ラッパー/トラックメイカーRyohuのすべてが詰まった1時間

One Hour Radio

5月29日日曜日、interfmはRyohuをDJに迎え、一夜限りの特別番組『One Hour Radio』をオンエア。Ryohuの原点であり音楽ライター・三宅正一と出会った「下北沢GARAGE」や2020年12月に発表したソロデビュー作についてその道程を振り返るほか、4月から展開中の「5ヶ月連続リリース企画」について、企画のアイディアや客演に迎えたアーティストとの関係性、制作過程などを掘り下げる。長年の付き合いである三宅から見たRyohuの魅力とは?

Ryohuと三宅正一

Ryohu:三宅さんと僕といったら「Garage」ですかね。

三宅 :そうですね。下北沢にあったライブハウス「Garage」というところで、まあ、残念ながら2021年末で閉店してしまったんですけど、10年前ぐらいかなあ、そこで出会って...

Ryohu:そうですね。

三宅 :本当にライブハウスという場で一緒に遊ぶというような関係から始まりましたね。

Ryohu:だって、一時期事務所で仕事してましたもんね。

三宅 :してた(笑)原稿書いたりね。

Ryohu:いつ行っても三宅さんがいるなみたいな。

三宅 :そこでみんなでお酒飲んだりとか、別にその日公演とかじゃなくても、楽屋で突然セッションが始まったりね。実際に僕がやったイベントにRyohuに出てもらったり、Ryohuの作品のリリースタイミングで一緒にトークショーとライブみたいなのをやったりね。何かいろんな思い出がありますね。

Ryohu:そうですね。初めてですか、こういう2人で喋るのって?

三宅 :まあ、プライベートとか、もちろんインタビューはあるけどね。ラジオブースで話すっていうのは初めてですね、新鮮です。

1stアルバム『DEBUT』

Ryohu: 大体1年半前、僕がちょうど30歳になる時ぐらいにリリースしたんですけど、僕のこれまでの音楽人生というか、これまでに出会った人や出来事みたいな...

三宅 :これまでの軌跡みたいなね。

Ryohu:そうです、そうです。

三宅 :本当、振り返りながら今を示すような感じだったもんね。だから、音楽的にもいろんな新しいアプローチをしていて、冨田恵一さんをプロデューサーに迎えてね。

Ryohu:そう。冨田さんのアルバムで初めてご一緒したんですけど、ラッパーの僕からしてもすごく良いなと思うことがあって、さっきオンエアした「The Moment」なんか、作ったのコロナの前ですからね。

三宅 :そっか、そうだよね。

Ryohu:そのタイミングですごいポジティブな曲を作ってたんで、逆にどうしようみたいな。みんながコロナでどうなるんだろうっていう不安な中で、アルバムの制作中だったんですけど、そのリリースタイミングもずらして、結局一年ぐらいかかって出来ましたね。

三宅 :もう本当に満を持してのファースト・フル・アルバムていう感じだったもんね。

Ryohu:今回はどちらかというと内容だったんで。もちろん、冨田さんやTENDRE、AAAMYYY、Shin Sakiuraも入ってくれたりはしましたけど、基本的には自分の言いたいことが言えたらいいやぐらいで作っていたので、音楽歴史で話すっていうよりもRyohuの歴史の中で話すというか...

三宅 :すごいドキュメンタリックだもんね。

Ryohu:そうそう。なのでこれがあって次に行けるなみたいな感覚があったので作って良かったって思いますね。

三宅 :「The Moment」聴いた時、Ryohuの音楽人生の新しいフェーズをめちゃくちゃ感じた。クワイアをちょっと消化したようなビートも含め、Ryohuの言葉もそうだし、これまでの軌跡を振り返りながら今ここに立ってますっていうのを、あの曲からもアルバム全体からも感じられたし、今でも思い出深いアルバムだなっていうのをリスナーとしても思います。

5カ月連続リリース企画

Ryohu:現在、いろんなアーティストを招いた5ヶ月連続リリース企画を実施中です。1stアルバム『DEBUT』では自分のことを分かってもらう為にフィーチャリングしなかったんですけど、それでアルバム作り終わったタイミングで・・・これ多分話しましたよね?

三宅 :以前のインタビューで「これから、次のアルバムに向けての構想みたいなのはあるんですか?」って聞いたら、「今回はこういうアルバムだったから、次はいろんな人を客演に招いてやりたいイメージはあります」って言っていて、本当に有言実行してると思って。

Ryohu:それしか、まず見えてなかったんです。ずーっと制作始まる前も。

三宅 :すごいね、初志貫徹というかね。

Ryohu:どんな人がいいかな?なんていろいろ考えながら、現在進行中でもあるんですけども。もちろんソロ曲も作ってます。

三宅 :5ヶ月連続ってすごいよね!

Ryohu:もう言っちゃいましたから、世に。

三宅 :はっはっはっ!そうだよね。5ヶ月って言ってるから、月をまたげないというかね。

Ryohu:そう。僕自身も割と締め切り決まってないとできないタイプだから、そこに合わせて制作しつつ、どんな人が来るのかなと思ってくれてる人たちのために自分なりに考えながら色々練っているところなんですけど。

三宅 :でも1発目にこの人とこの曲か!みたいな高揚感というか、ここのタイミングで来たかっていうのはもう語り尽くせないぐらい何かいろんな思いが去来しますね・・・

「One Way feat. YONCE」について

Ryohu:「The Moment」制作の時、冨田さんが何となく背中を押してくれる感じがしてて、僕は毎回それでエンジンが入る感覚があったので、今回も冨田さんに背中押してもらおうと思って。それで、冨田さんと話していた中で「管楽器を使いたい!」と、あとポジティブな曲にしたいなと思って「Earth, Wind & Fireじゃね?」みたいなところからこの曲がスタートして。

三宅 :アースっていうワードが出てきたんだ。

Ryohu:アースって聴いたら、誰だってぶち上がるじゃないですか。高揚感に満ちているというか。何かその感じいいなって思って。それでデモが届いて聴いたら、YONCEの歌声が何となく聴こえたんですよね。「これYONCEの歌声、超映えるな」みたいな。

三宅 :トラックから?

Ryohu:そうそう。元々、冨田さんのMIDIで打ち込んだガイドの歌メロもあったんですけど、「あー、これYONCE入ったらめっちゃいいかも」って思って、それこそ「Girl feat. 呂布」ですよ。・・・YONCEとは横浜スタジアムのSuchmosのライブを観に行って以来だったかな。他のメンバーとは一緒に曲やったりとかちょいちょい会う機会はあったんですけど、YONCEだけなかなか会うタイミングがなくて、それで連絡とって、その時はもうすでにSuchmosが休止してたので、そもそもどういうスタンスなのかこっちも分かんないから、まずコーヒーでも飲みに行こうみたいなところからスタートしましたね。

三宅 :まあ近況報告し合いながらみたいな(笑)

Ryohu:それで本当に何杯飲んだか分からないぐらいコーヒー飲んで(笑)僕、結婚して子供生まれたんだよとかKANDYTOWNの話とかしながら、それでYONCEはどうしてたの?とか話して。その時には、何となくデモも出来ててこういう曲にしたいんだよねって話して、YONCEとできるなら、お互いいろいろあった中で音楽をする意味というか、そういうのを一つの人生というか一つの道に例えたいというのを話してました。それで、いざOKもらって家の地下のスタジオに来てもらって、俺のラップを聴いてもらって、仮歌もYONCEに「キーとかどう?」とか細かい話もしながら、だんだん出来ていったという感じですね。

三宅 :なるほど、もうコーヒーの時点でテーマは共有したということね。

Ryohu:もうYONCEとやるならこのテーマが良いと思ってたんで。逆にYONCEが無理だったらどうなってたんだろうと思いますね。また、全然違うテーマになってたかもしれないし。

三宅 :確かに。まあでもYONCE君も見事にそれに応えて。それで、本当にすごいリアルなこと歌ってるじゃん。「先は見えないが歌だけはある」とかさ、まあ本当にRyohuとかだからこういうワードが出てきたのかなとも思うし、言い方難しいけど、お仕事で客演するっていう感覚が少しでもあったらこういうワードは出てこないと思うね。自分の人生乗せてるわけで、ちょっとやっぱりグッときたよね。

Ryohu:YONCEが言うから、より言葉に説得力があるというか。

三宅 :そうね。お互いの進んでいる道がこの曲で一回交わって、またそれぞれの道をっていうね。

Ryohu:まさにそんな感じで。タイトルも僕の歌詞の中でOne Wayってワードがあったんですけど、それをYONCEが気に入ってくれて、それでいこうって。

三宅 :割と早かった?完成するまでは?

Ryohu:そうですね。レコーディングは冨田さんに立ち会っていただいて、レジェンドの管楽器のスタジオミュージシャンにレコーディングしてもらって、その後YONCEとフェイクやスキャットを録って、その場で歌詞もありつつ「こういうのもあったら良いよね」って話をして作り上げていった曲ですね。

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