難病患者の就労における課題とは
渡辺麻耶が木曜日のDJを担当するFM FUJIの番組『Bumpy』(毎週月曜~木曜、13:00~18:50)。11月13日のオンエアにフリージャーナリストの松田宗弘さんが出演し、難病について解説しました。
松田:先月に続き「難病について考える」2回目です。前回は県内初開催の「難病フェス」と難病の全体像、ALSの患者さんのお話、難病の社会的な認知度不足についてお伝えしました。今日は、「難病患者の就労」、つまり“社会参加”についてお話しします。
麻耶:前回放送を聞かれていないリスナーもいると思うので、そのおさらいからお願いできますか。
松田:まず、難病の数ですが、厚生労働省の難病法が定める「指定難病」として現在348あります。重症だと医療費が助成されます。病名で言うと、筋肉が次第にやせ、力を失う「ALS」、手が震え、筋肉が硬化する「パーキンソン病」、免疫が間違って自身を攻撃する「膠原病」、遺伝性筋疾患の「筋ジストロフィー」などがあります。難病フェスに参加したのは、これら6疾患の患者団体で、各団体から県民に向け疾患の現状を周知する場となりました。
会場で6団体の上部組織「山梨難病連」の川手代表幹事を取材したところ、「難病の社会的認知が足りていない」と強調されました。難病はいつ、だれが疾患してもおかしくないのに、難病への認知・理解が足りないため、いったん疾患すると、「もう、ダメだ」と悲観し閉じこもる人が少なくないそうです。難病連や患者団体、県の『難病相談・支援センター』は20年以上の歴史があるのに「多くの県民がその存在さえ知らない」と指摘されました。
麻耶:なるほど。では、今日のテーマである「難病と就労」について伺えますか。
松田:10月31付の山梨新報で報じた記事の解説をします。山梨県庁は今年4月入庁の職員採用で、全国初の「難病患者枠」を新設、難病患者3人を一般行政職として採用しました。県人事課によると、採用対象年齢は18~35歳で、合格者は人事課が個々の病状を事前に詳しくヒアリングし、配属先の責任者に説明。給与など待遇、勤務時間も他の職員と同じです。
麻耶:患者の職員と他の職員との働き方の違いや、特別な配慮はあるのでしょうか。
松田:難病患者は一般に一日の中で、体調に波があるそうですが、人事課担当者によると、「配属から半年、業務に支障があったという報告はない。難病枠の職員も、他の職員も、同じ勤務時間や休暇制度で執務している。今の制度で対応できるため、新たな制度やルールを設けたり、特別に予算をつけたりしていない」ということでした。
麻耶:就労時間も同じなのですか。
松田:はい。これも職員一律で、就業時間は午前8時半から午後5時15分。1日の労働時間は、昼の1時間休憩を除く7時間45分。疾病で朝の通勤が大変▽通勤途中で具合が悪くなり、急きょ、病院に行き定時出勤に遅れる▽勤務中の体調不良やそれに伴う通院などによる早退――などがある場合、「早出遅出勤務」「有給休暇」や、通院や受診に必要時間分を休める「傷病休暇」を活用できます。また、病院に行くほどでなければ、健康管理室などで休むことができ、その際は1時間の休憩を、分割・延長・追加して使えます。
麻耶:なるほど。全職員共通のルールの中で、難病患者の方が働けるのは素晴らしいですね。取材を通じて課題は感じられましたか。
松田:難病患者の就労全体の話として課題があります。難病患者の就労相談や職業紹介の窓口として県内に7カ所のハローワークがあります。運営する山梨労働局就業対策課によると、2024年度の新規求職件数は、難病ではない「精神障害」などを含む数字で、前年度比5.8%増の146件。このうち、就職できたのは58件。就職率は40%を切りました。また、県の『難病相談・支援センター』への就労相談(延べ件数)は、2024年度は166件でしたが、就職できた人は29人。いずれも就職率は40%に達していません。就職率を上げるには、県の「難病枠」のような「枠」が、民間企業へも広がること、また、私見ですが、雇用者全体の中に決められている現行の「障害者枠」と同様に、「難病枠」を国が設ける必要があるでしょう。今回の取材に答えていただいたALS患者のご家族は、「難病患者が生きやすい社会は、すべての人が生きやすい社会」と話されました。その通りだと思います。
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