【ラジオな人】FM802 編成部長 山本剛志さんが語る、音楽ヒットのポイントとその取り組み【後編】

関西No.1のミュージックステーションとして、音楽やアートなど数多くの才能を発掘、そして発信しているFM802。多くのアーティストやスタッフと一緒に仕事をする中で見えてくる景色、そこから生まれる絆や企画があるようです。編成部長 山本さんが目指すFM802の姿は、過去の経験があってこそでは…? そんな山本さんの想いが込められたインタビュー、この記事ではその後編をお届けします。

▼前編はこちら
https://news.radiko.jp/article/edit/13467/intro/

――FM802は、生ワイド番組が非常に多いことも特徴です。番組編成について、簡単にお聞かせいただけますか?

FM802(以下802)の編成は、大別すると、「多くのリスナーに楽しんで頂きたいワイド番組」「音楽の多様性を届ける番組」「高校生に届けたい番組」の3つに分けられます。

1つ目は、仕事、勉強、車の運転、お店、朝の支度、通勤、通学、家事などの日常生活に入り込めるメディアは、ラジオだからこそだと思っています。

2つ目は、新しいアーティストをどこよりも早くリスナーに届けて出会いをつくるために、ロック、ブラック・ミュージック、アニメ・ゲーム・ネットアーティストなど、さまざまなジャンルを流しています。

3つ目は、落合健太郎がDJの『ROCK KIDS 802 -OCHIKEN Goes ON!!-』や鬼頭由芽がDJの『ROCK KIDS 802 -YUME GO AROUND-』です。

――夜の番組もバラエティに富んでいると思います。たとえば以前、『MUSIC GUMBO』を放送していましたね。

桜井和寿さん(Mr.Children)、草野マサムネさん(スピッツ)、トータス松本さんほか、いろいろな方がDJを務めてくださいました。当時は平日の夜と週末に多くのリスナーが聴いてくれてたのですが、特に週末になると、平日の3倍ぐらいのリスナーが聴いてくれていたんです。

――時代の流れもあって、娯楽の時間が増えたことも考えられるのではないかと…。

20年ほど前からは、平日の朝から夕方の時間帯にラジオを聴くニーズは少しずつ高まっていきました。ですが、このご時世、SNS、スマートフォン、ストリーミング配信、YouTube、ネットショッピングなど競争が増えたことで、夜と週末の時間の奪い合いが激しくなっています。しかし、802だからこそのコンテンツを発信し続けることで、オンリーワンの存在になると信じています。

DJの存在は唯一無二

――ヒット曲を発掘していくために、802ならではの要素は何かあるのでしょうか?

ヒットしている曲を「ヒットしているから」という理由で流すのでは、他のメディアと差別化はできませんし、リスナーにも音楽の良さは伝えられません。

最近ですと、back numberの『瞬き』は全国のラジオ局で流れていますが、この曲をアーティスト名のみ伝えて紹介するのでは、聴いているリスナーには響かない。リスナーにとって“一生忘れられない曲”にするには、DJのコメント力、要は伝え方がポイントだと思っています。DJの言葉で、リスナーの心に届けること。802はDJの存在が唯一無二だと思っています。

――お店や街でよく流れているから紹介するのではなく、DJの言葉で伝えることが、ヒットコンテンツを生み出すことに繋がるのですね。

ヒット曲が生まれる裏には、誰かの心を“揺さぶる”何かがあるはず。だからこそ、誰かにとっては一生忘れない曲になり、いつまでも聴かれるのです。相手に何をどう感じてほしいのかを自分の言葉で伝えることは、音楽をヒットさせていくにあたってのポイントになってきます。

10代の学生さんたちにラジオの楽しさを伝えたい

――先ほど、「ROCK KIDS 802 -OCHIKEN Goes ON!!-」「ROCK KIDS 802 -YUME GO AROUND-」は高校生をターゲットにした番組だとおっしゃっていました。10代の若者たちにラジオを聴いてもらうために、何か考えていることはあるのでしょうか。

中学生や高校生は、音楽に興味を持ち始める時期で、勉強しながら音楽を聴くことが多いですよね。勉強しながらラジオとファーストタッチする1つの大きなチャンスだと思っています。逆に大学生になると、授業、バイト、サークルとキャンパスライフが充実して、ラジオに接する時間がなかなかありません。

でも、思春期真っ只中の中高生は、進路や恋愛、人間関係など悩みを抱えたりしていて、DJが話す内容や音楽は、大げさかもしれませんが、その後の人生に大きな影響を及ぼすくらい刺激されると思うんです。学生たちがラジオと接触する機会を作っていくことも常に考えています。

――約30年間で、802としては大きな流れの変化はありましたか?また、ここは802の強みだと思えるところについてはいかがでしょう?

802が開局して、お陰様でナンバーワンステーションになることができました。ただ、もしかすると10年後には別の局が、802に代わってナンバーワンステーションになっている可能性だってあります。「数字を落としてしまうのではないか…」という不安はもちろんありますが、番組で流す曲の選曲を徹底していますし、何よりも音楽、アーティストへの強い愛情があります。これこそ私たち802の強みだと思っています。

――それでは、編成部長である山本さんご自身のお話をお伺いしたいと思います。いろいろなアーティストやスタッフの方と一緒に仕事をしてきて、忘れられないことなどたくさんあると思いますが、入社以来で最も印象に残っていることを教えていただけますか?

802に入社してから20年が経ちます。入社当時から、アーティストの展開について、レコード会社やイベンターの皆さんと一緒に考えさせていただくことは楽しかったですね。たとえば、リスナー同士でトーナメントを組んでゲーム大会を開催したこと。決勝でアーティストと対決して、それを公開放送で流す。試行錯誤する中で、アーティストとの間に信頼関係が生まれて、次の企画に繋がっていくのが面白いんです。他には、入社して間のない頃、開局時から展開していた「バンバーステッカー」のキャンペーンを任せてもらえたことも印象深いですね。802には、自分が考えた企画を責任範囲内で自由に任せてもらえる環境があるのは特徴的だと思います。

アーティスト、スタッフたちの繋がりがあってこその企画

――まさにアーティストとの絆が生まれる瞬間が…!山本さんが担当した企画はどんなものがありますか?

802では毎年、「ACCESS!」というキャンペーンを行っています。10年間続いている企画で、新生活が始まる春に向けて、802とゆかり深いアーティストと一緒に、オリジナルのキャンペーンソングを制作する企画です。かつて、忌野清志郎さん、槇原敬之さん、秦基博さんに楽曲をお願いしました。

「ACCESS!」には、新生活を迎えるリスナーにも802との繋がりを深めてほしいという想いが込められているのですが、10年前に初めて「ACCESS!」のキャンペーンソングを作った時は、ノウハウがない中で、楽曲制作の依頼から、アーティストのブッキング、などを行いました。当時は他のラジオ局がやったことがない企画でしたが、それでも引き受けてくださったのは、それまでに築いた関係性があったからだと思います。中には「802だからこそ、やります!」とアーティストが自ら手を挙げてくださったこともあって、それが何よりも嬉しくて…! たくさんの人に聴いてほしい、魅力的なコンテンツを作っていこう!という気持ちが、一層強くなった瞬間でした。

――802は不定期にDJオーディションを開催していますね。どういったところを重視しているのでしょうか?

やはり“人間力”です。自分が発信したいことを持っている人、自分の言葉で伝えることができる人は活躍していくと思っています。DJが「今日は上手く話せた!」と思っても、リスナーが「本当はもっとゲストのパーソナルなことを聴きたかった」と満足していないこともあります。

――自己満足で終わらせてはいけない…伝える仕事として、とても重要なことですよね。

DJになるためには、音楽に詳しい人、関心がある人は、伝える引き出しがたくさんあって有利です。でも音楽の知識は、勉強すれば追いつけます。“人として”目の前にいる人やマイクの向こう側にいるリスナーに想いを伝えられるかどうかがポイントです。DJになるという目標だけではなく、DJになってからも切磋琢磨できる人や、自身の欠点を知っている人こそ努力し続けるので伸びていくと思っています。

――では最後に、開局30周年を迎えるにあたって、皆さんにメッセージをお願いします。

2019年1月1日から、いよいよ開局30周年イヤーに入ります。開局当時のことを知らない方も多いと思いますし、802のこれまでの良い部分は継承しつつ、コアターゲットである10〜30代のリスナーにとって「802だからこそ!」「音楽最高!」と心の底から感じてもらえる特別な存在になれるよう、いろんなことにチャレンジしていきます。

番組情報

■放送局:FM802
■番組名:『ROCK KIDS 802 -OCHIKEN Goes ON!!-』
■放送日時:毎週月曜~木曜 21時〜23時48分
■DJ:落合健太郎
■番組サイト: https://funky802.com/rockkids/

■放送局:FM802
■番組名:『ROCK KIDS 802 -YUME GO AROUND-』
■放送日時:毎週金曜 21時〜23時48分
■DJ:鬼頭由芽
■番組サイト: https://funky802.com/service/homepage/index/1521

▼その他FM802 の番組情報はこちら!
https://funky802.com/

出演者プロフィール


山本剛志

1997年  FM802入社 編成部配属
2011年 営業部へ異動
2013年 802編成部へ異動

インタビュー

やきそばかおる

小学5年生以来のラジオっ子。ライター・構成作家・コラムニスト。

「BRUTUS」「ケトル」などのラジオ特集の構成・インタビュー・執筆を担当するほか、radiko.jp、シナプス「 I LOVE RADIO」(ビデオリサーチ社)/ J-WAVEコラム「やきそばかおるのEar!Ear!Ear!」/otoCoto「ラジオのかくし味」/水道橋博士のメルマ旬報など連載や、番組出演を通じて、ラジオ番組の楽しさを発信。

ラジコプレミアムを駆使しながら、全国のユニークな番組を紹介するツイキャス番組「ラジオ情報センター」(水曜21時〜22時)も放送。全てを合わせると、年間でのべ800本のラジオ番組を紹介している。

Twitter:@yakisoba_kaoru

カメラマン

倉科直弘(kurashina naohiro)

ブルース・ロックを愛する。草野球も少々。街と退廃と幸福について毎日考えています。
「MUSIC MAGAZINE」「Number」「ケトル」など、多数の雑誌に写真を掲載。大阪在住。

twitter: @kurabokurabo

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津田健次郎「高校2年まで“大学受験がある”ことを忘れて…」受験勉強に明け暮れた高校3年生を振り返る

声優・俳優の津田健次郎がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの新ラジオ番組「津田健次郎 SPEA/KING」(毎週日曜 12:00~12:30)。声優として数々の人気アニメ作品、俳優としても話題のドラマ・映画に出演し、今もっとも注目を集める津田のパーソナルな一面を知ることができるレギュラーラジオ番組です。
4月14日(日)の放送では、リスナーから届いた「息子との距離感が難しい」という悩みに答えていきました。


パーソナリティの津田健次郎



<リスナーからのメッセージ>
17歳の息子の扱いが難しいです。もう(親から)離れてほしいような、でも、まだそばにいてほしいような……大人として扱うにはまだ子どもで腹が立つし、子どもとして扱うには、もうかわいくない年齢。そこで、津田さんが17歳(高校3年生)のときに、親にされて嫌だったこと、うれしかったことを教えてください。

津田:高校3年の頃は大学受験に向けて勉強していたのですが、僕は中高一貫の男子校に通っていまして、高校2年まで“大学受験がある”ことを忘れていたんですよ(苦笑)。

しかも、高校受験をしてないので、あらためて中学のときの勉強をし直すという(笑)。そういう意味では全力で勉強していましたね。演劇を専攻していのですが、当時の自分にとってはハードルの高い大学を目指していたので、むちゃくちゃ勉強していました。

なので……“ほどよいメリハリ”っていうんですかね、放っておく時間をしっかり作っていただくのが良いかもしれません。そして、たまに干渉するときは「勉強はどう~?」と恐る恐る声をかけると、それも面倒くさがられたりするので、「あんた! 勉強はしているんか!? やっているんやったらええけど」みたいに思い切り声をかけてもらったほうが、メリハリも効いて(子どもも親に)接しやすいかもと思いました。


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4月14日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2024年4月22日(月)AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

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<番組概要>
番組名:津田健次郎 SPEA/KING
放送日時:毎週日曜 12:00~12:30
パーソナリティ:津田健次郎
番組Webサイト:https://15audee.jp/articles/news/arzGScruNeYzMYs9hC6vN9xF

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