「何が何でも高市総裁を総理に」多党化の時代にそれでいいのか

大竹まことがパーソナリティを務める「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送・月曜日~金曜日11時30分~15時)、10月16日の放送に元検事で弁護士の郷原信郎が出演。今年7月に悪性リンパ腫で入院し、その後も発信を続けた郷原が、最近の政治状況について解説した。

大竹まこと「(郷原の闘病の話、完解に近いという近況を聴いて)『おまえにはまだやることがあるぞ』と誰かが言ったようですね。その郷原さんの、なさらなければいけないことは、なんですか?」

郷原信郎「検察と戦ってきた私でないといけない戦いがある、ということ。そして私独自の観点からの発信を続けていくこと。この2つだと思います」

大竹「きょうはどういったお話を?」

郷原「最近の驚くような政治状況の話をいま、発信しているので。その辺りから」

大竹「2ヶ月以上の政治空白。それでもすったもんだがまだ終わっていない」

郷原「皆が改めて認知しなければいけないこと。いま自民党という政党は衆議院で196議席しかない。比較第1党です。ところが自民党って、長く安定政権を維持してきた。単独や自公で。そのときの体制や考え方をまだ引きずっているんですね。過半数に37議席も足りないんですから。1つの政党として政権を発足させるためには、それなりの努力をしないといけないじゃないですか。ほかの政党との連立の協議を行うなど」

大竹「なるほど」

郷原「有権者が違う党を選んできているわけですから。自民党はいままで総裁になったらそのまま総理になる、ということを前提に考えてきた。いま党内体制がほとんどできていないんです。幹部数名を選んだだけで」

大竹「はい」

郷原「高市総裁がこの間、公明党との連立協議で、いきなり連立離脱を通告された、と怒っていました。『ご承知のとおり自民党では党内手続きが必要でして』と言うけれど、党内手続きがとれないんですよ。いま政治改革本部はメンバーがからっぽですから。公明党の最重要課題について、自民党が検討する組織も体制もできていない。そのまま総理になるのが当たり前でやってきた。いまもそうしている」

大竹「うん」

郷原「何が何でも高市総裁が総理になる、ということを最優先で突っ走っている状態です」

大竹「考えてみれば、いろいろな政党があって。そこには有権者がいるわけです。だったら、なおさら、一党体制の独裁みたいなことではなく、ほかの政党に入れた人たちの声も聴いてこないといけなかった」

郷原「しかもそれがいま、多党化を迎えているわけです。ヨーロッパ各国だとそうで、多党化の政治のもとでは連立協議に時間をかけるのが当たり前なんです。その連立協議が続いている間は前政権が暫定的に政権を維持する。突飛な考え方みたいに言われている総総分離ですね、石破政権がしばらく続いてもいいんじゃないか、と。玉木さんも言っていましたけど。ヨーロッパでは当たり前です。枠組みが決まっていないんですから」

このあとは、青木理(ジャーナリスト、木曜パートナー)からの質問にも郷原が答えた。

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自動車修理工場の女性社長が「自動販売機のハンバーガー」を開発

トラックなどのドライバーさんのなかには、昭和の頃は、よく幹線道路沿いにあった自動販売機のハンバーガーで、お腹を満たした経験がある方もいらっしゃることでしょう。じつは最近、令和版の「自動販売機のハンバーガー」がじわりじわりと増えているんです。今回は、この自動販売機のハンバーガーを手掛けている自動車修理工場の方のお話です。

ハンバーガー自販機と小林さん

それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。

東京・新宿から中央道の高速バス、または新幹線と飯田線の特急「伊那路」を乗り継いで、およそ4時間の長野県飯田市に「ガレージいじりや」という自動車修理工場があります。敷地内には、トヨタ・パプリカ、マツダ・シャンテをはじめ、昭和の車がズラリ。しかも、工場の前にある懐かしい自動販売機コーナーが目を引きます。

お店の代表・小林由季さんは、埼玉県出身の41歳。小さい頃、ちょうどミニ四駆が大人気だったこともあって、クルマに興味を持ちました。19歳でオートマチック車限定の運転免許を取ると、街を颯爽と駆け抜けていった、白い「マツダ・RX7」に心躍ります。

『カッコいい!あのクルマに乗りたい!!』

そう思った小林さんは、知り合いの自動車関係者に相談すると、軽くあしらわれました。「RX7? アンタ、あのクルマ、マニュアルだし、ロータリーエンジンって知ってるの? 乗りたいなら、自分で自動車が整備出来ないと、まず無理だよ」

愛車のマツダ・シャンテと小林さん

マニュアルもロータリーエンジンも、全くチンプンカンプンだった小林さんですが、乗りたい思いが高まって、マニュアルで免許を取り直し、自動車整備士を目指します。男社会の自動車修理工場で、厳しい試練を乗り越えて、見事、整備士資格を取得。縁あって信州に移り住むと、趣味で借りたガレージで、ノーマルタイヤからスタッドレスタイヤへの履き替えを請け負ったことをきっかけに、2010年、自ら自動車修理工場を立ち上げました。

やがて、工場のスタッフが昭和43年製・スバル360の修復を成し遂げたことから、小林さんも古い車に興味を持ち、旧車が続々持ち込まれて、車雑誌にも注目されます。あれよあれよと、旧車好きならまず知らない人はいない工場に成長。小林さんは雑誌連載企画で、旧車でレトロな自動販売機巡りをすることになりました。

ところが、ここで小林さんは大変なことが起きていたことに気付くんです。

『大きな道路沿いにたくさんあったハンバーガーやうどん・そばの自動販売機コーナーがどんどん無くなっている……』

24時間営業のコンビニエンスストアが増えた一方で、自動販売機は経年劣化、オーナーさんの高齢化も進んで、自動販売機コーナーは次々と姿を消していたんです。そんな折、小林さんはお祖父さまを亡くしたことで、小さい頃、自動販売機のハンバーガーをなかなか買ってもらえなかった記憶がよみがえりました。

『あの思い出の、自動販売機のハンバーガーを残したい。ならば、ハンバーガーを作っている食品メーカーを助けよう!』

自動販売機コーナー

そうひらめいた小林さんは、さっそく自動販売機用のハンバーガーを仕入れます。自動車工場の前に冷蔵機能付きの自動販売機と電子レンジを設置して販売を始めると、ちょうどコロナ禍と重なったことで、テイクアウトのニーズをつかんで大繁盛。各地のレトロ自動販売機で売れたハンバーガーのおよそ4倍を1台で売り上げました。

小林さんはもうイケイケドンドン、自動販売機を増やして各地で大人気となりますが、あまりの売れ行きにハンバーガーメーカーのほうが悲鳴を上げてしまいます。安定した納品が出来ないので、もう勘弁してくれませんか、と言われてしまったのです。代わる製造業者も無く、困り果てた小林さん、思い切りました。

『ハンバーガーを作ってくれる会社が無いなら、自分の会社で作ってしまおう!』

もちろん、小林さんは自動車整備士ではありますが、食品の知識は全くゼロ。体当たりで、様々な食品製造に関する許可や食品衛生を、片っ端から学んでいきます。食品部門の「いじりやフードサービス」も立ち上げ、ハンバーガーを作ってみましたが、パンはパサつき、肉の脂は溶け出し、レタスなどの生野菜は安全性の面で使えません。しかも、自動車修理工場と食品工場の二刀流で、睡眠時間3時間の日々が続きました。

ふんわりバンズのチーズバーガー

それでも試行錯誤を繰り返し、味やソースにもこだわったチーズバーガーに辿り着いて、安定した製造、出荷も出来るようになりました。今は、全国で39台の自動販売機が元気に稼働中。自動車修理工場生まれの自動販売機とハンバーガーは、各地域で話題になっています。

「気合と根性でやってきました」と笑う小林さんですが、やりたいことはいっぱいです。

「レストランもやってみたいですし、クルマのテーマパークがあっても面白いですよね。ハンバーガー片手にみんなに巡ってもらって。夢は大きく持てば、きっと叶います!」

「RX7に乗りたい」から始まった小林さんの夢、今はまだ、その途中です。

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