絶景と人々が織りなす山物語…TBSドキュメンタリー映画祭で上映『小屋番』の魅力

TBSドキュメンタリー映画祭2025に出品された『小屋番 KOYABAN ~八ヶ岳に生きる~』は、山好きの“音声マン”が自ら撮影も手がけた作品だ。山を知らない人でも楽しめるこの映画を制作した深澤慎也監督が3月25日放送のRKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』に出演し、RKB毎日放送の神戸金史解説委員長のインタビューに答えた。

山好き“音声マン”が撮影もした映画

天狗岳を望む ©TBSテレビ

神戸:「TBSドキュメンタリー映画祭2025」は、17作品を取り揃えています。RKBが制作した『jABBKLAB~誰も置いてかないダンススポット~』『誰のための公共事業~ギロチンが宝の海を壊した~』『巣鴨日記 あるBC級戦犯の生涯』の3作品のほか、TBSなど各局の映画が並びます。そのうちの一つ、映画『小屋番 KOYABAN ~八ヶ岳に生きる~』(80分)の監督、深澤慎也さんとオンラインでつながっています。深澤さんはTBSアクトにお勤めで、連続ドラマや報道特番のMAミキサー、音声を担当されていると聞きました。

深澤:はい。TBSドキュメンタリー映画祭には、2021年の初年度からMAミキサーとして携わり、今回は監督として1本手がけることになり、感慨深いです。

映画『小屋番 KOYABAN ~八ヶ岳に生きる~』(制作:TBS)
令和の日本とは思えないほど厳しく、不便な生活。時に死にでくわす生活。だからこそ自由なのだ。「自分にとって最後の逃げ場が山しかないなと思って…」ある小屋番の言葉だ。都会に疲れて山の仕事を選んだ。山小屋を営むもの、小屋番。このドキュメンタリーでは、「コヤガタケ」と呼ばれるほどに山小屋が多い八ヶ岳を、山岳写真家・菊池哲男と巡る。コンビニもない、車もない、自然と向きあう小屋番の日常は「過酷」だ。それでもその「過酷」を選ぶ理由が山にあるという。丁寧に紡がれた美しい自然と人の姿と彼らの言葉は、忙しい現代社会に生きる私たちに優しく響く。

神戸:音声マンが、撮影もしてしまったんですね。

深澤:はい。もともと趣味で撮影を勉強していて、山小屋がコロナで営業自粛になった時にボランティアでPVを作ったのがきっかけです。

神戸:「Tokyo Climb」はYouTubeのチャンネルですね。そして今回の映画『小屋番』では、八ヶ岳中信高原国定公園の山小屋の人たちを映画化したわけですね。

深澤慎也監督(右)

【撮影・音声・監督:深澤慎也】
「TBS ACT」勤務。主にTBSの連続ドラマ、報道特番のMAミキサーとして番組制作に携わる。動画制作チーム「Tokyo Climb」代表。2020年、パンデミックで営業自粛を余儀なくされた山小屋を支援するため、本業の傍ら、動画制作チーム「Tokyo Climb」プロボノ活動の一環として「山小屋動画」の制作を開始。現在は、東京からもアクセスしやすい八ヶ岳エリアの山小屋のPV動画を制作中。

若き小屋番「逃げ場は山しかないと思った」

「白駒の池」美しさが人を集める ©TBSテレビ

神戸:八ヶ岳中信高原国定公園は、長野県から山梨県にまたがり、八ヶ岳連峰を中心として、霧ケ峰高原の湿原植物群落でも知られています。八ヶ岳は山小屋が集中していて、「小屋ヶ岳」と呼ばれていると映画に出ていました。

深澤:他の山域と比べても山小屋の数が特に多いんです。北アルプスには、上高地、剣岳、槍ヶ岳と有名なところはたくさんありますが、冬になると山小屋が閉まってしまいます。高い登山レベルが必要で、行きづらい部分もあります。それに比べて八ヶ岳は冬も営業している山小屋が多く、泊まれるというところでハードルも下がり、魅力的な場所だと思っています。

神戸:山小屋の人たちもみんな魅力的で、根石岳山荘の佐藤誉起(やすき)さんはまだ若く、きついノルマと人間関係に悩んで仕事を辞め「逃げ場は山しかないと思った」と言っていました。

根石岳山荘の小屋番、佐藤誉起さん ©TBSテレビ

深澤:この企画が立ち上がる前から、佐藤さんの山小屋に客として遊びに行っている間柄だったんですが、他の山小屋のオーナーさんと比べて年も近く、親しくしていました。地上でうまくいかない瞬間に自分で気分転換し、歩みを少し緩やかにして考えたりする時間を作るため、山小屋に来たと言っていました。季節労働のような形で山小屋に働きに出る若い方々が増えています。

神戸:佐藤さんは、山に来る人たちとの人間関係ができていくうちに、今までと違う感覚で暮らすようになったように感じました。蓼科山頂ヒュッテのオーナー、米川佐和子さんは「山に行かないと会えない人がいて、直接的な人との出会いがある」と言っていました。山は、人と人が出会う場所なんだという印象を持ちました。

深澤:その通りだと思います。僕もそこが魅力で趣味で登山をしています。マンションの隣の人ともなかなか顔を合わせない現代社会の中で、山に行くと食べ物をシェアしたり、Wi-Fiがつながらないところが多いですから、自分たちのパーティー以外のお客さんと自然と仲良くなるんです。趣味が共通している人たちが集まっているから「どちらから来たんですか?」、すれ違う時には「おはようございます」「こんにちは」と当たり前のようにあいさつするんです。街を歩いていて、知らない人に「おはようございます」とか、なかなか声をかけないですけど、山では当たり前。そういうことから、人とつながっていくという面はありますね。

稜線を歩む登山客 ©TBSテレビ

美しい映像が全編に

人間の小ささ ©TBSテレビ

神戸:山では、人と会うと同時に、自然も見ていく。とにかく映像がきれいで、びっくりしました。四季折々の映像もありますし、山岳写真家・菊池哲男さんの写真や動画も多用されていました。素晴らしかったですね。

深澤:先生の写真はすごくきれいです。特に動画。僕には星は撮れません。先生のカメラでバシッと「先生ならではの瞬間」を切り取った星系写真や山岳写真がとても魅力的で。僕がどんな良いドローンの画を撮っても、全部持っていかれてしまいます。

神戸:ドローンの映像はきれいでしたよ。ドローンでこんな風に撮れるのかとびっくりしました。

深澤:菊池先生は「ドローンは反則」とよく言っていましたけど(笑)。ドローンは上空に上がれるので、反則技的に撮れてしまうんです。風が強いと飛べなかったり、意外と難しい要素はたくさんあるんですが。

山岳救助の訓練 ©TBSテレビ

神戸:でも、山に登らないと深澤さんも撮れない。山岳救助の訓練の様子も「かなり危ないところで撮っていたなあ」と感じました。

深澤:救助訓練の時は、下から普通に撮るつもりだったんですけど、救助隊の隊長さんが「中腹まで行かないといい画は撮れないよ、深澤くん」と言いました。元々クライミングの講習を受けていたんですが、本格的に登るのはあまり回数をこなしたことがなく、少し不安だったんですけど、「やってみろ」ということなので「わかりました」と急きょ上に上がりました。

神戸:とってもいい映像でした。

山に登らない人から「知らなかった」

かわいらしいが増えすぎて山を傷めるシカ ©TBSテレビ

神戸:人も魅力的だし、自然も魅力的。シカの食害の話など、今抱えている山小屋の問題点もいろいろ出てきていました。また、ボランティアで山岳診療所を作っているお医者さんもいるんだと初めて知りました。知らないこと、知らない映像がたくさんあり、「これは見てよかったな」と思う映画でした。

深澤:ありがとうございます。登山が趣味の人はもちろんですけど、登山しない方からも「初めて知った」という声を聞くたびに、作ってよかったなと思います。

神戸:プロデューサーの永山由紀子さんには、明日(26日)にRKBテレビ『タダイマ!』にも出ていただこうと思っています。映画『小屋番』は福岡では3回上映があると聞いていますので、ホームページなどで確認していただければと思います。

深澤:ありがとうございました。

映画『小屋番』 今後の上映予定
3/26(水)14:15 ヒューマントラストシネマ渋谷
3/29(土)12:20 アップリンク京都【登壇】菊池哲男(山岳写真家)
3/29(土)14:20 テアトル梅田(大阪市)【登壇】永山由紀子(企画・プロデューサー)、菊池哲男(山岳写真家)、笹倉孝昭(山岳ガイド)
3/30(日)15:10 センチュリーシネマ(名古屋市)【登壇】深澤慎也監督、菊池哲男(山岳写真家)、高橋玲司(日本山岳会東海支部長)、笹倉孝昭(山岳ガイド)
3/31(月)14:05 キノシネマ天神(福岡市)
4/01(火)15:55 テアトル梅田(大阪市)
4/01(火)14:30 センチュリーシネマ(名古屋市)
4/03(木)14:10 アップリンク京都
4/04(金)12:00 キノシネマ天神(福岡市)
4/04(金)12:15 テアトル梅田(大阪市)
4/07(月)13:55 アップリンク京都
4/07(月)14:00 テアトル梅田
4/09(水)13:35 キノシネマ天神(福岡市)
4/10(木)13:45 アップリンク京都

雪の根石岳山荘 ©TBSテレビ
田畑竜介 Grooooow Up
放送局:RKBラジオ
放送日時:毎週月曜~木曜 6時30分~9時00分
出演者:田畑竜介、橋本由紀、神戸金史
番組ホームページ
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※放送情報は変更となる場合があります。

Hana Hope「“暗闇って魅力的だな”と思って…」メジャーファーストアルバム『Between The Stars』のタイトルに込めた思いとは?

ジョージ・ウィリアムズ、安田レイがパーソナリティをつとめるTOKYO FMの生放送ラジオ番組「JA全農 COUNTDOWN JAPAN」(毎週土曜 13:00~13:55)。3月22日(土)の放送は、シンガーソングライターのHana Hopeさんが登場! 3月19日(水)にリリースされたメジャーファーストアルバム『Between The Stars』について語りました。


ジョージ・ウィリアムズ、Hana Hopeさん、安田レイ



◆アルバムタイトル『Between The Stars』に込めた思い

――『Between The Stars』はどんなアルバムになりましたか?

Hana Hope:とにかくたくさんのジャンルが入っていて、アニメとのコラボレーションや自分で作詞・作曲した曲、多彩なアーティストとのコラボ曲など、いろいろ詰まっています。2年ぐらいかけて、自分自身も成長しながらさまざまなジャンルをエキスポートして作ったので、とにかくHana Hopeのいろんな面が見られると思います。そこも楽しみながら聴いてみてください!

――アルバム制作期間はいかがでしたか?

Hana Hope:私自身は成長のときだったし、声も変わっていくなかで歌っていたので“これは私が行きたい道なのか?”とか、いろんな疑問と向き合いながら作っていました。チャレンジではあったんですけど、作り終えたことで私が思うアーティストに一歩近づいたかなと思います。

――普段はどのように曲を作っているのですか?

Hana Hope:ギターかピアノを使って、自分の時間がいっぱいある深夜に静かな場所で作っています。

――アルバムのタイトル『Between The Stars』はどういう思いでつけたのですか?

Hana Hope:日本語に訳すと“星のあいだ”という意味があるんですけど、星のあいだって暗闇だから“ちょっとだけある不安”を表現しています。でも、その暗闇があるからこそ、より星が輝けていると思っていて。星が爆発して再生してまた生きるように、アルバム制作中はいろんなジャンルにトライしたので、それを表せるタイトルにしたいと思って『Between The Stars』に辿り着きました。

――どんなときに思い浮かんだのですか?

Hana Hope:私は星のようなモチーフが大好きで、タイトルについてすごく迷っていたときに夜空を見ていたら“暗闇って素敵だな、魅力的だな”と思って、このタイトルが思いつきました。

――アルバムの曲順はどうやって決めましたか?

Hana Hope:アルバムを聴きながら、どんなムードになるかを考えながら決めていって、はじめはアップビートで心がエキサイトする曲を集めて、最後にはメロウでエモーショナルな気持ちで終われるようにしました。また、最後の「UnSaid」はギターが中心の曲なんですけど、自分が次にやっていきたいジャンルを見せたくて、「UnSaid」みたいな曲をこれから作っていきたいので、それをアルバムの最後に持っていきました。

次回3月29日(土)の放送は、[Alexandros]の川上洋平さん(Vo&Gt)をゲストに迎えてお届けします。

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3月22日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2025年3月30日(日) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

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<番組概要>
番組名:JA全農 COUNTDOWN JAPAN
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット
放送日時:毎週土曜 13:00~13:55
パーソナリティ:ジョージ・ウィリアムズ、安田レイ
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/cdj/

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