「縦読みするとア・グ・ネ・ス…天下獲る気満々だった」松本隆の初作のエピソードを紹介

マッチと同い歳で~す! ©STVラジオ

シンガーソングライターで"選曲家"の松崎真人が、日本の曲・日本語の曲を中心に"厳選かけ流し"(イントロからアウトロまでノーカット)でお届けするSTVラジオ『MUSIC☆J』。今週の20時台の特集は松本隆のB面曲&アルバム曲」。怒濤のようにアイドル路線中心の選曲でお届けします。その特集の前ふりが19時台に展開されました。(文中敬称略)

松崎:松本隆が歌謡曲の世界に入ってくるきっかけになったひとつのエピソードが、私が興味深く読んでいる音楽プロデューサーの木崎賢治の「プロデュースの基本」という本に書いてありますので、ちょこっとだけ抜き読みしてみたいと思います。

松崎:松本隆にはその頃、70年代ですよね、よく仕事をしていたエンジニアの吉野金次の紹介で、なんだんねぇ、有楽町のカフェで初めて会いました。彼は「風待ちロマン」という自分で書いた詩集を持って来ました。ナイーブで都会的で、いま思うと、村上春樹を彷彿とさせるようなクオリティでしたね、と木崎は評しております。歌謡曲の詩を作りたいと言っていたので、じゃあアグネス・チャンの詩を書いてみる?と聞いてみて、そこから松本隆との仕事が始まりました…ということなんですね。

松崎:木崎が元いらした渡辺音楽出版つまり渡辺プロで、「アウト・キャスト」というグループサウンズでキーボードを弾いていた穂口雄右が作曲して、松本隆が良い詞を書いて出来た曲が、この曲です。ちなみに、最初の歌詞の4行を横で書いて、その歌詞の頭一文字ずつを縦読みするとア・グ・ネ・スとなっているという、新人の作詞家志望の青年がおずおず出してくるような作品じゃないわけです。もう自信満々、仕掛け満々で、天下獲る気満々という…あるいはハッタリだったのかも知れませんが、それもまた良いじゃないですか。そんな遊びの部分も含めて、聞いてもらおうと思います。

松崎:奇遇なことに、この曲、演奏は「キャラメル・ママ」でございます。

M17「ポケットいっぱいの秘密/アグネス・チャン」

松崎:木崎がキャラメル・ママ、細野晴臣とか林立夫、松任谷正隆などのメンバーを集めて、この曲のセッション、リハーサルをしていたところ、当時のワーナー・パイオニアの偉いプロデューサーが来て「素人集めて何してんだ!」と言う逸話が残っております。木崎が自身の本にかいてらっしゃいます。こういう掟破りみたいなこをする人たちがいて、ブレークスルーが起こるということでして。

さらに今週は、先ごろ訃報が伝えられたフォーク・デュオ「風」の大久保一久を偲んだ選曲もお届けします。曲を紹介しながら語る松崎…なんか本当に寂しげです。

<9月18日のプレイリスト>
M01「悲しい気持ち/桑田佳祐」
M02「STAND BY ME/JOHN LENNON」
M03「秋からも、そばにいて/南野陽子」
M04「ケンとメリー〜愛と風のように〜/バズ」
M05「Ms.(ミズ)/南沙織」
M06「あの頃のまま/ブレッド&バター」
M07「SCARBOROUGH FAIR/CANTICLE/SIMON&GARFUNKEL」
M08「あの娘の素顔/風」
M09「防波堤/風」

M10「風は秋色/松田聖子」
M11「恋=Do!/田原俊彦」
M12「TIME ZONE/男闘呼組」
M13「DANGER ZONE/KENNY LOGGINS」
M14「青春は舟/ダ・カーポ」
M15「太陽は泣いている/いしだあゆみ」
M16「虹色の湖/中村晃子」
M17「ポケットいっぱいの秘密/アグネス・チャン」
M18「だれかが風の中で/上條恒彦」
M19「ハロー・トゥデイ~Hello Today/松原みき」
M20「少年時代/井上陽水」

M21「マイアミ午前5時/松田聖子」
M22「愛撫/中森明菜」
M23「ロンサム・シティー/西城秀樹」
M24「ルーム・キー/森進一」
M25「四月物語/近藤真彦」
M26「心象風景/太田裕美」
M27「ささやきの妖精/斉藤由貴」
M28「櫻の園/松田聖子」
M29「英雄/吉田拓郎」

<松崎真人の編集後記>
「四月物語/近藤真彦」…大滝詠一とのアルバム「EACH TIME」に収められた「木の葉のスケッチ」と同じシチュエーションで書かれた詞。かつて想いを寄せあった男女が「神様のくれた偶然」によって街で再会する、というストーリーなのだが、両者が違うのは主人公の年齢。「四月物語」のふたりはまだ若いので「このあと、お茶でもどう?」と男が問いかけるところで終わる。一方「木の葉のスケッチ」は誘いを受けた女性が「このあと予定があるから」と断るという結末。同じシチュエーションでも主人公の年齢層を変えることで作品を書き分ける。そうした「腕」が無ければ、感性だけでプロの作詞家を続けることは出来ないのだなあ、と思い知った1984年。(松崎真人)

STVラジオ『MUSIC☆J』(毎週土曜 18:00~21:00)
 

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MUSIC☆J
放送局:STVラジオ
放送日時:毎週土曜 18時00分~21時00分
出演者:松崎真人:(まつざき・まこと)シンガーソングライター、選曲家(北海道出身)。1984年ヤマハポピュラーソングコンテストで優秀賞を受賞し、85年「たわいないトワイライト」でデビュー。92年、佐木伸誘とユニット「Birthday Suit」結成。現在はソロでラジオパーソナリティやライブを中心に活動。
番組ホームページ

twitterハッシュタグ:#musicj (番組OA中は、マニアックな話題で盛り上がります)

70年代~90年代の日本のポップス・日本語のポップスを中心に"厳選かけ流し"でお届け。パーソナリティは、北海道出身のシンガーソングライター・松崎真人。音楽への深い造詣と知識に裏打ちされた含蓄あるトーク、選曲の幅広さでリスナーの支持を全国に広げている。松崎の"微妙な滑舌"も病みつきになるかも。(ナイターオフ期は、火~金19:00からで、広島・RCCラジオでも同時ネット)。

※該当回の聴取期間は終了しました。

デビュー15周年!miwaの“ターニングポイント”となった楽曲とは?「思い出もたくさん詰まっていますし、感謝している曲です」

グランジ・遠山大輔、潮紗理菜がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの生放送ラジオ番組「JA全農 COUNTDOWN JAPAN」(毎週土曜 13:00~13:53)。4月12日(土)の放送は、シンガーソングライターのmiwaさんが登場! 3月26日(水)にリリースされたデビュー15周年記念ベストアルバム『miwa』について伺いました。


潮紗理菜、miwaさん、遠山大輔



◆運動会の練習でまさかの…

遠山:楽曲の話の前に気になることがあって……ケガされていましたよね!? 大丈夫ですか?

miwa:事務所の運動会(3月15日(土)にさいたまスーパーアリーナで開催された「トライストーン大運動会」)の練習で足を肉離れしてしまって……。

遠山:えっ!? 結構おおごとじゃないですか!

miwa:50メートル走とリレーに出る予定だったんですけど、大人になって全力疾走したら筋肉がビックリしちゃったみたいで(笑)。ちょっと歩けなくなっちゃって、現在もリハビリ中です。

遠山:(運動会当日は)車椅子で登場して歌っていましたよね!?

miwa:リレーや徒競争は代理で出てくれたんですけど、“声だけでも(会場に)持っていこう!”という気持ちで(歌いました)。

潮:私も(「miwa official YouTube channel」にアップされていた)映像を観て、声量がすごくて感激しました。

miwa:運動会に出られない申し訳ない気持ちとか、いろいろな思いが相まって……。本当に“歌だけは一生懸命歌おう!”という気持ちでした。

遠山:(車椅子を押していたのは)小栗旬さんですよね?

miwa:そうです。小栗旬さん主演のドラマ「リッチマン、プアウーマン」(フジテレビ系)の主題歌「ヒカリへ」を歌わせていただいて、発売から10年以上経って初めて(小栗旬さんと)一緒のステージで歌いました。

遠山:そうなんだ!?

潮:ドラマも観ていました! だから、とんでもない映像すぎて……。

miwa:やっぱり、「リッチマン、プアウーマン」を通してmiwaというアーティストを知ってくれた人がたくさんいたし、この曲で初めて紅白(NHK紅白歌合戦)にも出られて、そこからたくさんの人に出会って大きな会場で歌えるようになったりして、自分にとってターニングポイントになった曲なので、思い出もたくさん詰まっていますし、感謝している曲です。


miwaさん


◆総再生時間2時間38分38秒のベストアルバム!

遠山:miwaさんのデビュー15周年記念ベストアルバム『miwa』が先月3月26日にリリースになっております!

miwa:ありがとうございます!

潮:初回生産限定盤A『mi』には、エモーショナルな曲を集めた全19曲が収録されていて、初回生産限定盤B『wa』には、チルアウト曲を集めた全18曲が収録されています。そして『mi』と『wa』の全37曲を収録した『miwa』の総再生時間は、なんと2時間38分38秒! まさにmiwaさんの15年間が詰まったベスト盤です。

遠山:すごい! 2時間38分なんて、なかなか聞かないですよ。

miwa:mi(み)とwa(わ)にかけて38分38秒で揃えています(笑)。

遠山:そういうことか!

miwa:でも(容量が)本当にパンパンらしいです。(リリース元の)ソニーが製品として出せる最長みたいな感じで。本当に長いから、聴くほうも大変だと思います(笑)。

遠山:(収録曲順も)年代とかリリース順じゃないんですね。

miwa:そうなんですよ。だから、いろんな私の声が楽しめます。高校生のときに歌った曲も、その当時の音源のまま入っていたりするので。

遠山:そのなかでも「TODAY -Self Recording-」や「Song for you -Self Recording-」は、ライブハウスの音源が収録されていると聞きました。

miwa:そうなんです。デビュー前から下北沢LOFTというライブハウスでライブをやらせてもらっていたんですけど、そこで高校生のときに手売りしていたCDがあって、その音源がそのまま収録されています。ただ、私は今カナダに住んでいてCDを(レコード会社に)お渡しできなかったので、LOFTさんから拝借した音源を吸い取って、マスタリングをかけて収録しました。

潮:すごい!

遠山:最新曲となると「リアル」が一番新しいですか?

miwa:そうですね。これはコロナ禍もあって、人と一緒に食事をすることだったり、対面で会うことの貴重さ、大切さに気付いたり、ライブも(コロナ禍は)ずっと無観客でやっていましたけど、今やっと会場にお客さんを入れて、お客さんの声を聞いたり、表情を見ながらライブができるようになって、改めて“当たり前じゃなかったな、これがリアルな空間だな”っていうのを感じながら作った曲です。

次回4月19日(土)の放送は、歌心りえさんをゲストに迎えてお届けします。

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4月12日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2025年4月20日(日) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

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<番組概要>
番組名:JA全農 COUNTDOWN JAPAN
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット
放送日時:毎週土曜 13:00~13:53
パーソナリティ:遠山大輔(グランジ)、潮紗理菜

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