『日本沈没2020』の劇伴を担当した牛尾憲輔、そのこだわりの音作りを明かす

7月7日(火)深夜放送のラジオ番組『ミューコミプラス』(ニッポン放送・毎週月-木24時~)に、アニメ『日本沈没2020』の劇伴を手がけるagraph(アグラフ)の牛尾憲輔が出演し、作品の音作りについて語った。

ソロユニット・agraphとしても活動する牛尾は、7月9日(木)よりNetflixで配信されたオリジナルアニメーション『日本沈没2020』で湯浅政明監督とタッグを組んだ。番組では作中の音楽について話し、手の込んだ、少し変わった作り方をしたことを明かした。

吉田尚記アナウンサー:『日本沈没2020』を見せていただいたんですけど、普通はシーンごとに違う曲が流れるところが、この作品だと怖いことが起きた後にちょっとホッとして次の怖いことが起きるまでの音楽が、1曲になっていたりするんですよね

牛尾:うん。大変だった。作り方に秘密があって、最初にまずは日常の曲を作ろうと思って、マイク片手にそこら中の音を録ってきたの。公園とかで

吉田:あら、不審者(笑)

牛尾:不審者なのよ。ギリ大丈夫だけど。それをパーカッションみたいに練り込んで、歩く音だとか、遠くで子供がお母さんを呼ぶ声とかそういうのを全部リズムに練り込んで日常の曲を作って

吉田:そんなのあるの!?

牛尾:あるの。全部音響加工してるけどね。で、そのリズムとかパーカッションを崩壊させていったの。日常がどんどん壊れていって、次の日常を生むみたいなストーリーになるように作ったの

末吉9太郎(番組アシスタント):えっすごい!

こうして作った音楽をどのように使うのか。牛尾は、湯浅監督と2人きりでスタジオに入り、『日本沈没2020』の全話のアレンジや効果について話し合った上で決めたことも明かした。

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毎日食べることで免疫力を上げる~納豆、味噌汁

黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に発酵デザイナーの小倉ヒラクが出演。発酵に興味を持った経緯について語った。

小倉ヒラク

黒木)今週のゲストは発酵デザイナーの小倉ヒラクさんです。小倉さんが発酵に興味を持つようになったきっかけは何ですか?

小倉)僕はもともと身体が弱いのですが、デザイナーになったばかりの20代半ばにかけて、友達と遊んでいるうちに喘息がぶり返し、リンパも弱ってしまいました。そのときに、当時の同僚の女の子が「私の先生に会いに行きましょう」と言って、紹介してもらったのが発酵界で有名な小泉武夫博士でした。小泉さんが僕の顔を見て、「お前、免疫が弱いな」と言われたのです。それから、お味噌汁やお漬物を毎日食べなさいと言われて、半信半疑で毎日お味噌汁をつくってお漬物を食べるようになったら、いつの間にか回復して仕事ができるようになったのです。それ以来、先生の本を読んだり、微生物や酵素、人間の身体など、生物学の仕組みに興味を持って、勉強し始めました。

黒木)味噌汁というのは日本食ですが、日本食は身体にいい食品が多いですか?

小倉)世界中、いろいろな発酵文化を訪ねて、研究者と話をしたのですが、日本の発酵食は非常によくできています。いくつか理由があるのですが、その1つは動物性のものなど、油分がないことです。イタリアで仕事をしたときに、イタリアの研究者の人に言われたのは、イタリアやヨーロッパの料理は、肉を煮込まなければ旨味が出ないけれど、日本の料理は醤油1つでいいから楽だということです。味もリッチで、油でギトギトしていないし、ヘルシーだし、それで旨味を出せて最高だと言われ、確かにそうだと思いました。そして素晴らしいのは、毎日食べていても飽きないということです。納豆や味噌汁は発酵作用のおかげで、大豆などの元の味よりも味わいが複雑になるので、毎日食べても飽きない味の奥深さがあるため習慣化できるのです。さらに、人間の身体によい作用があるということが証明されつつあります。例えば発酵した大豆には、人間の免疫バランスの崩れを補正し、日々の身体をつくり変えて行く力があります。また免疫機能を促す作用があることがわかって来ています。

黒木)そこまでのめり込む魅力があったのですね。

小倉)いま挙げたのは、どちらかというと健康や食の側面ですが、文化的な側面の面白さもあります。農大の先生に教えてもらったことなのですが、お酒がどうしてできるかということは、糖分がアルコールに変わるというように、科学的に証明できています。けれど、世界一美味しいと言われるお酒は、化学では説明できません。どんなお酒が好きかということは、人によって違うと思います。それは、単なる化学の話ではなくて、人間の文化や歴史、地域性などで変わるのだと言われました。僕も日本全国を回っていますが、お味噌汁でもすごく甘い地域や、辛い地域などたくさんあります。お味噌汁を飲むと、その土地がどういう土地なのか想像できるようになって来ます。1杯のお酒やお味噌汁には、単純に食べ物であることを超えて、その土地の記憶や歴史、人の美意識を表している方舟のような側面もあるのです。

小倉ヒラク

小倉ヒラク(おぐら・ひらく)/発酵デザイナー

■1983年、東京生まれ。
■免疫不全の虚弱体質で生まれ、中学生まで毎年夏、母方の佐賀・玄界灘の実家に預けられ、自然に親しむ(このころの体験が、のちに生態系に関わる仕事へのきっかけ)。
■早稲田大学文学部に進学。当時、バックパッカー旅にはまり、ユーゴスラヴィア人の絵描きと出会い、パリで絵描きに明け暮れる生活を送る。
■卒業後、ゲストハウスを運営。
■その後、スキンケア会社に就職。デザイナーとしての仕事がスタート。
■2010年に独立するも、意に反してデザイン業とはまったく違う領域の仕事に従事。地方の一次産業や生態系に関わる研究調査に携わる。この時期に微生物や自然エネルギー、森や水などの自然のエコシステムを学ぶ。
■2011年に東日本大震災を経験し、世の中の価値観が大きく変わる。仲間とともに会社を起業し、林業再生や地場産業のリデザインに関わる仕事を多数プロデュース。アートディレクションと事業経営の腕を磨く。
■その後、2014年に再び独立。自分が本当に夢中になれて、生態系や人間の暮らしにとって本質的な領域である微生物の道を極めるため、東京農業大学の研究生として、醸造学科の穂坂教授に弟子入り。ここから「発酵デザイナー」のキャリアをスタートさせる。
■それと前後して、東京から山梨県甲州市の山の中に拠点を移す。日本中を旅しながらフィールドワークやイベント出演。山梨ではひたすら微生物の研究に励むワークスタイルを確立。
■2017年、活動の集大成である書籍『発酵文化人類学』を出版。
■以降、微生物の世界を日々探求。「発酵」を「デザイン」する仕事などを幅広く展開。

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