破竹の進撃を続けた85年の安全地帯「熱視線」当時の札幌の"ザワつき"を松崎真人が披露
シンガーソングライターの松崎真人が、'70~'90年代の日本の曲・日本語の曲を中心に"厳選かけ流し"(イントロからアウトロまでノーカット)で約30曲をセレクトするSTVラジオ『MUSIC☆J』。今週の5曲目は、北海道・旭川市出身の玉置浩二率いる安全地帯の「熱視線」をおとどけしました。
M05「熱視線/安全地帯」(1985年)
松崎:けっこう大胆にハンド・クラップ(拍手音のサンプリング音源)がパッパ・パッ・パッ・パッって入ってるんですけど、当時にしても大胆ですよね。時が経っていま2021年に聴いて、そこがダサく聞こえるかとか、古くさく聞こえるかと言うと、そうじゃないところが、効果的に使っているんだねぇ。ハンド・クラップという当時の最先端のものでもね。
松崎:ちなみに、この前の曲「恋の予感」から3か月しか経たないところのリリース。で、同じ年に「悲しみにさようなら」まで出しているということで、まさに破竹の進撃を続けていたのが、当時の「安全地帯」ですね。1985年だから、僕はまだ大学生で札幌にいたんですが、「玉置さん、あそこのブティックで買い物してるらしいよ」とか「玉置さん、あそこでヘアカットしてるらしいよ」とか、そういう本当かウソか分からない情報がたくさん飛び交った年でしたね。
松崎:本当に、北海道がスターを送り出したという感じで、何となく北海道のポップス好きは皆んな沸いていた感じでしたね。
松崎:と言うわけで(玉置浩二と)浅からぬ縁(えにし)で、井上陽水さんの、ご本人がカバーした「飾りじゃないのよ涙は」。
M06「飾りじゃないのよ涙は/井上陽水」
松崎:(収録されている)「9.5カラット」というのは、陽水さんが自分の今まで提供していた曲をセルフカバーしたアルバムなんです、基本的には。アレンジャーとしては、星勝さんの他に萩田光雄先生、そしてこの曲は、久石譲さんです。シンセの使い方が微妙に、明菜さんバージョンより全ての音色が暗いですよね。ちょっとダークな感じで。何か、大人の雰囲気が出ています。でも、何よりスゴいのは、中森明菜さんのイメージを決定づけた「飾りじゃないのよ涙は」の詞も、陽水さんだということだよね。
松崎:「私は泣いたことがない…」って言う、ちょっと虚無感のある女の人像を中森明菜さんに付けたわけですよね、イメージを。そのお陰で彼女は、だいぶ表現の幅やイメージが広がったわけですね。
松崎:ただ、この「9.5カラット」というのは、1984年に出たアルバムなんですけど、実はこの前のアルバム「バレリーナ」と、その前の「ライオンとペリカン」という2作が、僕は大好きなんですけど、ちょっと詞とかアレンジとか全部が難解になっていて、売り上げ的には少し伸び悩んだ時期があったんですよ。作品は良いのにね。
松崎:なので、ご存じの通り、フォーライフ(レコード)は"4本柱"のみなさん(小室等・吉田拓郎・井上陽水・泉谷しげる)がね、創業者がね、稼がなきゃいけない時は頑張る!と言うところで、陽水さんもここはちょっと大人になって、セルカバーを出してみようじゃないかと言うことで。
松崎:で、皮肉なことに、井上陽水さんのアルバムの中では「氷の世界」に続く売り上げと言う…。芸能界って言うのは難しいですね。僕は、この事実と、斉藤由貴さんの一番のシングルヒットが「夢の中へ」だというのが納得できないんですよねぇ。でも、みんなが知ってる曲が入ってるというは、凄く分かりやすいことなのかな…。
確かに「いいモノ=売れる」とは限らないことがありますよね。クルマも、名車=ベストセラーとは限りませんし…。松崎の忸怩たる想いは【編集後記】にも表れています。そして、M26~M28の松田聖子3連発は、全くの松崎の"好み"のようです。
M27「レモネードの夏/松田聖子」
松崎:作詞は松本隆さんで、冷えたレモネードって言うだけで、グラスが汗をかいてて、そこをツルツルと水滴が落ちていく感じ…。もう、そういうのに曲を付けさせたらユーミンなんかお手の物でございます(作曲は呉田軽穂)。凄いですね、プロの仕事です。(アレンジの)新川さん、ここでは上品な音を作ってございますね。
松崎:最後に♪ル~ルル~、ルルル~ル~ル、ル~ルルってコーラスがちょっと出てきます。男声コーラスですが、たぶんスタジオミュージシャンだけじゃなくて、恐らくディレクターさんか誰か、専業のコーラスミュージシャンじゃない人も混ぜてると思います。そういう"雑味"が欲しかったんだと思いますね。ナイス・ディレクションでございます。
ところで!。17日の放送内でもお知らせしましたが、『MUSIC☆J』は7月23日から8月6日までの間の計9日間『ナイタースペシャル MUSIC☆J』として、RCCラジオと同時ネットでお届けすることになりました!。詳細は後日、このradikonewsでもお伝えします。お楽しみに!
【7月17日のプレイリスト】
M01「シーソーゲーム〜勇敢な恋の歌〜/Mr.Children」
M02「A Perfect Sky/BONNIE PINK」
M03「青い車/スピッツ」
M04「サザン・ウインド/中森明菜」
M05「熱視線/安全地帯」
M06「飾りじゃないのよ涙は/井上陽水」
M07「月ひとしずく/小泉今日子」
M08「君に逢いたくなったら.../ZARD」
M09「万里の河/チャゲ&飛鳥」
M10「あせ/N.S.P」
M11「Mr.サマータイム/サーカス」
M12「シャイニング・スカイ/Tinna」
M13「BOY FROM NEW YORK CITY/MANHATTAN TRANSFER」
M14「サマータイム・ブルース/RC SUCCESSION」
M15「夜明けのスキャット/由紀さおり」
M16「シーサイド・バウンド/ザ・タイガース」
M17「ケメ子の歌/ザ・ダーツ」
M18「ふたりの夏物語 NEVER ENDING SUMMER/杉山清貴&オメガトライブ」
M19「夏の日/オスコース」
M20「夏の陽/山下達郎」
M21「海/SOUTHERN ALL STARS」
M22「め組のひと/ラッツ&スター」
M23「夏ざかりほの字組/Toshi & Naoko」
M24「HEART IS GOLD/MR.SERA」
M25「胸さわぎの放課後/ひかる一平」
M26「P・R・E・S・E・N・T/松田聖子」
M27「レモネードの夏/松田聖子」
M28「ひまわりの丘/松田聖子」
M29「案山子/さだまさし」
M30「雨はいつか/センチメンタル・シティ・ロマンス」
【松崎真人の編集後記】
「ハート・イズ・ゴールド/世良公則 (MR.SERA) 」作詞の八田雅弘はいわゆるストリート系のシンガーソングライターとしてデビューした人。デビュー時のキャッチコピーは「勝ち誇る奴だけに、風は優しく吹いていた」だったと思う。硬派で完成度も高く、注目していたのだが、売れなかった。その後は作詞や、放送作家系の仕事をしていた。今も昔も、業界で生き残っていくのは難しい。
松崎真人
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- MUSIC☆J
- 放送局:STVラジオ
- 放送日時:毎週土曜 18時00分~21時00分
- 出演者:松崎真人(まつざき・まこと):シンガーソングライター・選曲家(北海道出身)
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番組ホームページ
70年代~90年代の日本のポップス・日本語のポップスを中心に"厳選かけ流し"でお届け。パーソナリティは、北海道出身のシンガーソングライター・松崎真人。音楽への深い造詣と知識に裏打ちされた含蓄あるトーク、選曲の幅広さでリスナーの支持を全国に広げている。松崎の"微妙な滑舌"も病みつきになるかも。(ナイターオフ期は、火~金19:00からで、広島・RCCラジオでも同時ネット)。
※該当回の聴取期間は終了しました。