「青い壺」で再ブレイク! 今、なぜ、有吉佐和子なのか? 伝統芸能の世界を背景に描く、老顔師と女子大生の物語「まっしろけのけ」に、その一つの答えが見えてくる。
ラジオ日本の朗読番組『わたしの図書室』では、9月10日・17日・24日の3週に渡り、有吉佐和子の「まっしろけのけ」を紹介する。熟練の顔師が語る“人の顔”、その奥義に新風を吹き込む女子大生の新旧出逢いの物語。日本の伝統芸能にも造詣の深い、有吉佐和子ならではの味わい深い名作だ。日本テレビアナウンサーの井田由美が趣のある朗読を聞かせ、ベテラン声優・羽佐間道夫が老顔師の昔気質と化粧に懸ける心意気を熱演する。
ほ~ら、まっしろけのけ!
「まっしろけのけ」は有吉佐和子が25歳の時に書いた初期の作品。主人公の女子大生・燿子は、大学で歌舞伎サークルに属し、自分でも日本舞踊の稽古に通い始めた。初めてのおさらい会の日、彼女は、楽屋で、これから舞台に立つ子供たちの顔に白粉を塗り、紅を指し、ひとつひとつの顔を役にふさわしい顔に仕上げていく“顔師”の老人、源吉の仕事に目を奪われる。酒臭い息を吐きながら、「ほら、まっしろけのけ」と次々に美男美女を生み出す源吉。おりしも、大学の学生芝居で歌舞伎を上演することになった燿子は、その舞台化粧を習うため、源吉が女房と暮らす二軒長屋に通うことになる…。これは、そんな老顔師と女子大生、つまり古いものと新しいものとの出逢いが心に灯をともす物語。
昭和を代表する女流作家
有吉佐和子は、1931年(昭和6年)、和歌山県で生まれた。亡くなったのは、1984年(昭和59年)53歳のとき。まさに昭和を生き抜いた女性と言っていいだろう。幼いころは父の仕事の関係でジャワ(インドネシア)で過ごしたこともある。外地から帰った佐和子の目には、日本はどのように映っただろうか? 日本の伝統芸能への関心は、あるいはこの時期の多感な少女の感性に根差しているのかもしれない。東京女子短期大学を卒業後、作家活動を開始。出身地の和歌山が舞台の「紀ノ川」をはじめ、「華岡青洲の妻」「出雲の阿国」、社会派の「複合汚染」、歴史小説「和宮様御留」など、書くものが次々にベストセラーになった。中でも1972年に41歳で書いた「恍惚の人」の反響はすごかった。今で言う認知症の問題をいち早く取り上げたこの小説のブームは、社会現象を生んだと言っても過言ではない。また、有吉佐和子が1976~1977年に書いた連作短編小説「青い壺」が、2025年上期のベストセラー文庫第1位に輝いた。50年の時を経て沸き上がった、ここ数年の「青い壺」ブームに驚きの声が上がっている。
有吉佐和子を知るエッセイのオマケ付き!
今回は、短編小説「まっしろけのけ」全編に加え、有吉佐和子のエッセイ2作品を朗読する。ひとつは、「私は女流作家」。“女流作家”と呼ばれることは恥辱なのか? 昭和30年代の始めに文壇に登場した有吉佐和子に向けられた男性諸氏からの目は、決して好意的なものばかりではなかった。しかし、彼女は「女だから、女流で結構」と半ば開きなおり、周囲の嫉妬の目、やっかみの声をモノともせずに作家の道をひたすら歩み続けた。もうひとつのエッセイは「鏡と女」。化粧をせず、鏡を見ることも稀だという有吉佐和子が、女の魂である鏡について語る。2つのエッセイは、お得感たっぷりだ。
【放送内容】
放送日時 9月10日・17日・24日(木) 23時30分~24時00分
朗読作品 有吉佐和子作 「まっしろけのけ」
朗 読 羽佐間道夫(声優)/井田由美(日本テレビアナウンサー)
- わたしの図書室
- 放送局:ラジオ日本
- 放送日時:毎週木曜 23時30分~24時00分
- 出演者:羽佐間道夫(声優)、井田由美(日本テレビアナウンサー)
※放送情報は変更となる場合があります。
