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脳科学者の茂木健一郎がパーソナリティをつとめ、日本や世界を舞台に活躍しているゲストの“挑戦”に迫るTOKYO FMのラジオ番組「Dream HEART」（毎週土曜 22:00～22:30）。 12月2日（土）、12月9日（土）の放送ゲストは、直木賞作家の小川哲（おがわ・さとし）さんです。9日（土）の放送では、10月に最新刊『君が手にするはずだった黄金について』を刊行した小川さんが、物語・小説の未来などについて語ってくれました。

茂木健一郎、小川哲さん

1986年生まれ、千葉県出身の小川さん。東京大学大学院 総合文化研究科 博士課程 在学中の2015年、『ユートロニカのこちら側』で「第3回ハヤカワSFコンテスト」大賞を受賞しデビュー。

その後、2017年に「ゲームの王国』で「第31回山本周五郎賞」「第38回日本SF大賞」を受賞。2019年には短編集『嘘と正典』が「第162回直木賞」候補となりました。

さらに2022年刊行の『地図と拳』が「第13回山田風太郎賞」と「第168回直木賞」を受賞。同年刊行の『君のクイズ』は、「第76回日本推理作家協会賞」長編および連作短編集部門を受賞しています。

茂木：小説や物語の今後の流れ、未来の傾向として感じていることはありますか？

小川：最近は、同業者のなかでもやはり「AIはどうなるんだ？」って話題になったりしています。（生成AIチャットボットの）「ChatGPT」とかが、物語っぽい文章を生成したりするようになって、「仕事がなくなるのでは……」って恐れている人もいたりはします。

茂木：人工知能の時代に、だからこそ人間の書く小説の意味を考えたりしたことはありますか？

小川：人工知能って、人間がどうやったら納得するかとか、どうやったらわかったつもりになるか、みたいなのを満たすような答えを出すのがすごく上手なわけですよ。小説って、ある意味ではそういう側面もあって、「こういう欲求を満たしたい」と思っている人が、その欲求のために読むという需要がずっとあるし、今後もあると思うので。「読者がほしがっているものを与える」みたいな形では、いつかAIに敵わなくなる日が来るかもしれないと思いつつ。

ただ、小説はそれだけではなくて、読者がまだ、ほしがっていないはずの欲望を生み出したり、あるいは読者の欲望の仕組みとか、価値観を変えたりできるものだとも思っていて。そういうのは、AIの得意とするものではないのかなと思っているので、人間もしばらくは勝負できると楽観的に思っています。

茂木：小川さんが生成AIと明らかに違うのは、1作品ごとに全然違う世界に行くところです。小川さんのこれまでの作品を生成AIに読み込ませて、「この作家の次の作品を生成して」と言っても、絶対に最新作『君が手にするはずだった黄金について』は出てこないですよね。

小川：確かにそうですね。そういう作家を名乗っていきますかね、“AI時代に強い”みたいな（笑）。

次回12月16日（土）のゲストは、シンガーソングライター「さかいゆう」さんです。今年、デビュー15周年イヤーに突入したさかいさんの“音楽の軌跡”をたっぷりと伺います。

＜番組概要＞
番組名：Dream HEART
放送エリア：TOKYO FMをはじめとするJFN全国38局ネット
放送日時：毎週土曜22:00～22:30
パーソナリティ：茂木健一郎

※該当回の聴取期間は終了しました。