ANAが5100億円の赤字~続ける必要のある雇用調整助成金

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月28日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。ANAホールディングスの最終損益が5100億円の赤字見通しになるというニュースについて解説した。

出発ロビーのカウンターで業務するANA(全日本空輸)職員=2020年10月27日、羽田空港 ©産経新聞社

ANAホールディングスが過去最大5100億円の赤字見通し

航空大手ANAホールディングスは27日、2021年3月までの1年間の業績予想を公表した。最終的な損益が過去最大の5100億円の赤字になる見込みと発表している。

片野坂社長)来年度はあらゆる手をうち、必ず黒字化を実現したいと思っています。そして新しいビジネスモデルへの変革によって、感染症の再来にも耐えられる強靭なANAグループに生まれ変わりたいと思っております。

 

飯田)10月27日に行われたANAホールディングス片野坂代表取締役社長の会見の模様です。厳しいですね。

高橋)本当に厳しいですね。ANAホールディングスというのは、全体のグループ企業の持ち株会社です。純資産は確か1兆円くらいしかありません。それで5000億円の赤字というと、もう1回来るとアウトという世界です。しかし債務超過にはならないので、この後、業績を回復して行けば、国有化などというところまでは行かないとは思います。固定経費などを落とすということで出向させるというのは、「こういうやり方があるのか」と思いました。それを受け入れてくれるトヨタも太っ腹ですよね。

連休最終日を迎え多くの人でにぎわう羽田空港の国内線出発ロビー=2020年7月26日午後、東京都大田区 ©産経新聞社

ノジマなどにANA社員が出向の予定

飯田)トヨタに関しては昨日(27日)の会見では、向こうからも、こちらからも話は上がっていないそうです。ただ家電量販店のノジマさんからは上がっているということです。

高橋)まだ確定していないということですね。

飯田)トヨタは、いまのところは否定をしています。

高橋)出向ですと、首切りまで行かずにギリギリのところで耐え忍んで行くということです。ただ雇用者は大変ですよね。

新型コロナGW空撮 関空に駐機しているANAの機体=2020年5月2日、関西国際空港 ©産経新聞社

雇用調整助成金は続ける必要がある

飯田)公的支援については、会見でもかなり聞かれていました。やはり、国有化というのが記者の頭のなかにもよぎるのですが、基本的には、他の企業も含めて用意されたメニューを使って行くということです。まずは雇用調整助成金を使うということです。

高橋)雇用調整助成金のようなものは、もう少し続けなければならないということでしょう。雇用調整助成金は労働者と経営者がこれまでに出した保険です。これを取り崩すのは、当たり前のことなのです。

飯田)ANAだけの話ではなく、日本航空も2000億円規模の赤字になるかも知れない。JR東海も1000億円規模の赤字になる可能性があるということが報道されています。旅客関係、運輸関係は特に影響を受けています。

高橋)旅行どころではなかったですから。仕方がないです。しかし、Go To キャンペーンをやっていて段々と盛り返して来ていますよね。

飯田)国内需要はかなり戻っているということです。

高橋)欧米では第2波が来ていますが、水際で止められず、日本に入って来てしまったら大変なことになってしまいます。水際できちんとして、内地で頑張るということです。そして、雇用調整助成金などは特別会計で労働者の拠出金ですので、その保険を使ってはいけないということはあり得ません。保険を十分に使い、耐えしのぐということではないでしょうか。

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同じ積極財政でも「狙いが違う」。サナエノミクスとアベノミクス

ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時~17時、火~金曜日15時~17時35分)、10月15日の放送にノンフィクション作家の常井健一が出演。高市早苗首相の掲げる経済政策「サナエノミクス」に現在について、城内実大臣へのインタビュー経験も踏まえて解説した。

常井健一「リフレ政策のリフレはリレーションの略で。簡単に言うとデフレから脱却するために金融緩和などによって需要を刺激して物価を適度に上げよう、という政策です。いわゆるリフレ派が主導した安倍晋三政権のアベノミクスでは、日銀による異次元の金融緩和が大きな柱でした。ところが現在、物価高が国民の生活を圧迫しています。日銀も金融政策を変えて金利は上がっている。そんな中、これまで安倍政権の継承を訴えてきた高市早苗政権の閣僚が、相次いでリフレ政策を否定していると」

長野智子「うん」

常井「特に城内実大臣は生前の安倍さんが高市陣営に送り込んだ参謀で。いまや自民党内に150人以上いる積極財政派のラスボスと目されています。実際、安倍さんに近かったリフレ派のブレーンたちを継承して7月の骨太の方針や成長戦略を策定してきた。当然、発言の真意に注目されているわけです」

長野「アメリカのベッセント財務長官が、リフレ生活はもう限界だ、やめるべきだ、と言いました。それに反応しているんですか?」

常井「まさにそれを(東洋経済オンラインの取材で)城内大臣に直撃して。『政権のスタンスはまったく変わっていない』と否定されました。強調していたのがサナエノミクスとアベノミクスの違いです。大きな違いは経済環境にあると。デフレ脱却のために大規模な金融緩和を続けたアベノミクスとは違って、いまは物価も金利も上がっています。政府としては『いつまでも異次元緩和を前提に経済政策を考える時代ではない』と言ってきたんです」

長野「なるほどね。だけどアベノミクスと同じ『積極財政』という言葉を掲げている」

常井「そうなんです。城内さん、『リフレ政策の局面は終わったが責任ある積極財政は続ける』と。アベノミクスは金融緩和によって需要を刺激することが柱でした。だけど今度のサナエノミクスは供給力だ、国内でモノやサービスをつくる力を強化するために官民で投資するんだ、と。同じ積極財政でもサナエノミクスとアベノミクスでは狙いが違う、ということですね。もう1つ、『米中の対立やパンデミックも経済環境を大きく変えた』と言っていて。東洋経済オンラインに掲載した発言を一部、ご紹介します」

長野「はい」

常井「『かつての小泉(純一郎)・竹中(平蔵)時代に象徴されるような新自由主義的な市場原理だけにゆだねる発想では、今日(こんにち)の経済安全保障や巨額の先行投資を必要とする分野に充分は対応できない、という現実がある』と。日本企業はひと昔前にコスト重視で、海外に製造拠点を移しましたね。あれが現在は地政学的に大きなリスクになっている、と指摘した。城内さんは『市場原理だけに任せる時代は終わった』と言い切っていて」

長野「ほう」

常井「こうした考え方は反・小泉という、大臣自身の独特な政治人生や色濃く反映されているな、という印象を持ちましたね。いまから21年前です。2005年の郵政選挙で当時、城内さんは1年生議員でした。郵政民営化に反対して、自民党の公認を得られず。無所属で戦った。そのとき小泉首相が送り込んだ刺客が、当時、財務官僚だった片山さつきさんですね」

長野「そうだったか」

常井「城内さん、片山さんに748票差で負ける。それから4年間、リュックサック1つで天竜川を上流から下流にくだるように選挙区をくまなく歩いた。今度は片山さんに7万票差で勝った。片山さんは静岡から追い出されて、参議院の全国比例に鞍替えしたんです」

放送では城内大臣と片山大臣の因縁、サナエノミクスのさらなる詳細などについても常井が語った。

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