自分の電話番号の登録が必要です。電話番号を登録すると、番号あてにSMSのメッセージで暗証番号が送られて来ます。その暗証番号を入力して、初めてアカウント登録が成立します。これはグーグル、アップル、アマゾンでもやっている世界標準ですが、そこも抜かれたということは、ペイペイやドコモ口座側の問題ではないのです。それらに銀行からお金をチャージするとき、銀行側が2段階認証をしていないことが問題なのです。要するに、今回のペイペイのケースで言うと、ゆうちょ口座の口座番号、氏名、生年月日、暗証番号4桁が抜かれてしまうと、どこにでもチャージできてしまうということです。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

暗証番号がなぜ漏れるのか~さまざまな攻撃手段

飯田)横浜市港北区の“にごり酒”さん、52歳の会社員の方からメールをいただいています。「暗証番号を何らかの形で入手したと報道で伝えられていますが、どうやって入手するものなのですか?」とあります。

佐々木)いろいろな方法があります。海外で怪しげなサービスを利用してしまい、そこで使った暗証番号が漏洩して、そこから紐付けられ、同じ人物が持っている他のアカウントも同じ暗証番号だという、連想ゲームのようなこともできます。銀行のATMでお金を引き出すときに、カードを入れて暗証番号を3回ほど間違えると、カードが出て来なくなりますよね。

飯田)ロックがかかってしまいます。

佐々木)PCからネットバンキングを利用するときも同じです。同じ口座番号で別の暗証番号を試すと、ロックされてしまいます。でも暗証番号を「1234」としている人は世のなかに一定数いるだろうとして、その「1234」という暗証番号を入れ、口座番号を変えて行くというやり方をすると、ロックされません。パソコンだとカードが要らないので、口座番号「0000001」から順に、無数に試すことができてしまう。こういう攻撃方法があるのです。暗証番号は、わずか4桁ですから。

飯田)あっという間に抜かれてしまうのですね。

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問題なのは2段階認証をしていないゆうちょと地銀~大手メガバンクは抜かれない

佐々木)ネットサービスのパスワード設定をするときは、大文字、小文字、数字を入れましょうなど、うるさいですよね。8桁以上にしろだとか。でも銀行は、わずか4桁で数字のみです。しかも2段階認証がありません。今回、ドコモ口座にしろ、ペイペイにしろ、大手メガバンクは抜かれていません。なぜかというと、2段階認証にしているからです。抜かれているのは、ゆうちょと地銀です。ゆうちょ、地銀は2段階認証がなく、暗証番号だけで口座から引き出すことができてしまいます。この問題は、ドコモは決して無罪ではありませんが、最大の問題はゆうちょと地銀が、緩い認証でお金を引き出せるようにしていることです。

本店ビルエントランス(2011~)(新生銀行-Wikipediaより)

ジャパンネット銀行と新生銀行の場合

飯田)ネットバンキングでやると、事前にトークンという小さな機材に、ワンタイムパスワードが発行されますよね。

佐々木)ジャパンネット銀行も、クレジットカードサイズの小さな液晶画面があって、ワンタイムパスワードである6桁の数字が毎回表示されます。新生銀行では、引き出しをしようとすると、スマホのアプリにメッセージが来て、スマホ側で認証しないとお金を送金できません。新しい銀行やメガバンクではそういう対応をしていますが、そこまでやっていないところが多いです。このように、IT化が弱いところを、デジタル庁で「何とかしてくれ」という話になるのですね。

平井卓也-Wikipediaより

デジタル化の流れに出て来るであろう、縦割りの問題

飯田)そうなると、一般の地銀の管轄官庁は金融庁になります。今回、高市総務大臣が会見したのは、ゆうちょはもともと郵政省であって、総務省だからということですよね。縦割りがいろいろなところに出て来そうですね。

佐々木)これでデジタル庁ができて、平井卓也さんが大臣になり、仮に「ゆうちょ、地銀の認証が緩すぎるから何としろ」と言っても、総務省と金融庁が「うん」と言わなければ進みません。総務省と金融庁からすれば、「新しい省庁が何をえらそうに言っているのだ」となります。その上にいる菅さんなどが、「やれ」と言わなければなりません。そうやって来なかったのが、この20~30年の霞が関の問題だったのです。過去に、電子カルテも早い段階から経産省は実証実験をしていて、「できます」と言っていたのに、反対したのは厚生労働省と医師会です。あげくに東日本大震災が起きて、カルテが津波で流出し、処方箋も出なくなって大変な目にあった。あれで電子カルテ化がようやく進んだのです。

飯田)それもメーカーによって規格が変わるから、互換性をどうするのかとか。

佐々木)本当はクラウドで統一したプラットフォームにした方がいいという話ですが、そうすると、あれやこれやと言って来る人がたくさんいます。あらゆる場面でそれが及んでいます。

飯田)メーカーの方は経産省、お医者さんは厚生労働省だし。

佐々木)教育では文科省が何か言って来たりと、みんな何か言いたくて仕方がないのです。「俺の権限は手離さない」という役人がたくさんいるので。

飯田)縦割りの問題は昔から言われているので、もう解決したのだろうと思いがちですが、そんなことはないですよね。

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戦後81年でつくっていきたい「新しい戦後」

大竹まことがパーソナリティを務める「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送・月曜日~金曜日11時30分~15時)、10月15日の放送に評論家で近現代史研究者の辻田真佐憲が出演。10月16日に発売となる著書『「戦後」とは何だったのか 未来を変える日本現代史』にちなみ、「戦後」とは何なのか、人々はそれにどう向き合えばいいか、解説を展開した。

大竹まこと「難しそうな本(10月16日発売『「戦後」とは何だったのか 未来を変える日本現代史』)ですけど、そんなことないんですか?」

辻田真佐憲「ないと思います(笑)。昨年が戦後80年ということで『「あの戦争」は何だったのか』という本を出しまして。これが電子を含めて11万部、行った感じで。80年でひと区切りがついて、今年で81年。戦前が77年でした、明治維新から敗戦まで。もう戦後のほうが長いんです。長いほうの戦後は学校の教科書でもそれほど扱っていない、意外と『これ1冊!』みたいな本がなかった。それに合わせて今年は“戦後とは何だったのか”と。タイトルも重ねてきました」

大竹「日本情勢や世界情勢、国会など、すべてが混乱しているように見えます。どの辺から手をつければ、新しい戦後みたいなことに近づいていくんでしょうか」

辻田「時代の切れ目が来ている、というふうに考えるべきでは、と。戦後ってずっとダラダラと続いている、というイメージがあると思うんですね。敗戦のとき、焼け野原になってすべてが失われた。8月になる度に強調されます。でもその結果、あの印象が強すぎて、それ以降に大きな変化がなかった、という印象が強くなった気がする。1945年の8月が悲惨だったことは事実です。ただそれ以降もいろいろな切れ目があったはずだと」

大竹「うん」

辻田「戦後の切れ目は認めたうえで、これまでの平和を、どういうふうに現代に対応させて維持していくか、と考え方を変えていくほうがいいのでは、と。そう思って『新しい戦後』という言い方をしたんですね」

青木理「タモリさんが数年前に『新しい戦前が来るんじゃないか』といったことをおっしゃって。僕も含め多くの人が、なんとなしに頷いたところはある。新しい戦前にしないために、新しい戦後を考察してつくりあげていかなくてはならない、ということでしょうか」

辻田「いまの我々って戦前か戦後かという二者択一になっていると思うんです。戦後を否定すると『戦前に戻ろうとしている』『戦前回帰なんだ』という批判が起こる。当たり前ですけど我々の世界は戦前か戦後かの二者択一ではない。別の選択肢だってあるはずで。たとえば戦後、中国は相対的に経済力も軍事力も弱かった、冷戦構造のもとでアメリカが日本に配慮してくれたなど。いろいろな条件があって戦後の平和や経済平和があったと思う」

大竹「うん」

辻田「でもその条件ってほとんど変わってしまっているわけです。中国は日本の遥かに先を行っています、冷戦も終わっています、と。アメリカは日本に様々な要求をしてくる。時代が変わっていることをまず認める必要があるのでしょう。でもそれは戦前に戻ろう、ということではない。戦後の良い部分がたくさんあったはずです」

大竹「はい」

辻田「変わったいまの環境の中で、どう守っていくのか、育てていくのか、発展させるのか。こういう観点が必要だと思うので、後ろ向きの『新しい戦前』よりも『新しい戦後』を今後、積極的につくっていこう、と。そういうメッセージを、今回の本には込めました」

このあとも「戦後」について辻田が語った。

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