【ライブレポート】斉藤和義×立川談春、平安神宮で前代未聞のコラボ! 3500人を魅了したステージ

9月22日(土)、京都・平安神宮で「平安神宮月夜の宴 ROOTS66 京(みやこ)の二人会」(FM COCOLO主催)が開かれました。出演は今年でデビュー25周年を迎える斉藤和義と落語家の立川談春。ともに1966年生まれ。斉藤は2006年に当時40歳の男性アーティストが集った「ROOTS66」のメンバーで、同い年の談春とはかねてから親交があり、50歳を機に開催された一昨年の「ROOTS66」のライブイベントでは談春が開演を告げる口上を担当したこともあります。かくして、音楽と落語のコラボは実現しました。

談春のコール・アンド・レスポンスも

平安神宮では当日の朝まで雨が降っていましたが、夜の宴を待ちわびていたかのように回復。午後には晴天に恵まれました。ステージ上は京都の華道「未生流笹岡」家元の笹岡隆甫氏によるいけばななどで、幻想的な空間が作り上げられていました。権禰宜によるお祓いも行われ、いよいよ開演。斉藤の楽曲『月影』の出囃子で二人が登場。

まずは、ステージ上に用意された高座で談春が「替わり目」を披露する傍ら、斉藤和義は自身の曲『男節』の弾き語りをしました。夫婦愛が滲む、古典落語と現代歌が一つの作品を組み立てていくように交互に披露され、前代未聞のコラボは見事に成功。3500人の観客から盛大な拍手が贈られました。

続いて、弾き語りライブへ移行。『空に星が綺麗』の出囃子で斉藤が登場。かつてないコラボに「緊張した!」と心の内を明かすと場内は笑いに包まれ、『やさしくなりたい』のイントロの演奏が始まるや否や、観客から歓声が起こりました。続いて『Are you ready?』『ずっと好きだった』『進め なまけもの』『月影』『ベリーベリーストロング』を、最後は黄色に染まった幻想的な照明に包まれながら『歌うたいのバラッド』を披露。

MCでは、斉藤自身も落語が好きで、知り合いに誘われて寄席を観に行ったことがきっかけでハマったとのこと。今日初めて落語を観た人は、その落語家が談春でラッキー、と語りました。

最後は談春が、古典落語「紺屋高尾」を披露。真面目一筋で生きてきた染物職人の男が、些細なきっかけから吉原で出会った最上級遊女の花魁に一目惚れ。もう一度、花魁に会いたいと給金を貯めて、身分や身なりを偽って出会ったものの、嘘がバレ…。しかし、花魁は男の真摯な姿に心を動かされ、ついには身分を超えて結ばれる…。そんな愛の物語に、場内は大きな拍手で包まれました。

エンディングで斉藤さんは「泣きそうになりました」とポツリ。一方、談春さんは「一度やりたかった」と普段の落語会ではできないコール&レスポンスに挑戦。「京都~!」「平安神宮~!」とコールして観客とのやり取りを楽しんだほか、ステージを隅から隅まで歩いて、後方のお客さんに向かって手を振る場面もありました。

さらに、談春さんは自身初となる平安神宮のステージに「絶対、この状況を自分で作ることはできないです。ありがとうございました」と斉藤に感謝の言葉を告げ、音楽と落語の前代未聞のコラボは、観客の笑顔と綺麗な月に見守られながら幕を閉じました。

表現者同士から出てきたアイデアには敵わない

斉藤も参加している「ROOTS66」は、1966年生まれ(丙午)の男性ミュージシャンが、2006年に当時40歳(数え年42歳)を迎えたのを機に集結。大阪城ホールを満員にするなど当初から話題になりました。10年後には女性を含め参加人数を倍増して、再び「ROOTS66」を開催。斉藤のほかに宮田和弥(JUN SKY WALKER(S))、渡辺美里、大槻ケンヂ(筋肉少女帯/特撮)、田島貴男 (ORIGINAL LOVE)、スガ シカオ、トータス松本(ウルフルズ)、吉井和哉(THE YELLOW MONKEY)、増子直純(怒髪天)など、日本の音楽シーンでひと際強い個性を放つ面々が顔を並べています。そこで「平安神宮月夜の宴 ROOTS66 京(みやこ)の二人会」を手がけたほか、「ROOTS66」を結集時から主宰する、FM802取締役の岩尾知明さんに、今回の企画に至る経緯や、これまでに手がけたライブ・イベントについてお訊きしました。

――音楽と落語のコラボ、素晴らしかったです!

いつか、音楽と落語のコラボレーションができないかと思っていました。ただし、談春さんも大きな規模で独演会を開くような人なので、普通の内容では口説けないと思っていました。談春さんは平安神宮に思い入れがあるということで、天候のことを考えれば、一か八かでしたけど、「やってみよう」ということになりました。和義さん自身は、古典落語と自分の音楽を手合せすることは、落語を愛する人たちに対して、失礼にあたるのではないかと心配していたところもあるようです。いざ、蓋を開けてみると、談春さんの人情噺と和義さんのラブソングが見事に繋がっていましたね。

――準備が大変だったのでは?

平安神宮という最高の舞台は早い段階で用意したものの、おふたりとも多忙ということもあり、3ヶ月ほど前に初めての打ち合わせをしました。具体的な内容はおふたりにお任せしました。私はもともとイベント企画がしたくて今の仕事に転職したのですが、若い頃は思いついたアイデアをあれもこれも盛り込もうとして、TOO MUCHなところがあったんです。しかし、この仕事を長らく担当して分かったのは、表現者同士から生まれたアイデアに絶対に敵わないということ。そこで、こちらから「こういう構成はいかがですか?」と原案の提案はするものの、できるだけ本人たちの意向を汲み取るようになりました。お二人とも、かなり周到に思案して、和義さんのセットリストなど、本番直前まで確定しない部分もありました。

岩尾さんは、FM802の編成部長を経て、FM COCOLOの編成部長をこの4月までおよそ3年間務めました。「ROOTS66」の立ち上げから、2016年に大阪城ホール、日本武道館、仙台の3ヶ所で行われたライブ・イベント。さらには、2001年、2004年、2006年に忌野清志郎をリスペクトするミュージシャンが集まって行われた「忌野清志郎 ナニワ・サリバン・ショー」(大阪城ホール)のほか、数々のライブ・イベントを手がけています。

――「ナニワ・サリバンショー」は映画化されましたよね。

そうです。ライブ自体は、清志郎さんをリスペクトするミュージシャンがコラボをしながら、キヨシローの名曲を歌い継ぐというものでした。ほかにも、女優の一人芝居に音楽やタップダンスを融合した舞台など、さまざまな企画に取り組んできました。僕らの仕事はアーティストとリスナーを繋げることですが、ミュージシャンや落語家、俳優など表現者同士を繋げることにも醍醐味があると思っています。

――これからも、FM COCOLOのライブやイベントを楽しみにしています。本日はありがとうございました。

――【ラジオな人】岩尾さんの記事はこちら

出演者プロフィール

岩尾 知明(いわお ともあき)

広告代理店で5年間の営業職勤務を経て、平成7年(1995年)に株式会社FM802へ転職。
20年間にわたり、編成・事業部門を担当。
平成27年(2015年)よりFM COCOLOの編成部長を担い、現在はFM COCOLOおよびFM802の番組、事業部門を統括。平成30年(2018年)5月より、株式会社FM802取締役。

インタビュー


やきそばかおる

小学5年生以来のラジオっ子。ライター・構成作家・コラムニスト。

「BRUTUS」「ケトル」などのラジオ特集の構成・インタビュー・執筆を担当するほか、radiko.jp、シナプス「 I LOVE RADIO」(ビデオリサーチ社)/ J-WAVEコラム「やきそばかおるのEar!Ear!Ear!」/otoCoto「ラジオのかくし味」/水道橋博士のメルマ旬報など連載や、番組出演を通じて、ラジオ番組の楽しさを発信。

ラジコプレミアムを駆使しながら、全国のユニークな番組を紹介するツイキャス番組「ラジオ情報センター」(水曜21時〜22時)も放送。全てを合わせると、年間でのべ800本のラジオ番組を紹介している。

Twitter:@yakisoba_kaoru

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渡邉一生(『平安神宮月夜の宴 ROOTS66 京の二人会』)

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新内眞衣が祝福に訪れ、重版決定をサプライズ発表! ニッポン放送『上柳昌彦 あさぼらけ』初の番組本「居場所は“心(ここ)”にある」発売記念トーク&サイン会大盛況!

ニッポン放送『上柳昌彦 あさぼらけ』初の番組本『居場所は“心(ここ)”にある』の発売記念トーク&サイン会が、12月3日、ニッポン放送イマジンスタジオで開催。サプライズゲストとして、新内眞衣も駆け付けた。

新内眞衣  上柳昌彦


7年半前の番組誕生秘話から、日々の放送で生まれた物語、人気コーナー「あけの語りびと」の特別編、昨年の闘病生活から復帰までの想い、今夏の母との別れについても初めて上柳本人が語った同書籍。11月30日に発売されると、全国のリスナーを中心に注目を集め、大手ECサイト「Amazon」の放送カテゴリーで1位となった他、各書店へのオーダーも相次ぐ状況となっている。

期待を集める中で行われた今回の記念イベントには、事前整理券を購入したリスナー120名が集い、熱気充分の中、トークショーからスタート。20代から70代までと幅広いリスナーたちが上柳の語りに聞き入った。終盤、サプライズゲストとして、新内眞衣が花束をもって、会場へ駆けつけ、上柳とリスナーに番組本出版の祝意を伝えた。2人は、新内がOL兼任アイドルとして活動していた時代に同じ会社で先輩後輩だった仲。

“発売3日にして重版決定“をサプライズ発表する新内眞衣と、これを聴き驚く上柳昌彦

新内は「番組タイトルコールの長さで、上柳さんの状態がわかるんです(笑)」と語り、リスナーの共感をよんだ。また、ニッポン放送社内で会うことも多かったことから、「早朝の番組を担当しているのに、いつも会社でお見かけするから、いつ寝ているんだろう?と心配でした」と問いかけると、上柳は「住民票を移そうかなと思って(笑) 自宅感覚で過ごしています」と笑って答えた。

その後、新内から“発売3日にして重版決定“がサプライズ発表されると、会場からはこの日一番の拍手が起き、歓声がおくられた。

会場に集ったリスナー120人と上柳昌彦

トークショーの最後に、上柳は「著者名が“上柳昌彦と仲間たち”となっていますが、この本は仲間たち、リスナーのみなさんやスタッフと一緒につくったものです。支えてくれる家族がいたから、そして共に戦ってくれるスタッフがいたから、そして愛してくれるリスナーのあなたがいたから“僕の居場所”がある。あらためてそう思わせてくれた大切な本でした」とリスナーに感謝の言葉を述べた。

そして、トークショー後には、リスナー一人一人にサインと写真撮影を実施。「明朝もまた」と、固い握手をする姿は、心の居場所を共にする者たちの絆を感じさせるイベントとなった。

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