タケカワユキヒデ、バンド名の「ゴダイゴ」最初は抵抗があり…

J-WAVEで放送中の番組『SAPPORO BEER OTOAJITO』(ナビゲーター:クリス・ペプラー)。クリス・ペプラーが音楽を聴く隠れ家=「オトアジト」に毎週ゲストを迎え、大人な音楽談義を繰り広げるという番組だ。

11月23日(土)のオンエアではゴダイゴのタケカワユキヒデをデビューに招き、デビューまでの道のり、バンド名が「ゴダイゴ」になったいきさつについてなどを語った。

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■ミッキー吉野との出会い

ゴダイゴが結成される前、タケカワはデビューアルバムとなる『Passing Pictures』を作成している際にプロデューサーから「もうちょっとですごいやつが帰ってくる」と告げられたそう。それがバークリー音楽大学を卒業したミッキー吉野であり、プロデューサーは「彼にちょっと相談してみようか」と、暗にグループ結成を提案したという。

タケカワ:「(ミッキーは)いつ帰ってくるんですか?」って訊いて「まだわからない」とか言っていたら、3日後に電話がかかってきて「帰って来た、すぐ会いにいくぞ」って。
クリス:(笑)。
タケカワ:ミッキーの家にまで行って、プロデューサーとミッキーがほぼ話をしていました。僕は自分で全部アレンジをしていたので、最初の段階で「ピアノを弾いてくれ」と言うと「いいよ」ってすぐに決まっちゃいました。あとは僕は関係ないじゃないですか? ミッキーが「こういうバンドを作って、なにをやって、日本に嵐を起こして、そのままもう1度アメリカへ殴り込みをかけて」ってカッコいい話をしているんだけど、私は全然自分の話だと思っていないので、ソファーで寝ちゃったりして(笑)。タバコでテーブルを焦がしちゃったりして。


■「そうか、俺はゴダイゴか」…タケカワがバンド名を観念した瞬間

するとミッキーは「バンドの名前はもう決まっている」として「GODIEGO(ゴダイゴ)」と明かしたそう。しかしタケカワには抵抗があったとのことだ。

タケカワ:こっちにしてみればゴダイゴっていうと(後醍醐)天皇の名前じゃない? それはやっぱりちょっと……僕はご遠慮したいし「私とは関係のない話」だと思って、またソファーで寝ていたんです。

その後アルバムの制作になると、ミッキーは『Passing Pictures』で、いくつかの曲を弾いてくれたという。そしてタケカワがアルバムを出した年の暮れに、ミッキーから改めて電話がかかってきたのだと明かした。

タケカワ:(ミッキーが)「どうよ?」って言うから「いやまあ、あんまり芳しくないね」みたいな。どっちがバンドを一緒にやろうって言ったかはいまだに不明なんですけど、とにかく「バンドをやる」ということになったので、年が明けてから「まさかゴダイゴじゃないだろうな」って思って行ったんだけど(笑)。みんなで集まって(ミッキーが)「これでちゃんとメンバーが集まったので、バンドの名前はゴダイゴでいきたい!」と(笑)。
クリス:(笑)。やっぱり捨てきれなかったんだ。それはミッキーさん、かわいいじゃない。「絶対これは」と思っていたんですよ。
タケカワ:もうね「そうか、俺はゴダイゴか」って。そこで観念をしました。


■名前に込められたもう2つの意味

タケカワは、ミッキー吉野から「ゴダイゴ」の由来を聞かされたときの印象を振り返った。

クリス:バンド名の由来は後醍醐天皇もあるんだけど、「GO(生きて)DIE(死んで)GO(生きる)」と「GOD(神)I(私)EGO(エゴ)」。そういうのを考えるとかなり哲学的ですね。
タケカワ:まあ、そういうのみんな好きですけどね。でも僕は「DIE」はしたくないなって(笑)。
クリス:まあね。でも俺はこの名前を聞いたときに「スゲーかっこいいな」と思って。 タケカワ:そうなんだ。まあ結局ね、ゴダイゴは1回解散をしてまた今やっているんですから。本当に「GO DIE GO」になったんですけどね。

40年以上前に名付けられた名前に導かれるように、復活を遂げたゴダイゴ。タケカワは11月30日(土)と12月1日(日)に横浜・山手ゲーテ座ホールで「僕のソングブック~カヴァーズpart27 & HELLO / GOOD NIGHT」を開催する。

『SAPPORO BEER OTOAJITO』では、毎週さまざまなゲストを招き音楽談議に花を咲かせる。放送は毎週土曜18時から。お聴き逃しなく。

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【番組情報】
番組名:『SAPPORO BEER OTOAJITO』
放送日時:毎週土曜 18時-18時54分
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/otoajito/

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ボブ・ディランの歌詞は「翻訳不可能」⁉ 村上春樹と柴田元幸が語る、シンプルな英語だからこその難しさ

作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「村上RADIO」。11月3日(火・祝)は、特別番組として『村上RADIO「翻訳夜話」スペシャル~音楽で仮定法を学ぶ~』をオンエア。今回は早稲田大学国際文学館の開館5周年を記念し、10月1日に小野記念講堂で開催された公開録音イベントの模様をお届けしました。

盟友である翻訳家の柴田元幸さんを迎え、進行役の坂本美雨さんとともに「音楽で仮定法を学ぶ」をテーマに白熱の翻訳談議を展開。ビーチ・ボーイズやエディット・ピアフなどの名曲に乗せて英語表現のニュアンスを紐解いたほか、方言・スラングの訳し方やAI時代における翻訳の未来、参加者からのQ&Aまで、言葉と文学の魅力が詰まった贅沢な時間となりました。

この記事では、この記事ではオープニングトークと、前半2曲について語った内容を紹介します。


(写真左から)坂本美雨さん、村上春樹さん、柴田元幸さん



◆Bread「If」

村上)では次いきますね。次は文字通りの「If」。これはもう仮定法以外ではありえないという選曲です。ブレッドが歌います。

<ブレッドの曲が流れる>

村上)この曲は僕が選んだんですけど、これ、歌詞がいいんですよね。

柴田)さっきの「If I Were a Bell」がすごくコミカルな比喩の連発だったとすると、こっちはちょっと教養がかっているんですね。いちばん初めのところが「If a picture paints a thousand words」、もしも絵というものが千の言葉を描けるなら、という言い方。なんで千かっていうと、「A picture is worth~(~の価値がある)」「A picture is worth a thousand words(一枚絵を見せれば千の言葉の値打ちがある/千の言葉と同じくらい多くのことが一枚の絵で伝わる)」という決まり文句があります。それを踏まえてるんですよね。

村上)あとは「If a face could launch a thousand ships(一つの顔が千の船を出帆させられるなら)」これは(ホメロスの叙事詩)「オデュッセイアー」の……。この間、映画「オデュッセイアー」を観てきて、その中でも出てましたね。ヘレネー、すごくきれいな人が千の船を進水させるんですよね。

柴田)ギリシャのあの辺はみんな海に国が面しているから、いくさに行くというと、まず船に乗るわけですね。美女ヘレネーを争っていくさが始まる。そうすると船がバーッと出るっていうことで、「The face that launched a thousand ships」という、その千の船をローンチ、出帆させた顔という決まり文句があるわけです。

村上)あと僕が好きなのは「一度に2ヵ所にいられるものなら、君と一緒に明日と今日にいたい。ずっと君のそばで」。これはロマンチックですね。

柴田)これは気が利いてますね。やっぱりデヴィッド・ゲイツという人は本当に秀才型ですね。

◆Bob Dylan「If Not for You」

村上)次は「If Not for You / Bob Dylan」。これは柴田さんの選曲ですね

柴田)高校の授業で多分みなさん習いますよね。If it were not for~(もし~がなかったら)、そういうフレーズがあるわけですけど。ずいぶん長いですよね。実際には、こういうふうに「If not for」という三語に縮めて、同じく「もし~がなかったら」という言い方に日常ではなることが多いです。まさにそれを使ってディランが「If Not for You(君がいなかったら)」という曲を作っています。

村上)僕が最初にこの曲を聴いた時、まだ高校生か何かで、「If not for you」がどういう意味かちょっとよくわかんなかったですね。

柴田)これは本当にフレーズの意味を知らないとわかりにくいですね。「If it were not for you」が「If not for you」というシンプルなフレーズに直されているということ。そして、この曲でやっぱり見事だと思うのは、ディランは音もすごいシンプルですけど、言葉もシンプルなんですよね。

村上)「If not for you, my sky would fall」は、エディット・ピアフも同じようなことを歌ってましたね。

柴田)確かに。簡単な言葉なんだけど、過激なことを言ったりもするんですね。あと「But it would not be new / If not for you(君がいなかったら、虚しく朝の光を待ってるだろう、朝の光が来ても、その光は君がいないから新しくないだろう)」と。new(ニュー)とyou(ユー)の韻の踏み方とか、こういうのは本当にもう翻訳じゃ全然よさを出せないですよね。

<ボブ・ディランの曲が流れる>

村上)なるほど。本当にボブ・ディランの歌詞って翻訳不可能なものが多いですよね。

柴田)かえって「サブタレニアン・ホームシック・ブルース」とか、難しい言葉を使ってくれるほうが訳しようがあるんだけど、この時期のアルバムとか、「ニュー・モーニング」か、あと「ジョン・ウェズリー・ハーディング」とか、あのあたりのシンプルな構成で作った歌は、本当にシンプルさこそが一番訳しにくい感じですね。

村上)僕が仮定法に興味を持つようになったのは、翻訳をやるようになってからです。仮定法をどう訳すかというのがすごく大事なんだなというのがわかってきたんですよね。
学校の時はあまり興味を持てなかったんですよね。嫌だなと思ってたからね。でも、仮定法を理解してないとうまく理解できないんですよ。

柴田)要するに、そこに書かれていることが事実か事実じゃないかっていうのが、文法のサインからわかるわけですよね。

村上)あとif~で、~wouldとかcouldだとわかりやすいんだけど、前がない場合が多いんですよね。だから、それは仮定法がわかってないとなかなか訳しづらいんですね。

◆The Beach Boys「Wouldn't It Be Nice」

村上)次は柴田さんの選曲でビーチ・ボーイズの「素敵じゃないか」。

柴田)これはですね、「Wouldn't it be nice(素敵じゃないか)」という、ご存知の方も多い曲だと思うのですが、ちょっと珍しいバージョンでお聴きいただきます。

<ビーチ・ボーイズの曲が流れる>

村上)素敵な曲ですよね。

柴田)素晴らしいアカペラ・バージョンで聴いていただきました。これはもちろん「Wouldn't it be nice(素敵じゃないかい)」というところが仮定法ですが、「Wouldn't it be nice if...」まで一緒に覚えていただくと、使い方がすごく広がります。itっていうのはいわゆるあんまり文法用語は使いたくないんですけど、仮主語っていうやつで、長い話をしたいときにとりあえずitと言っておいて、その後詳しく言うという仕組み。「Wouldn't it be nice if...(もしこうこうこうだったら、それは素敵じゃないだろうか)」という言い方ですね。要するに、今はまだ自分たちは子どもで自由が利かないけど、大人になったら何でもできるのにという、そういう楽天的な歌なんだけど、やっぱりビーチ・ボーイズがやるとどこか陰りがありますね。

村上)あの、状況説明をしますと、1960年代の半ばの歌ですよね。当時は結婚しなければセックスはできないということだったんです。だからこの歌では高校生同士のカップルで、このまま大人になれたらすぐに“やれる”のにね。という“やれる”って、言っちゃいけないのか、すぐに仲良くなれるのにね、ということが切実なんですよね。

柴田)そうですね。僕が一番好きなところは「Maybe if we think, and wish, and hope, and pray(もし考えて願って望んで祈ったら), it might come true(実現するかも)」。もうちょっと待てば実現するんですけど……。

村上)might come trueなんですね。

柴田)どこか物事がうまくいかないかもしれないというのが見えちゃってるような響きですね。ブライアン・ウィルソンの生きた人生とか、そういうこともつい考えてしまうので、余計そういうふうに思うのかもしれないんですけどね。

村上)でもこれはやっぱりすごく心がこもった歌だと僕は思います。

柴田)長年聴いていると本当にそう思うようになりました。

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<番組概要>
番組名:村上RADIO「翻訳夜話」スペシャル~音楽で仮定法を学ぶ~
放送日時:2026年11月3日(火・祝) 14:00~15:55
出演:村上春樹、柴田元幸、坂本美雨
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/

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