見えないものを見える化するメガネ

今日はスマートグラスの話題です。

スマートグラスって知ってますか・・・?メガネの形の端末で、レンズにディスプレイが内蔵されていて、例えば道案内や外国語を翻訳した文字といった、デジタル情報を視界に重ねて表示できるもの。

農業の「アレ」を見える化!

最近は、「見えないものを見える化する」スマートグラスが登場しています。例えば「農業」。

岡山県は日本有数の桃の産地であり、特に「白桃」が有名

くだもの王国といわれる岡山県では農業への新規参入を進めているんですが、経験の浅い人が作物を育てるのは難しい!そこでスマートグラスを導入しようとしています。農林水産総合センターの荒木有朋さんにお話を伺いました。

岡山県 農林水産総合センター・普及連携部 普及推進課 副参事・荒木有朋さん

桃の栽培管理の中でも特に難しいのは収穫のタイミングの見極めです。本当においしい収穫のタイミングはわずか2日程度と非常に短いのが桃で、岡山県の場合は収穫まで果実に袋がかかっていますので、生産者は一つずつ袋から開けて見て、果実が緑色からほんのりクリーム色に変わる微妙な色の違いを見極めて収穫することになります。始めたばかりの方にとっては難しいところかと思います。今年の7月8日に「スマート栽培管理システム」の実演会を行いました。スマートグラスを装着しまして、指に装着しているのが特殊なセンサーになっておりまして果実の硬さを袋の上から非破壊で測定します。それで桃の木を見ますと、それぞれの果実の上に「収穫適期まであと何日」という数字が1,2秒のタイムラグはありますけれどもすぐにグラスに結果が反映して表示されるというシステムになっています。

たった2日ほどしかない「桃の本当においしいタイミング」を見極めるのは、長年の経験と勘に頼る作業でした。

スマートグラスと指先センサーで収穫時期を測定する様子

このスマートグラスは、ベテラン農家の経験や知識をデータとして溜めて、クラウドで管理もできるので、新しく農業を始めた方や、アルバイトでもベストな収穫時期を簡単に判断できます。

上部は桃の硬さの測定値、下部が収穫適期までの日数

しかも今までは桃の状態を見るために、わざわざ桃の実の袋を一つ一つ開けて何度もチェックしなければなりませんでしたが、これなら袋の上から手で触るだけで状態が分かるので、作業効率がずいぶん良くなります。従来の方法から作業時間を25%短縮することができるそうです!

農家の方からは、栽培面積を増やせるかもしれないといった前向きな声もあったそうです。

「疲れ」が見えるメガネ?

この岡山のケースは、外からは見えにくい「桃の状態」を見える化するスマートグラスでしたが、いま注目されているのが、「脳の疲れ」を見える化するスマートグラス。大阪大学発のスタートアップ、ニューラルポートの島藤安奈さんに詳しいお話を伺いました。 

株式会社ニューラルポート・代表取締役・島藤安奈さん

目は口ほどに物を言うと言われてますけども、意思決定の90%近くを目からの視覚情報が担うというふうに言われているぐらいなんで、脳への影響っていうのは大きいと思いますし眼球運動が前頭前野の負荷を非常に表すということは論文でもかなり言われつつあって、脳の状態を可視化するためにまばたき、瞳孔の変化量、目の動きから脳疲労を測定するという技術を開発しています。例えば、アスリートもそうですし、パイロットさんとかドライバーさんとか、常にモニタリングしておきたいというような、特殊なエッセンシャルワーカーの方々向けに、アイグラスで脳疲労をモニタリングできる世界を作るというのが、今回発表させていただいたウェアラブルデバイスですね。

目の動きをスマートグラスで読み取って、脳の疲労を測定するんですね!

長時間、集中力が必要とされる職業の方だと、「まだ大丈夫です!働けます!」とは言っていても、実は脳は疲れていて、それが判断ミスや作業のミスにつながってしまう、そんなことも。

視線のデータをもとにAIでストレスを測定する方法は世界初!その測定技術の開発に取り組んでいる島藤さんは、メガネ型の測定機なら長時間モニタリングすることが可能になるということで、アイウェアを手掛ける山本光学株式会社と協力し、実用化に向けてハードウェアの開発を進めています。

医療現場や交通機関などへの導入で、未然に事故を防いだり・・・安全面での活躍にも期待です。

スポーツ選手の「イップス」予防にも。

さらに、この脳の疲労をスマートグラスで測定する技術は、スポーツ選手のメンタルトレーニングにも応用していきたいといいます。再び島藤さんのお話です。

株式会社ニューラルポート・代表取締役・島藤安奈さん

ゴルフをしていらっしゃる方も多いと思うんですけど、イップスっていう、パターとか、邪念があるとパフォーマンスがうまくいかないっていうのは、トラウマからくることもあるし、ケガからくることもあるし、身体パフォーマンスからくることもあるんですけど、脳疲労も一つ関わってるんじゃないかというふうに思ってまして、イップス予防というのも非常に大きな研究したい要素です。隠れているだけでたくさんいらっしゃると思っていて、それを言えない環境だったり、指導者側も触れられないみたいなことになっていると思うんですけど、誰しもが陥るスランプの一つなので、イップスに至るまでの過程だったりとか、予防もそうですし、治療っていうのがきちんと確立してくれば、アスリートにとっては非常に心強いサポートの一つになるんじゃないかと思っています。

実は、島藤さんの妹さんがボクシングをやっていてプロを目指していたんですが、イップスによって選手生命を終えたという、大きなきっかけがあったそうなんです。

元々、自閉症の方やADHD(注意欠如・多動症)の方の視線と脳の関係を研究していた島藤さんは、妹さんと話す中で、自分の研究を社会に役立てることができるのではと思い起業したとのこと。

農業からスポーツの分野まで・・・スマートグラスは今後、様々なジャンルで存在感を示していきそうですね。

(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』取材・レポート:糸山仁恵)

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同じ積極財政でも「狙いが違う」。サナエノミクスとアベノミクス

ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時~17時、火~金曜日15時~17時35分)、10月15日の放送にノンフィクション作家の常井健一が出演。高市早苗首相の掲げる経済政策「サナエノミクス」に現在について、城内実大臣へのインタビュー経験も踏まえて解説した。

常井健一「リフレ政策のリフレはリレーションの略で。簡単に言うとデフレから脱却するために金融緩和などによって需要を刺激して物価を適度に上げよう、という政策です。いわゆるリフレ派が主導した安倍晋三政権のアベノミクスでは、日銀による異次元の金融緩和が大きな柱でした。ところが現在、物価高が国民の生活を圧迫しています。日銀も金融政策を変えて金利は上がっている。そんな中、これまで安倍政権の継承を訴えてきた高市早苗政権の閣僚が、相次いでリフレ政策を否定していると」

長野智子「うん」

常井「特に城内実大臣は生前の安倍さんが高市陣営に送り込んだ参謀で。いまや自民党内に150人以上いる積極財政派のラスボスと目されています。実際、安倍さんに近かったリフレ派のブレーンたちを継承して7月の骨太の方針や成長戦略を策定してきた。当然、発言の真意に注目されているわけです」

長野「アメリカのベッセント財務長官が、リフレ生活はもう限界だ、やめるべきだ、と言いました。それに反応しているんですか?」

常井「まさにそれを(東洋経済オンラインの取材で)城内大臣に直撃して。『政権のスタンスはまったく変わっていない』と否定されました。強調していたのがサナエノミクスとアベノミクスの違いです。大きな違いは経済環境にあると。デフレ脱却のために大規模な金融緩和を続けたアベノミクスとは違って、いまは物価も金利も上がっています。政府としては『いつまでも異次元緩和を前提に経済政策を考える時代ではない』と言ってきたんです」

長野「なるほどね。だけどアベノミクスと同じ『積極財政』という言葉を掲げている」

常井「そうなんです。城内さん、『リフレ政策の局面は終わったが責任ある積極財政は続ける』と。アベノミクスは金融緩和によって需要を刺激することが柱でした。だけど今度のサナエノミクスは供給力だ、国内でモノやサービスをつくる力を強化するために官民で投資するんだ、と。同じ積極財政でもサナエノミクスとアベノミクスでは狙いが違う、ということですね。もう1つ、『米中の対立やパンデミックも経済環境を大きく変えた』と言っていて。東洋経済オンラインに掲載した発言を一部、ご紹介します」

長野「はい」

常井「『かつての小泉(純一郎)・竹中(平蔵)時代に象徴されるような新自由主義的な市場原理だけにゆだねる発想では、今日(こんにち)の経済安全保障や巨額の先行投資を必要とする分野に充分は対応できない、という現実がある』と。日本企業はひと昔前にコスト重視で、海外に製造拠点を移しましたね。あれが現在は地政学的に大きなリスクになっている、と指摘した。城内さんは『市場原理だけに任せる時代は終わった』と言い切っていて」

長野「ほう」

常井「こうした考え方は反・小泉という、大臣自身の独特な政治人生や色濃く反映されているな、という印象を持ちましたね。いまから21年前です。2005年の郵政選挙で当時、城内さんは1年生議員でした。郵政民営化に反対して、自民党の公認を得られず。無所属で戦った。そのとき小泉首相が送り込んだ刺客が、当時、財務官僚だった片山さつきさんですね」

長野「そうだったか」

常井「城内さん、片山さんに748票差で負ける。それから4年間、リュックサック1つで天竜川を上流から下流にくだるように選挙区をくまなく歩いた。今度は片山さんに7万票差で勝った。片山さんは静岡から追い出されて、参議院の全国比例に鞍替えしたんです」

放送では城内大臣と片山大臣の因縁、サナエノミクスのさらなる詳細などについても常井が語った。

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