なぜドラッグストアは"一番儲からない食品"を売るのか?9兆円市場支える仕組み

ドラッグストアの食品売り場、いつのまにか広くなったと思いませんか。お店に入るとお弁当とパンが並び、奥には冷凍食品の大きな棚。お米や野菜まで置くお店もあって、もうスーパーと見分けがつきません。じつは食品は、ドラッグストアで扱う商品のなかで、利幅のいちばん薄い商品です。なぜ、いちばん儲からない商品が、売り場の主役になっているのか。9兆円市場の核心について、リサーチャーのcomugiが解説します。

売上の3分の1が、食品になった

経済産業省の統計では、2025年のドラッグストアの販売額はおよそ9兆4,000億円で、前の年より5.5%増えました。そのうち食品は約3兆2,000億円。いまやドラッグストアの売上の3分の1は食品です。お店の数も全国で2万店を超えて、なお増え続けています。

安さも目を引きます。首都圏のドラッグストアで納豆がおよそ60円~70円で売られていました。近所のスーパーでは100円を超えることもある、あの納豆です。売上の6割から7割を食品が占める大型店は、業界で「フード&ドラッグ」、略して「フードラ」と呼ばれています。ドラッグストアの食品の販売額は、この10年でおよそ2.4倍に増えました。ぱっと見はもう、食品スーパーです。

食品は、いちばん儲からない商品

ここで不思議なのは、食品の「儲けの薄さ」です。売った値段から仕入れた値段を引いた、儲けのもとになる部分を「粗利」と言います。大手ドラッグストアの決算資料を見ると、会社ごとに区分は違いますが、食品の粗利率はおおむね15%前後から18%ほど。いっぽうで薬は40%台、化粧品も30%台半ばです。

ざっくり計算すると、100円の納豆を売っても、儲けのもとは15円ほど。同じ100円分でも、薬なら40円以上が残ります。3倍近い差です。しかも食品は、期限の管理があって、重くてかさばって、補充の手間もかかります。普通のお店なら、いちばん儲かる商品をいちばん目立つ場所に置くはずです。ところがいまのドラッグストアは、いちばん儲からない食品を、入り口すぐの良い場所にどーんと並べています。

100年前の教科書「ロスリーダー」

この謎を解くカギは、100年前のアメリカにあります。1922年に出たチェーンストアの経営書に、有名な商品を原価すれすれで売ってお客さんを呼び、ほかの商品で儲ける手法が「ロスリーダー」という名前で載っています。日本語にすると「赤字覚悟の客寄せ商品」。興味深いことに、そこで例に挙がっていたのは、当時のアメリカの大手ドラッグストアチェーン、リゲットでした。

お客さんは、納豆や卵の値段をよく覚えています。そこをぐっと安くしておけば、「あのお店は安い」という印象ができて、毎日来てくれます。そして来たついでに、洗剤や化粧品や薬といった、儲けの厚い商品も買っていきます。安い食品は、いわば呼び水です。スーパーの卵の特売でおなじみのこの手法、100年前の教科書で例に挙がっていたのは、じつはドラッグストアだったのです。

教科書を半分否定した、コスモス薬品

ところが、この教科書を半分否定している会社があります。フード&ドラッグ、略してフードラの代表格、九州発のコスモス薬品です。

コスモス薬品は、日替わりの特売をやりません。ポイントカードもありません。支払いは、ほとんどのお店で現金払いが基本です。それでいて売上はおよそ1兆1,000億円と全国トップクラスで、お店は2026年5月末で1,708店、食品が売上の62.9%を占めます。同社は日替わりの特売をむしろ「おとり販売」と表現する側で、そのかわりに、商品の値段を日替わりで上げ下げせず、毎日同じ低価格で売るのを基本にしています。エブリデー・ロー・プライスと呼ばれる売り方です。

日替わりの特売をやめると、棚の値段の貼り替え作業も、売り場の組み替えもいらなくなり、浮いた人件費を値段に回せます。キャッシュレスを原則入れていないのも同じ理由で、カード会社に払う手数料の分まで値段で返す、という考え方です。廃棄ロスの大きい生鮮三品(魚・肉・野菜)の専門売り場は基本的に持たず、会社の発表では、食品の廃棄は2024年度、食品の売上100万円あたりわずか1.68キロ。安売りのお店ではなく、ムダをそぎ落とすお店なのです。

安さの裏方は物流。お店を1.5キロ間隔で建てる理由

もうひとつ、フードラに欠かせない裏方が物流です。食品は薄利で、重くて、しょっちゅう補充が要る商品なので、トラックが効率よく回れないと、あっという間に赤字になります。

だからコスモス薬品は、お店を同じ地域に密集させて建てます。九州の唐津には、店舗どうしの距離が1.5キロという区間もあるほどです。近くに集めれば、1台のトラックで何店舗も回れて、配送コストが下がります。1店舗あたりの宣伝や販売促進のコストも下がります。これが「ドミナント出店」と呼ばれる、地域を面で埋める戦略です。九州はコスモス薬品、北陸はクスリのアオキとゲンキー、東北は薬王堂、北海道はツルハやサツドラ。ドラッグストアの顔ぶれが地域によって違うのは、各社が自分の地元にお店と配送ルートを密集させて、面で固めているからです。

呼ぶのは食品、稼ぐのは薬

なぜ、いちばん儲からない食品が売り場の主役なのか。答えは、食品が「儲ける商品」ではなく「毎日来てもらう理由」だからです。

洗剤は月に1回、薬は具合が悪いときにしか買いません。でも食品は、毎日買います。だから食品を安く並べておけば、お店が生活の動線に入って、ついでに粗利の厚い薬や化粧品が売れていきます。この業界の方程式を短く言えば、「呼ぶのは食品、稼ぐのは薬」です。もちろん食品も赤字で売っているわけではなく、薄い儲けを、回転の速さとそぎ落としたコストで、きちんと利益に変えています。

ドラッグストアがスーパーみたいになっていくのは、迷走ではなく、設計どおりの進化です。いちばん儲からない商品が、いちばんお客さんを連れてきます。この逆説が、9兆円市場の成長を支える仕組みのひとつになっているのです。

<コムギコ:資本主義をハックしろ!!>
毎日ニュースを100本読むビジネス系VTuberのリサーチャーであるコムギ(comugi)が、日々の経済にまつわるニュースを解説するビデオポッドキャスト。

(TBSラジオ『コムギコ:資本主義をハックしろ!!』より抜粋)

タグ

「お客さんの顔が約20cmの距離で漫才を…」ますだおかだが30年以上前に出演したラジオ番組の思い出を語る

お笑いコンビ・ますだおかだ(増田英彦、岡田圭右)がパーソナリティを務めるTOKYO FMのラジオ番組「サントリーウエルネス presents ますだおかだのココキク!〜心に効くかもしれない話〜」。リスナーから届いた心温まる話や悩み、失敗談など人生のいろいろな壁や転機に、ますだおかだの2人が寄り添い、応えながらリスナーと共感し、ヒントを見つけていきます。

番組では、10月24日(土)と31日(土)の2週にわたり、10月18日に東京・渋谷区立宮下公園の芝生ひろばでおこなわれた「TOKYO FM リスナー感謝祭 in 渋谷音楽祭2026」での公開収録の模様をオンエア! 本記事では、24日放送分の内容を紹介します。


パーソナリティのますだおかだ(左から:岡田圭右、増田英彦)


◆「ココキク!」公開収録の模様をオンエア!

快晴で日差しが照りつけるなか、公開収録の会場となった渋谷区立宮下公園の芝生ひろばには、多くのリスナーが集まりました。パーソナリティのますだおかだが登場し、会場から大きな拍手と歓声で迎えられるなか、増田が早々に「大丈夫ですか? 何人か倒れてません?」と笑いを誘います。

さらに、「座ったほうがラクやったら座ります? なんやったら寝転びます?」と冗談交じりに声をかけると、岡田が「寝転ばんでもええねん。横になると、横のお客さんと膝枕みたいになってまう」とツッコミを入れ、冒頭から2人の軽妙な掛け合いで、会場は笑いに包まれます。


公開収録の様子


◆「スペイン坂スタジオ」でのほろ苦い思い出

続いて、渋谷でのイベントにちなみ、ますだおかだの2人も訪れたことがある「TOKYO FM渋谷スペイン坂スタジオ」(以下、スペイン坂スタジオ)の思い出を語ります。2人が初めてTOKYO FMの番組にゲスト出演したのは、デビュー2年目の32年前のこと。スペイン坂スタジオはガラス張りで、外からスタジオ内を見られる造りになっていました。

そのスタジオで、2人はガラス越しにスタジオをのぞく観客に向けて漫才を披露したそうで、「お客さんの顔が、ガラス越しで約20cmのなかで漫才するんですよ(笑)。しかも、こっちの声は外に聞こえているんですけど、外からの笑い声は聞こえなかった」と増田が当時の状況を説明します。

続けて、「しかも、僕の前にいるおっちゃんが全然笑わなかったんです。そのときのおっちゃんが、あの方ということで……」と観客に語りかけ、会場から笑いが起こります。


パーソナリティのますだおかだ・増田英彦


◆リスナーメッセージを紹介!

番組中盤では、10月のマンスリーテーマ「私のA面B面」に寄せられたリスナーからのメッセージを紹介しました。そのなかで、「A面は普通の大学生で、B面は“親父”です。父と毎日晩酌をして、スルメ食べながら父が語る会社の愚痴を聞くのが最高です」といったエピソードを取り上げると、2人とも「ええ子やな~」と顔をほころばせます。

そこから話題は、それぞれの父との思い出話に。岡田の父はお酒好きだったそうで、増田が「岡田さんの実家が駄菓子屋さんで、子どもがいっぱい来てるなか、奥のほうで飲んではったな」と当時を振り返ると、岡田もうなずきつつ「俺と違って親父は口数が少なかったから、ほぼそんな会話してへん」と明かします。また、増田の父も無口でお酒を飲まない人らしく、父と酒を酌み交わした思い出がないと言います。

そんななか、岡田が「たまに、父と息子で酒を飲むエピソードとか、よく聞くやん。あんなん最高やと思うで」としみじみ語ると、増田も「酒を飲まない人も、とりあえず、『20歳になったら居酒屋さんに行こう』って、子どもが小さい頃から約束しておくほうがええかもしらんな。ちょっと勉強になったわ」と新たな気づきを得た様子でした。

◆NHKではハリセンが使えない!?

「ふつおた」のコーナーでは、リスナーのメッセージをきっかけに、岡田がハリセンを使ったツッコミにまつわるエピソードを披露。「後輩のアメリカザリガニ・柳原(哲也)は、大喜利のコーナーがあったら大きいハリセンを持つねんけど、NHKでは『ハリセンで人の頭を叩くのをちょっとやめてください』と。NHKは、もうハリセンを使ったらあかんねん」と語り、増田や観客を驚かせます。

さらに岡田は、「その結果、柳原は小さいハリセンを用意して、自分の膝を叩いてた(笑)。そんな寂しいことあるか?」と苦笑。かつては定番だったハリセンを使ったツッコミも、時代とともに変わりつつあることを嘆きます。


パーソナリティのますだおかだ・岡田圭右


そして、エンディングでは、長年ともに活動してきたからこその2人だけで話すことへの照れくささや、隣で何度も聞いてきた「相方の鉄板エピソード」の裏話も飛び出し、終始笑いに包まれたイベントとなりました。


公開収録の様子



----------------------------------------------------
この日の放送をradikoタイムフリーで聴く
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。
----------------------------------------------------

<番組概要>
番組名:サントリーウエルネス presents ますだおかだのココキク!〜心に効くかもしれない話〜
放送日時:毎週土曜 11:00~11:25
パーソナリティ:ますだおかだ(増田英彦、岡田圭右)
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/masuoka/
番組公式X:@kokokiku_tfm

Facebook

ページトップへ