気象予報士・藤井南美が“線状降水帯”を解説!「HAPPYウェザーニュース」『HAPPYパンチ!』

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毎週月曜日から金曜日9時から放送している『HAPPYパンチ!』。月曜日は茨城県日立市出身のシンガーソングライターKATSUMIさんと大島千穂アナウンサーが担当です。月曜日の11時17分ごろからは県内の気象情報と天気にまつわる豆知識を紹介する「HAPPYウェザーニュース」をお送りしています。コーナーを担当するのは、水戸市在住の気象予報士藤井南美さんです。

今週のポイントは「残暑続く!」

藤井さん「今日24日月曜日は30度を下回るところもありそうですが、明日25日から月末にかけては再び広い範囲で真夏日が復活します。日中だけでなく、朝晩の気温も高めなんですよね。最近夜間の熱中症が増えていると聞きます。寝室の温度や湿度に気をつけたり、寝る前にコップ一杯の水を飲んだりしておくなど、夜でも暑さ対策忘れずにお過ごしください。現在台風8号が沖縄の近海から東シナ海方面と北上しています。関東は直接の影響はなく、晴れたり曇ったりの一週間となりそうです。」

よく耳にするようになった「線状降水帯」とは?

「HAPPYウェザーニュース」ではリスナーからの天気に関する疑問質問メッセージも受け付けています。この日は近年よく耳にする「線状降水帯」について知りたい、というメッセージを紹介しました。

藤井さん「ここ数年場所を変えて起きていますが、なんとなくしか理解できていないという方も多いと思います。線状降水帯というのは条件さえ揃えば日本列島どこでも発生しうる現象なんです。」

KATSUMIさん「ほう。」

藤井さん「その条件とは何か。大きく3つにまとめてみました。1つは雨雲の元となる暖かく湿った空気が流れ込み続けること、2つ目は、その暖かく湿った空気を上昇させる状況があること。例えば前線が停滞しているとか山があって強制的に持ち上げられるなど。そして3つ目が、そのできた積乱雲を流す一定方向の風なんですね。」

藤井さん「このメカニズムについて説明しますね。文字通り線状の細長い雨雲の帯なんですが、厳密にはその雲はひとつの雲ではありません。いくつもの積乱雲が並んだ複数の雲からなる“雲の列”なんです。まず地上付近で風がぶつかったり山がある場所など、気流が発生しやすい場所がありますよね。そうするとそこで積乱雲が発生します。その積乱雲が激しい雨を降らせながら上空の風に流されてゆっくりと風下に移動していきます。そうすると上昇気流の発生しやすい場所が空きますよね。するとそこでまた上昇気流が発生して、新たな積乱雲ができて、同じように激しい雨を降らせながら風下に移動します。そしてそこが空くと新たな積乱雲が発生して、また風下に流され…ということで1つの雲が衰えるとまた風上で新たなフレッシュな雨雲が作られるということが繰り返されるわけです。」

KATSUMIさん「ループですね。」

藤井さん「状況が変わらない限りはそのループが続くので、結果狭い範囲に大雨や集中豪雨をもたらすということになります。どこでも線状降水帯は発生するとお伝えしましたが、実はその中でもやはり発生しやすい時期や場所があります。例えば7月、つまり梅雨末期は主に九州の西部で発生しやすい傾向があります。これは九州の西に東シナ海が広がっていて、そこから暖かく湿った空気が流れ込みやすいことと、ちょうど梅雨前線が停滞しやすい時期であるという条件が重なるためです。」

関東で線状降水帯が発生しやすいのはいつ?

藤井さん「関東も発生しやすい時期がありまして、9月と言われています。やはり時期的に台風の影響かなと思われます。5年前の常総市を中心に起きました水害、あれも線状降水帯によるものだったんですが、やはり9月で台風がらみの災害でした。ですから茨城県内はこれから線状降水帯に注意の季節ということになりますね。」

50年に一度の雨?

藤井さん「『50年に一度の雨』という言葉を耳にすることが増えましたよね。ここ数年50年に一度という言葉何度も聞いていて50年ではないように思うんですが、これもやはり多くの方が疑問に感じられていることかなと思います。それにはいろいろな理由が考えられますが、そもそもまず50年に一度の大雨というのはどこで50年に1度かということなんですよね。日本列島全体で50年に1度ではなくて、雨が降った地域・場所で50年に1度クラスの大雨ということなんです。気象庁では全国を5km四方の四角に区切りまして、その四角ごとに50年に一度の大雨がどのくらいか?という基準値を計算しているんです。」

KATSUMIさん「5㎞四方って結構細かいですよね。」

藤井さん「ざっと1万4千エリアくらいに分かれるわけです。その1万4千のどこかで基準値を超えれば『50年に一度の大雨』として報道されることになるわけです。場所を変えながらであれば。50年に1度のという言葉が年に何度あってもおかしくはないということになるんですよね。」

平均的な雨量で決まる基準

藤井さん「ちなみに基準値は地域によって異なります。例えば茨城県内では3時間雨量で大体110mmから150mmくらいが大雨特別警報発表の一つの基準となるんですね。一方高知や鹿児島など、もともと雨の多い地域では3時間で200mmを超えないと警報が発表されないという場所もあって、地域によって本当にまちまちなんです。さらに言いますと、50年に一度の大雨っていうのは別に50年に1回降るということではなくて、あくまで確率の問題で、過去のデータを基にしてこのぐらいの大雨は平均すると50年に1回ぐらい降る確率がある雨だよっていう意味なんです。」

KATSUMIさん「確率の問題なんですね。」

藤井さん「短い時間に降る雨っていうのは年々増え続けています。一時間に50mm以上の雨の降る回数は、統計が始まった1970年代80年代は年間で平均およそ226回あったんですけれども、最近10年間で見ますと327回と1.4倍以上に増えているんです。最悪のシナリオでは、今世紀末には全国平均で短時間で降る雨の回数が2倍以上になるという予測もあるんです。」

KATSUMIさん「温暖化の影響ですか?」

藤井さん「そうですね。温暖化の影響とも、ヒートアイランド現象の影響とも色々言われていますが、いずれにせよ今後ますます“線状降水帯”とか、“50年に1度の”という言葉を聞く機会が増える可能性が高いといえそうです。

向こう1か月のお天気は?

藤井さん「最新の1か月予報を見ましても、この先9月末にかけて平年より気温の高い日が続きそうです。直近も注意が必要ですね。さらに台風シーズンも来ます。8月になってから一気に台風の発生が増えてきまして、すでに平年レベルに持ち直してきてしまいました。今後の雨の降り方にちょっと注意して見ていただきたいなと思います。」

夜寝ている間の熱中症も増えてきています。日中の気温が下がっても夜は暑さを感じる日がまだ続きそうです。適切にクーラー等を使い、しっかりと体調管理をしていきましょう!

HAPPYパンチ!
放送局:LuckyFM茨城放送
放送日時:毎週月曜 9時00分~12時55分
出演者:KATSUMI、大島千穂、藤井南美
番組ホームページ

ハッシュタグは「#ハピパン」

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