村上春樹「映画『007/カジノ・ロワイヤル』の主題曲、バカラック作曲の「The Look Of Love(恋の面影)」は味わい深い音楽です」
この記事では、中盤3曲について語ったパートを紹介します。

「村上RADIO」
◆The Look Of Love Carmen McRae
1967年の主題歌賞にもやはりバカラックさんが絡んできます。この年オスカーを受賞したのは、映画『ドリトル先生不思議な旅(Doctor Dolittle)』の主題歌「Talk To The Animals(動物と話そう)」でしたが、こう言ってはなんだけど、そんな面白い音楽じゃなかったです。僕としては、それよりはバカラック作曲の「The Look Of Love(恋の面影)」の方がずっと味わい深い音楽に思えました。まあ、人の好みはそれぞれですけどね。
ちなみにこれは映画『007(ダブル・オー・セブン)/カジノ・ロワイヤル』という、かなり変則的な007映画の主題曲でした。ちょっとややこしいんですが、あとで作られたダニエル・クレイグ主演の『007/カジノ・ロワイヤル』とはまったく違う映画です。いろんな俳優がかわりばんこにボンド役をやって、中にはウディ・アレンまで入っていました。
バカラックさん、これで2年続けてふられちゃったわけですが、この1年後に『雨に濡れても』で見事オスカーを獲得することになります。
カーメン・マクレエが朗々(ろうろう)と歌います。「The Look Of Love(恋の面影)」
◆Dianne Reeves「The Windmills Of Your Mind」
◆Ella Fitzgerald「People」
翌年、1968年には、『シェルブールの雨傘』でふられたミシェル・ルグランが映画『華麗なる賭け』の主題歌「風のささやき(The Windmills of Your Mind)」で雪辱(せつじょく)を果たし、アカデミー賞を獲得します。これはきわめて順当な受賞ですが、その一方でウィリアム・ワイラーが監督した映画『ファニー・ガール』の主題歌「People」が落選したのは、少しばかり気の毒でした。ライバルが強力すぎたのでしょうが、ジュール・スタインの作曲した魅力的な曲です。映画の中ではバーブラ・ストライサンドが歌っていましたが、今日はエラ・フィッツジェラルドの圧倒的な歌唱で聴いてください。
まずは受賞曲の「風のささやき」をかけます。歌うのはダイアン・リーヴズです。そしてエラの歌う落選曲「ピープル」。
<番組概要>
番組名:村上RADIO~くたばれ、アカデミー賞~
放送日時:9月27日(日)19:00~19:55
パーソナリティ:村上春樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/
