ラジオはなぜ災害時に強いのか? テレビとは違う“ラジオならではの特性”とは

自然災害が増える近年、災害時にスマホでラジオを聴くことの有用性が注目されています。ラジオには、速報性、地域に根ざした細やかな災害情報、日頃から親しんでいるパーソナリティによる安心感など、テレビやネット、SNSにはないメリットがあります。

ラジコは全国のラジオ放送が聴けるので、どこにいてもすぐに必要な情報を得られる便利なアプリ。万が一に備え、ぜひラジコをスマホにダウンロードしましょう。

今回はラジオの災害報道の現場や、制作現場で活躍する方々にインタビュー。ラジオはなぜ災害時に強いのか? 災害時のラジオの有用性とその理由をうかがいました。

あなたのスマホを、防災ラジオに。

ラジオはなぜ災害に強いのか〜テレビとの違い〜

メディアとしてのラジオの特性

音声のみの放送であるラジオは、テレビよりも番組の編成が容易であり、災害の状況に応じて臨機応変に対応することができます。

また、テレビはザッピング(視聴者がテレビのチャンネルを頻繁に切り替える行為)されることが多く、災害時は同じ情報を繰り返し伝える傾向がありますが、ラジオでは行政が発表する公的な災害情報に加えて、番組の個性や放送エリアにあわせて様々な情報が提供されています。

端末としてのラジオの特性

家庭用電源が必要なテレビに対して、電池・手回し・ソーラーにより停電時でも充電でき、持ち運びができる「携帯性」 の高さがラジオの特徴です。また、ラジオは購入しやすい価格の商品が多く、ライトやサイレンなど災害時に役立つ機能が付いている商品も増えています。

万が一、避難所で生活を送る際も、ラジオを持っていれば必要な情報を 手軽に取得することができるため、防災グッズのひとつとして備えておくことに適しています。

ラジオが発信する情報の特徴

地域に根差した詳細な情報

広域災害が発生した場合、全国放送のテレビでは災害の全体像を放送することはできても、各地域の詳細な情報まで伝えることは困難です。地元向けのローカルラジオ放送であれば、全国放送よりきめ細かな地域情報の提供が可能です。また、安否情報、避難所や給水所の速報など、災害発生後のコミュニティに欠かせない正確な情報をラジオは提供できます。

パーソナリティがもたらす安心感

ラジオは「この時間はあのパーソナリティやアナウンサーが話している」という日常性を備えています。災害時、多くの人が不安を抱いている時に、普段の放送と同じパーソナリティやアナウンサーが登場することで、人々に安心感や信頼感を与えることができます。

双方向型の情報発信

ラジオは、リスナーから届いた情報を交えながら、双方向型の情報発信を行うことが可能です。災害が発生した際、リスナーの生の声をラジオで取り上げることにより、各地域のリアルな被災状況を把握でき、離れたエリアに暮らすリスナー同士がラジオを介してお互いの地域の様子を知ることができます。

番組制作者に聞く(1)安心感をもたらすパーソナリティが届ける詳細な災害情報

(写真左から)鳥山穣さん/澤田大樹さん

今回お話をうかがったのは、株式会社TBSラジオ編成局 制作・情報部 ニュース統括編集長の鳥山穣さんと、同じく制作・情報部の澤田大樹さん。

鳥山さんは2003年に入社し、番組のディレクターやプロデューサーを経て現職に。現在災害時は取材チームを編成するとともに自らも取材にあたっています。澤田さんは2009年入社。バラエティのADを経て報道記者に。東日本大震災の際には現地で 1ヶ月あまり仙台や石巻を中心に取材しました。

Q. 災害時におけるラジオの役割とは?

鳥山:災害が発生したとき、ラジオがすべきことは、聴いている人の命や財産を守り、一秒でも早く日常に戻れるように情報を届けることだと思います。政府や自治体の公的な発表を伝える一方で、被災者に向けた細かい情報も提供することがラジオの大切な役割だと考えています。

Q. 災害時の情報源としてラジオならではの強みとは?

澤田:災害時、テレビは同じ映像の繰り返しが多く、得られる情報が意外と少ないことがあります。停電や断水は映像として伝えにくいのです。そうした、テレビが報じない様々な詳細情報を、求めている人に向けて発信できるのもラジオにできることのひとつです。

鳥山:レコメンドされた情報を選択するWebニュースと違い、リスナーが選ばない情報が耳に入ってくるのもラジオのいいところです。「そういう被災地もあるんだ」とリスナーに気づきをもたらすことができるように心がけています。

澤田リスナーの声を反映できるのも、テレビにはないラジオの強みです。「自分のまわりは、こんなことになっている」というリスナーからの情報を、パーソナリティという日常の声を通じてラジオから届けていく。いつものパーソナリティがいつもの声で情報を伝えることが安心感や信頼感を生むと思います。

鳥山:なにかしてほしいという被災地の声に対して、遠くの地域の人たちから力をもらえるよう、人々をつなげるのもラジオの得意領域です。

Q. 災害・防災における、今後のラジオの展望とは?

澤田:限られたスタッフや、映像を使うことができないなど、ラジオ制作には様々な制約があります。でも、それを生かして、ほかのメディアの隙間を埋めていけばいいと考えています。ラジオはSNSとの親和性が高く、ラジコという存在も強みです。新聞やテレビができないことに取り組みながら「TBSラジオのパーソナリティが言っているから本当なんだな」と信頼されるメディアであり続けることが大切だと思います。

鳥山:まずは、何か災害が起きた時に、ラジオが選択肢となることが重要です。今は、災害時の有効な情報源としてラジオが存在することを知らない人もいます。そうした人たちの選択肢に入るように、ラジオとして、普段からの積み重ねを続けていきたいです。ラジオもラジコも、もっと普及してほしいと思います。

番組制作者に聞く(2)大規模な災害時、安心と安全を届ける最後のライフラインがラジオ

今回お話をうかがったのは、株式会社ニッポン放送 コンテンツプランニング局 報道部 副部長の遠藤竜也さん。

遠藤さんは、1995年に入社し、営業、報道、制作を経て2016年より現職に。現場時代は国会を主に、日韓ワールドカップやアテネオリンピックなど国際的なスポーツ大会の報道・制作などを担当していました。現在は報道情報番組を中心に、現場にも足を運んで番組を制作しています。

Q. 災害時におけるラジオの役割とは?

「災害時にメディアはなにを届けるべきか」と考えるとき、ラジオは、安心と安全を届けることを念頭に置かなくてはいけないと思います。

例えば、2019年の台風15号や19号で、被害の大きかった千葉県を取材した際には、多くの方に「ラジオがあってよかった」と声をかけられました。誰もが想定しなかった大規模な停電で、テレビも見られないなか、電池ひとつで聞けるラジオの強みが出たのだと思います。安心と安全を届ける最後のライフラインがラジオ。すべてがダウンしても、ラジオがあればなんとか情報が届けられるということを実感しました。

Q. 災害時の情報源としてラジオならではの強みとは?

千葉県で発生した大停電では、「うちが停電している」「停電が復旧しました」など、随時状況を送ってくださるリスナーが多数いました。リスナーが記者の一員としてニッポン放送に情報を寄せてくれた、という印象が今でも強く残っています。双方向のやり取りが生む、ラジオならではのプラスの部分だと思います。

テレビは、ヘリからの空撮による浸水や決壊などインパクトある映像が多いです。過激な映像が多く、それが、さらに動画としてネット上で拡散されます。しかし、その映像が、実際に被災している人が欲しい情報とは限りません。その点、ラジオは映像が第一ではありません。映像がないからこそ、必要な情報を正確に、しかも分かりやすい言葉で届け続けていくことを、ラジオは続けるべきだと思います。

Q. 災害・防災における、今後のラジオの展望とは?

ラジオ全体で災害報道の信頼性を上げるためには、協力と分担が必要になってくると思います。今、首都圏のラジオ局とライフライン各社は、協力して防災訓練を行っています。災害発生時にラジオ局とインフラ各社がリアルタイムで情報を共有するという試みです。今後はSNSなども活用しつつ、各局、各社で協力しながら、このネットワークをさらに進化させていく必要があります。

また、災害時に常に感じるのは、地域に密着した情報を提供し続けるローカル局の素晴らしさです。こうしたローカル局とキー局による横断的な取材や報道も考えていかなくてはいけないと感じています。

人の命を守るという視点で考えると、ラジオも重要なインフラです。そういった意味でも、放送局や企業間の連携は、今後の重要な課題になると考えています。

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“高校1年生”から日本代表メンバーに…竹中七海が考える新体操日本代表「フェアリージャパンPOLA」の強さとは?

藤木直人、高見侑里がパーソナリティをつとめ、アスリートやスポーツに情熱を注ぐ人たちの挑戦、勝利にかける熱いビートに肉迫するTOKYO FMのラジオ番組「SPORTS BEAT supported by TOYOTA」(毎週土曜 10:00~10:50)。4月13日(土)の放送は、トヨタ自動車所属で新体操日本代表(フェアリージャパンPOLA)の竹中七海(たけなか・ななみ)選手をゲストに迎えて、お届けしました。


(左から)藤木直人、竹中七海選手、高見侑里



竹中選手は、1998年生まれ愛知県出身の25歳。子どもの頃から新体操を始め、中学2年生で新体操日本代表・フェアリージャパンPOLA(以下、フェアリージャパン)の練習生(強化選手)に、高校1年生でフェアリージャパンのメンバーに選出。高校3年生で迎えた2016年リオデジャネイロオリンピックには、リザーブ選手として現地に同行。その後、2021年にトヨタ自動車に入社し、同年に開催された東京オリンピックのメンバーに選ばれ8位入賞。現在はパリオリンピック出場を目指しています。

◆3月のドイツ大会で総合優勝!

藤木:フェアリージャパンは、3月2日(土)・3日(日)にドイツでおこなわれたインターナショナルトーナメント「新体操 Fellbach-Schmiden大会」で、団体総合1位、種目別フープ1位、種目別リボンボール1位! すごい成績ですね。

竹中:ありがとうございます。久々の表彰台で、優勝はとてもうれしかったです。

藤木:演技そのものはミスが少なかったですか?

竹中:演技自体にミスはあったので、ちょっと悔しい内容だったんですけど、それでも“ミスからどう対処するか”というところまで練習を積んでいたので、そこは(今大会で)良かったところの1つかなと思います。

藤木:オリンピックシーズン第1戦で優勝するというのは、縁起がいいですよね。

竹中:そうですね。チームみんなの自信になりましたし、やっぱり、ここからが勝負だと思うので、これを糧にまた頑張りたいと思います。

◆フェアリージャパンの強み

藤木:現在25歳で、中学2年生でフェアリージャパンの強化選手に選ばれているということは、フェアリージャパンで10年以上も過ごされているんですね!

竹中:そうですね。昔から憧れていたチームで“フェアリージャパンに入って活躍したい!”と思いながらずっと(新体操を)やってきたので、あっという間に10年が経ったなと感じます。

藤木:ただ、去年の世界選手権(第40回世界新体操選手権大会)では、メンバーに入ることができなかったのですか?

竹中:はい、このときはメンバーから外れてしまって本当に悔しい経験だったんですけど、そのときにほかのチームの良さと日本チームの良さを比較しながら客観的に見れたり、地元で練習したときに、改めて私のことを応援してくださっている方がたくさんいることに気付くことができたりと、あの経験があったから今があるなと感じています。

藤木:外から見たフェアリージャパンの強みというのは、どんなところでしたか?

竹中:動き一つひとつのきれいさとか“(演技を)正しく魅せる”というところは日本チームの強みだなと感じました。その反面、海外チームのエネルギーというか“どんなものでも魅せきる”というところが強みだなと感じたので、日本チームのきれいさがありつつ、強さも活かせたらより良いのではないかと感じました。

藤木:新体操はどうしてもミスがついてくる競技ですけど、試合前や試合中は緊張しますか?

竹中:もう心臓バクバクです(笑)。ミスがないことが一番なんですけど、1つ危ないところやミスがあった後は、試合中なんですけど“どうしよう”とか思いながら……でも、すぐに次の技がやってくるので、そこに集中して、しっかり(力を)出し切れるようにやっています。


竹中七海選手



高見:フェアリージャパンは、5月にウズベキスタンの首都・タシケントで開催される大陸別予選(第15回アジアシニア新体操選手権大会)でパリオリンピック出場権獲得を目指しています。

藤木:現在のフェアリージャパンのなかで、竹中選手はどのような立ち位置ですか?

竹中:これまでいろいろな試合を経験させていただいたぶん、試合のなかでも練習のなかでも、その経験を下の子たちに伝えていくことだと思います。あとは“安定感を持って演技をする”ということが、自分の大事な部分かなと思うので“どんなことがあっても対応できるように”“(失敗しても)すぐに修正できるように”というところは意識してやっています。

藤木:年齢的に(チームを)引っ張っていかなければいけない立場だと思いますが、その辺りはいかがですか?

竹中:キャプテン(鈴木歩佳選手)がもう1人いるんですけど、彼女がサポートしきれない部分を私が補佐役としてサポートしたり、大事なことは伝えていくということを意識的におこなっています。

藤木:最後に、パリオリンピックにかける意気込みを教えてください。

竹中:“パリオリンピックでメダル獲得”が目標なんですけど、そのためにも、まずは5月のアジア選手権でしっかり優勝を目指して、出場枠を獲得できるように頑張りたいと思います!

次回は4月20日(土)の放送です。

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4月13日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2024年4月21日(日) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

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<番組概要>
番組名:SPORTS BEAT supported by TOYOTA
放送日時:毎週土曜 10:00~10:50
パーソナリティ:藤木直人、高見侑里
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/beat/

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