『わたしの図書室』終戦記念日までの3週にわたり、”戦争”をテーマにした文学作品を朗読

戦争とは何だったのか?
ラジオ日本の朗読番組「わたしの図書室」では終戦記念日を迎えるにあたり、8月の3週にわたって“戦争”をテーマにした文学作品を紹介します。
まずは、小川未明の児童文学「戦争はぼくをおとなにした」。子供の目線で戦争が残した痛みを語ります。
そして、坂口安吾の異色作「戦争と一人の女」。GHQの検閲を受けて、一時は封印されていた作品です。
終戦記念日の8月15日、物語はクライマックスを迎えます……
【放送時間】
毎週木曜日 23:30~24:00放送
8月1日「戦争はぼくをおとなにした」小川 未明 朗読:井田由美(日本テレビアナウンサー)
1947年(昭和22年)の作品。家も町も戦火に焼かれた。ある日、主人公の少年は、道端で子供たちから「おばけ、おばけ」と蔑まれる老婆を助ける。老婆は空襲で焼け出され、身寄りもなく、寒さからリウマチを患っていた。少年は、この老婆をかばいながら、戦時中の自らのつらい体験を思い出す。戦争は、少年に何を教えたのか? 戦争は、少年をどう変えたのか? 「戦争が悪いのだ!」という少年の叫びが胸を打つ物語。ほかに、太平洋戦争が始まった昭和16年に、小川未明が行った「現下に於ける童話の使命」という講演採録からの抜粋も紹介する。
8⽉8⽇&15⽇「戦争と一人の女」坂口 安吾 朗読:⽻佐間道夫
戦争末期の不穏な空気の中で、人生に冷めきった退廃的な男と、次々に男と関係を持ちたがる性に奔放な女の刹那的な関係を描く。「戦争が終わるまで」と決めた二人の同棲生活。どうせ戦争で滅茶滅茶になるのだからと、死と隣り合わせの日々を楽しんでさえいるように振る舞う女。だが、空襲の火の手が迫ると、まるで命にしがみつくように必死で家を守ろうとする。男はそんな女に憑かれていく……。
終戦の翌年1946年(昭和21年)10月の作品だが、その翌月に姉妹編「続・戦争と一人の女」が発表された。最初の「戦争と一人の女」は雑誌に掲載された時、GHQの検閲が入り大幅な削除を受け、単行本には改題して「続」の方が収められたため、「戦争と一人の女」といえば続編の方として知られるようになった。その後、昭和46年に刊行された全集で初めて本来の「戦争と一人の女」が無削除版として復活。この2つの作品は、同じ出来事をそれぞれ男の視点から、女の視点から描くというユニークな手法がとられている。今回の番組では、先に書かれた「戦争と一人の女」を無削除版で朗読する。
- わたしの図書室
- 放送局:ラジオ日本
- 放送日時:毎週木曜 23時30分~24時00分
- 出演者:羽佐間道夫、井田由美(日本テレビアナウンサー)
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