2023年の景気見通しはどうなる? 山梨県を中心に解説

渡辺麻耶が木曜日のDJを担当するFM FUJIの番組『Bumpy』(毎週月曜~木曜、13:00~18:50)内のコーナー「CLOSE UP TODAY」(毎週木曜、17:35~)。1月19日のオンエアにフリージャーナリストの松田宗弘さんが出演し、今年1年の景気見通しを解説しました。

麻耶:昨年から、賃金、お給料があまり上がっていない中での物価上昇が言われていますが、今年も続くのでしょうか。

松田:まず、去年1年を振り返っておきましょう。昨年2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻から、この番組でもやりましたが、小麦、食料など原材料価格が高騰、原油やエネルギーなど資源価格の高騰などから電気・ガス代という光熱費の高騰を通じ、製造コストや流通コストの上昇で広範な物価高騰に波及しました。しかし一方で賃金アップがあまり上がらないから生活は苦しくなる。一方、アメリカのインフレ抑制政策による金利上昇で、日米の金利差が広がり円が売られて円安が進んだ結果、輸入物価高騰…と経済環境は本当に厳しい1年でした。

麻耶:県内経済団体トップの年始の景気展望はやはり厳しい見方ですか。

松田:甲府商工会議所の進藤会頭は、新年の挨拶の中で、「ウイズ・コロナを前提としてしっかりと経済を回し、成長軌道に戻していくステージを目指していかなくてはなりません」と述べられています。景気回復に期待を込めた発言です。また、富士吉田商工会議所の堀内会頭は、「雇用の約7割を占める中小・小規模事業者の生産性を引き上げることは我が国全体の生産性向上につながる重要な課題」と指摘されました。お2人とも言及したのは、中小企業のデジタル化の推進。これは今後のキーワードになりそうです。一方で、山梨新報1月6日付紙面の日銀甲府支店長の水野さんのインタビュー記事では「不確実性が極めて高い」と指摘されています。

麻耶:かなり慎重な見通しのようですね。「不確実性」とは具体的にどのようなことなのでしょうか。

松田:「資源高や海外経済減速による下押し圧力を受けるものの、新型コロナ感染症や供給制約の影響が和らぎ、回復していくとみられる。製造業はすでに生産活動がコロナ禍前を上回り、非製造業も日銀短観調査では、企業マインドはコロナ禍前の水準を超えている。ただし、海外経済、資源高、為替の動向やその影響に加え、感染症や供給制約などによる県内経済をめぐる不確実性は極めて高く、十分に注意していく必要がある」と指摘しています。

物価高に対する見立ては?

麻耶:物価高はリスナーの関心が高いところですが、これについてはどう言われているのでしょうか。

松田:水野支店長は「物価高は個人消費を下押しし、節約志向の消費行動がみられるが、ウイズ・コロナの意識も広がり、旅行や飲食などの経済活動が再開した効果の方が上回り、個人消費全体は持ち直している。一方で、企業ではコスト上昇分を価格転嫁する動きもみられるが、県内は中小企業や小規模企業が多く、価格転嫁後が難しい取引先もあり、物価高は企業収益を下押ししている」と指摘しています。この見立てについては、山梨中銀経営コンサルティングもほぼ同様でした。個人消費は持ち直しの動きが強まり、設備投資も回復基調で推移。根拠として山梨中央銀行「県内企業経営動向調査」では、今年度下半期、―昨年10月から今年3月までで―設備投資計画は実施予定率、投資額ともに前向きな姿勢が伺われる、としています。同コンサル会社経済調査部によると、「国内景気は緩やかな回復基調をたどるが、海外経済の減速や物価上昇などの懸念材料次第。下押し要因が多すぎます」と分析しています。

麻耶:県内企業からはどんな声が上がっているのでしょうか。

松田:帝国データバンク甲府支店が昨年11月に行った調査によると、県内企業回答103社の2023年の景気見通しは、回復局面13%(前年は34%)、踊り場48 %(同29%)、悪化21%(同15%)で前年と比べ、「回復」が約3分の1に、「悪化」は約1.5倍となり、より厳しい見通しです。企業の声としては、「人手不足の解消策がない」「ロシア・ウクライナ戦争次第」「コロナ終息の見込みが薄い」「不透明さが増すばかり」などでした。景気の懸念材料の上位3位(複数回答)は、原油・素材価格上昇が80%、物価上昇43%、円安42%で、コロナの影響は「えっ」と思ったのですが、前年の約3分の1の15%に激減しました。

麻耶:企業経営の現場も見方は厳しいようです。松田さんは今後についてどう思われますか。

松田:経営の現場は日々、売り上げ、利益との格闘ですから、「悪化」の見方が増えたのは本音だと思います。景気下押しの懸念材料は、戦争、コロナ、物価高騰、円安…と企業努力ではどうにもならない「外的要因」が多い。その制約の中で、経営者は事業継続・発展、利益と雇用の確保に最大限の自助努力をされていると思います。デジタル化にしても予算の制約がある中で頑張っているのではないか。あとは、国や県や自治体の政策面での後押しがどれだけ上積みできるか。外的要因が軽減され、個人消費と企業業績が好転することを切に願います。

Bumpy
放送局:FM FUJI
放送日時:毎週月曜~木曜 13時00分~18時50分
出演者:鈴木ダイ(月)、金子桃(火)、石井てる美(水)、渡辺麻耶(木)
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仕事を離れて見えるものがある。「キャリアブレイク」がもたらすメリット

ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務めるラジオ番組「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日~金曜日15時30分~17時)、9月19日(木)にハフポスト日本版編集長・泉谷由梨子が出演。ハフポストでも特集された、働くことから一時的に距離を置き、その時間を有意義に使う「キャリアブレイク」という概念について解説した。

泉谷由梨子「もともと欧米では学生時代に1年お休みしたり、大学卒業して働くまで1年旅に出たり、という考え方はあったんです。日本はそもそも転職もあまり一般的ではなかったので、一時的に働かない期間がある人は履歴書に空白期間があると見なされる。『後ろ暗い何かがある』と企業側は見ていた」

鈴木敏夫(文化放送解説委員)「日本だと『無職』とされるわけですね」

泉谷「無職には違いないんです。でもそれをもっと前向きにとらえ直そうよ、という文化の広がり。それをキャリアブレイクと名付けて普及活動もしているキャリアブレイク研究所というのもあり、そちらの方もいろんな文化の普及に努めている、という感じです」

キャリアブレイクの実現には企業側の理解も重要になってくる。泉谷によれば企業側の意識にも変化があるという。

泉谷「パーパス経営、人的資本経営など、ビジネス界隈では流行っている言葉です。要するに企業がやりたいことがありますよね。『大儲けしたい』とか。これを従業員に無理やりさせるのでは生産性が上がらない。特に若い世代は『自分がやりたいことに邁進(まいしん)したい』という意識が強い。従業員が生き生き働ける環境をどうつくるか、ということに企業はいま腐心しています」

長野智子「人口減少でそもそも人材確保が大変だから……」

泉谷「増えてきているときと減ってきているときでは採用や人材に対する意識が変わってきている。キャリアブレイクは仕事に対してなんとなくモヤモヤ抱えているものを、一時的に距離を置いて自分で考えてみることで、本当に仕事で何を実現したいのか、自分を見つめる期間にもなります。単純に『大変だから休む』ということもいいと思うんですけど、人生を再建するための時間として使う方が増えているということです」

鈴木「(キャリアブレイクは未経験だが)話を聴いていると、したくなりますね。周囲で『違う仕事をしてみた』という方もいらっしゃいました」

長野「私はフジテレビを辞めてフリーだったから、5年間ぐらいキャリアブレイクでアメリカに行った。自分のやりたい方向には行けたかな」

泉谷「新聞社出身の私も4ヶ月ぐらいキャリアブレイクがありました。シンガポールに住むことになったのでこのまま専業主婦になろうかと思ったこともあるんです。でもそうしたら『私、働くの好きかもしれない』と気が付いて。離れてみたら『私がいままでやっていた仕事、好きかも』と。するとよりがんばる力が湧いてくる、というか。そういう経験を私もしました」

長野「私は働くことは好きでしたけど『報道をやりたい』という思いが強かった。完全なお笑いアナウンサーでしたから(笑)、『日本の方に忘れていただく』という目的も少しあったんですよ。日本のテレビからいなくなってみる、みたいな」

泉谷「周りから長野さんはうまくやっている、と見られていたと思います。大人気のアナウンサー、と。本人の中にうっすら『違うんだよな』という思いがモヤモヤと溜まっているなら1回リセットすることの効能があるのでは、と」

長野「どうしても日常に流されるんですよね。なぜかというと、目の前の仕事を失ったら何もなくなるんじゃないか、という怖さとかで踏み切れない、という」

泉谷「1回休んでみるというのは勇気が要ることですし、キャリアブレイク研究所の方も『皆さんにオススメできるまでにはまだ至っていない』とおっしゃっています」

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