人口減少2070年には高齢化率39%に 対策の鍵は

渡辺麻耶が木曜日のDJを担当するFM FUJIの番組『Bumpy』(毎週月曜~木曜、13:00~18:50)。3月13日のオンエアにフリージャーナリストの松田宗弘さんが出演し、人口減少問題について解説しました。
松田:1月31日付の山梨新報で報じた記事の解説です。人口減少は山梨県だけでなく、東京などを除き全国で起きているので、日本の総人口のお話からします。麻耶さん、日本の総人口は現在、どのくらいだと思いますか。
麻耶:学校で習ったのが1億2000万人ぐらいでした。今もあまり変わらないのではと思いますが。
松田:はい。総務省によると今年2月1日現在で1億2354万人。過去1年で57万人減りました。人口減少が始まった(毎年減り続ける状況)のは14年前の2011年。今後の見通しは、厚生労働省によると、2070年に8700万人、65歳以上の人の割合である「高齢化率」は39%に達するされています。ちょっと怖い数字ですね。
麻耶:そうですよね。急激な人口減少の要因はどこにあるのでしょうか。
松田:総務省によると、要因は少子高齢化を背景とした出生数減少と高齢者などの死亡者の増加です。県への取材でも、同様に出生数を死亡者数が上回る「自然減」が続き、人口減少の要因になっています。
麻耶:山梨県の人口の推移はどのようになっていますか。
松田:自然減により、人口減少に歯止めがかからず、昨年12月に約47年ぶりに79万人を割り込みました。人口増減の要因には、出生数と死者数の差である「自然増減」と別に、転入者と転出者の差である「社会増減」という要因があります。山梨県は若干、「社会増」が続いているのですが、自然減を打ち消すには「焼け石に水」のレベル。現在、78万人台の山梨県の人口は、2050年には61万人まで減るという国の研究機関の予測もあります。
麻耶:このまま人口減少が続くとどのような問題が起きてくるのでしょうか。
松田:広範です。消費者や労働者の減少から企業倒産、スーパー・飲食店などの閉店、伝統技術の衰退▽税収減による自治体財政のひっ迫や行政サービスの低下・有料化▽学校、病院、福祉施設などの統廃合▽バス、タクシー、鉄道の衰退▽自治会・消防団など地域コミュニティの弱体化▽空き家の増加、集落崩壊・消滅、里山荒廃――など影響は計り知れません。
麻耶:山梨県はどのような対策を講じているのでしょうか。
松田:一昨年6月、長崎知事は「人口減少危機突破宣言」を発表、庁内に「対策本部事務局」を立ち上げ、若年層を狙い、「出産・子育て・就労支援」などの施策を網羅的に展開しています。昨年6月改定の「人口減少危機対策パッケージ」では、就職後8年分の奨学金の借入総額の半分を補助▽妊娠・出産に備え女性が健康管理を行う「プレコンセプションケア」で「プレコン健診」を職域で受けやすくする▽女性が経済的な理由で結婚・出産を諦めないように、勤務が柔軟なDX分野での女性デジタル人材の育成▽未婚・晩婚化対策として、ライフプラン相談窓口を山梨中央銀行や生命保険会社の県内店舗40カ所に開設▽子育て世代の住宅費用の負担軽減に向けた、中古住宅の活用推進――などを展開しています。
麻耶:本当に広範ですね。人口減少の速度をより抑制するには、どんなことが課題になりますか。
松田:県内企業の対応がキーになると感じます。若年層の県外流出の要因は、就職の際の首都圏企業への流出があり、ひとつは賃金格差という問題ですね。人口減少問題が専門で山梨県の事情に詳しい日本総研の藤波匠・上席主任研究員を取材したところ、「結婚・出産を低所得で断念してる人が多い。企業が若い人材が欲しければ(首都圏企業並みの)賃上げが必要で、そのためには、IT投資や機械化を進め、高賃金が払える事業構造に変えねばならない。県はそのような企業に絞って、低利融資や信用保証を拡充すべき」と指摘しています。県も社員定着化の重要性は認識しており、人口減少危機突破共同宣言をした約120の企業・団体の取り組みを「マニフェスト集」として公表し、具体的なアクションにつなげようとしています。ということで、次回は企業の意識や取り組みなどを紹介します。
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