「紙とハンコの文化」が生産性を損なっている…企業でペーパーレス化が進まない理由

J-WAVEで放送中の『STEP ONE』のワンコーナー「BEHIND THE SCENE」(ナビゲーター:サッシャ、増井なぎさ)。3月17日(火)のオンエアではペーパーレス化のメリットや成功事例を紹介。ゲストには、ペーパーロジック株式会社代表の横山公一さんを迎えた。同社では、電子化・ペーパーレス化を実現するためのサービスを提供している。


■「紙とハンコの文化」が効率性を下げる

日本では、紙とハンコの文化が根強い。「なんでハンコを押さないといけないんだろう?」と不満を感じることもあるのでは。横山さんは、この文化が企業やビジネスの効率性を削ぎ、生産性の向上を妨げる一つの原因になっていると指摘する。

横山:日本の労働生産性は、1人あたり/時間あたりともに、OECD(経済協力開発機構)加盟36か国中の21番目です。G7では最下位。アメリカの、特にサービス業の労働生産性の比較だと、アメリカ人1人、日本人2人が釣り合う形です。その生産性の低さの原因の一つが、紙とハンコではないかと私は思います。
サッシャ:手書きで紙に書いて窓口で渡して、という文化が根強いですよね。「そんなの(パソコンで)打ち込めばいいじゃん」と思うんですけど。なぜなのでしょう?
横山:長年、紙とハンコを使ってきたというDNAが日本人に刷り込まれているような感じですね。セレモニー的に、「赤い朱肉があるとほっとする」みたいな。そのあたりの意識を変えていかないといけません。

企業も取り組みへの第一歩を踏み出してはいる。横山さんの会社では、サービス説明を求める企業の依頼が増加しているそうだ。

横山:東京都の企業の3割くらいが、何らかの形で電子契約を導入しているという数字も出ています。徐々に変わってきていますね。
サッシャ:僕も仕事柄いろんな企業と契約しますが、電子の契約がちょっと増えてきた。ただ、海外の企業との契約だと僕は100パーセント電子ですが、日本だとまだ10%くらいです。
横山:業種、業態、規模を問わず紙とハンコが多用されているので、あらゆる企業にペーパーレス化が必要だと思います。


■ペーパーレス化のメリットは?

ペーパーレス化のメリットは、コスト削減やスピード化、内部統制の強化などが挙げられる。地球にやさしいのも見逃せない利点だ。また、「印紙税」もカットできる。

横山:印紙税は年間1兆円を超えます。高額印紙税というと、不動産売買契約に貼るものとかですね。例えば10億円だと40万円の印紙税がかかります。電子契約にするとかからないので、不動産業の企業の導入が進んでいますね。
サッシャ:負担が減りますもんね。
増井:あとは契約書の製本・袋とじなどのコストも削減できますね。人件費を含めたら、紙の処理コストって相当かかっていると思います。
サッシャ:割り印して送り返して、とかね。郵送費とかも考えると、余計なことが多いよね。


■ペーパーレス化が進まない企業のタイプとは

ペーパーレスに取り組もうとした結果、目の前から紙をなくすだけの「なんちゃってペーパーレス」になってしまうケースも少なくない。

横山:会議で紙を配らないとか。あるいは、紙の書類をPDF化して検索しやすいようにしたけれど、書庫や外部倉庫に保管されているとか。法的な保存要件を学んでからサービスを使うと、保管も保存も紙が一切必要ないんですけどね。そういった取り組みが、本当のペーパーレス、デジタル化だと思います。

部署の連携も大切だ。経理、法務、管理部、総務、人事など多くの部署を巻き込む書類の場合、うちは紙がないと困る、といった意見も出るだろう。そんなとき、統括管理を行うプロジェクトリーダーがいないと、混乱を招く。

ペーパーレス化は現場の社員だけで決められることではないが、経営トップの意向だけで押し進められるものでもないそうだ。

横山:現場の方が新しいアクションを起こせないというか、「昨日と同じことをやっているとなんか安心する」というパターン。2つ目が、効率化すると自分の居場所がなくなりそう……ということで動きが遅かったりとか。
サッシャ:例えば、書類管理する部署の人員が削減される可能性もあるわけですからね。
横山:可能性としてはありますね。また、デジタル化、ペーパーレス化はテクノロジーの進化スピードに応じて、いろんな知識を習得していかなければなりませんが、「このドキュメントってペーパーレス化できるの?」「印紙税かかんないの?」ということがピンとこない方も、中にはいらっしゃいます。

また、「他だってやってないでしょう」という横並びの意識が足かせになっている場合もある。他社から請求書が紙で届いているから自社でも進められない、進める決断ができないということだ。

簡単には切り替えられないペーパーレス化。政府は昨年、行政手続きを原則、電子申請に統一するデジタルファースト法を可決した。行政手続きの変化によって、民間企業のあり方が変わっていくことに期待したい。

J-WAVE『STEP ONE』のワンコーナー「BEHIND THE SCENE」では、気になるニュースをその裏側から光を当て、様々な視点から紹介する。放送は月曜~木曜の10時10分頃から。

【番組情報】
番組名:『STEP ONE』
放送日時:月・火・水・木曜 9時-13時
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/stepone

タグ

【西武】栗山巧選手インタビュー 打撃向上に取り組むなかで見つかった自分には足りない部分とは?

3月12日放送のライオンズエクスプレスでは、選手に引き続き、埼玉西武ライオンズの栗山巧選手にインタビューした模様を放送した。打撃向上のための訓練していることについて訊いた。

――気力と体力は若い頃のままですか?
栗山「その時々になりますが、キャンプで全部のメニューに参加したらしんどいなと思うし、ひとつのプレーに対してバッティングや、ゲームの動きをするといったことでの疲れは感じないです。気力もその時々ですね」

――気力はまだまだ充実していると思っていました。
栗山「ずっと(気力を)入れっぱなしだと疲れてしまうので、今は集中力の勉強もしている。どうやったら集中力のスイッチを切り替えることができるのか……それができたら良い成績を残すことができると思うので、(スイッチの)オンとオフを自分の中でコントロールできるような訓練をしています。シーズン30発以上ホームランを打つ選手が毎年出てくると思いますが、1回経験した人は何回もそれ(シーズン30本塁打)を記録しますよね。そういう選手はパワーに加えて集中力というか、よくおかわり(中村剛也)とかも『一発で捉える』と言いますけど、一発で捉えるための集中力は、人並み外れたものがあると思う。そこが自分には足りないのではないかなと思っていて、何か訓練などで補えるのではないかなと思ってやっています」

――集中力のスイッチの切り替えなどはどうやって勉強している?
栗山「準備の仕方ですかね。絶対出遅れないように情報不足がないようにするとか、道具の足りないものがないようにするとか、手袋とかバットとかスパイクをいつもいい状態に保っていたりします。あとは自分の中で感動することがあると、割とスイッチが入りやすいですね。今日はすごいいい1日だなと思ったら、すごく感動するじゃないですか。そういう気持ちになるときは、割と良い結果が多いです」

――その感動は野球に限らなくてもいい?
栗山「限らなくてもいいです。何でもいいです。プライベートでもいいです。プライベートで感動するような出来事があったときに、もう無理やり野球につなげて、『今日は俺行けそうだ』という感じでゲームに入って行きます。本当はプライベートはプライベートで分けてやりたいですけどね」

※インタビュアー:斉藤一美アナウンサー

Facebook

ページトップへ