相次ぐ水害 山梨の対策状況やわたしたちにできる対策は
渡辺麻耶が木曜日のDJを担当するFM FUJIの番組『Bumpy』(毎週月曜~木曜、13:00~18:50)。9月17日のオンエアにフリージャーナリストの松田宗弘さんが出演し、大雨、豪雨による水害対策について解説しました。
松田 最近、「線状降水帯」による水害が全国各地で起きていますが、山梨県も他人ごとでありません。来週25日発行の山梨新報の1面記事を、今日は一週間早く、ラジオでお伝えします。
麻耶 まず、線状降水帯による水害の状況から伺えますか。
松田 線状降水帯は、雨を降らす積乱雲が、次から次ととめどなく襲ってきて、長時間、豪雨が続くことで、記録的な大雨となっている場所もあります。記事でも触れていますが、先月13日に起きた千葉豪雨では、水害で13人がお亡くなりになりました。その主たる要因が「内水氾濫」と呼ばれる水害です。水害には「内水氾濫」と「外水氾濫」があります。
麻耶 この二つはどのようなものなのですか。
松田 「外水」から説明すると、これは河川の氾濫、護岸を乗り越えて、住宅街などに水が押し寄せる洪水のことです。「外の水」と書きます。一方、「内水」とは、降雨量が多すぎて、雨水の排水処理能力を超えてしまって水に浸かる水害です。「内の水」と書きます。千葉豪雨では「アンダーパス」といって、鉄道の下を直角に潜る道路が、V字型の谷のような形状なのでそこに水が溜まり、乗用車が立ち往生し、閉じ込められて死亡するケースがありました。また、都心では下水道に入った雨水が急激に増え、マンホールのふたが下水からの水圧で浮き上がるニュースもありましたね。いずれも、洪水ではないので、内水氾濫です。なお、外水氾濫の方が、内水氾濫よりも被害は大きくなります。
麻耶 山梨県でもアンダーパスやマンホールからの出水が起きているのですか。
松田 甲府や昭和町の複数箇所でアンダーパスほか道路の冠水があったようです。ただ、地方の内水氾濫は、都心などと少し様相が違います。都心部は、下水と雨水―あまみずは一緒に排水する「合流方式」、山梨県は、甲府中心街などの合流方式を除き、下水と雨水を別々に排水する「分流方式」です。山梨の多くのエリアでは、分流方式の雨水はどこを通るかと言えば、河川につながる、排水路、側溝、用水路、雨水専用管を通り、河川に雨水が行きつく手前で水が道路・住宅街などにあふれる形の「内水氾濫」です。
麻耶 内水氾濫には、どのような対策を取ればいいのでしょうか。
松田 国は下水道管理団体―ほとんどが市町村ですが、一定水準の下水設備がある全国の1100の団体に、内水氾濫の危険箇所を地図上に示した「浸水想定区域図」の作成と公表を法律で義務づけています。山梨県は全27市町村のうち、11市町村が公表義務の対象で、このうち、ホームページ(HP)や紙媒体で、作成・公表済みは、甲府市と南アルプス市だけです。未作成・未公表の残り9市町村は、来年の梅雨の時期頃までに、作成・公表するように国が通知を出した――つまり指導しています。危険箇所を住民に周知し、住民の安全確保や建物の浸水対策に役立ててもらおうというわけです。なお、この区域図に、避難場所や避難ルート情報などを加えたものが「内水ハザードマップ」。ここまで作ってHP上で公開しているのは甲府市だけです。一刻も早く他市町村も公開の必要がありますが、市町村のマンパワーや予算不足、技術面の制約などがあり、時間がかかっているのが課題です。
麻耶 市町村も住民のために頑張っているのですね。ほかにも課題がありますか。
松田 はい。取材では千葉豪雨の現地調査をされた、河川工学が専門の山梨大学の大槻順朗准教授にお話を伺いました。先生によると、千葉豪雨でお亡くなりになった方々の多くは、アンダーパスや局所的なくぼ地を車で走ったためだった、そうです。ということは、危険箇所を自らの判断で避けようと思えば防げたかもしれない。命は自治体情報だけに頼るだけではなく、自分で守らなければいけない、ということです。先生は「住民は避難先やルートなど自治体の情報をうまく使いながら、どこにアンダーパスがあり、大雨だと危険だから、そこを避ける、というようなことを自らで判断する『自助』の意識を高めるべき。また、行政側には『不確定でもいいから、こんな情報も出してほしい』などと訴えるべき」と指摘されました。取材を通じ、自分事として災害に向き合う必要を強く感じました。
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