藤岡弘、が語る50年前の『仮面ライダー』撮影秘話とヒーロー像

冨士原圭希(左)・栗田善太郎(右) ©RKBラジオ

フリーのラジオDJ・栗田善太郎と、“平成生まれの昭和男”との異名をもつ、RKB毎日放送の冨士原圭希アナウンサーがパーソナリティを務める、RKBラジオのワイド番組『土曜 de R。』4月17日(土)は、同月3日に生誕50周年を迎えた『仮面ライダー』を特集しました。

クライマックスは『仮面ライダー1号』本郷猛を演じた俳優・藤岡弘、さんへの電話インタビュー。物心ついた時から仮面ライダーシリーズを繰り返し視聴し、幼い頃に藤岡さんに会ったときの記憶を「心の支え」としてきたという冨士原アナウンサー。かなりマニアックなところまで質問しましたが、藤岡さんもまるで昨日のことのように答えました。


冨士原:『仮⾯ライダー』撮影当時、いろいろとエピソードあると思うんですけれども、やはり私としては40話の復帰戦ですね。⼭⽥監督のときだと思うんですけれど、あのときの気持ちとしてはいかがでしたか?事故をなさった後で。

藤岡:恐怖と不安というか、バイク事故を起こしたそのままのバイクに乗れと⾔われましてね。すごく動揺しましたね。だけど、これに乗って⾛らなければ、もう絶対に未来はないという思いで、勇気を持って挑んだんです。

冨士原:当時まだ⾜にもパイプが残った状態だったそうですが。

藤岡:はい、もし失敗してそこに衝撃を与えて曲がってしまったら、もう不⾃由な状況だぞと⾔われてはいたんですが、アクシデントがあって、(撮影後に)⼿を⼊れたら⾎がにじんでいましたね。スタッフにわからないように洗⾯所に行って⾒たら、(傷の)縫い⽬が裂けていたんですね。これはいかんと思ってガムテープでぐるぐる巻きにして⽌⾎して、何もなかったような顔をしてまた現場に戻って撮影を続⾏しました。

冨士原:2号役の佐々⽊剛さんともその時のお話をされたんですか?


藤岡:そのときは彼との共演でね、嬉しかったですね。同じ劇団の同期だったんで、私のために彼にも協⼒してもらって、本当に助かりました。仮⾯ライダー2号ということで、佐々⽊さんは私が帰ってくるまでの間、引き受けるということでやっていただいて、その厚意に⾮常に感動してですね、感謝しております。


冨士原:共演というところで⾔いますと、立花藤兵衛役の小林昭二さんとか、死神博⼠役の天本英世さん、地獄大使役の潮健児さん、先輩方との思い出といいますと。


藤岡:ああいう、いわゆる悪役的なことやってらっしゃいますけど、本当に⼈間的にできた方、皆さん⾮常に思いやりのある、優しい⽅でね、いろんなアドバイスや助⾔をいただきましたね。ちょっとした⼀⾔なんですが、⼤事なポイントをついてるというか、なるほどなっていう。緊張していてもほぐしてくれるような、そういう会話をしてくれて、とにかく思いやりありましたね。


冨士原:悪役というところで⾔いますと、ショッカー戦闘員の中に⼊っていた⼤野剣友会の皆さん。

藤岡:彼たちがいたからこそ仮⾯ライダーを引き⽴てられたというか、裏で⽀えた彼らが称えられていいヒーローですよ。皆さん真剣に私を支えようという気持ちで必死になって、命がけでやってきたんでね。私はもう彼たちを本当の戦友というかな、今でも感謝の気持ちは忘れません。


このほかにも、俳優としての不安を抱える自分自身と本郷猛との重なる部分や、自分自身が仮面ライダーのスーツを着てアクションをしていたとき、視界が狭く身動きがとりにくかったといったエピソードなどを披露。最後に、仮面ライダーを演じた役者として、あるべきヒーロー像について熱く語りました。


藤岡:ヒーローものに影響を受けた子供たちっていうのはね、⼼の中にいろいろと強烈な印象が残っていると思うんですよ。善悪を伝えるものだったし、ヒーローっていうのは⼦供にとっての⼀つの夢というか希望というか、そういうものが全世界の⼦供達もあると思うんですよね。だから願ってやまないヒーロー像っていうのは、⼦供たちの心の中のともしびとして、燃え続けていると思うんですね。子供たちは未来を作る⼤事な⼈類の宝と⾔ってもいいと思うんですね。ヒーローっていうのは、多⼤な影響を持って子供たちの未来を築き上げていくと。(中略)そういう流れの中でね、これからの未来を作る⼦供たちに私たちは何を託し、何を委ね、何を残すかと考えると、やっぱりこの仮⾯ライダーってのは、⼤きな影響を与えたと思うんですね。(中略)⼦供の番組であろうとも、そこをよく考えてやらなきゃいけないなと、改めてこの50周年でね、私は何か重い荷をまた背負わされたようなを思いです。仮⾯ライダーをやったことによって、⾃分はこれからも己を律しながら、⼦供を失望させてはいけない、夢を壊してはいけないということを肝に銘じて、これから仮⾯ライダーをしよう、っていうヒーローたちはぜひこの気持ちを持って進んでもらいたいと思いますね。


インタビューを終えた冨士原アナウンサーは「人は本当に感動すると無口になるんですね。一言一句聞き漏らすまいと必死でした。でも、20年越しに感謝を伝えることができました」と感無量の様子でした。

土曜 de R。
放送局:RKBラジオ
放送日時:毎週土曜 13時00分~17時00分
出演者:栗田善太郎、冨士原圭希、藤岡弘、
番組ホームページ
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※放送情報は変更となる場合があります。

【音現場から・ミキサー裏話】カフの話

文化放送メールマガジン(毎週金曜日配信)にて連載中のコラム「音現場から・ミキサー裏話」。番組の工場=スタジオ、その周辺にまつわるさまざまな話題を技術部員がご紹介。番組やイベントの裏話も盛りだくさんです!

●4月19日(金)配信

スタジオの必須設備のひとつに「カフ」があります。
アナウンステーブルに設置され、簡単に言うとオンエアで喋る時に出演者がON-OFF操作するスイッチです。アナウンサーは必ず使用しますが、タレントさんは使用しない方が多く、ゲストはほとんど使用しません。「フェーダー」とも言います。
使用しない場合はミキサーが代わりに音声卓のフェーダーを操作。ミキサーにとっては使用してもらうととても楽なのですが……。パーソナリティと呼吸が合わないとトークが欠けてしまうこともあり、ミキシングも大変になります。
カフの種類はいくつかあります。写真が文化放送のスタジオで一番多く採用されているもので、レバーを一番奥まで倒すとON。中途半端な位置ではOFFのまま。時々OFFのまま喋ってしまうパーソナリティの方もいます。
吉田照美さんは「てるのりのワルノリ」ではONになる前に喋りだしてしまい、時々トークの頭が欠けることがあります。手より口が早いということですね。
もしONにし損ねたり、操作忘れの場合はミキサーの手元にある「カフスルー」というスイッチで強制的にONにすることができます。
ちなみにカフの右下にある「BT」と表記されているスイッチはバックトークといい、音楽がかかっている時などに出演者が副調のスタッフに向けて喋るスイッチです。
このカフはカプセルトイにもなりましたので、お持ちの方もいらっしゃいますよね。ということで今回はスタジオのカフの話をさせていただきました。

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