ICCの所長らがアメリカ政府の制裁対象に。問題点、ICCの特徴を語る

ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時~17時、火~金曜日15時~17時35分)、8月26日の放送に毎日新聞論説委員でノンフィクション作家の小倉孝保が出演。アメリカ政府が今月、ICC(国際刑事裁判所)の赤根智子所長らを制裁対象に指定した、というニュースを受け、ICCとは何か、日本はどう対応しているかなど、解説を展開した。

長野智子「赤根智子所長を守る、守らない、というところで日本政府に対する批判もあります。そもそもICCとはどういうものですか?」

小倉孝保「僕が2007年からニューヨークで国連を担当していたとき、いろいろな外交官から言われたのは『21世紀に国際政治の場で、国際協調という意味で非常に大きな成果を上げた。その1つがICCの設立だ』ということ。もう1つ、間違って認識される組織があって。国際司法裁判所、ICJというんです。国と国との紛争を仲介して判断する。個人を裁く裁判所とは違うんですね。ICJは国連直轄の機関なんです」

長野「はい」

小倉「いま話題になっているのはICC、国際刑事裁判所というもので。2002年に条約によって設立されたんです。各国の話し合いの中で。たとえばジェノサイドに関わった、そういう犯罪の個人を裁く。国の主導者、大きな組織のリーダー、個人を。そこが特徴です」

長野「イスラエルのネタニヤフ首相を、とかね」

小倉「ハマスのトップとか。今回、問題になっていること。ICCが、アメリカ兵がアフガニスタンでやった問題について捜査するんじゃないか、ガザでイスラエルがやったことに対してネタニヤフ首相に逮捕状を出した、とか。それについてアメリカはずっと不満を持ってきて。特にトランプ政権ができてからは、この問題を非常に大きく取り上げていて。2025年2月というから、第2次トランプ政権ができてすぐ。ICC職員に米国への渡航禁止、アメリカ内の資産凍結ができる、という大統領令を出しているんです」

長野「はい」

小倉「今回の制裁よりも前、去年2月の段階で、俺たちはICCを敵視している、ここをあまり支援するな、というメッセージを出している。それに対してイギリス、ドイツ、フランスなど、79ヶ国・地域が共同声明を発表し、これは遺憾だと。ここまで法体系をつくり上げてきたのに、それを敵視するような大統領令を出すのはおかしい、と。この中に日本が参加していない。ICCのトップはいま日本人なんですよ」

長野「2年前に赤根智子さんが、日本人として初のトップになられたと」

小倉「本来は日本政府がICCを支援してもおかしくない。そもそもICCに最もたくさんのお金を拠出しているのは日本ですから。国連の機関のICJと違って、ICCは条約に加盟するかどうかだから、する国としない国が出てくるわけです。いま日本を含む125ヶ国が加盟している。アメリカ、ロシア、中国、インド、イスラエル、イランは未加盟です」

長野「なるほど」

小倉「未加盟のアメリカがICCを敵視して潰そうとしている。支援する国には手を引け、と脅している。今回はICCトップの赤根さんに、個人の資産凍結とか。組織を敵視して、ここを潰すんだ、という話をしている中で個人的な制裁をかけるんですよ」

長野「アメリカという大国が、司法の裁判官、個人に制裁をかける」

小倉「やるとすれば国の指導者たちですね。イランの核開発のトップなど。クレジットカードなんかは使いづらくなる。これから『こんなこともできないんだ』という話が出てくると思います」

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政治家が生まれるまでの舞台裏。世襲、たたき上げ、元官僚など

ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時~17時、火~金曜日15時~17時35分)、10月29日の放送にノンフィクション作家の常井健一が出演。国会議員を中心に、政治家が生まれるまでにどういったルートがあるのか、解説を展開した。

鈴木敏夫(文化放送解説委員)「政治家には世襲議員もいれば元官僚、秘書や経営者、アナウンサー出身も多くいます。こうした人たちは、どうして政治家になれたのでしょうか。きょうは常井さんに『政治家が生まれる舞台裏』に迫っていただきます」

長野智子「どういう経緯で政治の世界に入ってくるのか」

常井健一「このテーマを選んだきっかけは、横浜高校の織田翔希投手を巨人が指名したことです。さらに松井秀喜さんが監督になる、という経緯があって。1人の選手を獲得するのに巨人軍の動きってすごいな、となったときに政党のスカウトマンを思い出したんです」

長野「そういうことか」

常井「それはさておき、国会議員のケースを中心にお話をします。決まったルートがいくつかあるんです。公明党や共産党のように特定の組織に入る場合はともかく、ざっくり4つぐらい。1つ目は世襲ですね。政治家の親から地盤、看板、カバンを引き継ぐと。それを婿入り、嫁入りして獲得する家もあります」

長野「日本は特に多いですよね。アメリカはこんなに多くない」

常井「2つ目は、たたき上げです。政治家の秘書として、いわゆる雑巾がけをして。ボスから、のれん分けをしてもらうルートです。24時間365日、選挙区を走り回って地元人脈をつくると。ボスが引退したり、ほかの選挙区が空(あ)いたりしたときに立候補する。地方議員から国会議員になるのも似たケースです。簗和生さんも秘書出身です」

長野「あ、そうですね」

常井「3つ目は官僚から政治家になるルートです。たとえば中央省庁の役人でも大臣秘書官を経験すると大物政治家との距離がグッと縮まる。すると『選挙に出ないか』と声がかかる」

長野「玉木雄一郎さんも官僚からですね」

常井「片山さつきさん、小林鷹之さんも官僚から。新聞やテレビの番記者が政治家になるケースも似ています。丸川珠代さんはアナウンサー、安住淳さんは政治記者でした」

長野「はい」

常井「最後、4つ目は政治塾。最も有名なのは松下政経塾ですね。パナソニックの創業者、松下幸之助が資材を投じて町内エリアにつくった全寮制の政治塾です。野田佳彦さん、高市早苗さんらを輩出した。50年弱の歴史で、卒業生およそ300人。3割が政治の世界に進んだ、とされています」

長野「ほう」

常井「いまは維新政治塾のように各党が持っているかたちも多いんですが。民間の独立系のほうが歴史は長く、実績も多いんですね。ほかに大前研一さんがつくった一新塾、日本政策学校というのも歴史があります。公募というケースもあって」

長野「政党の公募」

常井「はい。公募の元祖は平成に入ったときにつくられた日本新党、第1号は弁護士だった枝野幸男さんでした。当時は倍率75倍という激戦だったんです。この公募の文化が後の民主党に引き継がれて、自民党も2004年から導入したと。自民党でも公募で集まった履歴書のストックが、いざというときの人材プールになっているんですね」

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