草彅剛「新しい扉が開いたのかもしれない」 映画『ミッドナイトスワン』の役作りを語る

9月28日(月)のTOKYO FM『THE TRAD』に、草彅剛さんがゲスト出演! 主演映画『ミッドナイトスワン』の撮影裏話やギターでの弾き語りで、パーソナリティ・稲垣吾郎さんと盛り上がりました。(TOKYO FM『THE TRAD』9月28日(月)放送分)

草彅剛主演映画『ミッドナイトスワン』、周りからの反応は?

架空のレコード店『THE TRAD』を舞台に「上質な音楽を、じっくり味わう。」がコンセプトとしてお届けするTOKYO FM『THE TRAD』。9月28日(月)のパーソナリティは、店長・稲垣吾郎さんと専属店員のアシスタント・吉田明世さんです。

ゲストに草彅剛さんが来店し、9月25日(金)公開の草彅さんの主演映画『ミッドナイトスワン』の反響について語りました。

草彅:いや、本当に吾郎さんも含め(香取)慎吾ちゃんも含め、長年(一緒に)いると、本当に良かった時と大したことなかったなっていう時が分かるんですけど、今回は本当に心底良いなと思ってくれてるのが凄く伝わってくる映画なので。だから僕も結構照れくさくてね、吾郎さんに褒められたら「あ、そう」って返しちゃったんだけど。

稲垣:そう、なんかすごく冷たかったよ。

草彅:実はめちゃくちゃ嬉しくて。なんか褒められると照れくさいじゃないですか。

稲垣:まあまあ、それはあるよね。

草彅:でもなんか、すごく素直に受け止めようと思って。

稲垣:香取くんなんか、これを観て「自分は俳優を辞めようか」と思ったくらいっていう。そのくらい衝撃というか僕らにも影響を与えてくれたんですけど。

役作りは自然体? 草彅「やりすぎちゃうとちょっとクサくなっちゃうな」

映画『ミッドナイトスワン』でトランスジェンダーの凪沙を演じた草彅さんが、役作りの上でこだわった事を語りました。

草彅:脚本もエネルギーというか、読んだ時に凄く溢れ出るものがあって、僕も実際に涙してしまって。読み終えた後、とても難しい役だなと思ったんですけけど、それよりとにかくこの作品に関わりたいみたいな気持ちが強くて、その気持ちが役を作っていったというか。直感であまり(役作りを)やり過ぎちゃうとクサくなっちゃうなと思ったんですよ。

稲垣:そっか。まず形から入っちゃうよね。どうしても配役ってね。「喋り方どうしよう」とか。

草彅:それこそ研究しないと本当はいけないだろうけど、なんかやりすぎちゃうとちょっとクサくなっちゃうなって思って。極力何もしないような事を意識して。そうするうちに、現場にもトランスジェンダーの方が多かったので、自然となんか本当に、自分でもどういう風にやったか分からないっていうか、本当にあの時だから出来た役だなあと思ってます。

稲垣:でも結構、草彅くんは昔コントとかやってても、僕とか香取君とかは女性の役とかやってたりしたんだけど。「意外と俺、そういうの苦手なんだよ」って言って、「慎吾とか吾郎さんはやるけど、僕は女装とかあまり得意じゃない」って自分で言ってたのを僕は覚えていて。特に女性を演じるのはコントとは違うけど、最初は結構いろんな葛藤があったのかなあって。僕はそんな事を思いながら観ちゃったんだけど。

草彅:そうだねえ。そこも、もしかしたらどこか自分の中で吹っ切れて、新しい扉が開いたのかもしれない。

稲垣:そうだよねえ。僕なんかでもこれだけ(一緒に)何十年もいて、見た事ない姿ですから。表情もそうだし。

草彅「昔の経験に感謝しなきゃいけない」

共演者の真飛聖さんや、監督の内田英治さんから「普段通りだった」という撮影現場での評価を受けて、草彅さんがオンオフの切り替え方について語りました。

草彅:やっぱり、周りの方が作ってくれるのがほぼというか。もちろん自分が演じるので心掛けっていうのも大切だと思うんですけど、やっぱり一人で作るものじゃないじゃないですか。だから普通でいられるっていう状況は、僕もスタッフの方を信頼していると思うんですよね。そういう事もあるし、映画って舞台じゃないから時間もあるし。ダメだったらもう1回できるっていう保険っていうか、そういう安心もあるんだよね。

稲垣:ちょっとフラットな自分がいないと、やれないよね? そんなにずっと撮影ってね。常にやっぱりオフとオンを切り替えていかないと。

草彅:いい具合に本当に抜けてるっていうか、ほわぁっとした感じで、本当に難しい役ではあったんですけど、抜いて出来たっていうか。

稲垣:抜いて出来る時って1番だよね、俳優さんって。自分で何かしようとしていないのに。舞い降りてくるじゃないけど、気付いたら終わってるみたいな。こういう感覚って分からなくもない。良い時ってそうだよね?

吉田:それはやっぱり、役柄とか作品との相性っていうのもあるんでしょうねえ。

稲垣:でも、オンとオフの事よく言わない?「草彅くん、結構急にスイッチ入る」とかさ。芝居しててもさ。どっからスイッチ入ったのかなって思う事って。不思議だよね。監督も言ってたんだけど、気付くとセットの中で普通にリラックスしてYouTube観てたとか。

草彅:でも、それはやっぱり吾郎さんもそうだけどさ、やっぱり若い時からやってるからね。普通の役者さんじゃないじゃないですか、僕たちって。ステージに小さい時から立たされて。

稲垣:いろんな事やらなきゃいけなかったからね。

草彅:それでなんか自然にスイッチが切り替わったりするのかなあ。

稲垣:切り替え上手だよね。わりかし自分たちって。周りが心配するよね。

吉田:切り替えが上手過ぎて?

草彅:そうそう。だから、それはやっぱり昔の経験に感謝しなきゃいけないっていうか。

稲垣:そうだね。こないだ、黒沢清監督も言ってたもん。「草彅くん、難しいセリフだったから楽屋に心配だから見に行ったら寝てて」。

草彅:ああ、そっかそっか。懐かしい。『降霊』という役者さんのやつ。

吉田:そういうのって、昔から積み重ねてきた訓練で出来上がったものなのかもしれないですね。

稲垣:そんな僕から見ても、彼のスイッチの切り替えって凄いと思っちゃうから。

草彅:いやいや、吾郎さんだって凄いじゃないですか。(稲垣さんの主演舞台『No.9-不滅の旋律-』)ベートーヴェンですよ。吾郎ベートーヴェンですよ。

稲垣:あれ? ちょっと馬鹿にしてますか(笑)。

草彅:へへ、してない(笑)。

オリジナルソングも披露!

ギターを持参して出演した草彅さんは、オリジナル曲「ヒステリックごろち」や「俺の歌がきこえる」、そして即興ソングをスタジオで披露し、終始和やかな雰囲気で盛り上がりました!

THE TRAD
放送局:TOKYO FM
放送日時:毎週月曜~木曜 15時00分~16時50分
出演者:稲垣吾郎、吉田明世 ゲスト:草彅剛
番組ホームページ
公式X

Twitterハッシュタグは「#THETRAD」

※放送情報は変更となる場合があります。

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亡き親友との約束胸に「スタジアムを応援フラッグでいっぱいにしたい」

プロ野球をはじめ、先日のメジャーリーグ開幕戦、そしてサッカーのJリーグでもよく目立つのが、巨大なフラッグによる応援です。今回は、このスポーツ応援に欠かせないビッグフラッグを染め上げている男性のお話です。

影山洋さん

それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。

日本一小さな市・埼玉県蕨市に、一軒の工房があります。有限会社染太郎、スポーツの試合で現れる大きな旗を作る会社です。トップは、影山洋さん、昭和30年生まれの69歳です。

蕨出身の影山さんは、小さい頃は空き地で友達とサッカーボールを蹴ったり、お小遣いがたまると後楽園球場へ行って、王さん・長嶋さんの野球を見て育ちました。そして、百貨店で催事のお知らせをする巨大な垂れ幕を作る会社に勤めます。

仕事に脂がのってきた30代のある日、影山さんは小さい頃のサッカー仲間で、当時の読売クラブに在籍していた奥田卓良選手から、こんな話を聞きました。

「今度、日本でもサッカーのプロリーグが始まるんだ。絶対応援してくれよ!」

「だったら、ヨーロッパみたいに、おっきな応援フラッグを作って、応援するよ!」

影山さんがそう答えて迎えた1993年5月15日のJリーグ開幕の日。国立競技場の熱狂の渦のなかに、奥田さんの姿はありませんでした。奥田さんは不慮の交通事故で、Jリーグを見ることなくこの世を去っていたのです。

『奥田との約束を守るためにも、日本のスタジアムを応援フラッグでいっぱいにしたい!』

そう思った影山さんは、会社勤めを辞め、自ら応援フラッグを作る会社を興します。地元・埼玉の浦和レッズの熱いサポーターたちとつながると、話が盛り上がって、今までにない幅50メートルのビッグフラッグを作るプロジェクトが始まりました。

影山さんが手掛けたビッグフラッグの数々

参考になったのはもちろん、影山さんが長年培ってきたデパートの垂れ幕のノウハウ。パソコンもあまり普及していない時代、設計図を元に1枚1枚刷毛で塗る手作業でした。ただ、ビッグフラッグを作っても、出来栄えを確かめられる広いスペースもなければ、対応してもらえる競技場もありませんでした。

ようやく人前で披露できる環境が整ったのは、2001年のJリーグ・レッズ対マリノス戦。埼玉スタジアム2002のこけら落としの試合でした。影山さんたちがドキドキ見守る中、ピッチに大きく真っ赤なフラッグが広げられると、スタンドからは「オーッ!」と地鳴りのような歓声が沸き上がりました。

翌日から、影山さんの会社の電話は、様々なチームからの問い合わせで鳴りやまなくなりました。

「私たちもレッズみたいな、熱い応援をしたいんです!」

数ある問い合わせの中に、情熱のこもったメッセージを届けてくれた人がいました。それは、プロ野球・千葉ロッテマリーンズの応援団の方々でした。影山さんは、競技の違いを乗り越えて、新しい応援スタイルが広まっていくことに、喜びを感じながら、さらに大きい幅75メートルものビッグフラッグを作り上げました。

このフラッグが、千葉・幕張のスタジアムの応援席に広げられると、今度はプロ野球チームの関係者からの問い合わせが相次ぎました。こうしてサッカーではレッズ、野球はマリーンズから始まったビッグフラッグによる応援は、今や多くのスポーツに広まって、当たり前の存在になりました。

蕨市の盛り上げにも活躍する影山洋さん

そしてこの春、影山さんは、東京ドームで行われたメジャーリーグのカブス対ドジャースの開幕戦でも、大役を任されることになりました。それは、初めての国旗。試合開始前のセレモニーで使われる、幅30メートルの日の丸と星条旗の製作でした。

国のシンボル・国旗に汚れを付けたり、穴を開けたりすることは決して許されません。3月10日に納品した後も、影山さんは毎日毎日東京ドームに通って、抜かりのないように、細心の準備をしました。そして、メジャーリーグ機構の厳しいチェックもクリアして、開幕当日を迎えます。

ベーブ・ルースから大谷翔平まで、日米の野球・90年の歴史の映像が流れて、無事に大きな日の丸と星条旗が現れると、影山さんも胸が熱くなりました。

『あの王さん・長嶋さんが躍動した後楽園球場を継いだ東京ドームで行われる、かつてない野球の試合で、自分の本業で関わることが出来ているんだ!』

そして、このメジャーリーグ開幕戦の興奮も冷めやらぬなか、今度はサッカーの日本代表が、8大会連続のFIFAワールドカップ出場を決めました。実は影山さんには、まだまだ大きな夢があります。

「いつか、サッカー日本代表がワールドカップの決勝戦を迎えた日の朝、富士山の近くで、おっきな富士山をバックにおっきな日の丸を掲げて、選手にエールを送りたいんです!」

亡き親友への思いを胸に生まれた、日本におけるビッグフラッグによるスポーツ応援。その応援文化のパイオニア・影山さんの夢は、きっと叶う日が来ると信じて、さらに大きく膨らみ続けます。

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