【水谷加奈の劇場型恋愛体質】私も沼ってる!?
文化放送メールマガジン(毎週金曜日配信)にて連載中のコラム「水谷加奈の劇場型恋愛体質」。
アナウンス部長・水谷アナが、日々の生活で感じたことを心のままに綴っていく。
―4月4日(金)配信分―
「ヤバイヤバイヤバイ。超エモくね?」
「ホントだ。マジヤバイ。エモすぎっ」
そんな女子高生の会話が聞こえてくることがあります。ファッション、音楽、タレント、映画やドラマ。いろいろなシチュエーションで若者たちは【エモ】くなるようです。
しかしワタシはこの【エモい】の使い方がわかりません。どういうことに対してどういう状況で使うのか。「心が揺さぶられた」「センチメンタルな気持ちになった」「キュンとして切なくなった」という場合に使うらしいのですが、対象を間違えたりタイミングを外したりニュアンスを伝えきれなかったりするのが怖くて、私はいまだこの言葉を使ったことがありません。それに私のような昭和世代はどうも【エロい】【キモイ】という言葉が脳裏をかすめてしまい【エモい】を躊躇してしまうのです。
【エモい】の語源は「エモーショナル」だという説。日本語の「えもいわれぬ」だという説。諸説ありますが、昔で言ったら【あはれ】と同じ意味だとも言われています。ということは「趣が深い」「かわいくていとおしい」「情緒がある」という感じ?とにかく「なーんか複雑だけどぐっときちゃった」という情動が起こったとき、若者にとって便利な言葉なのですね。
同じ意味のようでもその時代の背景や空気感によって言葉の肌感は違ってきます。例えば【沼る】。昔は何かにハマることを【マイブーム】と言っていました。でも明らかに【沼る】のほうがどっぷり感、依存状態が強い。SNS用語も関係するのでしょうが、言葉が時代を映しているからだと思うのです。
いずれにしても同世代だからこそ共有できる感情の言葉。【沼る】も【エモい】も私は一生使わないだろうな。
前回【エモい】【沼る】といった類の若者言葉はわたしゃ使わない。と言ったばかりですが、よく考えると「これってもしかしたら沼ってるのか!?」と思い当たることが…。
休みの日はAmazon PrimeやNetflixばかり見ているのですが、ハマるを通り越してまさに沼っています!はまり込んで抜け出せない。依存している。という感じ。連続ドラマに沼った場合は、1話見ると【次のエピソードに進む】と出てくるのでそこをポチるとすぐ次に。この繰り返しでいつの間にか10話くらいイッキ見…という勢い。
先日はロバートデニーロが大統領を演じている【ゼロデイ】全6話をイッキ見。アメリカ全土がサイバー攻撃に襲われ大停電という幕開け。見ているうちに現実とドラマがごっちゃになってしまったようで…。我が家に電話がかかってきて、出ると女性の機械音声で「2時間後にあなたのスマホは使えなくなります。御不明点がある方は♯を押してください」と。それを聞いて、「来たっ。日本もついにサーバ攻撃か?!」と危うく♯を押しそうになってしまいました。はっと我に帰り、いやいやこれは新手の詐欺電話だと切った次第です。
そういえば昔ジャック・バウアーの【24】に沼っていたきも。アメリカで初めて黒人大統領(パーマー大統領)が誕生するのですが、サリンで暗殺されてしまいます。会社でニュースを担当したときに「今日の1本目はパーマー大統領暗殺だな」と一瞬頭をよぎって「いやいや、あれはドラマだ」と現実に帰ったことがありました。沼るって怖い。
あ。沼るの使い方、これでいいのか?