強気に交渉できない…そんなとき活用したい孫子の教えとは?『長尾一洋 ラジオde経営塾』4月25日(月)放送

約8,000社の企業に携わってきた経営コンサルティングのエキスパート長尾一洋社長が、今週も悩めるビジネスマンのご相談に回答。
今回は豪華にご相談2本立て!
まず部下を叱った後のフォローについてのお悩みを解決。
2つ目は、優しい性格ゆえ社内外の調整で強く出られない方からのお悩み。こちらには孫氏の一節を活用したアドバイスを行った。

■1つ目のお悩み「叱った後のフォロー。何が正解?」
ラジオネーム:白いカメレオンさん
職業:会社員
業種:運輸業
「厳しく叱った部下や後輩が、あまりにも落ち込んでいたら、何かフォローすべきでしょうか?甘やかすような励ましの言葉をかけては、怒ったことが台無しになる気がして、いつも見ないふりです。”飴と鞭”という言葉もありますが…。長尾さんも後輩には厳しいほうだと思いますが、どうされていますか?(一部略)」
長尾社長は後輩には厳しいほうなのでは…というご相談者の推測に「私はまったく厳しくないです(笑)」と長尾社長は応えた。
■時代の変化に添って…
「20年前くらいまではたまに『おりゃー!』となることもありましたが、今はそんなことはないですね(笑)」。体育会サッカー部出身、厳しい上下関係の中に身を置いていた長尾社長ですが、現在、仕事中に厳しく叱ることはないという。
理由の1つは、やはり時代の変化。パワハラへの注意、また叱られ慣れない人が増えたこともあり感情的な伝え方が効果的でないという要因もある。

■そもそも感情的になるのはNG

部下や後輩への指導においては『感情的になってはいけない』のが原則だと長尾社長。とはいえ部下を思うからこそ感情が顔を出す場面も。「いいよいいよ、好きにすれば」と放置するより、ある意味人間的とも言えるが、やはりフォローは必須だ。
長尾社長が重要だと考えるのは、部下が”見捨てられた”と感じない終わりかたをすること。
また指導の背景や理論など「なぜそう言ったのか」を説明することだという。
そこでMC八木アナからは素朴な疑問が…。「やさしくやって育ちますか?」。
長尾社長が実際に取っている方策とは?

■立場を置き換え、考えさせて…
長尾社長が実際に行っているのは、部下に『立場を置き換えて、自分で考えさせる』方法。
「同じことを自分の部下がしたらどう?」
「僕なら叱っちゃいます…」
「だよね?」
…という形で、本人が考え方や認識を見直すきっかけになれば成功。ピントの合わない反応が返ってきたら、判断軸を修正できるよう話をする。
感情的な叱責は、行動への”注意喚起”はもたらすが、考え方の根本を変えることはできない。「怒る」や「厳しく叱る」のではなく、認識の仕方を変えてあげることを主眼において接することが大切だという。

■白いカメレオンさんへの回答まとめ
・原則、感情的になってはいけない。パワハラの懸念も。
・感情が顔を出すこともあるが、フォローは必須。特に部下が「見捨てられた」と感じるような終わり方はしないよう、指導の背景や理論の説明を。
・行動を厳しく叱っても、考え方を変えることはできない。「自分の部下や後輩が同じ行動をしたら、どのように指導するか」を自分で考えさせることで、認識の仕方を変える方向で接しよう。

■2本目のご相談「強気になれない性格で、仕事の調整に困ることがある」
ラジオネーム:モーニング朝太郎さん
職業:会社員
業種:冠婚葬祭
「根が優しい性格で、社内にも社外にも強気の調整ができません。あまり強気に行くと、関係性が崩れるのではとも…。孫子の兵法にはこんな自分に応用できる理論があったりしますか?(一部略)」
孫子兵法家としても活動する長尾社長に、兵法を用いたアドバイスのリクエストが飛び込んだ。

■モーニング朝太郎さんに役立つ一節は…
善く敵を動かす者は、之を形すれば敵必ず之に従い、之に予うれば敵必ず之を取る。利を以て之を動かし、卒を以て之を待つ
(よくてきをうごかすものは、これをかたちすればてきかならずこれにしたがい、
これにあたうれば、てきかならずこれをとる。りをもってこれをうごかし、そつをもってこれをまつ。)

 

「ざっくり言えば、敵を上手く動かそうと思ったら、
敵がそうせざるを得ないような陣形、状況に追い込んで行く。
また、敵が望むものを与えれば取りに来る。
相手がメリットを感じることによって相手を動かし、こちらはそれを待ち受けて討つ…という教えですね」と長尾社長。
この孫子の一節は、モーニング朝太郎さんの事例にはどのように活用できるのだろうか。

■外堀を埋め、利をもって相手を動かそう!
「交渉するのに強く言う必要ありません」と長尾社長。
上記の一節を簡単にご相談に置き換えると…

善く敵を動かす者は、之を形すれば敵必ず之に従い、之に予うれば敵必ず之を取る。
→相手がそうせざるを得ないように、外堀を埋めていく段取りをする。

利を以て之を動かし、卒を以て之を待つ。
→相手が何を望んでいるか考える。交渉が必要なのは、相手のニーズとこちらのニーズが違うとき。相手のニーズを考え「それを充足させるためにこうしては?」と話をすると、向こうが動いてくる。

長尾社長によれば、孫子は「どんどん戦え!」ではなく「なるべく戦わずにコトを済ませよう」という兵法。
心優しい相談者さんは、相手の納得しやすいよう相手の利を叶えながら、こちらも最終的に妥協できる落としどころを探すと良いそうだ。

■モーニング朝太郎さんへの回答まとめ
・モーニング朝太郎さんに役立つ孫子の一節は…「善く敵を動かす者は、之を形すれば敵必ず之に従い、之に予うれば敵必ず之を取る。利を以て之を動かし、卒を以て之を待つ」。
・優しいのは悪いことではなく、交渉は強く出ないといけないわけではない。
・相手が、こちらの望む動きをしてくれるよう外堀を埋める。
・相手の利を叶えることで動きを誘い、こちらの望む形を叶えよう。

 

 

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同じ積極財政でも「狙いが違う」。サナエノミクスとアベノミクス

ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時~17時、火~金曜日15時~17時35分)、10月15日の放送にノンフィクション作家の常井健一が出演。高市早苗首相の掲げる経済政策「サナエノミクス」に現在について、城内実大臣へのインタビュー経験も踏まえて解説した。

常井健一「リフレ政策のリフレはリレーションの略で。簡単に言うとデフレから脱却するために金融緩和などによって需要を刺激して物価を適度に上げよう、という政策です。いわゆるリフレ派が主導した安倍晋三政権のアベノミクスでは、日銀による異次元の金融緩和が大きな柱でした。ところが現在、物価高が国民の生活を圧迫しています。日銀も金融政策を変えて金利は上がっている。そんな中、これまで安倍政権の継承を訴えてきた高市早苗政権の閣僚が、相次いでリフレ政策を否定していると」

長野智子「うん」

常井「特に城内実大臣は生前の安倍さんが高市陣営に送り込んだ参謀で。いまや自民党内に150人以上いる積極財政派のラスボスと目されています。実際、安倍さんに近かったリフレ派のブレーンたちを継承して7月の骨太の方針や成長戦略を策定してきた。当然、発言の真意に注目されているわけです」

長野「アメリカのベッセント財務長官が、リフレ生活はもう限界だ、やめるべきだ、と言いました。それに反応しているんですか?」

常井「まさにそれを(東洋経済オンラインの取材で)城内大臣に直撃して。『政権のスタンスはまったく変わっていない』と否定されました。強調していたのがサナエノミクスとアベノミクスの違いです。大きな違いは経済環境にあると。デフレ脱却のために大規模な金融緩和を続けたアベノミクスとは違って、いまは物価も金利も上がっています。政府としては『いつまでも異次元緩和を前提に経済政策を考える時代ではない』と言ってきたんです」

長野「なるほどね。だけどアベノミクスと同じ『積極財政』という言葉を掲げている」

常井「そうなんです。城内さん、『リフレ政策の局面は終わったが責任ある積極財政は続ける』と。アベノミクスは金融緩和によって需要を刺激することが柱でした。だけど今度のサナエノミクスは供給力だ、国内でモノやサービスをつくる力を強化するために官民で投資するんだ、と。同じ積極財政でもサナエノミクスとアベノミクスでは狙いが違う、ということですね。もう1つ、『米中の対立やパンデミックも経済環境を大きく変えた』と言っていて。東洋経済オンラインに掲載した発言を一部、ご紹介します」

長野「はい」

常井「『かつての小泉(純一郎)・竹中(平蔵)時代に象徴されるような新自由主義的な市場原理だけにゆだねる発想では、今日(こんにち)の経済安全保障や巨額の先行投資を必要とする分野に充分は対応できない、という現実がある』と。日本企業はひと昔前にコスト重視で、海外に製造拠点を移しましたね。あれが現在は地政学的に大きなリスクになっている、と指摘した。城内さんは『市場原理だけに任せる時代は終わった』と言い切っていて」

長野「ほう」

常井「こうした考え方は反・小泉という、大臣自身の独特な政治人生や色濃く反映されているな、という印象を持ちましたね。いまから21年前です。2005年の郵政選挙で当時、城内さんは1年生議員でした。郵政民営化に反対して、自民党の公認を得られず。無所属で戦った。そのとき小泉首相が送り込んだ刺客が、当時、財務官僚だった片山さつきさんですね」

長野「そうだったか」

常井「城内さん、片山さんに748票差で負ける。それから4年間、リュックサック1つで天竜川を上流から下流にくだるように選挙区をくまなく歩いた。今度は片山さんに7万票差で勝った。片山さんは静岡から追い出されて、参議院の全国比例に鞍替えしたんです」

放送では城内大臣と片山大臣の因縁、サナエノミクスのさらなる詳細などについても常井が語った。

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