高橋大輔スペシャルインタビュー(2)ショーの演出家として再出発
今年5月にフィギュアスケート・アイスダンスの現役引退を表明した、プロフィギュアスケーターの高橋大輔さんが、RKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』に出演。旧知の間柄でもあるRKB毎日放送の田畑アナウンサーのインタビューに応じた。4回シリーズの2回目は、アイスダンスに挑んだ3年間を振り返るとともに、今年スタートしたアイスショーに懸ける想いを語った。
高橋大輔が語るアイスダンスの魅力
田畑竜介アナウンサー（以下、田畑）：高橋さんがアイスダンスに取り組んでくれたことで、アイスダンスの認知度は高まったなっていうのは、ご自身も実感としてありますか。
高橋大輔さん（以下、高橋）：僕はもともとアイスダンスを見るのも結構好きだったので、認知度の変化っていうのを僕自身あんまり感じにくいんですけど。ただそういうふうに見てくれる方が増えたって聞いたら嬉しいですね。
田畑：シングルやりながら、アイスダンスのどういうところに魅力を感じてたんですか。
高橋：2人で作り出す世界観であったりとか、ジャンプを飛ばずにスケート本来のレベル、スケートの質で戦っていったりとか。ここ最近はリフトもすごく複雑になってきて面白かったり。スケートの技術のレベルが高いんですよ。さらに、カップルによって個性が全然違うし、本当に面白い世界なんですよね。
田畑：よりエンターテインメント性が高いのかなって思って見てましたね。ところで、大輔さんの太ももの上に村元哉中さんを乗せて滑るときがあるじゃないですか。スケート靴の刃（ブレード）が当たって痛くないですか。
高橋：実は1年目からチャレンジしたんですよ。でも1年目はもう本当に痛くて、ホールドできなかったんです。でも3シーズン目になってちょっとやってみよっかってやってみると、意外に痛くなくて。いろんな練習の積み重ねと、あと筋力もついて、お互いのどこにバランスをとればいいかとかも感覚でわかってきたのかな。だから、今は全然乗るのは痛くないですね。面白いことに、陸の上で乗せると痛いんですよ。でも氷の上だと痛くない。なんでかわかんないけど、滑ってるからかな。
もともと出不精、でもいろんな刺激を受けるために
田畑：競技生活を引退して、今プロスケーターとして再び歩み出してるわけですけども、引退してからっての生活に変化はありますか。
高橋：ありますね。競技してるときはそのことに集中しているので、スケートのことだけやってたんですけど、今はこうやってショーのリリースをしたり、PR活動をさせてもらったりとか。ショーをプロデュースすることによって、普段考えなくていいところまで考えなきゃいけなくて、スケート以外の仕事が増えたっていう部分があります。あと、練習環境としては、現役選手の合間を縫って練習しなきゃいけないので、その時間は前より取りにくくなりました。そんな中でも、体もキープしていかなきゃいけないし、スケートの質を落としちゃいけない。キャパシティが僕あんまりないんですけど、今の方が大変で、全体を見るってことは他のスケーターのことも当然考えなきゃいけない。
田畑：自分のことだけじゃないですもんね。
高橋：そうですね。いま、僕はあんまりスケートを見ないようにしているんです。しんどさを思い出しちゃうから。でも今回めちゃくちゃいろんな人のスケート見るようにしていて、それはそれで新しい発見があって面白いんですけど。
田畑：引退した後、今年5月に福岡でもアイスショーをたくさんやったじゃないですか。あのときの気持ちはどんな感じだったんですか。
高橋：引退しても、こうやっていろんな地方でショーができるってすごく楽しくて。でもあのときは結構忙しくて、8月までずっとアイスショーがあって。いまは来年の次のステージのスタートに向けて新しい気持ちです。
田畑：ファンの方には、ショースケーターとしてどういうところを見せていきたいですか。
高橋：求められてることを全力でやって、いろんな世界観のものに挑戦していきたいと思っています。でも、僕もいま何ができるか何がしたいかっていうことを100%自分自身でわかっているわけではないので、とりあえず興味があることはやっていこうと思っています。何かそういう姿を見せて一喜一憂というか「やばい、全然良くなかった」っていうものがあっても、それはそれでもいいし。僕が出したいろんなことによって、次に生かしていって、固まらずにいろんなものを経験しながら、成長していく姿を見てもらえばいいなと思っています。
田畑：表現するために、刺激を得るためにいろんなとこ見に行ったりとか、誰かに会いに行ったりとか、そういうこともやってるんですか。
高橋：僕はもともと出不精なんですけど、なるべく誘われたら、会いに出かけるようにしています。舞台を見るの大好きだなんで、できるだけ見に行くようにしています。前はただただ楽しむために見に行ってたんですけど、いまは照明の使い方だったり舞台の使い方だったり、見せ方だったりとか、何かそういう視点で見ています。
田畑：やっぱり演出家の視点が出てくるわけですよね。
(3)につづく
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