2021年によく聴いた楽曲、一番印象的だったライブを振り返る!

FM802「MIDNIGHT GARAGE」は2月のマンスリー企画として毎年恒例の「音楽シーン大予想座談会」を毎週オンエアしていきます。
メンバーは昨年までと同じく、関西のレコードショップ、イベンターの中から、FLAKE RECORDS DAWAさん/ HOLIDAY RECORDS 植野さん/タワレコNU茶屋町店邦楽バイヤー 浦野さん / キョードー大阪 神戸さんの4名とDJ土井コマキで。

2月7日の放送では「2022年音楽シーン大予想座談会」1週目。まずは昨年の振り返りからです。

2021年によく聴いた楽曲振り返りその①

土井:まずは2021年、昨年の振り返りから。

DAWA:印象的だった楽曲はPaledusk(ペイルダスク)というバンドの楽曲「WIND BACK」ですね。
何年か前から知っていたバンドでしたが、ラウド寄りのバンドで気になっていて、昨年出たこの楽曲に驚きました。
情報量がものすごく多くて。海外を見てもここまでやっているバンドはいないかなと思います。
ライブも見に行って改めて「すげーな」と思いました。福岡のバンドです。これから日本を飛び越えて世界に向けても発信できそうな、すごいバンドだなと思います。

植野:あまり知らなかったですが、すこしライブ界隈で話題になっていましたね。聴いてみたら確かにかっこいいな、と。

DAWA:いわゆるヘビーロックですが、クラブの音楽やヒップホップの要素と混ぜている感じがして。そこまでは他のアーティストにもいますが、「ここまでできるか!」と。もともとラウドな楽曲が好きなのもあって刺さりましたね。

浦野:確かにライブ映像を見てみましたが、すごいなと思いましたね。

DAWA:デジタルのリリースしかないのでお店としての接点はまだありませんが、バンドつながりで実際に会うこともあり、すごく若いバンドなので今後もどんどん楽しみですね。

土井:植野さんはどうですか?

植野:僕が印象的だったのは、DYGLの「Half of Me」ですね。

DAWA:いい曲ッ!

植野:今までのDYGLの音はUK寄りだと感じていたんですが、このアルバムが出る前から少しUS寄りの音だなと思っていて。

Pavementとかを思い浮かべるような楽曲がシングルで出ているなと思っていましたが、この楽曲はさらにアッパーなUSサウンドというか。今までとイメージが変わったのを感じました。彼らのインタビューを読んでも「ポップパンクをイメージした」と語っていて。

僕の好きなイギリスのBeabadoobeeというアーティストが出した「Last Day On Earth」という楽曲の、海外のテレビ番組での演奏の様子が90年代後半から2000年代初頭をイメージするような映像だったんですが、DYGLのアルバム全体の感じが、それと重なるような印象を受けました。US寄りのキャッチ―でシンプルなギターロックというか。彼らのファッションにも2000年代のストリートの要素を感じました。海外のアーティストとのシンクロを感じますね。

DAWA:彼らはそもそもリスナーとして、すごくよく音楽をキャッチしていますし、変化することを悪いことと思わず、今やりたいことをやっている感じがしますしね。このアルバムめっちゃいいですよね。

土井:キャッチーになった感じありましたよね。

植野:変化の仕方が「空気感をとらえているな」という感じで衝撃でしたね。

DAWA:変化しているけど「DYGL」という感じもめちゃくちゃありますしね。

土井:浦野さんは2021年を振り返ってどうですか?

浦野:印象的だったのは、京都の2ピースバンドNoranekoguts(ノラネコガッツ)の「気まぐれのセンス」という楽曲です。2021年から3ピースから2人に体勢が変わり、「wander packs」というシリーズでリリースとライブを重ねていたのですが、その1番目の楽曲がこれです。特に印象に残っています。

土井:アーティスト名を初めて聞きました!

浦野:ギターボーカルとドラムの2人ですね。ドラムは打ち込みも入れながら。鋭いロックンロールのあるバンドですが、それも持ちつつロックの持つ緩さも音で表現しているのがすごいですね。

土井:いい隙間がありますね

DAWA:ローファイな感じがありますよね。

神戸:HINDSっぽさありますね。

土井:神戸さんは2021年どうでしたか?

神戸:僕は大阪のバンドのステエションズですね。サブスクリプションの1年間の振り返り機能でみてもステエションズの「SCHOOL」という楽曲を一番よく聴いていましたね。

最初知ったのはeo Music Tryで、ライブ映像を見て「こんなバンドが関西にいたのか!」と驚きました。楽曲はHIP HOP調で優しい印象がありますが、ライブで見ると静と動のギャップが激しくてかっこいいですね。ジャンルは違いますが初めてきのこ帝国のライブを見たときに似た印象がありました。

2021年によく聴いた楽曲振り返りその②

土井:同じ質問をもう1周皆さんに聞いてみてもいいですか?DAWAさんの2021年に良かったアーティストはほかにあげるなら誰ですか?

DAWA:もともと知っていたアーティストではあって、でもこれまでピンと来ていなかったのですが、2021年に世界的なレーベルと契約して、見える場所と見え方とが変わった気がしてそれ以降、新しい学校のリーダーズが気に入っています。

新しい学校のリーダーズは、飛び道具的というか、地下アイドル感があって、セーラー服を着て踊り狂うのですが、昨年88risingと契約してリリースして、プロデュースはビースティ・ボーイズも手掛けていたMoney Markです。その通りの感じが出ていてめちゃくちゃかっこいいですね。

土井:なんか去年変わった感じはしましたよね

DAWA:もともとのポテンシャルが誰かの手によって「バン!」と開かれた感じがしましたよね。ライブも見たいなと思っています。

土井:音が変わった感じありますよね。

DAWA:音が完全にワールドワイドになりましたよね。

神戸:ライブが楽しそうですよね。

DAWA:振付師でもあって、あの独特な踊りを自分たちで作っているみたいですね。
 

土井:そこに気づいた88risingもすごいですよね。

植野さんの2021年はどうですか?

植野:知ってる方も多いと思いますが(sic)boyの「Creepy Nightmare feat.lil aaron」が良かったですね。ライブハウスで活躍するロックバンドを主に取り扱うので、あまりラップのシーンをチェックすることはないのですが、この楽曲はもはやロックだな、と思いましたね。海外でも2000年代のリバイバルみたいな空気感があるのかなと思っていて、うるさいギターを鳴らしているのを感じます。

神戸:(sic)boyはL'Arc〜en〜Cielに影響を受けているみたいですもんね。

植野:個人的にエモラップ聴けるようになったのと重なったこともあり、ラップ・クラブ界隈の人たちがうるさいギターを鳴らすサウンドがかっこいいなと思いますね。

DAWA:狙った感じではなく、元のルーツと今のトレンドを自然に混ぜている感じがしますよね。この楽曲もメロディーにはblink-182感じますしね。その時代のポップパンクの感じ。

植野:そうなんですよね。それでいて、やっぱりラッパーなのでメロディアスなフロウのラップだという感じもしますし。

土井:私も歌がうまいなって思いますね、(sic)boy。

植野:メロディーがいいですよね。歌うまいし、歌がいいですし。

土井:浦野さんどうですか?

浦野:東京を中心に活動しているむらかみなぎさというシンガーソングライターに去年たまたま出会いました。歌がしっかり聞こえてくるアーティスト、というのを機に駆けながら音楽を聴くのですが、特に引っ掛かりました。なかでも「過ぎ去った日々」という楽曲が良かったです。

植野:自主で音源出している、というぐらいの方ですよね。

浦野:そうです。一枚ずつ自分でパッケージして、自分で作っているという感じの方ですね。

植野:僕も浦野さんのショップで知りました。

 

神戸:植野さんの話に通じますが、ラッパーのSPARTAがかっこよかったですね。よく聴いていました。

KID FRESINOやBIMとのコラボ楽曲もあります。HIP HOP界隈以外にもお客さんがいるような印象がありますね。コアな層で盛り上がっている感じがありますが、もっと大きなところで見てみたいアーティストですね。

DAWA:この曲はトラックが全然HIP HOPじゃない感じですね。

神戸:トラックはKMさんとか関わっている楽曲もあったりとかしますね。

2021年に印象的だったライブ

土井:昨年印象的だったライブはありますか?

DAWA:DYGLのライブを何度か見て、秋山くんの誠実さを感じるライブでしたね。植野さんもあげていた「Half of Me」は個人的にも昨年のベスト楽曲だったかなと感じていて、その曲が演奏されるときの「きた!」という高揚感も印象に残っていますね。聞くたびに良い楽曲だな、と思います。

土井:DYGLは止まってないですね。

植野:僕もDYGLをBIGCATで見ましたが、途中で演奏中に演奏が止まって、前のほうのお客さんの具合が悪くなったのに気づいて声をかけてあげるシーンがあって、一気にファンになりましたね。誠実でかっこよかったです。(笑)一人一人と向き合っている印象がありました。

浦野:去年見た中で僕が印象的だったのはBROTHER SUN SISTER MOONですね。Animaでみました。楽曲がドリーミーで心地よさがあって、それをそのまま体験させてくれるライブでした。今までにない体験として印象に残っています。

土井:特別な演出があるんですか?

浦野:何か特別な演出があるわけではなくて、演奏と少しエフェクトをつけるぐらいですが、音にまとわれる感じがありましたね。ライブで特に印象的だった楽曲が「Heartbreak」です。

土井:アルバムがすごく良いですもんね。ライブ私も見てみたいです。

神戸:Czecho No Republicのフロントマンの2人もずっとすごくファンだと言ってますね。

DAWA:確かに、ずっと言ってますよね。

神戸:折坂悠太のライブが印象的でしたね。大阪以外の関西地区のライブを担当していますが、大阪のツアー初日はお客さんと同じホールの座席で見ましたが、瞬きをしなかったのではと思うぐらいステージに吸い込まれましたね。

DAWA:ライブで会いましたよね(笑)

土井:私も同じライブを見ていました。

神戸:本編の最後に演奏していた「春」という楽曲が特に印象に残っています。何とも言えない妙な拍で手に持った鈴のような楽器を鳴らしながら歌う姿に吸い込まれる感じがしました。重奏のメンバーが素晴らしかったですね。「重奏メンバーあって事の折坂さん」という感じを受けましたね。

DAWA:僕はこのライブに加えて先日弾き語りのライブを見て、それもそれですごくて、改めて折坂悠太はすごいなと思いました。神戸くんと逆のことを言うようですが。

土井:弾き語りもすごいですよね。「歌がすごい」ですよね。

DAWA:民謡的な要素がありますよね。民謡が好きなわけではないのに入ってきますよね。

土井:簡単なメロディーでもないですし、でもちゃんと届くのが独特の良さですよね。

神戸:届け方がうまいってことなんでしょうかね。

DAWA:これぞアーティスト、という感じがありますよね。

毎年恒例の「音楽シーン大予想座談会」を今年は2月に毎週オンエアしていきます。
14日24:00~の放送回では2週目をお届け。2022年気にかけていきたいアーティストについて教えていただきます。
ぜひ毎週チェックしてくださいね!

MIDNIGHT GARAGE
放送局:FM802
放送日時:毎週月曜 24時00分~27時00分

出演番組をラジコで聴く

※該当回の聴取期間は終了しました。

愛と経済の伝道師“宗さま”こと宗正彰「変動続くドル円相場“円安から円高転換の理由”と“為替介入効果”」を解説

本部長・マンボウやしろと秘書・浜崎美保がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「Skyrocket Company」。毎月第2水曜日に、我々が知っているようでよく知らない「お金」や「経済」の仕組みなどを、専門家の方に詳しく解説してもらうコーナー「スカロケ資産運用部」をお届けしています。

5月8日(水)の放送では、愛と経済の伝道師“宗さま”こと株式会社アイ・パートナーズフィナンシャル 上席執行役員の宗正彰(むねまさ・あきら)さんに、「変動続くドル円相場“円安から円高転換の理由”と“為替介入効果”」というテーマでお話を伺いました。

(左から)宗正彰さん、マンボウやしろ、浜崎美保


◆ゴールデンウィークのドル円相場 為替介入はあった?

浜崎:今回、宗さまには「変動続くドル円相場“円安から円高転換の理由”と“為替介入効果”」について、お話しいただきます。

やしろ:このゴールデンウィークに為替市場が大きく動きました。ゴールデンウィーク前半の4月末には、一時1ドル160円超えの円安 までなりましたが、あの時の理由は何だったのでしょうか?

宗正:1ドル160円は、約34年ぶりの円安水準です。為替市場の仕組みは、公園のシーソーと同じ原理で、どちらかが上がれば、もう一方は下がります。ドル円相場の上げ下げはアメリカと日本のどちらかの国に理由がある時です。ゴールデンウィーク前半の1ドル160円超えの円安は、日本の方にその理由がありました。

ゴールデンウィーク直前の4月26日まで、日銀の金融政策決定会合が2日間に渡って開かれました。そこで日銀総裁の植田さんから 「今の円安が物価の上昇に大きな影響を与えている訳ではない」という発言がありました。
日銀は前月の3月にマイナス金利政策を解除して、17年振りに事実上の利上げをしたばかりです。それもあって「4月の利上げは無いだろう」とマーケット参加者の多くは思っていましたが、そこまで言うのであれば「当分の間は無いんじゃないか」と(いう印象を与えた)。ただでさえゴールデンウィークはマーケット参加者が少ないので、上下に振れやすいですから、そこで一気に1ドル160円を超えたということです。

やしろ:その後、一転して急に円高方向に動きが変わったので、為替介入があったんじゃないかという噂もありました。実際には、為替介入はあったのでしょうか。

宗正:政府日銀は介入の事実は今のところ明らかにしていません。そのため断言はできませんが、あのドル円相場の動きを見る限り、十中八九、介入はあっただろうなと思いますね。

ゴールデンウィーク前半、3連休の3日目。1ドル160円を付けた直後、わずか数時間で 154円台まで円高が進みました。財務大臣が日銀に指示を出して、今回であればドルを売って円を買う為替介入が無ければ、あのような動きにはならないと思いますね。

◆2回おこなわれた為替介入

やしろ:ゴールデンウィーク中に(ドル円相場の大きな動きは)2回ありました。後の方の動きも為替介入があったということでしょうか?

宗正:十中八九そうでしょうね。2回目の方の円安の動き、あの時はアメリカの方にその理由がありました。日本ではゴールデンウィーク真ん中の、4月30日から5月1日。このタイミングで、アメリカの中央銀行FRBはFOMC(連邦公開市場委員会)という、要は日銀の金融政策決定会合に当たる会合を開いて、アメリカ金利を高い水準のままの据え置くことを決めました。つまりアメリカの金利が高いということは、ドル高ですよね。

やしろ:ドル高ということは、円安がさらに進んでしまう方向ですね?

宗正:そうなんですよ。その決定を政府日銀が見てか聞いてか、「いやいや、これはまずいだろう」ということだと思います。FOMCが終わったわずか2時間後に市場介入らしき動きがありました。

やしろ:それでゴールデンウィーク中に為替市場が大きく2回動いたんですね。単に為替介入といっても、その形にはいくつかあるそうですが、具体的にどのような形があるのでしょうか。

宗正:大きく3つあります。1つは実際には介入をしないのに、口先だけでマーケットを牽制する口先介入。

やしろ:「介入をやるぞ、やるぞ」と言われて、皆がそれに合わせて警戒して動くと。

宗正:はい。よく報道なんかで政府や日銀関係者が、「これ以上の円安は断固たる措置を取る」と言っていますよね。「措置を取る」と言っておきながら、実際には取らない。あれが口先介入です。

2つ目が、事前の通告は勿論しないで、日本単独で介入する「単独介入」というのがあります。1つの国だけが介入をおこない、介入の前後でその事実も明らかにしないため、覆面介入とも呼ばれます。

そして3つ目が、これが一番効果的な介入で「協調介入」。複数の国がそれぞれのマーケットで同時に介入します。

やしろ:そういう介入の方法があるんですか?

宗正:記憶に残るのは、2011年の東日本大震災 の時です。当時は今とは逆の円高で、1ドル75円台と史上最高値をつけました。あの時、大地震で大きな被害を受けた日本に、経済的な2次被害をこれ以上背負わせることはできないと、G7のメンバー各国が為替介入で協調して歴史的な円高から救ってくれたんです。

協調介入の結果、円高だったのが一気に円安方向に動きました。ただ、その時の協調介入が10年半振りですから、余程のことがない限り複数の国で同時に介入する協調介入はしないことが分かります。

◆為替介入の効果はどれくらい続く?

やしろ:今回の為替介入では、一時期の円安から確かに円高に向かいましたが、効果はどれくらい続くものなのでしょうか。

宗正:今回、あったとすれば日本一国による単独介入、覆面介入だと思います。その場合の効果は限定的です。言ってみれば時間稼ぎにしか過ぎないでしょうね。
先ほどお話しした東日本大震災の時の為替介入は、円高から円安の方へという動きですよね。今は逆に円安から円高方向に持っていかなきゃいけない。円高を防ぐ介入の場合には、円を売ってドルを買うんです。円は日本の通貨ですから、いくらでも調達できるので、無制限の介入が可能です。

ところが今回のように円安を防ぐ介入は、ドルを売って円を買わなきゃいけない。先ずは手持ちのドルを売る必要があるので、無制限に介入できる訳ではありません。

やしろ:どれくらい事前に用意しているのでしょうか。

宗正:最近は円に換算して、約45兆円でした。つまり自ずとドル売りの上限が決まってきます。現在、ゴールデンウィーク前半の為替介入に5兆円使ったと言われています。後半の介入が3兆円で、すでに計8兆円も使っているんですよ。これを踏まえれば、ここから先の介入原資に大きな余裕はありません。
政府日銀は日々24時間、為替市場の動きを見ながら、断続的に為替介入を続ける可能性もあると私は思っていますが、介入原資が限られるので、投機筋がそこにつけ込む可能性がありますよね。

やしろ:時間が経てば、再び円安の流れに戻る可能性があるということですね。私たちの生活への影響は、どれくらいありますでしょうか。

宗正:すでに現在(放送日の5月8日) 、1ドル155円台の半ばを超えて後半に入りました。今日だけでも1円以上(円安が)進んでいる。為替市場は、結局のところ2つの国の金利差に収れんします。ドルと円、アメリカと日本に、どれくらい金利差があるのか、結局はここですね。

一時的な円高がゴールデンウィーク中にありましたが、中長期的には円安の流れを想定しておいたほうが良いと思います。短中期的には様々な経済指標の動きを受けながら行ったり来たりもしそうですが、アメリカが金利の引き下げに踏み切るまでの間、大きな流れは円安でしょうね。そうなると、この秋からのもう一段の物価高というのは避けられない。せっかく実現した賃上げ、そして定額減税くらいは、軽く物価上昇で吹き飛んでしまうでしょうね。

やしろ:そんな感じなんですか。恐ろしいですね。

宗正:特に問題は原油です。原油はほぼ輸入ですし、(私たちが生活で利用する)目に見えるもののほとんどが原油からできています。ただでさえ中東情勢が不安定で、原油価格が上がっているのに、円安でダブルパンチです。

◆円安がさらに進んだ場合の懸念事項は…

やしろ:以前、為替はなかなか予想がしづらいというお話をしていただきました。僕の周りでは、「1ドル180円くらいまで行ってしまうのでは?」ということを言う人がいるのですが、そういう可能性はありそうですか?

宗正:可能性は0(ゼロ)ではないですよね。日本は金利を上げると言いながら、まだ0%をちょっと超えた位です。アメリカは金利を下げるかもと言いながら、なかなか下げない。今は5%超なので、日米で5%以上も金利差がある状態です。

やしろ:そんなにあるんですね。円安の流れに戻った場合、宗さま的に気になるポイントはありますでしょうか。

宗正:昔から「輸出立国日本」というこの単語、よく聞きますよね。円安は日本のプラス要素だと言われていた時代もありました。ただ日本企業による海外の現地生産比率は高くなって、円安効果は昔ほどではありません。それでも輸出関連企業の多くは、輸入コストの上昇分をある程度は円安による輸出効果でカバーできます。

ところが日本国内の売り上げ割合が多くを占める中小企業にとって、原材料やエネルギーの輸入コストが高くなる一方で、相殺できるものがほぼ無い。しかもコストの上昇分を、すぐに簡単に価格に上乗せできないんですよね。

中小企業の数は、国内企業全体の99%で、従業員の数で言えば約7割ですから、そこへの影響が私はすごく気になります。要は収益構造が違いますから、そうそう簡単に変えられるものでもない。この辺りは政府になんとかしてもらいたい、それが政治だと思いますね。

やしろ:いつもだったら、色々なことがあったとしても、宗さま的には前向きなお話や力強い言葉をいただけますけれども、今回の円安に関しては懸念事項のほうが多そうですね。

宗正:これが金利のある時代に生じる一つの事象です。経済知識の有無によって損得が生まれる、人生も大きく変わる時代に入りました。

やしろ:ありがとうございます。宗正彰の愛と経済と宗さまと。AuDeeにて毎月10日20日30日に配信です。宗さま、今月もありがとうございました。

宗正:ありがとうございました。


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もっといろいろな経済のお話が聞きたいという方は、宗さまのAuDee(オーディー)「宗正彰の愛と経済と宗さまと」でも聴けます。毎月10日、20日、30日に配信していますので、そちらもぜひチェックしてください。


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▶▶「2024年ゴールデンウィーク、円高方向に転換のその訳」の配信内容を「AuDee(オーディー)」でチェック!

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<番組概要>
番組名:Skyrocket Company
放送日時:毎週月~木曜17:00~19:52(※コーナーは毎月第2水曜18:15ごろ~)
パーソナリティ:本部長・マンボウやしろ、秘書・浜崎美保
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/sky/

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