「わかるわかる」「そうだよね」…究極の共感ラジオ『JUNK おぎやはぎのメガネびいき』

人を傷つけない、嫌な気分にさせない笑いが求められる昨今。コンビ仲が良く、お互いを褒め合う芸風で人気のおぎやはぎは"優しい笑いの先駆者"といっても過言ではないでしょう。
そのおぎやはぎが、TBSラジオで長きにわたってパーソナリティを務めているラジオ番組が『JUNK おぎやはぎのメガネびいき』。本記事では、おぎやはぎの経歴や番組の歴史を改めて紐解きつつ、最近の放送でのエピソードをピックアップして番組の魅力をご紹介します。
とことん褒め合う"脱力系漫才"で注目を浴びたお笑いコンビ
おぎやはぎの"変わらない"が魅力の「沼ラジオ」 TBSラジオ『JUNK おぎやはぎのメガネびいき』
『JUNK おぎはやぎのメガネびいき』主な人気コーナーを紹介
『JUNK おぎはやぎのメガネびいき』最近のイイ話集2022
とことん褒め合う"脱力系漫才"で注目を浴びたお笑いコンビ
東京生まれ、そして高校の同級生だった小木博明さんと矢作兼さんは、社会人生活を経て1995年にコンビ「おぎやはぎ」を結成。『M-1グランプリ』では、Wメガネとマイペースで物腰の柔らかい脱力系漫才で大きなインパクトを残し、第1回(2001年)で決勝10位、第2回(2002年)で4位を記録するなど注目を集めました。過去にはバナナマンとのユニット「宇田川フリーコースターズ」や、バナナマンとラーメンズとのユニット「君の席」などでライブを開催し、チケットは即完売になったことも。
テレビでは、番組開始から劇団ひとりさんとともにMCを務める濃厚なお笑い番組『ゴッドタン』(テレビ東京系)を始め、『天才!!カンパニー』(日本テレビ系)や『おぎやはぎの愛車遍歴 NO CAR, NO LIFE!』(BS日テレ)、『ポップUP!』(フジテレビ)、『ハピキャン』(メ~テレ)など、多数の情報・バラエティ番組に出演。ラジオでは『おぎやはぎのメガネびいき』(TBSラジオ)で深夜ラジオ番組のパーソナリティを15年以上担当しています。
おぎやはぎの"変わらない"が魅力の「沼ラジオ」 TBSラジオ『JUNK おぎやはぎのメガネびいき』

おぎやはぎがパーソナリティを務める『おぎやはぎのメガネびいき』は、2006年10月にTBSラジオの深夜番組『JUNK』の金曜JUNK枠で放送がスタート。1時間の録音放送だった『JUNK ZERO』火曜枠(2008年9月~2010年4月)を経て、2010年4月には現在の木曜JUNK枠へと移動し、再び生放送のスタイルに。2022年2月3日の放送で通算800回を迎えました。
番組では、リスナーらしいリスナーを「リソナー」、典型的なモテないリスナーを「クソメン」、「クソガール」と呼ぶのが定着しており、俳優・綾野剛さんや歌舞伎俳優・尾上右近さんらが「クソメン」であることを公言。番組公式のオフィシャルブック「めがね」では、綾野さんが「刹那な文学を感じる番組」と語っています。
Twitterハッシュタグは「#meganebiiki」
※放送情報は変更となる場合があります。
2012年2月23日には、アニメ『魔法少女まどか☆マギカ』の主要キャスト陣が出演したスペシャルウィーク企画『魔法小木おぎか☆オギダ』を放送。"裏のライオン"と称して話題にすることも多い同時間帯の裏番組『ナインティナインのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)の聴取率を上回り、『UP'S〜Ultra Performer'S radio〜』(1995年10月~2000年4月)時代も含めて、初めて木曜日の同時間帯トップを記録したことが大きな話題となりました。2014年9月には矢部浩之さんの『オールナイトニッポン』卒業を受け、『ナイナイANN』第1期最終回では局の垣根を超えて、お互いにリスペクトの気持ちを示し合ったやりとりが深夜ラジオの伝説的なエピソードとして語り継がれています。
おぎやはぎの持ち味である穏やかでのんびりしたトークは、開始当初から今も変わらず。高校の同級生で会社務めをしていたときも、お互いに励まし合っていた間柄の2人。ドキッとするような鋭い発言もたまに飛び出しますが、コンビ仲の良さと2人が醸し出す心地よい雰囲気が、ふんわり包み込んでマイルドにしてしまいます。番組開始から15年以上が経ち、芸人としてのキャリアと実績を重ねて唯一無二の立ち位置を確立。プライベートでもお互いに家族も出来て、ますますトークの面白さに深みが増しています。
『JUNK おぎはやぎのメガネびいき』主な人気コーナー紹介
たぶんたぶん
自分では体験したことがないけど、「たぶんあるあるだろうな」と思うことを想像して送るコーナー。矢作さんが発掘したラップユニット・chelmicoがゲスト出演した際は「ラッパー」をテーマに、「あるある」か「たぶんたぶん」なのかをchelmicoにネタをぶつけてジャッジ。「パーカーをよく着ている」、「渋谷を宇田川町と言う」などレベルの高いネタが多数寄せられ、大いに盛り上がりました。
小木ゆっくり言葉
小木さんが「早口言葉をゆっくり言う」という脳トレに挑戦するコーナー。芸能人の名前を巧みに入れ、思わず笑ってしまう仕掛けがたっぷり盛り込まれた、オリジナルの早口言葉をゆっくり読んでいく小木さんに癒やされます。おぎやはぎも感心するネタの高いクオリティにも注目です。
ネットで調べました
テーマに沿った「本当にネット上に存在する情報」を出典とともに送るコーナー。今まで「小木博明」や「初代ウルトラマン」、2022年6月16日放送分にゲスト出演した照英さんを取り上げてきました。リスナーから寄せられた情報から厳選し、最も報告が少なかった唯一無二のネット情報だけを紹介しています。
週刊おぎやはぎ批評
リスナーから寄せられた番組への意見や要望を紹介するコーナー。より良い番組作りによる放送文化の向上を目指し、パーソナリティであるおぎやはぎへ自己批評を促すのが目的です。先日急逝したTBS・升田尚宏アナウンサーが2010年のコーナー開始時からナレーションを担当し、別部署へ異動した後も継続していました。2022年6月16日放送分では、おぎやはぎが升田アナに追悼の言葉を述べました。
『JUNK おぎはやぎのメガネびいき』最近のイイ話集2022
矢作、EXIT・兼近の『24時間テレビ』チャリティーランナー選出を予言していた!?(2022年6月2日放送)
番組中、2022年の『24時間テレビ45』(8月27日・28日放送、日本テレビ系)のチャリティーマラソンに、EXIT・兼近大樹さんがランナーとして選出されたことが取り上げられました。2018年9月29日放送の『ゴッドタン』では、矢作さんが兼近さんに「来年の『24時間テレビ』走ってるかも」と発言しており、SNSでは予言が見事に的中したと話題になりました。過去には『クイズ正解は一年後』(2020年12月30日放送、TBS系)で、長谷川京子さんの離婚を予言し的中させた矢作さんですが……。
小木:確かにそんなことを言ってたね。何年後かにね、(兼近が)あまりにも華があってさ、「これ一気に売れるよ」って話になって。それで「来年(『24時間テレビ』)に出てるかもしれないね」って言ってた。
矢作:言った、そんなこと? それは憶えてなかったけど。(写真を渡されて)ほんとだ~。すごい、俺ちゃんと言ってるんだ、そんなこと。
小木:2019年(※実際は2018年)だから、3年遅れで。兼近なんて走れるだろうよ、普通に。若いし、兼近が走ってまず何が感動するの?
矢作:チャラいからだよ。
小木:チャラいからなの? あのしっかりした喋りしてちゃんとした人だよ? 見た目だけじゃん。
矢作:見た目がチャラいけど、しっかりしてるというキャラを俺たちは知ってるし、もちろん知ってる人も今や多いけど、やっぱり『24時間テレビ』を見るような、老若男女いろんな人が見るわけよ。そういう人たちからすると「うわぁ、こんな見た目の人が一生懸命頑張って……」。
小木:そっか、知らないおじいちゃんおばあちゃんがコメントするか。
矢作:で、また良いコメントするでしょ。感動することもちゃんと言うでしょ。あいつはすごいやつだ。
小木:いや、上手いんだよなあ。惹きつけ方がさ。
小木さんは、お笑い芸人が『24時間テレビ』のチャリティーランナーを務めることが多いと自らの見解を示し、矢作さんはおぎやはぎのチャリティーランナーについての妄想と構想をどんどん膨らませていきました。
矢作:来ねえなあ、やっぱ『24時間』のなあ。走るやつ。
小木:だって、絶対出ないからじゃない? 俺らは。
矢作:いや、そんなことないよ。小木と矢作のリレーって、やっぱいいだろ?
小木:いやいやいや(笑)。
矢作:たすきの代わりにメガネを渡してさ。
小木:よく見えないし(笑)。
矢作:だから小木のメガネをかけて、うまく走れないっていうボケも出来るだろう?
小木:出来るけど(笑)。いやでも、ちょっとねえ……。
矢作:ボケちゃいけないのか。
小木:ボケちゃいけないんだよ(笑)。だからちょっとねえ、厳しいよ。俺は無理だよ、24時間走るなんて。絶対できない、もうそんなこと。最初から断らせていただきます。
おぎやはぎ、クソメン・クソガール同士の結婚に歓喜!(2022年6月23日放送)
2022年3月に入籍し、7月に結婚式を控えた夫婦からのメールが紹介されました。番組公式のオリジナルグッズ「クソメン・クソガールキャップ」をきっかけに交際へ発展したことが綴られており、おぎやはぎもこの報告に嬉しさをほとばしらせて……。
小木:やっぱり、ああいうグッズを作っておいて良かったねえ。こういう出会いもあるからさ。グッズを作ってなかったら出会えてないんだから。
矢作:写真を送ってきてんじゃん。
小木:すげえ。「じゃい」みたいじゃん。
矢作:インスタントジョンソンの?
小木:いい2人じゃん。なによ~。
矢作:お似合いのカップルですね~。
小木:楽しそうだなあ。若くて。
矢作:いいなあ、いいじゃないの!
小木:おめでとう、おめでとう! 最高だよ。
矢作:すごいおめでとうだ! 2人がクソメン・クソガールだから。こういうカップルがいるなんて嬉しいねえ。
小木:こうやって恋愛が成功している人もいるからさ。クソメン・クソガールキャップをみんな被ろうよ。
矢作:被った方がいいね。話しかけるきっかけになるからね。
小木:前からよく言ってたんですけど、本当にその通りになったもんね。「きっかけになるから被った方がいいよ」って。
矢作:どんどん出していかなきゃいけないんだな。クソメン・クソガールキャップの新作をね。
小木:そうそう。リスナーがねえ、結構おしゃれな人が多くてね。いいよね。こういう出会いが増えそうで。作っていきましょうよ、これからも。
矢作:なんせ、おめでとう。
小木:なんせだよ。「なんせ」っ言ってるんだからね。
矢作:たぶん上手くいくよ。ラジオが共通点っていうのはね、まあうまくいくだろうね。
小木:同じ趣味っていうのも割と良いんだよ。
「すごいよね」、「そうだよね」、「わかるわかる」……。トークの中に相手を褒める、受け入れる、共感する言葉が多いのが、おぎやはぎ一番の特徴であり、魅力です。人を傷つけない笑いが求められるずっと前から、優しい時間を提供してきたおぎやはぎだからこそできる神トーク。そんなおぎやはぎが生み出す、ひたすら心地良い時間に身を委ねてみませんか。
この記事を書いた人

高田りぶれ(たかだ・りぶれ)
山形県生まれ。ライターなど。放送作家のキャリアを生かし、テレビ・ラジオ番組のおもしろさを伝える解説文を年間150本以上執筆。趣味は観ること(プロレス、サッカー、相撲、ドラマ、お笑い、演劇)、遠征、料理。