家から出ない日、何食べる? 小原晩と岡本太玖斗が選ぶ「最高のお菓子」
岡本が登場したのは、10月18日(日)放送のJ-WAVE『YAWN YAWN』(ナビゲーター:小原 晩)。YAWNは「あくび」という意味。起きたばかりのあくびと寝る前のあくびが重なる時間に、誰かに聞いてもらいたい日常の話をシェアする番組だ。
・ポッドキャストページ
パソコンの電池切れがきっかけ? 番組ビジュアルの制作秘話
岡本太玖斗はJ-WAVE『YAWN YAWN』のビジュアルとウェブサイトのデザインを担当している。小原:私が「絶対に岡本さんにこの番組のビジュアルを作ってほしい」って、スタッフのみなさんに言ったんです。それで、岡本さんに「あの……」とか言って(笑)。
岡本:すごく遠慮がちな連絡が。
小原:とんでもなく忙しいですもんね。
岡本:いやいや。やりたいものはやりたいので。
小原:打ち合わせのとき、岡本さんがノートを持ってきてくれていて。「こういう番組にしたいな」って話をしながら、手元で落書きみたいな感じでやっていて、どんどん「こういうのとかもどうですか?」って案を出してくれるんです。
岡本:普段あんなことあんまりしないんですけど、パソコンの電池が切れていたんですよ。たまたまノートがあったので。
手描きの文字を検討していた岡本は、打ち合わせ後にあらためてペンを手に取り、番組タイトルの文字を仕上げたという。
岡本:あまりにもゆるい手描きだと、ちょっとあくびすぎるなと思って。ちょうどいいところを探ったんですけど、結果あそこで書いた文字じゃなくて、帰ってもう1回ちょっと太めのカリグラフィー用のペンで書きました。
小原:カリグラフィー用のペンがあるんですね。
岡本:等幅で書けるやつで、定規を使って書いて。
番組のビジュアルに使われた写真は小原自身が撮影したものだという。
岡本:今回に限らず、あまり自分が作りすぎないほうがいいなというのはけっこう感じていました。ポッドキャストのアートワークを作ったときに、出演者の人にイラストを描いてもらって、それをそのまま使うとか、本人のものがいちばんいいなっていうのはありましたね。
小原:そう。私が朝5時から6時までに撮った写真を岡本さんに送っていて。
岡本:あれ、時間も揃えていたんですね、ちゃんと。
小原:そうそう。アイコンに使われている写真もそのタイミングで撮ったもので。それがまさか使われるとは、という感じでした。
岡本:最初、文字だけでいこうと思っていたら、小原さんから「上に写真を載っけるの、ありですか?」って言われて。載せたらめっちゃよかったっていう。
装丁の依頼はラブレターみたいな長文メール
ふたりが初めて一緒に仕事をしたのは、2026年3月に刊行された小原の初小説集『風を飼う方法』(河出書房新社)だった。岡本は同書の装丁を担当した。小原:もともと、私が岡本さんの作っているものが好きで。何年か前のPerfumeのグッズデザインがXのタイムラインにたまたま流れてきて、めちゃくちゃかわいいと思って、「誰だ、これを作っているのは」と調べて岡本さんにたどり着きました。「この人が作るもの、かっこいいな」とずっと思ってフォローしていて、いつか小説集を作るなら、岡本さんに頼めたらいいなって思っていたんです。岡本さんは普段、ブックデザインをやられているわけではないんですよ。
岡本:そのときは本当に全然やったことがなかったので、難しかったです。
小原:出版社の編集さんはブックデザイナーさんに装丁を頼むことが多いので、あんまりやったことのない人に頼むっていうのはけっこうハードルが高いんですよ。でも、岡本さんの今までの仕事を編集さんにずっと見せて、編集さんもどんどん「いいですね」ってなってきて(笑)。それでお願いしました。受けてくれないだろうと思いながら。
岡本:なんでいつもそんな下手(したて)に出るんですか(笑)? やりますよ。だって、僕も前も言いましたけど、普通に『ここで唐揚げ弁当を食べないでください』を読んでいましたから。依頼のメールも本当に長々とメッセージをくれて。
小原:悪口じゃん(笑)。
岡本:すっごくいい意味で(笑)、長々とメッセージをくれて。それ、うれしいから印刷してデスクの前に今貼ってあるんです。
小原:うれしすぎる。
依頼の文章には、岡本の作品のどんなところに惹かれたのか、小原自身の言葉でつづられていた。
岡本:あそこまで思いをしっかり書いて依頼してくださる方ってあんまりいないし、めちゃくちゃうれしかったです。
小原:これで断られてもちゃんと自分の気持ちは伝えたんだっていう、告白みたいな(笑)。ラブレターというか、完全にそういう感じはありますね。
岡本:自分の考えていることも見透かされているみたいな、すごく捉えてくださっていました。
小原:相反するものみたいなことが同居しているところがすごく好きで。ものすごく温かいようなところが見えた瞬間に、ものすごく鋭くなっていたりとか。
岡本:それは同じことを小原さんの文章にも本当に感じますね。
星野 源『好き』の「一筆書きみたい」な制作の裏側
最近の岡本の仕事として小原が取り上げたのは、星野 源の楽曲『好き』のミュージックビデオ。星野が監督・撮影を務め、岡本は編集を担当した。星野源 - 好き (Official Video)
岡本:うれしい。
小原:“大爆笑編集”だったんですよね?
岡本:素材が、ずんの飯尾(和樹)さんと藤井(隆)さんと星野さんの会話をずっと聞けるので、面白すぎて。本当に手を叩きながら編集していました(笑)。
小原:あははは(笑)。あの編集も岡本太玖斗でしかあり得なくないですか?
岡本:たぶん、そう見えるだろうなと思ってはいるけど、自分としては一筆書きというか、バーッと手当たり次第、手が届いた引き出しを開けてそれをやるみたいなことの繰り返しで、あれはできているので。でも、それが好きってことだなとも思って、作りました。今、あの編集をTikTokで『好き』を使って、すっごいみんな真似してくれているんですよ。
小原:見る見る。
岡本:びっくりしました。あんな届き方すると思わなくて、すごくうれしいですね。みんな、どこかしら「私でもできそう」と思えるものって、けっこういいなと思うので、そうなれていたらうれしいなと思いました。
話は再び『YAWN YAWN』のビジュアルへ。
小原:ビジュアルのまわりの、手描きの「×」と「伸ばし棒」みたいな、「ニョーン」ってやつあるじゃないですか。あれが予想では、バツの目と口から出ているあくびをイメージして縁取られているのかなって思ってたんですけど、別に意味はないですか?
岡本:まあ、じゃあそういうことにしときましょう。正直言うと、意味はもうまったくないので(笑)。
小原:なんだ! 深読みだった(笑)。
岡本:でも、そういうものですよね。意味なんか自分で決めるものじゃないというか。見た人が決めてくれたら、自分がどういう意味を込めようと、別に伝わるわけないじゃないですか。
小原:たしかに。それいいですね。
岡本:最近はそういうちょっとした諦めで、意味を込めない。手から出てきたものをただやるみたいなことを手法としてやるのが、ちょっと面白いなと思ったりしています。
小原:それっていつからですか? わりと最近?
岡本:ここ1年ぐらいで自分のなかで言葉にできたというか、そういうことなんだなっていうのはわかった感じがしますね。
「趣味と仕事の境目はある?」フリーランス同士の休暇トーク
岡本は、デザインをはじめ、映像、音楽制作など、さまざまな表現に取り組んでいる。小原は「趣味と仕事の境目があるのか?」と尋ねた。岡本:正直ないですね。最近、「趣味は?」って訊かれてすごく困る。そのたびに「散歩です」「買い物です」とか言って。「ボルダリング」とか、趣味らしき趣味を何も言えないっていう。仕事がほぼ趣味だからなんですけど、まあそれでいいかと思うけど、ちょっと面白みのない人間だなとも思ったりします。
小原:そんなことないですよ。休日とかはあるんですか?
岡本:自分はフリーランスなので、あんまり決まった休日はないです。やっぱり仕事がある状態で制作途中のものがあると、ちょっと休むにも休めないみたいな。でも、最近ようやく1回全部無視して休むっていうのをちょっとずつ覚えてきました。
そう言いつつも先日、岡本は熱海にこもって4日間制作をしたという。
小原:仕事は進みますか?
岡本:家にいるよりは進んだ気がします。でも逆に、これは仕事じゃなくて音楽制作をホテルでしようかなと思って、キーボードとか電子楽器とかを持っていったんですよ。音楽がいちばん場所が変わるとできるものかもって思えるくらい、自分的にすごくいいなと思える曲がそこでできました。全然仕事じゃないけど、多少の気分転換にはなったかなとは思いました。
小原:その熱海での1日は、デザインして、音楽を作って、またデザインしてみたいな感じになるんですか?
岡本:1個のことに集中するとけっこう何時間もやっちゃいます。1日はずっと曲作って遊んでいたり、デザイン作業を始めると、それはそれで1日やっちゃったりとかはしていました。
家にこもる日に選ぶ最高のお菓子は?
続いて、話題は普段の食生活へ。甘いものが好きだという岡本は、頭を働かせるためという口実で、ついお菓子を食べすぎてしまうという。そんな岡本に、小原は「1日中、家から出ないとしたら、どんなお菓子を選びますか?」と質問した。小原:お菓子は無限に選んでよくて。何を選びます?
岡本:うわあ、むず……。
小原:私は、ポテトチップスからひとつ、チョコレートゾーンからひとつ、アイスゾーンからひとつ、あるいは、ふわふわゾーンとかミルクレープとかショートケーキとかシュークリームのゾーンからひとつ……で、組むかな(笑)。
岡本:打順を(笑)?
小原:打順を(笑)。どこを肝とか柱にするかによるんですけどね。ピザポテトを選んじゃったら、これはもう大変なことになるぞっていうような。
岡本:パーティー明けです。ポテチとかはたしかにリラックス感あっていいなと思ったんですけど、家から出ないって決めるんだったら、近くのケーキ屋に行ってモンブランを買うとかがいいかも。1個だけ。
小原:いいですね。なんか全然違いますね(笑)。
岡本:(笑)。僕はたぶんジャンキーなお菓子を普段から食べちゃってるから、逆に1日いるぞって決めるんだったら、最高の1個に決めたい感じ。
小原:それ、いつ食べるんですか?
岡本:作業しながらとか。
小原:えー。最高の1個だったら?
岡本:結局、仕事しながら食べちゃいそう。
小原:行き詰まってるときとか?
岡本:全然、関係なく。食べたいなと思ったら食べちゃうかもしれない(笑)。
その後、話題はコーヒーの習慣へ。岡本はコーヒーや紅茶を自分で淹れることはないというが、小原は普段からコーヒーを淹れているという。
小原:コーヒーを淹れている時間にちょっと本読むとか、お湯を沸かしている時間にちょっと詩集を読むとかが、わりと脳のちょうどいい気分転換になったりとかするので、それをやるかな。
岡本:いいですね。結局、お湯を沸かしている時間とかって、やったらいいですよね。面倒くさいからやらないけど、やってみたらけっこう気持ちいい。
小原:気持ちいい。お互いに、やってもやっても終わらない仕事というか、自分でここまでって決めないと無限に直せるじゃないですか。江國香織さんが何かのエッセイで、「我々はそういう仕事だから、途中で家事をすることによって、やったら終わるっていうことをすると、すごく気持ちがいいんだ」みたいなことを書いていて。それから、本当にそうだなと思って、行き詰まったら意識的に家事を挟むようにしています。
岡本:それ、いい考えですね。でも、家事のことを「やったら終わる」って思えてないのかも。
小原:やってもやってもまた降り積もる感じというか。
岡本:そう。朝食べて、食器を使って、それを洗ったらその分は終わりますけど、また昼に増えるじゃないですか(笑)。なんかあんまり、やったら終わる感じではないのかもな。
小原:なるほど。
岡本:でも、その考え方はすごい素敵ですね。
岡本太玖斗の最新情報は公式サイトまで。
岡本は次回、10月25日(日)の『YAWN YAWN』にも引き続き登場。
この日の放送は11月1日(日)28時ごろまで、radikoのタイムフリー機能で楽しめる。
