新型コロナウイルス~日本への侵入は水際で防げるか

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月22日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。新型コロナウイルスについて解説した。

WHO本部の大会議室(世界保健機関-Wikipediaより)

新型コロナウイルスによる肺炎~WHOが緊急委員会を開催へ

中国で多発している新型コロナウイルスによる肺炎について、世界保健機関(WHO)は22日、専門家による緊急委員会を開催する。WHOでは人から人への感染が起きていると見ていて、今後の対応などについて協議する予定。

飯田)既に報じられておりますが、中国・武漢を中心に日本、韓国、タイ、アメリカ・ワシントン州シアトルでも1人ということです。オーストラリアのブリスベンでも出たのではないかということが言われていて、これから春節で人が移動するところです。

高橋)日本がいちばん多いでしょう。たくさん来るので心配です。人から人へというので中国もようやく認めたのですが、こんなに世界にいるし、WHOの方が先に言っているのはおかしいですね。だいたい、医療関係者ならばすぐにわかるはずです。

飯田)当事国ですからね。

高橋)中国共産党の隠ぺい体質という感じもしますが、早く言ってくれないと困ります。習近平さんが「絶対に抑え込む」と言ったようですが、無理ですよね。

飯田)現地ではそんなに報道されていないという懸念もあって、日本でインタビューをしたら「日本でニュースになっているのを見て初めて知りました」と言う中国人もいました。予防だとか、抑え込むという話ではないのですよね。

各地に対策チーム派遣  新型肺炎の〝発生源〟とみられ、閉鎖されている中国湖北省武漢市の海鮮市場=2020年1月17日(共同) ©共同通信社

発生国で万全の対策をすべき

高橋)震源地で何とかしてくれないと、世界中が迷惑を被りますよね。特に日本には観光客としてたくさん来るので、水際で防止すると言っても無理なレベルです。潜伏期間が長ければ検疫も引っかからないし、発熱を見ると言っても、熱が出ない人もいるでしょう。現地できちんと隔離してくれないと、世界中に広がってしまいます。これを機にWHOも中国に対して、いろいろなことを言ってくれないと困ります。

飯田)ツイッターでも意見をいただいています。“いなとも”さんから、「新型コロナウイルスへの対応は、入国できなくなるから質問表には嘘、発熱していたら解熱剤、咳には咳止めなどで、いくらでも入国できるのではないか。日本国民のために対策をして欲しい」と。基本は申告制ですものね。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

水際対策にも限界~個人的にもできる対応は

高橋)震源地で病人を隔離するしかないと思うのですよ。広がってしまったら、我々にできることはせいぜいうがいや手洗いです。インフルエンザと同じだと思います。

飯田)お医者さんなどがいろいろと知見を出していますが、いまのところは手洗い、うがい。一般的にコロナウイルスにはアルコールが効くとされているので、アルコールによる消毒。

高橋)インフルエンザと同じことをして、人混みに行かないように自衛をするしかありません。

飯田)かつてSARSが大流行したときに、WHOが早く動かなかったことが蔓延に一役買ってしまったという指摘もあります。

高橋)初動が重要なので、震源地で隔離してくれないと広がってしまいますよ。

飯田)アメリカなどは武漢から来る飛行機に関して、1度乗客を別室に集めてテストをしてから、大丈夫な人は出すという形を取っていますが、日本の場合は同じ動線で動かして、何かある人は自己申告に頼る対応になっています。これはどうですか?

高橋)どういう対応にしても難しいでしょうね。すり抜ける人はすり抜けるし、第三国を経由すればわかりません。

飯田)直行便だけではないですものね。

高橋)水際で防ぐには限界があるので、発症国で対応してもらうしかないでしょうね。

EV市場に変調……アクセルをふかしはじめた日本勢への影響は?

政策アナリストの石川和男が5月19日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送Podcast番組「石川和男のポリシーリテラシー」に出演。米EV(電気自動車)大手テスラが、減収減益や人員削減に追い込まれるなど変調をきたすEV市場について専門家と議論。今後の日本がとるべきEV政策やメーカーの戦略について提言した。

※画像はイメージです

米EV大手テスラは4月15日、世界で従業員の10%以上を削減すると発表。同社の今年1-3月期の決算は、前年同期に比べ4年ぶりの減収減益となったほか、EVの販売台数も9%減となった。一方、安値攻勢をかける中国メーカーBYDの今年1-3月期決算は、純利益が前年同期に比べ11%増、販売台数は13%増となったものの、伸び率は減少した。

この現状について、ゲスト出演した自動車業界に詳しい経済ジャーナリスト井上久男氏は「中国では今、景気低迷を背景にした価格競争からEVの値引き販売が起きている。今年3月に中国のスマホ大手シャオミが出したEVが、かなり評判がよく、まさに走るスマホ。テスラより安い価格で市場投入してきており、中国のEV大手BYDが“シャオミ潰し”に動くなど、中国勢同士で競争が起きていて第二のEV競争が始まっている。テスラはそれに巻き込まれている」と解説した。

日本勢について井上氏は「まだ商品をほとんど出せていない。値引き競争したくてもできない。それが不幸中の幸いで、値引き競争に巻き込まれずに済んでいる」と指摘。あわせて「EVが新しいもの好きな人たちの間である程度一巡して、いわゆるキャズムのような状態になっている。充電環境の悪さや、補助金がないと高くて買えないなどの理由から、再び世界でHV(ハイブリッド車)が売れ始めている」と明かした。

一時はEVに関して出遅れが指摘された日本メーカーだが、井上氏によると「テスラやBYDが引っ張ってきた、この4年くらいのスピードが早すぎた」とのこと。井上氏が取材した大手国内自動車メーカーの経営陣は「(EVが)想定内の普及スピードに戻ってきた」と話したという。

井上氏は「中国では“賢い車”、車のスマート化が加速している。日本メーカーは中国勢に比べると、まだスマート化に関するノウハウは少ない」とも述べ、トヨタと中国SNS大手テンセント、日産と中国ウェブ検索大手バイドゥが提携したように、車のスマート化技術の強化が重要だと指摘した。

そのうえで、今後日本メーカーが世界のEV市場で勝てる価格について聞かれた井上氏は「市場によって違うと思うが、アメリカであれば補助金なしで400万円くらい(1ドル150円程度を想定)のEVを出せば売れると思う」と述べる一方、「日本国内では150万円くらいだと思う。国内は軽自動車が中心のマーケットになっていて、可処分所得も伸びず、高齢者も増えるなかで国民の足となっている。地方に行けば一人一台。ガソリンスタンドも減少する中、軽自動車のEVでもう少し安いものが出れば爆発的に売れると思う」との見通しを示した。

最後に石川は「(今のEV価格競争を)日本が傍観者として見ているのは、実はいいこと。日本メーカーは、競争を見極めたうえで売っていくことができる。最終的に日本メーカーが大事にしなければならないのは価格戦略。いいものが売れるのではなく、売れるものがいいもの。メーカーが価格戦略を立てられるよう、国も支援策をふんだんに出して、国策として日本のEVメーカーを育てていくべきだ」と持論を述べた。

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