「時給1500円でも安い」印象。最低賃金、引き上げの先送りで困る人がいる

ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時~17時、火~金曜日15時~17時35分)、7月8日の放送に経済評論家の佐藤治彦が出演。全国の最低賃金について、平均時給1500円を目標していた政府が、引き上げを先送りする方向である、というニュースにコメントした。

鈴木敏夫(文化放送解説委員)「政府は2020年代に全国の平均時給を1500円に引き上げる、という最低賃金を抱えていました。なぜか今回、これを見直して。2030年代の前半に先送りする方向で調整に入ったようです」

長野智子「1500円でも低い(安い)と思うんです。先送りされるようですが、大企業の正社員は順調に賃金アップしている、と」

佐藤治彦「去年に続いて今年も5%以上の賃金アップが実現した。いわゆる物価高よりも賃金アップのほうが上なので、実質賃金もプラスになっていた、と。けれど国全体でいうと実質賃金がやっとプラスになったぐらいで、ずっとマイナスでしたよね。全体だとプラスになっていない。大企業以外の人がどれだけ苦しんでいたか、ということですよ」

長野「本当に。中小企業、非正規の方もそうですね」

佐藤「日本の最低賃金、いま全国平均で1121円です。最低賃金ぐらいの給料の方、最低賃金から1.15倍ぐらいで働かれている方が全労働人口の2割も占めている。700万人。そのうち7割8割は女性です。どういう女性かといえば、いわゆるシングルマザーの方も含めて、じつに大変なところで働かれて。1つの仕事では暮らしていけないから2つ3つ掛け持ちしている。物価高でいちばん困っているのは誰か。この700万人と家族だと思います」

長野「はい」

佐藤「その人たちの賃金をまず上げる、ということが本当の意味合いでの物価高対策だし、政治がやらなければいけないことでは、と」

長野「岸田(文雄元首相)さんは2030年代半ばまでに、と言っていました」

佐藤「岸田さんが初めて『自民党も1500円に持っていこう』と目標を立てて。1500円という数字も当時はサプライズな数字で、すぐにとは言えなかった。石破(茂元首相)さんが『前倒ししましょう』と言って、最低賃金辺りで働く方のお給料も上げていこう、となった」

長野「はい」

佐藤「前にこの番組で、いまの物価高はコストプッシュ・インフレで、ディマンドプルではない、と言いました。景気が良くなって物価が上がっているのではなく、外国で原油や農作物が上がった、ということで、あまり良くない物価高だと。景気が良くなって物価高になる、というために何が必要なのか。みんなのふところがあたたまらなければならない」

長野「そうですねえ」

佐藤「大企業の人たちは、まだ労働組合やいろいろなものがあって、上げる力があるけど、そうではない非正規の方やパートの方が、会社の社長に『給料を上げてくれ』とは言いづらい。だから法律で最低賃金としてアップしていくことが必要だ、ということで石破さんは動いた。1500円でも安い、そのとおりです。先進国で1500円なんて言うのは日本だけ。ところが今回、その目標を先送りした。赤澤(赤沢)亮正大臣は強固に反対したそうですが。赤澤さんが賃金を上げるべきだと言う理由の1つが、企業の倒産を避けるためです」

長野「ほう」

佐藤「『よく最低賃金を上げると中小企業が潰れる、と言われる。でも地方の中小企業の実態を見ると、人手不足で人が来なくて潰れる会社のほうが、圧倒的に多い』と。そのために何をしなければいけないか。大企業との賃金格差を減らす、都市との賃金格差を減らす。少しでも賃金アップして、地方の企業に働きに来てくれる人手を確保することのほうが大切だから、最低賃金をアップしなければいけない。その側面がある、と、高市政権の中でも主張してくれたけど、残念ながらそうならなかった」

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今年5月に法改正…毎日の買い物が日本の「食」を守る?「食育基本法」が示す新たな考え方

杉浦太陽と松井玲奈がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「杉浦太陽・松井玲奈 日曜まなびより」(毎週日曜 7:30~7:55)。「学びと成長」をコンセプトに、毎回さまざまなゲスト講師をお招きして、明日の暮らしがもっと豊かになる情報や気になるトピックをひも解いて、今よりもちょっと成長することを目指す番組です。

10月25日(日)の放送テーマは、「大人もこどもも食育を! 知っておきたいこれからの『食』」。農林水産省 消費者行政・食育課の村山直和(むらやま・なおかず)さんから、食育基本法の改正ポイントについて話を伺いました。


(左から)松井玲奈、村山直和さん、杉浦太陽



◆今年5月に改正「食育基本法」

日本政策金融公庫が2025年11月に実施した「食の志向調査」では、普段の食生活で気にかけていることとして、「食費を節約したい」「健康に配慮したい」「料理や後片付けの手間・時間を省きたい」が上位3項目に挙がりました。

食べる物を選ぶときは、価格や健康面だけではなく、その食べ物の産地や生産者など、食卓に届くまでの過程にも目を向けることが大切です。また、季節や地域の食文化を大切にし、食べ物を無駄にしないことも欠かせません。こうした食について考え、学ぶ取り組みが「食育」です。

村山さんは、食育について「さまざまな経験を通じて、食に関する知識と食を選択する力を習得し、健全な食生活を実践できる人を育てることです。この食育を国民運動として推進していくための根拠となる法律が、2005年に制定された食育基本法です」と説明します。そして、食育基本法が制定されて20年を迎えた2026年5月に同法が改正され、食育のあり方にも新たな視点が加わりました。

◆食卓と生産現場の距離を縮める食育へ

今回の改正について、村山さんは、「シンプルに説明しますと、食育の目的が『健康のため』だけでなく、『日本の食を守るため』に広がりました」と話します。その背景には、この20年間で食を取り巻く環境が大きく変化したことが挙げられます。

食に対する考え方は人それぞれです。食の志向調査でも、上位3項目のほかに、「食の安全に配慮したい」「味のおいしいものを追求したい」「食材にこだわった手作りの食をとりたい」といった回答があります。

その一方で、「栄養バランスの偏り」や「食習慣の乱れ」などは、20年前から課題となっていましたが、現在はさらに深刻化しています。さらに、村山さんは「20年前と比べて、私たちの食卓と、食べ物がつくられる現場との距離が遠くなっていることも変化の1つです」と続けます。

我々は、肉や野菜、魚などをスーパーなどに行って手軽に購入できますが、それらが「どこで、誰によってつくられたものなのか」を意識する機会はあまり多くありません。地域によっては農地が身近にあり、農業に触れる機会もありますが、特に今は農家の人数も減少傾向にあり、食べ物の生産現場を知る機会は以前より少なくなっています。こうした状況を踏まえ、改正された食育基本法では、学校などでおこなう農林漁業の体験を通じ、食べ物がつくられる現場について学ぶ機会を充実させることなどが盛り込まれました。

◆食料安全保障と適正な価格形成

食育基本法の改正ポイントの1つに、日本の食をどのように守っていくかという「食料安全保障」の考え方も加わりました。村山さんは、「食べ物は健康で充実した生活の基礎となる重要なものです。そのため、災害や国際情勢の変化があっても、私たち一人ひとりが必要な食べ物を安定して手に入れられるようにしよう、という考え方です」と解説します。

そのためには、お米や野菜、肉、魚をつくり続けられる環境を整えることが大切です。そこで、今回の法改正では、基本理念に「食料の“合理的な価格形成”への理解を深めること」が明記されました。村山さんは、「合理的な価格形成とは、食べ物をつくるためにかかった費用が、きちんと価格に反映されるようにすることです」と補足します。

消費者がこれからも安定して食べ物を手に入れるためには、生産者だけではなく、運ぶ人や売る人にも必要なコストがあることを知り、その価値が価格として適正に反映されていることを深く理解しておかなければなりません。

さらに、「食料安全保障というと、農林水産業に携わる方々や国の取り組みというイメージが先行しがちですが、消費者もその一員です」と村山さん。消費者が日々の買い物で何を選ぶのかということも、日本の食を守ることにつながります。価格だけで判断するのではなく、収穫に至るまでの背景にも目を向けて、商品を選ぶことが大切です。

◆大学や職場でも進む「大人の食育」

食育は子どもだけが学ぶものではありません。今回の法改正では、20代・30代に向けた「大人の食育」も強化されたものになっています。村山さんは、「食育の場として“大学”や“職場”も追加されていて、年齢にかかわらず食育を推進していく方向性が示されました」と紹介します。

実際、ある企業では朝食の提供や、従業員食堂で野菜の小鉢を1人1品無料で提供しているほか、スマートフォンアプリで毎日の食事を記録し、食生活を見直すきっかけをつくるなど、既にさまざまな取り組みが進められています。

最後に村山さんは、「今日の食卓に並んでいる一皿にも、その食べ物をつくった人、運んだ人、届けてくれた人がいます。今回、食育基本法が改正され、私たちが食べることだけでなく、食卓に届くまでにも目を向けることが、これからの食育の大切なテーマになりました。仕事や家事に追われて忙しい人たちでも、『これは、どこで誰が作ったんだろう?』と食べ物に興味を持つことは、未来の食を守ることにもつながります。ぜひ今日から、いつもの食卓を少し違った角度から見てみてください」とメッセージを送りました。

番組のエンディングでは、杉浦と松井が今回学んだ「新しい食育」について復習。2人が特に注目した点をピックアップして発表します。まず松井は“「何を買うか」「どう選ぶか」が日本の食を守っていく”と注目ポイントを挙げました。続いて、杉浦は“食べる・生きる・楽しむ ニッポンの食育”とスケッチブックに書き、「改正された食育基本法について知りたい方は、農林水産省のWebサイトをご覧ください」とコメントしました。


(左から)松井玲奈、杉浦太陽



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<番組概要>
番組名:杉浦太陽・松井玲奈 日曜まなびより
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:杉浦太陽、松井玲奈
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/manabiyori/
番組公式X:@manabiyori_tfm



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