選択肢が増えても損失が増える!? 勅使川原真衣が新用語“チョイパ”について考える

フリーライターの武田砂鉄が生放送でお送りする朝の生ワイド「武田砂鉄ラジオマガジン」(文化放送)。1月14日(水)8時台のコーナー「ラジマガコラム」では、水曜前半レギュラーの組織開発コンサルタント・勅使川原真衣が新用語“チョイパ”の功罪などに                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                  について語った。

勅使川原真衣「今日は“チョイパ”について考えたいと思います」

武田砂鉄「何ですか“チョイパ”ってのは? 以前“タイパ”についてはお話しいただきましたが、“チョイスパフォーマンス”?」

勅使川原「そういうことです。選択するチョイスですね。『チョイッとパーマをかける』とかじゃないです(笑)。今度は“チョイパ”、これも考えないといけないようですよ。
日経新聞の今年の1月7日付けのものを眺めておりましたら、『情報多すぎ選べない!損失140兆円。選挙も消費も“チョイパ”で進化』という記事を見つけたんですね」

武田「パフォーマンスを『パ』で省略しようとする働きかけからは、逃げたいですよね」

勅使川原「『正しい選択が情報過多で難しい』という風に記事にありまして、アメリカのデータのようですけども、世界のデータ通信量増加率は2024年と2010年を比べると87倍ちょっと。どれだけすごいのか分かんないんですけどね、あと情報過多で決断を諦めた人はアメリカ人の割合だと思いますけども70%。人が何かしらを諦めてると。そして興味深いのは過剰な情報による米国の経済損失は140兆円だそうです。
『ジャムの法則』とか聞いたことはありませんか? 心理学みたいなんですけども、実験なのかな? スーパーの試食ブースに24種類並べた時と、6種類並べた時とで、購買率どっちが高いと思います?」

武田「それはもう、その話の流れでいくとね、少ない方が購買率が上がるってことなんですかね?」

勅使川原「そうです。24個並んじゃうと『もういいや』ってなって買うのを諦めちゃうのが人間らしいぞという実験があるようなんですけどね。
そういう意味で『もういいや』になっちゃう人を入れると、140兆円ぐらい失ってんじゃないのっていうことみたいです。
この選べるっていうことですけども、基本的には嬉しいじゃないですか、選べないより自分で選べるのは。
オーストリアの経済学者フリードリヒ・ハイエクも、『これは民主主義の基本だ』『自由社会の維持には個人の選択が不可欠だ』という風に、言ってるみたいです。
私の専門で言っても教育社会学っていう学問なんですけども、生まれで将来がほぼ決まっていた時代が日本にも士農工商がありましたからね。
その時代からしたらある程度公平な試験を受けて、いかようにも未来を選択できる現代って素敵なことだと思います。
ただ選択できることを諸手挙げて喜んでばかりもいられないのかなというお話なんですね。
まず何で喜べなくなったかと言いますと、選択肢はありとあらゆる分野で増大している一方で、当たり前なんですけど人間の脳の処理能力ってそんなに進化しないですよね?」

武田「それが脳の処理能力が100倍になってたらね、何の問題もなく対応できますけどね」

勅使川原「そうなんですよね。選択肢がどれくらい増大しているかと言いますと、また別のデータでですね、これは国内の日経調べのようですけども、例えば任天堂のゲーム数は2010年にはおよそ200種類ぐらいあったそうです。
これが2025年はなんと3400種類ほどあって17倍!」

武田「大変だ! そんなにあるんですね」

勅使川原「あと楽天市場ってショッピングサイトあるじゃないですか。
楽天の扱い点数も2010年は5500万点あったものが、2025年はおよそ5億点!
小さな話ですが、歯ブラシの種類で言っても2010年の576点から2025年は1200点ほどということで、もう何でもかんでもバリエーションってのは増えてる」

武田「すごいね。歯は増えないからね(笑)」

勅使川原「減っちゃいますもんね。よく言いますよね、お母さんとかが『あんた足2本なのになんでそんなに靴代かかるの?』って。
市場は常に競争しておりますので、差別化の要因が必要なんですよ。そうするとやっぱり選択肢を増やすっていうのが、妥当なラインになるじゃないですか。
一部の脳科学者が言うにはですね、同時に扱える選択肢って、人間はせいぜい数個だそうなんですよ、10個にも満たない。となると“タイパ”のようにですね、効率的で効果的な選択をしたくなるのが世の常だなというのは分かります。
ただやっぱり考えたい。“チョイパ” で得るものもあれば失うものもあるんじゃないかな?と私は思っております」

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同じ積極財政でも「狙いが違う」。サナエノミクスとアベノミクス

ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時~17時、火~金曜日15時~17時35分)、10月15日の放送にノンフィクション作家の常井健一が出演。高市早苗首相の掲げる経済政策「サナエノミクス」に現在について、城内実大臣へのインタビュー経験も踏まえて解説した。

常井健一「リフレ政策のリフレはリレーションの略で。簡単に言うとデフレから脱却するために金融緩和などによって需要を刺激して物価を適度に上げよう、という政策です。いわゆるリフレ派が主導した安倍晋三政権のアベノミクスでは、日銀による異次元の金融緩和が大きな柱でした。ところが現在、物価高が国民の生活を圧迫しています。日銀も金融政策を変えて金利は上がっている。そんな中、これまで安倍政権の継承を訴えてきた高市早苗政権の閣僚が、相次いでリフレ政策を否定していると」

長野智子「うん」

常井「特に城内実大臣は生前の安倍さんが高市陣営に送り込んだ参謀で。いまや自民党内に150人以上いる積極財政派のラスボスと目されています。実際、安倍さんに近かったリフレ派のブレーンたちを継承して7月の骨太の方針や成長戦略を策定してきた。当然、発言の真意に注目されているわけです」

長野「アメリカのベッセント財務長官が、リフレ生活はもう限界だ、やめるべきだ、と言いました。それに反応しているんですか?」

常井「まさにそれを(東洋経済オンラインの取材で)城内大臣に直撃して。『政権のスタンスはまったく変わっていない』と否定されました。強調していたのがサナエノミクスとアベノミクスの違いです。大きな違いは経済環境にあると。デフレ脱却のために大規模な金融緩和を続けたアベノミクスとは違って、いまは物価も金利も上がっています。政府としては『いつまでも異次元緩和を前提に経済政策を考える時代ではない』と言ってきたんです」

長野「なるほどね。だけどアベノミクスと同じ『積極財政』という言葉を掲げている」

常井「そうなんです。城内さん、『リフレ政策の局面は終わったが責任ある積極財政は続ける』と。アベノミクスは金融緩和によって需要を刺激することが柱でした。だけど今度のサナエノミクスは供給力だ、国内でモノやサービスをつくる力を強化するために官民で投資するんだ、と。同じ積極財政でもサナエノミクスとアベノミクスでは狙いが違う、ということですね。もう1つ、『米中の対立やパンデミックも経済環境を大きく変えた』と言っていて。東洋経済オンラインに掲載した発言を一部、ご紹介します」

長野「はい」

常井「『かつての小泉(純一郎)・竹中(平蔵)時代に象徴されるような新自由主義的な市場原理だけにゆだねる発想では、今日(こんにち)の経済安全保障や巨額の先行投資を必要とする分野に充分は対応できない、という現実がある』と。日本企業はひと昔前にコスト重視で、海外に製造拠点を移しましたね。あれが現在は地政学的に大きなリスクになっている、と指摘した。城内さんは『市場原理だけに任せる時代は終わった』と言い切っていて」

長野「ほう」

常井「こうした考え方は反・小泉という、大臣自身の独特な政治人生や色濃く反映されているな、という印象を持ちましたね。いまから21年前です。2005年の郵政選挙で当時、城内さんは1年生議員でした。郵政民営化に反対して、自民党の公認を得られず。無所属で戦った。そのとき小泉首相が送り込んだ刺客が、当時、財務官僚だった片山さつきさんですね」

長野「そうだったか」

常井「城内さん、片山さんに748票差で負ける。それから4年間、リュックサック1つで天竜川を上流から下流にくだるように選挙区をくまなく歩いた。今度は片山さんに7万票差で勝った。片山さんは静岡から追い出されて、参議院の全国比例に鞍替えしたんです」

放送では城内大臣と片山大臣の因縁、サナエノミクスのさらなる詳細などについても常井が語った。

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