現役大学生、視覚障害者と未来の子供たちの伴走者への夢

『話の目薬ミュージックソン』はラジオ大阪(OBC)で毎週火曜日の夜8時から放送している番組です。視覚障害者が社会で生活する上で直面する課題を取り上げて、障害があっても、その状況を克服して、明日を元気に生きていこうというメッセージや情報、そして支援者の活動をお伝えしています。番組のメインパーソナリティは、ご自身も視覚障害をお持ちの西村登代子さん。原田年晴ラジオ大阪アナウンサーとともに、視覚障害を持ちながらも様々な方面で活躍されている方々や視覚障害者向けの便利な機器を開発されている方々、有益な情報を提供されている方々へのインタビューを行い、晴眼者・視覚障害者を問わず、リスナーに視覚障害者の抱える問題やそれに対する対処方法などをお伝えしています。

 4月19日(火)の放送では、大阪体育大学教育学部4回生の眺野詩(ちょうのうた)さんに電話でご出演いただきました。眺野さんは晴眼者ですが、中学生の時からブラインドマラソンの伴走者を務め、現在は、特別支援学校の教員を目指して頑張っておられます。なぜこの道に進んだのか、そして実際に伴走者を務めての感想などを伺いました。

まずは、特別支援学校の教員を目指している理由から。中学生の時、陸上部に入った眺野さん。入部当時はまだ教員になることは考えてなかったとのこと。しかし「視覚障害者の方の伴走をするボランティアをしていて、そこで話しているうちに、もっと学生の内からとか、早くから(運動に)出会っていればよかったなぁという声をたくさん聞いて、そこで教員になれば、これからの子供たちに教えることができるなぁと思って教員を目指すようになりました」と答えました。

 「大阪国際女子マラソン」を見ていて、そこで「ブラインド」と書いた視覚障害の方と伴走者の方が走っていて、まず、目が見えない中で走ることがすごく勇気がいることで、伴走者もそれだけ走力があるのに、自分の記録にならないけど人のために走るというのがすごくカッコいいと感じたことから「伴走者になりたい」と、なんと小学生の時に思ったんだそうです。そこで、中学生になり、「まずは足が速くならないと」と陸上部に入部。小学生の時は特別走るのは速くはなく「並くらいですかね」と少しはにかみながら語りました。

 そして、伴走者への道が開かれたのが速く走れるようになるために入った陸上部でのこと。中学2年生の時に部活の練習で長居陸上競技場へ行った時、たまたまそこで視覚障害者の方も練習していました。「こんなチャンスはない」と思った眺野さんは、「私も伴走したいです」と声をかけたところ、すごく喜んでくださり、すぐ、連絡先を交換して次の週から毎週練習会に通い始めました。

 憧れていた伴走者。でも一人で走るのと伴走してみるのは全然違ったと言います。まず相手と腕の降り・高さと歩幅を合わせなければならないこと。それは足を紐で結ばない二人三脚の状態。手もロープを持っているので、腕降りの高さをとリズムを合わせないといけない。さらに一人であれば自分の足元と周囲だけ見てればよく、例えば、多少物とか石が落ちていても、すぐ避けられるけど、二人で走っているとそういう急な動きができなかったり、相手の前方・後方も見なきゃいけないことが一番難しいと感じたそうです。また、走る方の能力もフルマラソンを目指す方からパラリンピックに出場される方、体型も背が高い・低いもある。身長148cmの眺野さんにとっては背が高い方と走るのがちょっと大変。でも、最悪歩幅は合わなくても腕の振り方で調整するので、しっかり伴走できるんだそうです。

伴走をやってて良かったと感じる時は「一緒に練習してる方のタイムが良かった時とか、いつもより多く走れたとか、練習終わった後に今日楽しかった、ありがとうと言って貰えた時、うれしいです。」とも。そこにやりがいを感じてるということが伝わってきました。

 大学の4回生ということで、もうすぐ教育実習や教員採用試験も控え、勉強も頑張っている眺野さんは「はっきりしたものではないけど、生徒たちのやりたいという気持ちを尊重できるような、叶えてあげられるような先生になりたいです」と理想の先生像を語る一方、「パラリンピックや大阪国際女子マラソンなどの舞台で伴走者として活躍したい」という夢も持っています。個人のマラソン記録は3時間28分と、まだ大舞台に出場できるタイムではないですが、いつかその夢を叶え、また教員としても将来パラリンピックに出場する選手を育ててほしいと西村さんも声援を送るのと同時に、このインタビューで彼女の優しやすごさも感じていました。

実際、マラソンの取材で視覚障害者を追うことはあっても、伴走者を追うことはなかったと語る原田アナウンサーは、また違った視点で障害者スポーツを紹介・お伝えできれば、その魅力をもっと感じてもらえるのではないかと、西村さんと一緒に、彼女に夢をたくしました。まずは教育実習と教員試験、頑張って合格することを願っています。

話の目薬ミュージックソン
放送局:OBCラジオ大阪
放送日時:毎週火曜 20時00分~20時26分
出演者:西村登代子、原田年晴(ラジオ大阪アナウンサー)、眺野詩(ゲスト)

※該当回の聴取期間は終了しました。

「我が子を守りたい」人気ライター・ヨッピー 父親目線で開発した幼児用熱中症対策ベスト「べビエア」開発秘話

ラジオ発のエンタメニュース&コラム「TOKYO FM+」がお届けするコラム。今回は、ライターとして数々の人気記事を手掛けるヨッピーさんが開発した、幼児向け熱中症対策ベスト「べビエア」に注目します。

近年、日本の夏は「危険な暑さ」が続き、小さな子どもの熱中症対策は多くの家庭にとって大きな課題となっています。そんななか、「幼児向けのファン付きベスト」というこれまでにはなかった発想から誕生した「べビエア」は、子育て世代を中心に大きな反響を呼び、SNSでも「こんなのが欲しかった」「夏のお出かけの救世主」といった声が相次ぐなど、大きな注目を集めています。

今回は、父親になったことをきっかけに起業し、自ら“ないものを作る”という挑戦に踏み出したヨッピーさんに、「べビエア」開発の背景や苦労した点、安全性へのこだわり、そして親だからこそ実現したかった思いについて話を聞きました。

子どもたちを猛暑から守る…実体験から生まれた発想



ライターとして第一線で活躍してきたヨッピーさんが、父親になったことをきっかけに立ち上げた株式会社ベビエア。開発した「べビエア」は、小型ファンで服の中に風を送り込み、歩いているときも、ベビーカーでも、自転車でも使える幼児向けの熱中症対策ベストです。

市場にはベビーカー用の送風シートや保冷剤などはあるものの、「歩き始めた子ども」に対応した製品はほとんどありませんでした。その空白を埋める商品として企画され、試作品を重ねながら安全性や着心地を徹底的にブラッシュアップ。発売後は子育て世代を中心に共感が広がり、多くの保護者から期待の声が寄せられています。

では、なぜヨッピーさんは「記事を書く」のではなく、自ら会社を立ち上げ、ものづくりに挑戦したのでしょうか。その原点から伺いました。

◆“ないなら作ろう”から始まった「べビエア」

Q.「幼児の熱中症対策にベストが必要だ」と確信した、具体的なエピソードや息子さんとの忘れられない瞬間があれば教えてください。

暑い日、代々木公園のフェスに子どもを2人連れて行ったら、到着するなり子どもの顔がみるみる赤くなり、「これはまずい」と思ってコンビニで氷を買って冷やしたりしながらその日はすぐ帰ったのですが、その際に「ベビーカーに敷くやつは子どもが複数人いると使えないから、現場のおじさんが夏場に着ているファンがついている服を子どもに買おう」と思い立ち、あれこれ探したのですが、小学生くらいの商品はあっても幼児用はなかったので「じゃあ、ないなら作ろう」の精神で商品化を思い立ちました。

Q.既存の熱中症グッズでは不十分だと感じたのはなぜですか?

冷却シートや保冷剤は1時間もすればぬるくなりますし、ハンディファンは子どもの手が塞がるし、ベビーカーに敷くタイプは先ほど書いた通り、子どもが複数人いると使えませんし、ベビーカーを嫌がる子どもにも使えません。

なので「歩いていようが、ベビーカーに乗っていようが、自転車に乗っていようが、使えるベスト型の方が絶対良いじゃん」くらいに思っています。

アスファルトに近い背の低い子どもは体感温度が+7℃上昇し、37℃に感じられる



◆反響の大きさが背中を押した、1万着生産への決断

Q.「ライターとして記事で問題提起する」のではなく、「株式会社ベビエア」を起業して自らモノづくりを始めるという大きな一歩を踏み出した覚悟や衝動についてお聞かせください。

もともと、“何かウケそうなものを思いついたら実現したくなる”という性格で、それがライターとしての仕事にも表れていると思っているのですが、その“ウケそうなもの”が記事になるのか、製品になるのかの違いくらいで、根底にあるものは同じじゃないかと思っています。

また、起業するに至った経緯については、もともと「とりあえず手元資金で1,000着くらい作ろう」と考えてスタートを切ったものの、あまりに反響が良いので「もっと売ろう!」と思い、周囲の人を巻き込んで資金を集めながら1万着仕入れてしまった、という経緯です。そのプレッシャーで毎日吐きそうです。

◆幼児向けだからこそ譲れなかった「安全性」へのこだわり

Q.「幼児向け」ならではの大きな壁があったかと思います。普通の空調服とは違い、体が小さく、動き回る幼児向けだからこそ直面した「開発上の最大の壁」は何でしたか?

やはり安全性です。安全性を重視して切り捨てた機能もあります。例えばファンは軽量・薄型かつ静音設計のファンを使っているのですが、その分だけやはり風量は弱くなりますし、プロトタイプでは袖や首回りにも絞りをつけていたのですが、紐が引っかかったりすると危ない、と考えて絞りをなくしました。

「最大の壁」という意味では、現在市場になかったような商品なので、製品化してくれる会社を探すのにめちゃくちゃ苦労しました。

Q.それをどうやって乗り越えたのか、試作を重ねた裏話があれば教えてください。

結局、作ってくれる会社を見つけたのはサラリーマン時代の人間関係からです。30歳までサラリーマン、その後ライターになったのですが、「サラリーマン時代、まじで無駄だったな」などと思いながら生きてきたので、「このタイミングでサラリーマン時代の人脈が生きることなんてあるんだ。スティーブ・ジョブズが言っていた『点と点が線になる』とはこのことか」と感心しています。

試作についてはサイズ違いに色違い、仕様違いなどいくつも試作品を作りながら、あーだこーだと検証し、最終的なプロトタイプを20世帯に配り、実験的に使っていただいて戻ってきたフィードバックを更に製品に活かして……という具合にブラッシュアップしています。



着るだけだからお手軽、着せるのもカンタン!



◆幼児用ウェアならではの安全設計

Q.小さな子どもが身につけるものとして、安全面(ファンの巻き込み防止、重量、素材など)や、子どもが嫌がらずに着てくれるための工夫(着心地、デザインなど)など、特にこだわった部分があれば教えてください。

「どこにこだわったか」と言うと「全部」という答えになってしまうのですが、例えばファンの位置も子どもが前や後ろにコケたときでもあたりづらい場所に設置していますし、冷え過ぎ防止のために連続1時間ごとの自動停止機能をつけたのもそうです。

また、「子どもが着るものなので可愛くあるべき」と思っているので、一般的なファン付服のようにパンパンに膨らませて着るのではなく、普段着の上から着ても違和感なく、可愛く着られるようなデザインを意識しています。


転倒時の安全性からデザインまで細部にまでこだわった商品設計



◆育児を通して見えた、まだ残されている課題

Q.ヨッピーさんお1人ではなく、多くの人を巻き込んでいく中でご自身の中で変化した部分があれば知りたいです。

やはり単純に「こういうの、求められているんだなぁ」ということでした。販売にあたっていろんな人に関わっていただきますが、特に小さいお子さんが居るかたは「これ、めっちゃ良いですね!」ってみんな言ってくれるので。子どもとの関りは特に変化はないです。パッケージに写っているのは息子なのですが、楽しそうに撮らせてくれましたし、「涼しい!」って言ってくれたのが嬉しかった。

◆育児における「不便の解消」への視点

Q.育児を経験したことで、ヨッピーさん自身の「世の中の課題に対する見方」に何かしらの変化はありましたか?

「育児における課題って、まだ全然解決されていないな」ということです。ちょうど先日、ピジョンさんから自動調乳してくれる機械(調乳用適温サーバー)が発売されましたが、あれも「そのうち作りたい」と思っていたアイデアのひとつです。今ある技術で十分に実現可能な製品だと思われますし、「自動でミルクを作ってくれる機械がなんでないんだろう」って思っていました。そういうものがまだまだたくさんあります。

◆ベビエアに込めた、子どもたちに届けたい夏の思い出

Q.近年の日本の夏は「危険な暑さ」と言われ、外遊びをさせるのにも罪悪感や不安を抱く親御さんが増えています。そうした方々へ、ベビエアを通じてどんな「安心」や「親子の時間」を届けたいですか?

以前、Xで流れてきたのを見て、ずっと僕の心に刺さっている言葉があるのですが、それが「子どもと思いっきり遊べる夏は、10回しか来ない」というものです。

10回の夏、つまり子どもが10歳くらいになると友達と遊ぶのを優先して親とは遊んでくれなくなる、ということなのですが、それくらい子どもと過ごせる時間は貴重なんですよね。

子どもたちにとって楽しい思い出になるはずの夏、親子で過ごす貴重な夏が「外が暑いから」という理由で奪われてしまうのは本当に可哀想だと思っています。僕は子どもの頃、夏は川で遊んだり虫をとったりお祭りに行ったりした、楽しい思い出がたくさんあるので今でも夏が大好きなのですが、今の子どもたちにもそういう経験をして欲しいなと思っています。

ヨッピーさんの息子さんの「涼しい!」の一言が証明したベビエアの効果



Q.最後に世のお父さんたちへ伝えたいことがあれば、父親目線でのメッセージをお願いします。

死ぬ直前の人に「後悔したことはなんですか?」って聞いた結果を載せた「後悔しない死の迎え方」(後閑愛実著・ダイヤモンド社)という本があるのですが、1000人くらいに聞いたら「働きすぎなければよかった」という人はいても「もっと働けばよかった」と答えた人はひとりもいなかったそうです。

さっきも書いた通り、子どもと一緒に遊べるのは長い人生のうちせいぜい10年くらいです。「パパー!」と叫びながら飛びついてくれる時間は10年よりもっと短いでしょう。抱っこをせがんでくる時間は更に短いかもしれません。

もちろん目先の仕事も大切ですが、子どもとの時間はもっと大切なのではないかと思っています。そんな貴重な時間を一緒に過ごせる幸せを噛み締めながら、精いっぱい頑張ろうではありませんか。

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幼児が安心して着られる機能性とデザインを追求し、試作と検証を重ねて誕生したヨッピーさん開発の「べビエア」は公式サイトから購入可能です。

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