ガザの休戦見通せず 戦争しているのに機能しないイスラエル政府

地政学・戦略学者の奥山真司が2月8日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。4ヵ月が経過したイスラエル軍とハマスの戦闘について解説した。

記者会見するイスラエルのネタニヤフ首相=2023年10月、中部テルアビブ(ロイター=共同) ©共同通信社

イスラエル軍・ハマスの戦闘開始から4ヵ月、休戦見通せず

ロイター通信によると2月7日、アメリカやカタールなど4ヵ国が提案したパレスチナ自治区ガザにおける休戦案について、イスラム組織ハマスの返答は、イスラエル軍のガザ完全撤退を含む内容だと報じた。イスラエルはハマス壊滅を目指しており、休戦は見通せない情勢。

新行)現地2月7日で戦闘開始から4ヵ月になります。

連立政権の極右政党の言いなりであるネタニヤフ首相

奥山)10月7日に始まって以来、戦闘が続いています。当初はイスラエルへのハマスによるテロ攻撃だということで、ある程度はイスラエルを正当化する議論がありました。しかし、イスラエルの現在のやり方がかなり過激で、流石にアメリカでもバイデン大統領だけでなく、トランプ前大統領までもが批判するくらい苛烈な戦闘が行われています。

新行)そうですね。

奥山)日本での報道だと、「イスラエルとハマスは仲が悪い」という状況を見がちです。イスラエルはハマス側の休戦案を拒否していますが、核心にあるのはイスラエル政府の機能不全であり、日本ではそこがあまり伝わっていません。英字新聞などで情報を取ると、イスラエル政府において、ネタニヤフさん自身も「リクード」という右派政党なのですが、さらに右側にはいくつかの小さい政党があります。その極右勢力との連立で政府をつくっているのです。あまりにも連立政府の極右側におもねりすぎて、ネタニヤフ首相がほぼ動けない状態にある。それは我々も認識しなければいけません。戦争を終わらせられない状況があるのです。

イスラエル政府が閣議を開けない酷い状況

奥山)首相はネタニヤフさんですから、彼が運転席にいてハンドルは握っているものの、いまは助手席にいる極右勢力の人々が「右に行け、左に行け」と指示している感じです。ネタニヤフさんは首相として居座りたいがために、極右勢力の言うことを聞いており、イスラエル政府は閣議も開けないという酷い状況なのです。

新行)開けないようにさせられているのですか?

奥山)連立政権のなかで意見の相違があることは極右勢力もわかっているので、「閣議を開いたら解散する。お前のことを支えないぞ」と言われており、ネタニヤフさんは何もできないのです。

戦争しているのに政府がまったく機能していない

奥山)極右勢力の人たちが何をやりたいのかと言うと、アラブ側の人たちと意見交渉をするのもダメだと。「彼らは殲滅させられるべき人々だ」ということで、パレスチナ側との交渉を一切拒否しているのです。極右勢力に引っ張られる形で政権が運用されており、アメリカのユダヤ系勢力からは「早く極右勢力を何とかしろ」という意見も出ているのですが、政府は動けず、戦争もこのような状況になってしまっている。戦争しているのに政府がまったく機能していないというのが、問題の本質の最も大きなところです。

新行)いろいろなところに飛び火して、アメリカ軍が報復に踏み切ったという報道もありました。

日本や中国にも出始めた影響

奥山)日本の生活にも少し影響が出てきています。スエズ運河につながる物流の大動脈である紅海が、アラビア半島の下の方にあるのですが、その踵の部分にはイエメンがあります。そこで反乱軍であるフーシ派が、紅海に行く船を無差別に、しかもミサイルだけでなくドローンなども使って攻撃しています。

新行)英米の船などが攻撃されています。

奥山)そうなると、日本の大手の郵船なども含めてスエズ運河を通るのは危険だから、南回りでアフリカ最南端の希望峰を通ってヨーロッパへ行くことになります。物資を運ぶのに、平均すると10日間くらい余計な時間が掛かってしまうのです。日本だけでなく中国なども影響を受けています。IKEA本社はスウェーデンにありますが、中国で生産しているので、生産したものはスエズ運河を通ってヨーロッパに持っていくのですが、希望峰を通ると遅れてしまうため中国側も困っているようです。

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なでしこジャパンは“パリ五輪で金メダル”獲得できる!? “スペイン”“ブラジル”相手にグループリーグをどう戦う? 佐々木則夫元監督が分析

スポーツジャーナリスト・中西哲生と横山ルリカがパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「TOKYO TEPPAN FRIDAY supported by Ginza Sony Park」。7月26日(金)〜8月11日(日)の期間で「パリ2024オリンピック(以下、パリ五輪)」が開催されますが、その直前の7月13日(土)には国際親善試合「MS&ADカップ2024~能登半島地震復興支援マッチ がんばろう能登~」が開催予定です。

そこで「なでしこジャパン めざせ!世界No.1」のコーナーでは、パリ五輪と今回の国際親善試合をより楽しむために、さまざまなサッカー関係者をゲストにお迎えしてお届け! 4月26日(金)の放送では、元なでしこジャパン(サッカー日本女子代表)監督の佐々木則夫さんが登場。パリ五輪の注目ポイントやなでしこジャパンの注目選手、さらには「MS&ADカップ2024」の見どころなどを伺いました。


(左から)横山ルリカ、佐々木則夫さん、中西哲生



1958年生まれ、山形県出身の佐々木さんは、明治大学を経てNTT関東サッカー部(大宮アルディージャの前身)で選手・監督として活躍したのち、2006年になでしこジャパン(サッカー日本女子代表)コーチに就任し、翌年の2007年に監督に就任。そして、2011年にドイツで開催されたFIFA女子ワールドカップで、男女通じて日本初の優勝に導き、2012年にはFIFA女子世界年間最優秀監督賞も受賞。その後、2021年から日本サッカー協会女子委員長をつとめています。

◆強豪ぞろいの“グループステージ”勝ち抜くポイントは?

まず佐々木さんは、なでしこジャパンも出場が決定しているパリ五輪について、「選りすぐりの12ヵ国しか出場できないので、どこが勝っても負けてもおかしくありません。強豪国同士がしのぎを削るのでとても大変ですけど、これがまた楽しいんですよね」と期待を寄せます。

パリ五輪の女子サッカーは、熾烈な予選を勝ち抜いた12ヵ国が4チームずつ3グループに分かれてグループステージを戦います。そして、各グループ上位2チームと各グループ3位のうち成績が上位の2チーム、計8チームが決勝トーナメントに進出します。

4月26日現在、FIFA世界ランキング7位のなでしこジャパンは「グループC」に入り、第1戦は世界ランキング1位で「2023 FIFA女子ワールドカップ」覇者・スペインと対戦することが決まっています。

初戦から強豪国とぶつかりますが、昨年開催の「2023 FIFA女子ワールドカップ」のグループステージで対戦した際は、日本が「4-0」と完勝しているだけに、「タイプ的には勝てない相手ではない。ただ、相手がまた同じようなスタイルでくるかどうかという読めないところはあります」と分析します。

続く第2戦は、佐々木さんが「非常に身体能力が高く、ドリブルがうまい選手が揃っています」と評するブラジル(世界ランキング10位)。直近では、今年4月におこなわれた「2024 SheBelieves Cup」3位決定戦で対戦しましたが、その際はPK戦までもつれた結果、悔しい敗戦となりました。

この試合について、佐々木さんは「日本のPKが置きにいくキックになってしまって、それをブラジルのキーパーにすべてセーブされてしまったんですね。そういう悪い経験も良い糧にして進んでいかなければならない」と力を込めます。

そして、第3戦はナイジェリア(世界ランク36位)。佐々木さんはアフリカ勢に対し、「独特のリズムや身体能力があり、本当にやりづらいチーム。ヨーロッパの指導者が入ってきて戦術的にもまとまってきたので、穴があるチームではなくなってきた。簡単に勝てる国ではないですね」と分析し、特にナイジェリアは「世界大会の経験を積んでいて、個々の質も高い」と評します。

ここで中西が、難敵との戦いが続くグループステージの“理想的な戦い方”を聞いてみると、「まずスペイン戦では、しっかりと守ってカウンターが狙えるかどうか、というところがありますが“勝ち点1”は取りたいですよね。初戦を終えたときに、勝ち点1か0かではまったく違うので。もちろん、勝利にはこだわりながらも“勝ち点は必ず獲得する”ということを意識してスタートすれば、グループリーグは必ず突破できると思います」と声を大にします。

◆“過酷なグループステージ”勝ち抜くポイントは?

続いて、ベスト8で敗退した「2023 FIFA女子ワールドカップ」からの約1年間で、なでしこジャパンが進化した点を伺うと、「ワールドカップでも平均年齢は下のほうだったんですよ。その若い世代がいろいろな経験を積んでくれて、それを活かして成果につながっている。池田(太)監督体制も熟して、戦術的にも浸透してきています」と佐々木さん。

そんな、なでしこジャパンの注目選手としてまず挙げたのは、昨年のワールドカップで得点王に輝いた宮澤ひなた選手(マンチェスター・ユナイテッドWFC)。彼女はワールドカップ後にケガをしてしまいましたが、ここにきてようやく回復し、まだ本調子ではないものの4月におこなわれた「2024 SheBelieves Cup」から、なでしこジャパンに復帰しています。

さらに佐々木さんは、三菱重工浦和レッズレディースのフォワード・清家貴子選手を挙げ、「この選手が今、点を取りまくっていますからね!(WEリーグで)10試合連続ゴールを記録し、代表でもゴールを決めています。(今のなでしこジャパンは)粒ぞろいのゴールゲッターが揃っているので、しっかり構成できれば、僕は“金メダルが獲れる”と期待しています!」と太鼓判を押すと、中西も「いまだかつてないくらいのアタッカー陣が揃っていて、ゴールを奪える可能性を感じる顔ぶれですよね!」と賛同します。

◆「MS&ADカップ2024」注目ポイントは?

パリ五輪のグループステージ初戦まで残り3ヵ月を切りましたが、今後の調整について、佐々木さんは「7月13日(土)に金沢で試合があるので、そこでしっかりチームの構成を整えて、フランスに渡ることがポイントになると思います」と言及。

その注目の試合「MS&ADカップ2024~能登半島地震復興支援マッチ がんばろう能登~」は、今年1月1日(月・祝)に発生した能登半島地震の復興を後押しするチャリティマッチとなっており、「当日は、ぜひ金沢に足を運んでいただき、復興試合を盛り上げていただければ」と佐々木さん。

また、この試合の見どころについては「(パリ五輪に向けて)チームの状況を確認したい時期なので、緊迫した良いゲームになると思います。本番さながらの雰囲気を醸し出すなでしこジャパンをスタジアムで観て、応援していただけたら」と話します。

最後に、今のなでしこジャパンの注目ポイントを聞いてみると「若い世代の攻撃陣ですね! なでしこジャパンを今後10年ぐらい支えていくような期待を持てる若い選手が揃っていますので、ぜひ(スタジアムに足を運んで)皆さんの視点でも分析してもらえたら良いかと思います」と力を込めていました。

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4月26日(金)放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限:2024年5月4日(土・祝)AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:TOKYO TEPPAN FRIDAY
放送日時:毎週金曜15:00-17:00
パーソナリティ:中西哲生・横山ルリカ
番組Webサイト:
特設サイト:
https://audee.jp/program/show/300004876

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