経済思想家・斎藤幸平が、坂本龍一の“姿勢”から受けた影響は?

東京大学准教授で経済思想家の斎藤幸平さんが、人生に影響を与えた出会いについて語り、おすすめの楽曲を紹介した。

斎藤さんが登場したのは『STEP ONE』のワンコーナー「LISTEN AND LEARN」(ナビゲーター:サッシャ、ノイハウス萌菜)。ここでは9月25日(月)のオンエア内容をテキストで紹介する。

【radikoで聴く】
25日(月)OA分:https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20230925093551
26日(火)OA分:https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20230926093522
27日(水)OA分:https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20230927093739
28日(木)OA分:https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20230928093902
※それぞれ再生期限はオンエアの一週間後まで。

社会を変えるエネルギーを「最期」まで

哲学者・経済思想家である斎藤さんは、『人新世の「資本論」』(集英社新書)が話題に。コロナ禍で不透明な時代を照らす処方箋として50万部を突破するベストセラーとなった。

そんな斎藤さんの人生に影響を与えたのは、坂本龍一さんとの出会いだという。世界的なミュージシャンでありながら、社会の問題を発信する姿勢に感銘を受けていたそう。

斎藤:本当にすごいなと思ったのは、亡くなられる直前に神宮外苑の問題についてメッセージを出されたことです。自分だったらたぶん、人生が終わる瞬間には、自分の専門のこと、自分にとって何か関係があること、大切なことをメッセージとして出すと思うんです。そのときに、あえて神宮外苑の問題を選ばれた。本当に最後の最後まで、社会の問題、民主主義の問題がいかに坂本さんにとって本質的なことだったかが、メッセージとして伝わってきました。民主主義が世界中で脅かされている時代に生きているなかで、私たち一人ひとりがこの民主主義を守って、より深めていくために、何ができるかを考えていかなければいけないと強く感じています。自分の専門外の領域であっても、みんなの問題、大切な問題について積極的に声を上げて社会を変えていくということに、最後の最後までエネルギーを使われた坂本さんの姿勢に、私はすごく影響を受けました。私自身もそのような姿勢を学びながら、これからもっと日本の民主主義とか社会のことについて、発信を続けていきたいなという思いを強くしています。

サッシャ:自分の死が目前に迫ったときに、何を考え何をするかというところですけど、そういうときに自分がやってきたことだけではなくて、いまあることに目を向けるというね、最後の瞬間まで自分のことではなく人のことを考えていたという、教授(坂本氏)らしいなと思いました。

ノイハウス:専門外であっても発信することはできますし、そこで社会や世界が変わることもあり得ますからね。専門じゃないからっていうことはあまり考えなくてもいいのかもしれないですね。

サッシャ:そうですね。1つ、音楽というところで名声を得たからこそ発信力を得て、だからこそ何を発信していくかっていうことを常に考えていらっしゃったんでしょうね。名声を自分のために使うんじゃなくて、人のために使うっていうかね。

【関連記事】「坂本龍一さんと思想は違うけど、音楽は好き」 その意見に見いだせる“可能性”とは

最後のアルバムのなかでも好きな1曲

斎藤さんには毎日楽曲も選んでもらう。この日選曲したのは、坂本龍一『20220207』。2023年1月にリリースされたアルバム『12』に収録されている1曲だ。



斎藤:2022年2月7日に作られた曲で、このアルバムはどれも本当に、最後の悲しい感じの曲、静かな感じの曲が多いんですけど、私がそのなかでも好きな曲の1つで選びました。

サッシャも「曲名をつけてしまうと意味が限られてしまうので、あえて日付にして、坂本さんが私たちに『感じ取ってほしい』という宿題を残してくれた気がする」とコメントした。

斎藤さんは、2023年8月25日に集英社より『コモンの「自治」論』を刊行。内容について、次のように解説してくれた。

斎藤:行き過ぎた資本主義になってしまうと、やっぱり私たちの必要なものまでも全部お金がないと手に入らなくなっていって、一部の人たちだけが、好き勝手に街の在り方とか水道とか電力の在り方まで決めていってしまう。そんな自由な社会が奪われてしまうことに対して、身近なところから何かを始めていこうという思いをもって、この本を書きました。ぜひ書店やネット書店を通じて手に取ってみてください。

J-WAVE『STEP ONE』のワンコーナー「LISTEN AND LEARN」では、さまざまな業界のトップランナーが、これまでの経験から得た学びをシェアする。放送は月曜~木曜の9時35分ごろから。
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11月の電気代8社値下げで専門家「来年は消費者物価指数の下落圧力がゼロに」一体なぜ?

9月29日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、月曜コメンテーターの元日銀審議委員でPWCコンサルティングチーフエコノミストの片岡剛士さんと番組パーソナリティーの寺島尚正アナウンサーが、電気料金について意見を交わした。

大手電力10社は28日、11月請求分(10月使用分)の家庭向けの電気代を発表した。8社が10月比で値下がりとなり、平均的な使用量で59〜151円安くなる。例えば、東京電力ホールディングスでは10月比で62円安い7511円となる。政府が10月請求分で終える予定だった補助を延長したことで、当初の値上がり予定から一転して安くなった。政府は23年の2月請求分から負担軽減策を始め、平均的な使用量の世帯で月に1820円安くなっていた。補助は10月に半分の910円となり11月から終える予定だったが、政府は同じ910円の水準で3カ月間延ばすと決めた。政府補助が続く24年1月請求分までは値上がりは避けられる公算が大きい。

「これは片岡さんどうご覧になってますかね?」(寺島アナ)

「足元においては政府の補助金の影響もあって、多少電気代の上昇は抑えられる方向にあると思うんですけれども、もっとも原油価格の動向次第の部分もあって、そこと政府の対策との綱引きなのかな、という気がします。」(片岡氏)

今後の電気代について日経新聞は「原油価格が上昇していることを踏まえ、大手電力の電気代は原油価格に連動する要素が多い。足元の原油価格の上昇が本格的に反映されるのは年明け以降の電気代だ。」としている。

「原油価格と電気代は、だいたい1~2ヶ月のタイムラグを伴います。今回の話は11月の請求分以降の話ですので、足元の原油価格が上がってくると1~2カ月で年明け、というのが日経新聞の見立てなんだと思います。ある意味で、電気代の下落は日本の消費者物価指数を押し下げる方向に作用しているんですけど、これも原油価格の動き次第で上下しそうで、だから下落圧力は来年以降ゼロになるという方向感が見えてきているということです。」(片岡氏)

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