金融センター・香港が崩壊の危機!“1国2制度”を瓦解させる国安条例の衝撃とは?『町田徹のふかぼり!』

経済ジャーナリスト・町田徹が毎週注目すべき国内外のニュースを徹底解剖。日本経済が抱える問題の本質、激動の国際情勢の行方について、時に冷徹に、時に熱く、語ります。
今週のふかぼり「金融センター・香港が崩壊の危機! “1国2制度”を瓦解させる国安条例の衝撃とは?」
親中国派・親中国共産党派が支配する香港の立法会は、先月3月19日、反逆や反乱、スパイ行為、外部勢力との共謀などを取り締まる「国家安全条例」を全会一致で制定しました。現地の新聞「明報」は3月26日付で、この条例の適用第1号として、当局が、国家分裂扇動罪で服役している受刑者の減刑措置の取り消し処分をした、と報じました。
この適用第1号からも推察できると思いますが、香港の「国家安全条例」は、統制色のとても強い威圧的な条例です。2020年に施行された「香港国家安全維持法」を補完するという体裁をとり、取り締まりの範囲を拡大すると共に厳罰化も行うという内容で、最高刑を終身刑としました。そして、この条例が「国家安全」を口実に、香港に高度な自治を認める根拠だった「1国2制度」をほぼ完全に否定したという側面も衝撃的です。
香港と言えば、バブル経済の崩壊以来、ニューヨーク、ロンドンを凌ぐ金融センターだった東京に代わって、アジアの金融ハブの地位を占めてきたことでも知られています。しかし今回の国案条例の制定を受けて、企業もヒトもおカネも、中国共産党の統制が強まる一方の香港で経済活動を続けることに大きなリスクを感じており、香港から逃げ出す構えを強めています。つまり、香港の経済都市や金融ハブとしての繁栄が「風前の灯」になっているわけです。
実際に何が起きているのか。これからどうなるのか。今日は、香港についてじっくり考えてみました。
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