掘るにも、守るにもお金がかかる 文化財を支える現場

円安や物価高の影響が、意外なところにも出ています。日本の研究チームが海外で続けてきた発掘です。イタリアで20年以上、古代ローマの遺跡を調べている東京大学のチームも、調査は続けているものの、資金難に直面しています。

なぜ日本の大学がイタリアを発掘?

どんな遺跡で、なぜ日本の大学が調べているのか。調査の責任者を務める、東京大学大学院・総合文化研究科村松眞理子教授に聞きました。

東京大学大学院・総合文化研究科 村松 眞理子教授

2002年以来、東京大学が調査、発掘をしているんですけど、古代ローマの大きな建築物が埋まっているところを発掘して調査しています。日本との関わりということでも、やはり災害の問題です。ある地域が、繁栄に向かっていく、それが一旦、破壊される、災害によって。それがまた改めて復興することができた。だから、何か完全なサイクルというものが、地面の下にパッケージされている。災害考古学という観点で、日本から遠いところにありますけど、私たちにとって非常に重要な情報源になる。それは日本の災害の問題、歴史を明らかにしていく上でも、非常に大事な研究になりうるというふうに思っています。

災害考古学とは、遺跡に残る痕跡から、昔の災害や、その後の復興を調べる研究です。調査の場所は、噴火によって古代ローマの町・ポンペイを埋めた火山の北側のふもと、「ソンマ・ヴェスヴィアーナ」という遺跡です。

〈国際研修学生の作業の様子。床モザイクをきれいにお掃除〉

火山の多い日本でも、災害と復興を考える手がかりになるといいます。地面を10メートル以上掘ったところでは、2000年ほど前の建物も見つかっています。初代ローマ皇帝・アウグストゥスが最期を迎えた場所だった可能性があり、今、その建物の用途や、誰のものだったのかを確かめる調査が進んでいます。

〈発掘作業は現地作業員や現地学生たちと協働で行っています〉

研究費削減で、発掘現場に影響?

ところが今年は、そもそも発掘そのものができない可能性がありました。その要因が、冒頭にも触れた、円安・物価高。現地までの移動費や、固い土を掘る重機を動かす燃料費が高騰しています。そして、それ以外にも、根本的な要因があります。再び村松教授に聞きました。

東京大学大学院・総合文化研究科 村松 眞理子教授

今、私たちの研究・教育が置かれている状況というのがあります。文教予算というのは、今までも少しずつ少しずつ削られてきたというのが現状で、特にこの3年は非常に大きな削減というものがかかっていまして、いきなり20%、その前の年よりも削減。ですから100万円のものが80万円になるのが、1年、2年続いたらどういうことになるか。滞在期間は数年前よりも短くならざるを得ません。あと、重機を使ってするような土木的な、そういう作業については、作業員さんの数はもう半分にしています。

背景にあるのは、2004年の国立大学法人化です。各大学が自律的に経営していくことが求められ、国から支給される交付金が減り、それによって年々、個々の研究費が減り円安・物価高も追い打ちをかけて厳しい状況が続いています。こうした中、村松さん達のチームは緊急で寄付を募ったところ、3000万円が集まり、今年は何とか調査を実施できたそうです。

〈国際研修学生の作業の様子。現地の学生さんたちと協働で〉

今年集まった寄付金は、現地での滞在費や調査費、分析の費用、それに現地の作業員に来てもらう費用などに使われました。ただ、資金難が解消したわけではありません。寄付のほかにも研究費の確保に努めていますが、来年も調査を続けるには、 今年と同じくらいのお金が必要になる見込みです。

十分に確保できなければ、20年以上かけて、ようやく見えてきた建物の正体を、最後まで確かめられない可能性があります。東京大学基金では、今もこのプロジェクトへの寄付を受け付けています。

寄付だけで文化財を守れるのか?

寄付の用途は、発掘そのものに関することだけではなく「出土品の保管」の費用も含まれています。保管には光熱費や人件費、外部に預ける場合は保管料もかかります。これは、村松さん達の研究に限ったことではなく日本全国の発掘現場で増え続ける出土品についても、どう保管するかが課題になっています。そこで、出土品の整理や保管を支援するNPO法人文化財保管活用支援機構理事長岡村真由さんに今回の東大のチームのような寄付による資金調達についての受け止めを聞きました。

NPO法人文化財保管活用支援機構 理事長 岡村 真由さん

寄付っていうのは、非常に重要なことだと思っているんです。ただ、寄付は景気とか関心とかによってどんどん変動していくものだと思うんです。一方で文化財の保管っていうのは50年とか100年とか未来永劫続くというふうに思いますので、そうなってきますと、一時的に発生する寄付というのが、なかなか保管だけに充てるっていうのは、難しいことなのかなと思っていまして。毎年必ず発生する基礎的な保管費っていうのは、寄付だけに依存するのは難しいのかなと。この土台っていうのはやはり公的なもので支えて、寄付や企業支援で活動を広げる方に使うっていうのが現実的なのかなというふうに思っています。

〈狭い考古資料保管庫イメージ〉

岡村さんによると、アメリカやオランダでは、出土品を発掘後に一定期間保管することを制度として明確に扱っているそうです。しかし日本は、発掘調査自体の歴史が浅いので、保管に関してまだ発展段階。これから考えていかなくてはならないところが多い、と指摘していました。

(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』より抜粋)

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辛坊治郎、EV補助金の副作用を指摘 中古EVの輸出増で「希少金属が海外に流出」

飯田浩司、増山さやか、辛坊治郎

辛坊治郎が22日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送『辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!』に出演。EV(電気自動車)の新車を購入する際の補助金の“副作用”を指摘した。

経済産業省は現在、環境性能の高いEV(電気自動車)などの新車を購入する際、EVは最大130万円(軽EVは最大58万円)、プラグインハイブリッド車は最大85万円、燃料電池車は最大150万円の補助金を設けている。昨年度の補正予算で確保した1100億円が上限だが、想定を上回る申請によって予算が不足する恐れがあるため、同省は補助金の減額を決定。来年1月から、補助額を減らすと発表した。

この補助金について辛坊は、購入を後押しする効果がある一方で「補助金って、いろんな、実は見えない悪影響もありまして」と、中古車市場に及ぼす“副作用“に言及。辛坊は、補助金によって新車の実質的な購入価格が下がり、中古車の価格面での魅力が薄れるという構造を指摘。中古EVを買うよりも、補助金を利用して新車を買った方が安くなるケースがあると説明。「新車買った方が安いじゃんって話になって、わざわざ中古の電気自動車を買う人いませんから、国内でダブつきますよね」と述べ、国内で売れにくくなった中古EVが輸出に回るとした。

さらに、「電気自動車っていうのは希少金属の塊だったりなんかするわけです」と指摘。中古EVを、国内に資源が蓄積されているものとして捉え、「せっかく日本国内に大量に備蓄されている、つまり中古車の形で備蓄されてる希少金属みたいなものが、海外にガンガン流出していくきっかけになっちゃう」と、補助制度が資源の海外流出につながるという見方を示した。

また、補助金の減額によるメーカー間の競争の変化についても言及。購入時の補助が縮小すれば、車そのものの性能と価格がより問われるとして、「車本来の実力勝負になりますから。実力と値段の勝負になりますから」と語った。新車の販売促進に加え、中古車の流通や資源の行方まで目を向ける必要があるという辛坊。「この手のニュースは、やっぱりちょっと複眼的に、多面的にものを見ないと、なかなか本当のことが見えてこない」と強調した。

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