細野晴臣 x ハナレグミ(永積タカシ)、憧れは女声?

ハナレグミ(永積タカシ)、細野晴臣 ©InterFM897

InterFM897で毎週日曜日深夜に放送している『Daisy Holiday!』は、音楽家の細野晴臣が、古き良き音楽から、今まさに発信される新しい響きの音楽までを紹介。かつ、常に笑い!を忘れることなく伝える、独自のラジオプログラムです。番組では初めて、ゲストにハナレグミ(永積タカシ)を迎えました。

ソロでやる、バンドでやる

永積:いや〜、もう呼んでもらえて光栄です!

細野:なんか明るいね(笑)

永積:大丈夫ですか?僕この感じで。YouTubeでロサンゼルスの公演があがっていて。あんなに緊張しているMac DeMarco(カナダのシンガー・ソングライター)見るのは初めてで。めちゃめちゃ一緒に演奏できてうれしーって気持ちが混じっている映像見させていただきました。

細野:あれからもう10日以上経っちゃったけど、時差ボケが治らない。歳取るとな〜。

永積:YMO (Yellow Magic Orchestra)の時も行ってたじゃないですか、その頃とステージに立つ気分って・・・?

細野:全然違うな〜。あの時は3人(細野、坂本龍一、高橋幸宏)いて、その中の一人だから気楽っちゃ気楽だけど、自動的に音が出たりするじゃない?テクノって。こっちは調子悪くても関係ないんだよね。でも、生は調子悪いと本当酷いことになるじゃない?声が出なかったりね。幸いドリンク剤飲んで元気になった(笑)ハナレグミの場合はどうなんですか?

永積:元々はSUPER BUTTER DOGってバンドをやっていたんです。今は池田(貴史)くんとレキシをやっていたり。その当時は確かに自分が調子悪くても他のメンバーと頼れることはありますね。

細野:U-zhaan(インド打楽器音楽家)とやっているんだっけ?

永積:そうですね、ちょうど今U-zhaanとやっている途中で。U-zhaanは2人なんですけど、一人でも完成しちゃうじゃないですか、タブラ(インド打楽器)だけど。だからある意味バンドののように委ねられるから。

細野:U-zhaanはいいよね、ツッコミがいいなと思って。早い!ああいう人はあんまりいないんだよ。

永積:あと、アイデアが豊富なので、自由ですね。

細野:バンドだとそこ自由じゃないから、いいね。

女声への憧れ

細野:いくつくらいから歌い始めてるの?

永積:歌は、もう子供の時から親が車の中でかけているカセットがすごく好きだったんですよ。そのカセットに合わせて歌ったりしているのが、小学校低学年とか、その頃くらいからの記憶が・・・。やっぱり、友達とか、親が喜んでくれたのが嬉しかったんだと思うんですよね。あとは部屋で一人で遊んでることが多くって、ずっとカセットかけていて。その時にあみだした自分の一人遊びがひとつあって。井上陽水さんの曲かなんかが好きでかけていて、「カシャ」ってかけるんです。1回かけたまま歌いながらそこの場所を離れて、町内会を一周してきて、戻ってきて同じタイミングで戻ってこれるか?みたいな。

細野:そんなの聞いたことない(笑)それでテンポ感を養っていたのかな?

永積:そうかもしれないですね。やっぱり、リズムとか好きですね。自分の世代はそうだと思うんですけど、Michael Jacksonとか影響が大きくて、なんでこの人の音楽は体が動くんだろうと思って聞いて。

細野:リズム&ブルース系の方に行く可能性もあったわけね?

永積:ただ、そこまで深く一つの音楽に入り込むってほどの執着がなかった・・・。

細野:でも自分で作り始めたのは早いでしょ?

永積:始めたのは、20代になってからですかね?とにかく人の曲を口真似、物真似みたいな感じでずっと歌って。Michaelとか真似していましたね。ムーンウォークとかやったりしてましたね。「ポー!」とか言ってましたね。Michaelってハイトーンじゃないですか?今思うと、自分がバンドやっていた時に、自分がなんとなく目指していたのは、女性の声になりたいなって憧れがずっとあったんですよね。だから自分が初めてレコーディングした時に「もっと、女の人の声でやりたいな」っていうのがあったんですよね。

細野:それも特徴があるな。僕が考えもつかない。こんな声だから。

永積:僕、前にサンプラザ(東京・中野のコンサートホール)でクラムボンと細野さんとやらせていただいた時に、アンコールでクリスマスソングやったじゃないですか?あの時、隣で初めて細野さんの歌声聴いて、鳥肌立ちましたもん!ステージを一緒にすると、その人がどういう音出しているかって、言葉以上に伝わってくるじゃないですか?細野さんがどういう反響を身体からさせているのかな?って。昔のブルースマンの人とかって、譜面じゃなくて、小ステージに立ったりして、身体に学ばせている感じがあると思うんですけど、振動で覚えている熱量というか、メッセージする眼差しみたいなものを感じるなと思って。こういうことなんだなと思った記憶がありますね。

細野:そっか、そっか。繊細だね。あんまり考えたことなかった。

「HOSONO HOUSE」はイントロから止める

細野:最近人の曲聴いたりして「あ!」と思ったりすることあるんですか?

永積:これは、細野さんを前にして言うことじゃないかもしれないんですけど、こないだの「HOSONO HOUSE」を聴いて、イントロかかってすぐに「ヤベー」と思って1回ストップボタン押しましたよね。ドキドキして。この5〜6年なんですけど、音楽不感症みたいになっちゃって。

細野:職業病だね。

永積:久しぶりに、バッとイントロ聴いて「すごいこと始まるんだろうな」って。聴き直したっていうのが久しぶりで、そうなれた自分がすごい嬉しいんですけど。

細野:1曲目って、アルバムの1曲目?

永積:ラジオの音から今の音に戻った時に「お〜!」と思って「やべやべヤベー!」ってもう1回また聴き直そうって!

細野:そうやって聴いてくれる人もなかなかいないよね。

永積:僕ほんと、「HOSONO HOUSE」ばっか聴いている時がありましたね、ハナレグミやっていて影響されている部分があって。僕も米軍ハウス住んでいたんですよ。

細野:え?どこの??

永積:僕は立川の方だったんですけど、細野さんが住んでいた方がかなり本格的だと思うんですけど。それがあって、それこそ鈴木惣一朗さんと自分の家でレコーディングしたんですけど、細野さんの音みたいには全然なれないし、ならなかったし。あとはそれを入り口にJames Taylorとか聴いたりしたから、そういう時間とか色々不思議です。記憶のしおりみたいにオリジナル「HOSONO HOUSE」があって。そのしおりのはずなんだけど、また今回のやつは未来っていうか、過去の記憶とつながっているんだけど、あるところは未来からお便りが来ている不思議な感覚で。

細野:それはなんとなくわかるわ。自分でも音楽がへんてこりんな感じだったから。

永積:自分のアルバムをリミックスっていうんですか?すごいハードルじゃないですか?

細野:難しかったな〜・・・。やる前は、気楽だったの。やり始めて「しまった!」と思ったね。やっぱり自分に向き合わなくちゃいけないのが結構辛い。しかも、今の自分が表現できるように変えていかないといけないし。昔のままコピーしてもしょうがないしね。一人で、このスタジオで、七転八倒やっていたよ。

永積:ライナーノーツ見て、これ全部一人なんだな〜って。ただでさえ一人って集中力とエネルギーがいるのに、それをまたリアレンジって。1回完成したものをもう1回完成に持って行くのはすごいハードルだなと。

細野:これ、みんなやってもらいたい。本当に、やるべきだと思う!僕は、もう46年くらい経っていたわけだから、それくらいたつとやってみる価値はある。

永積:今だったからこそ再現できたみたいなこともあるんですか?リズム楽器が「やおや」とか昔のやつとか使ったけど、今のに合わなくて、新しくリズムの音源にしたっていうのを聞きました。

細野:途中でやめて、それに詳しい人を読んで、色々システム変えていったの。でも全部変えると、何から何まで変えないといけないじゃない?それはちょっと難しいので、途中でやめて新旧織り交ぜて、だから、半端な感じでやったんだよね。どんなシステム持っているの?

永積:僕は、ほぼギターしか弾けないので、打ち込んだりとかも全然できないんです。ギターを弾いて、机の前で「う〜 う〜」言いながら作っているんですけど。

細野:いいじゃん〜、それが一番だよ。

永積:でも憧れて買うんですけどね、リズムマシーンとか。でもちょっと触ると「向いてないのかな〜」って。だからついつい途中で頓挫しちゃって。あとはマニピュレーターの人に入ってもらってお願いしたりとか。

細野:僕も最近面倒くさくって、入り込むのが嫌なんだよね。マニュアル読まないしね。

永積:きっとYMOとかそのころにとことんやりきったんですよね、想像できないくらい。

細野:それはあるかも、やりきったな。なんでもやり切らないと気が済まない質(たち)だから。

永積:多分すごいことを精査して精査して・・・なんだろうな。

細野:使い果たしたね。Prophet-5(シンセサイザー)。隅から隅まで使い果たしたね。

永積:・・・かっけ〜。一人で完結できるのが面白かったんですか?

細野:バンドの良さはもちろん、一人で脳内の音をイマジネーションそのまんま音が出せるんだと思ってね、没頭しちゃうんだよね。

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経済ジャーナリスト・町田徹が毎週注目すべき国内外のニュースを徹底解剖。日本経済が抱える問題の本質、激動の国際情勢の行方について、時に冷徹に、時に熱く、語ります。

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