「アジアの純真/PUFFY」奥田民生の才能と面白がり方は"怖気が立つ"感じすら

ソウルフルな曲とは、この曲のこと ©STVラジオ

シンガーソングライターで"選曲家"の松崎真人が、'70~'90年代の日本の曲・日本語の曲を中心にイントロからアウトロまでノーカットでお届けするライブ・プログラム、STVラジオ『MUSIC☆J』(火~金 19:00~)。平日夜は、洋楽もいいけど、あまたある日本の名曲と、その裏話をあわせて聴いてお楽しみ下さい。(文中敬称略)
 
M12「愛のために/奥田民生」

松崎:1994年の曲ですが、この頃って、1992年にいわゆる「PKO法」っていう、国連の(活動として)自衛隊の派遣に関するトピックがすごく多かった時期なんです。なので、その辺(社会情勢や世論)も若干、織り込んでの歌詞の内容なのかなと(思いながら)当時、聴いていました。まあ、奥田民生のことなので、歌詞の意味が1個だけと言うことはあり得ないと思うので、幅広く解釈できると思います。

松崎:ボクはこのころリアルタイムで、奥田民生という天才の別の側面がバババっと花開く瞬間を肌身で感じて、怖気が立つというか「この男は恐ろしい」と思った時期です。そして、間もなく、これが出ます。

M13「アジアの純真/PUFFY」

松崎:奥田民生が「ELO」というバンドが好きなことが良くわかる曲ですね(編注:ELO=Electric Light Orchestra  '70~'80に世界的に活動したイングランド出身のロックバンド。オリビア・ニュートンジョン「ザナドゥ」をイメージすると近道)。この曲、短冊CD(8センチシングルCD)なんですけど、とっても面白くて。デザイナーがこの「アジアの純真」のために持って来たデザイン案を全部、ちっちゃい写真にして全部、切手みたいなサイズにしてバーッと描いているんです。(中略)。

松崎:この良い意味で"脱力"というか、力の入っていない感じをジャケットでも、1枚目のシングルからちゃんと出していたんだなというのは、ご本人達の才能プラス、周りの(スタッフの)面白がり方は天才ですね、あの時のチームは。

続いて、新コーナーとして"ただいま工事中"のA面とB面の曲をともに聴いて、その分水嶺事情を紐解く時間。今回は、海援隊です。

M14「贈る言葉/海援隊」(A面)

松崎:この前のシングル「JODAN JODAN」を歌う海援隊をライブで見ています。その時はまだ「贈る言葉」は出てなかったんですが、この「贈る言葉」で海援隊は一気に知名度を高めるわけですが、そのB面。なかなか興味深いのは、「君への道」という、番組でよく掛ける曲でお馴染みの伊藤薫が作曲を担当しているところです。ちょっと状態の悪い(アナログ)シングル盤ですが…。

M15「踊り子/海援隊」(B面)

松崎:当時、すでにヒット曲をいくつか作っていた伊藤薫に作曲を依頼したB面曲でした。…恐らくこれ、A面の「贈る言葉」をたくさんたくさんSTVラジオで掛けたと思うんです。その時に、思わず知らず、A面を大事に掛けようと思ってる一方で、B面の扱いが雑になった結果、そんなに多く、この曲がオンエアされたとは思えないんですが、音質的には…。そこに指が触っちゃった人たちが歴代にいるわけですよね。その人たちは、それぞれその時代に、その時代のディレクターに怒られたりしたんだろうなと。(…ツッコミどころは、そこですかぁ?!)。

松崎:人に歴史ありでございまして、モノとしての古さがそのまま判るというのも、B面を掛けることの面白みのひとつかなと思います。(閑話休題)海援隊のバンドとしての舵取りという意味でのバランスをとったと言うことも、もちろんあると思います。B面(「踊り子」)を歌っているのは、海援隊メンバーの中牟田(俊男)ですね。

M26「BIGな気分で唄わせろ/ビートたけし」

松崎:1993年の曲でした。このたびNetflixで、大泉洋なども出る「浅草キッド」が制作されるんです。いまも短い予告編が既に公開されていますが、それを見るだけで涙腺が緩むんです。すごいイイ。大泉は、ビートたけしの師匠の深見千三郎を演じるんですが、そのnetflix版「浅草キッド」のテーマ曲が、次の曲です。

松崎:ボクには思うところがあって、2人(ビートたけし、桑田佳祐)は同時期に映画監督をしてるんですよね。片や「稲村ジェーン」、片やたけしが「その男、凶暴につき」で、相前後して映画の世界でメガホンを執って。当然、同じ"スター"がメガホンを執ったということで比較されたりもして、本人たちには全然、不本意な批判のされ方もしたと思うんですが、それが時を経て、お互いに大ベテラン、大御所になって、たけしの若き日の青春を描いた映画のテーマを桑田が歌うというところに、縁(えにし)を感じるんです。

M27「月光の聖者達(ミスター・ムーンライト)/桑田佳祐」

<松崎真人の編集後記>
「BIGな気分で唄わせろ/ビートたけし」ビートたけしが大学からドロップアウトする頃、学園祭でRCサクセションや泉谷しげるのライブを見ていたことは有名だが、おそらくジョン・ベルーシが主演した映画R&B「ブルースブラザース」もリアルタイムで熱心に観たであろうことは想像に難くない。そして、タップダンスなどの芸事修業で鍛えたリズム感。これらが炸裂しているのが本曲。「ソウルフルとはどんなもの?」と聴かれたら、良い一例として挙げたくなるような熱唱だ。(松崎真人)

<11月9日のプレイリスト>
M01「WINDING ROAD/絢香×コブクロ」
M02「チェリー/スピッツ」
M03「卒業写真/ハイ・ファイ・セット」
M04「青春の坂道/岡田奈々」
M05「ヤッターマンの歌/山本まさゆき、少年少女合唱団みずうみ」
M06「恋をするなら/オックス」
M07「愛の伝説/ザ・フィンガーズ」
M08「モーニング・キッス/門あさ美」
M09「とまり木/柴田容子」
M10「午前0時/山根麻衣」

M11「バラ色の日々/THE YELLOW MONKEY」
M12「愛のために/奥田民生」
M13「アジアの純真/PUFFY」
M14「贈る言葉/海援隊」
M15「踊り子/海援隊」
M16「すずめ/増田けい子」
M17「メモリーグラス/堀江淳」
M18「飲もうよ/佐々木好」
M19「想い出を永遠にかえて/Birthday Suit」
M20「The Long And Winding Road/The Beatles」

M21「パラダイス銀河/光GENJI」
M22「Make Up Shadow/井上陽水」
M23「片想い/浜田省吾」
M24「青い花/カラーボトル」
M25「俺の背中に火をつけろ!!/いとうせいこう&TINNIE PUNX」
M26「BIGな気分で唄わせろ/ビートたけし」
M27「月光の聖者達(ミスター・ムーンライト)/桑田佳祐」
M28「Please Mr. Postman/Carpenters」

STVラジオ『MUSIC☆J』(毎週火~金 19:00~22:00)★RCCラジオ生ネット(~21:50)

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MUSIC☆J
放送局:STVラジオ 他1局ネット
放送日時:毎週火曜~金曜 19時00分~22時00分
※放送局によって日時が異なる場合があります。
出演者:松崎真人(まつざき・まこと):シンガーソングライター、選曲家。北海道札幌市出身。1984年ヤマハポピュラーソングコンテストで優秀賞を受賞し、85年「たわいないトワイライト」でデビュー。92年、佐木伸誘とユニット「Birthday Suit」結成。現在はソロでラジオパーソナリティやライブを中心に活動。
番組ホームページ

リクエストメール:mj@stv.jp
twitterハッシュタグ:#musicj 
(番組OA中は、マニアックな話題で盛り上がります)

70年代~90年代の日本のポップス・日本語のポップスを中心に"厳選かけ流し"でお届け。パーソナリティは、北海道出身のシンガーソングライター・松崎真人。音楽への深い造詣と知識に裏打ちされた含蓄あるトーク、選曲の幅広さでリスナーの支持を全国に広げている。松崎の"微妙な滑舌"も病みつきになります!。
★RCCラジオでも同時生放送(~21:50)

※該当回の聴取期間は終了しました。

熊本らしさを全身で感じられる建物「オモケンパーク」とは?

上通にあるオモケンパーク ©RKBラジオ

北部九州・山口災害情報パートナーシップを結ぶコミュニティFM各局とRKBによるコラボ番組『ローカる!』。地域密着のコミュニティFM局のパーソナリティにとっておきの街ネタを紹介してもらう。4月は熊本県熊本市にある「熊本シティエフエム」とのコラボでお送りする。20日の放送では、熊本市中心部のアーケード・上通にある建物「オモケンパーク」を紹介した。(報告:『ローカる!』ディレクター荒木風花)

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