Go To キャンペーンよりも消費者に直接補助金を出すべき

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月23日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。新たに実施される「Go To イベント」「Go To 商店街」について解説した。

Go To トラベル 東京発着旅行の旅行商品予約解禁 旅行代理店では割引商品の販売開始=2020年9月18日午後、東京都台東区の日本旅行リテイリングパルコヤ上野支店 ©産経新聞社

「Go To イベント」と「Go To 商店街」10月中旬に開始へ

西村経済再生担当大臣は9月22日、新型コロナウイルスの感染拡大で落ち込んだイベント需要を喚起する「Go To イベント」と、商店街を支援する「Go To 商店街」の実施を、9月中に判断する方針を示した。西村大臣は10月中旬ごろから実施したいとしている。

飯田)Go To キャンペーンは、いろいろなバリエーションがあったのですね。

高橋)「Go To」と何にでもつければいいのでしょう。いろいろな業界担当の人がいますから、そういうことになるのだと思います。

飯田)所管が分かれていますからね。Go To トラベルは国土交通省、イートは農水省、イベントは経産省です。

高橋)その他はだいたい経産省です。

飯田)特定の所管がないところは、経産省ということですね。縦割りを打破すると菅さんは言っていましたが。

高橋)担当は担当だから、必ずどこかがやるのは決まっています。予算要求もバラバラでやっていますから。官房長官のところでやると、1つの役所だから縦割りはないのです。Go To だけで時限的な組織をつくろうと思えばできますよね。「コロナ対応 Go To 庁」とか。時限的にやるのは簡単です。

【新型コロナ・特別定額給付金申請開始区役所混雑】特別定額給付金のオンライン申請が始まり、マイナンバーカードの取得手続きなどで混雑する浪速区役所の証明発行窓口=2020年5月11日午後、大阪市浪速区 ©産経新聞社

「Go To~」より、直接個人にお金を渡して喚起するべき

飯田)Go To を全部まとめてやろうとしたけれども、持続化給付金のところで間に入った電通などが批判されたため、全部バラバラにしたという経緯もありますね。

高橋)まとめてやってもいいのですが、委託先はすべて同じかも知れませんね。

飯田)結局、ノウハウを持っているところがそう多くはない。

高橋)役人では実務ができないので、誰かに頼むしかありません。そうすると電通か、事業者団体しかない。事業者団体では天下りだと言われるし、電通に頼んでも文句を言われます。本当ならデジタル化をして、直接個人に配れる仕組みがあれば、そちらの方がいいです。直接個人に行かないから、他に頼むのです。私はGo To で電通や事業者団体を使わずに、直接個人に補助金を渡して、こういうことを喚起する方がいいと思います。

飯田)使途を明確にして、どこで使えるかはっきりさせておくと、特定のものを選べる。

高橋)何を選ぶかは個人の自由ということもあります。「イート」に行くか、「トラベル」に行くか、個人に委ねるという手もあります。その方がフェアかも知れません。

2020年9月16日、記念撮影~出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202009/16suganaikaku.html)

何に使うかは個人に委ねる~究極の縦割り打破

飯田)特別定額給付金を、10万円一律で配りました。あの後、日銀の循環統計を見ると、「家の貯蓄が増えているではないか」と言う人がいます。

高橋)いつかは使うのだから、いいではないですか。

飯田)いますぐ使うかどうかということですね。

高橋)いま使う人は使えばいいし、後で使う人は貯蓄すればいいでしょう。割り切った方が個人の自由度は高まりますよね。役所の人が「ここに使え」と言うのではなく、個人が判断して、あとはイートやトラベルの業界が頑張ればいいのです。これが究極の縦割り打破です。

飯田)全部、何に使うかを個人に任せる。

高橋)お金があるのは間違いないので、どの業界がどのように奪うかの競争です。これは縦割りにはなりません。

飯田)業界内競争ではなく、ある意味で個人の時間をどう奪うか。

新型コロナ関連 東京都、酒類提供店に時短要請 新橋の居酒屋=2020年8月3日午後、東京都港区 ©産経新聞社

消費者が持っているお金を業界で奪い合う方が経済は活性化する

高橋)いま使えば消費だし、将来なら貯蓄になるだけです。いま奪いたければ、「貯蓄させないために業界が頑張れ」という言い方もありますよね。

飯田)そうすると経済全体が活性化するのですね。

高橋)お金はあれば回って行きます。業界がそこを目指して行くのです。いまのパターンだと、業界ごとに役所から補助金が来るというものでしょう。それよりは、消費者が持っているお金を奪い合う方が、経済は活性化します。

令和2年度補正予算案が全会一致で可決した参院予算委員会=2020年4月30日午後、国会・参院第1委員会室 ©産経新聞社

定額給付金~お金があれば経済は動く

飯田)菅政権全体の経済政策を見ると、いまスポットライトが当たっているのは、「規制改革、縦割りの打破」というところです。ともすれば供給の方が高まるという政策で、需要が減っているなか、そちらがおろそかになるのではないかと指摘している人がいます。

高橋)お金が出れば両方に行くのです。需要がはっきりしているのは定額給付金です。お金があれば、業界に行こうが、個人に行こうが同じです。要するに真水がどのくらい出るかがポイントです。

飯田)いまは第2次補正の分で、積んでいるお金がかなりありますが、どうなのですか?

高橋)多々益々で、いくらあってもいいのではないかと思います。お金を積んでいるのがわかれば、民間の人も商売熱心になるでしょう。それをどう引き出すかということを考える。ですので、予備費を早く使うか、もしくは見せ金のように予備費に積み増してもいいと思います。

飯田)いきなり使い道まで細かく決めるのではなく。

高橋)予備費に積んでおいて、後から決めればいいのです。業界にとってはそれが重要です。お金があれば、事業計画も立てやすくなります。

新税率に対応したレシート=2019年10月1日未明、東京都品川区 ©産経新聞社

一方、緊縮派は増税を提案

飯田)そうすると、また定額給付金をやるか、減税をするか。

高橋)私はそういうタイプですが、私が総理に話しに行った次の日には、緊縮派の人も行っていますから。

飯田)そうですね。翌日には、増税に熱心な緊縮派が。

高橋)財務省が派遣したような人が行きました。いろいろな意見を菅さんは聞くわけです。

飯田)そこも、翌日の総理動静を見ておかなければいけないのですね。

高橋)菅さんとしては、どちらの意見も聞いています。両方の意見を聞いた方が、政治家としてパワーが強まります。「どちらに出るかわからない」と言う方がいいのです。

飯田)ギリギリまでどちらにするか言わない方がいいのですね。

高橋)最後に決断すればいい。最初から答えが見えてしまったら、政治家として失格です。

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戦後81年でつくっていきたい「新しい戦後」

大竹まことがパーソナリティを務める「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送・月曜日~金曜日11時30分~15時)、10月15日の放送に評論家で近現代史研究者の辻田真佐憲が出演。10月16日に発売となる著書『「戦後」とは何だったのか 未来を変える日本現代史』にちなみ、「戦後」とは何なのか、人々はそれにどう向き合えばいいか、解説を展開した。

大竹まこと「難しそうな本(10月16日発売『「戦後」とは何だったのか 未来を変える日本現代史』)ですけど、そんなことないんですか?」

辻田真佐憲「ないと思います(笑)。昨年が戦後80年ということで『「あの戦争」は何だったのか』という本を出しまして。これが電子を含めて11万部、行った感じで。80年でひと区切りがついて、今年で81年。戦前が77年でした、明治維新から敗戦まで。もう戦後のほうが長いんです。長いほうの戦後は学校の教科書でもそれほど扱っていない、意外と『これ1冊!』みたいな本がなかった。それに合わせて今年は“戦後とは何だったのか”と。タイトルも重ねてきました」

大竹「日本情勢や世界情勢、国会など、すべてが混乱しているように見えます。どの辺から手をつければ、新しい戦後みたいなことに近づいていくんでしょうか」

辻田「時代の切れ目が来ている、というふうに考えるべきでは、と。戦後ってずっとダラダラと続いている、というイメージがあると思うんですね。敗戦のとき、焼け野原になってすべてが失われた。8月になる度に強調されます。でもその結果、あの印象が強すぎて、それ以降に大きな変化がなかった、という印象が強くなった気がする。1945年の8月が悲惨だったことは事実です。ただそれ以降もいろいろな切れ目があったはずだと」

大竹「うん」

辻田「戦後の切れ目は認めたうえで、これまでの平和を、どういうふうに現代に対応させて維持していくか、と考え方を変えていくほうがいいのでは、と。そう思って『新しい戦後』という言い方をしたんですね」

青木理「タモリさんが数年前に『新しい戦前が来るんじゃないか』といったことをおっしゃって。僕も含め多くの人が、なんとなしに頷いたところはある。新しい戦前にしないために、新しい戦後を考察してつくりあげていかなくてはならない、ということでしょうか」

辻田「いまの我々って戦前か戦後かという二者択一になっていると思うんです。戦後を否定すると『戦前に戻ろうとしている』『戦前回帰なんだ』という批判が起こる。当たり前ですけど我々の世界は戦前か戦後かの二者択一ではない。別の選択肢だってあるはずで。たとえば戦後、中国は相対的に経済力も軍事力も弱かった、冷戦構造のもとでアメリカが日本に配慮してくれたなど。いろいろな条件があって戦後の平和や経済平和があったと思う」

大竹「うん」

辻田「でもその条件ってほとんど変わってしまっているわけです。中国は日本の遥かに先を行っています、冷戦も終わっています、と。アメリカは日本に様々な要求をしてくる。時代が変わっていることをまず認める必要があるのでしょう。でもそれは戦前に戻ろう、ということではない。戦後の良い部分がたくさんあったはずです」

大竹「はい」

辻田「変わったいまの環境の中で、どう守っていくのか、育てていくのか、発展させるのか。こういう観点が必要だと思うので、後ろ向きの『新しい戦前』よりも『新しい戦後』を今後、積極的につくっていこう、と。そういうメッセージを、今回の本には込めました」

このあとも「戦後」について辻田が語った。

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