日本人の睡眠不足の実態と改善法…健康リスクを防ぐ快眠の秘訣とは?
3月18日は「春の睡眠の日」、そして3月11日から25日は睡眠健康週間です。近年、乳酸菌飲料が睡眠の質を高めるとして話題になるなど、快適な睡眠に対する社会的関心が高まっています。3月17日放送のRKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』では、睡眠と病気の関係について、日本睡眠協会理事長を務める、久留米大学の内村直久学長にお話を聞きました。
日本人の睡眠時間が短い理由
OECDの発表によると、日本人は世界で最も睡眠時間が短い国民です。15歳から64歳の平均睡眠時間は7時間22分であり、世界の平均8時間28分と比較すると、1時間以上も短いという現状があります。若い世代は特に長い睡眠時間を必要とすることを考慮すると、この平均時間は明らかに不足していると言えます。
日本人の睡眠時間が短い背景には、いくつかの要因が考えられます。まず、夜遅くまで活動する人が多いことが挙げられます。24時間営業の店舗やサービスが普及し、夜型の生活スタイルが一般化していることも影響しているでしょう。
次に、ストレス社会であることも大きな要因です。ストレスは自律神経のバランスを崩し、睡眠の質を低下させます。さらに、夜間の照明が明るすぎることも問題です。家庭内の照明が明るすぎると、睡眠を促すホルモンであるメラトニンの分泌が抑制され、寝つきが悪くなったり、睡眠の質が低下したりします。特に、スマートフォンやタブレットなどのブルーライトは、メラトニンの分泌を強く抑制するため、寝る前の使用は避けるべきです。
睡眠環境を改善するために
睡眠不足は、脳や体の休息を妨げ、翌日の眠気や集中力・やる気の低下、仕事の能率低下など、様々な悪影響をもたらします。さらに、肥満、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病、心筋梗塞、脳血管障害、がん、うつ病、認知症など、様々な病気のリスクを高めることも分かっています。また、幸福感の低下にもつながることが指摘されています。
質の良い睡眠を得るためには、睡眠環境を整えることが重要です。寝る1~2時間前から部屋の照明を暗くし、リラックスできる環境を作りましょう。寝る前にスマートフォンやタブレット、ゲームなどの使用は避け、ブルーライトを浴びないようにしましょう。ストレスを溜め込まないように、適度な運動やリフレッシュを取り入れることも大切です。
4月に福岡市で「睡眠フェア」開催
4月25日から27日の3日間、アクロス福岡にて「ふくおか睡眠フェア2025」が開催されます。睡眠に関する講演や、スリープテック関連企業のブース出展など、様々な催しがあります。参加費は無料で、ブース見学は事前申し込み不要です。講演については事前申し込みが必要となりますので、「ふくおか睡眠フェア」で検索の上、特設サイトからお申し込みください。
https://specials.nishinippon.co.jp/fukuoka_suiminfair2025/
日本人の睡眠時間の実態や睡眠不足がもたらすリスク、そして睡眠環境を改善するための方法について解説しました。睡眠の大切さを改めて認識し、より良い睡眠習慣を身につけましょう。
内村直尚氏(久留米大学学長)
1956年福岡県生まれ。久留米大学医学部卒業後、オレゴン州立大学へ留学。久留米大学医学部教授、同大学病院副院長、同大学医学部長などを経て、2020年より現職。日本睡眠学会理事長、日本睡眠協会理事長なども務める。
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