壱岐の風を全身で感じるワーケーション施設 移住の理由は「釣り」!?

長崎県壱岐市芦辺町芦辺浦にある「ACB Living」

北部九州・山口災害情報パートナーシップを結ぶコミュニティFM各局とRKBによるコラボ番組『ローカる!』。地域密着のコミュニティFM局のパーソナリティにとっておきの街ネタを紹介してもらう。1月は長崎県壱岐市にある壱岐FMの放送エリアで話題のスポットを訪れた。1月8日からは壱岐市の芦辺町芦辺浦からお送りする。今回は芦辺浦にオープンした話題のワーケーションオフィスを紹介する。(報告:『ローカる!』ディレクター荒木風花)

移住者が急増する芦辺浦にお洒落な佇まいの施設!?

壱岐FMのボブ齋藤さん曰く、今一番熱いスポットが芦辺浦だという。移住者が増えて、その人たちが飲食店やアトリエなどの事業を展開しているそうだ。その一つ、東京からの移住者が作ったワーケーションオフィスを訪れた。ひときわお洒落な佇まいの「ACB Living」だ。代表の中村駿介さんに詳しい話を聞いた。

ACB Living外観

中村さん:ワーケーションオフィスACB Living のコンセプトは「町とともに成長するワーケーション施設」です。施設の使い方もいくつかあり、まず一つが企業の研修です。ACB Livingを運営している会社が企業研修も事業の一つなので、プログラムを用意することもできますし、場所だけ借りることもできます。二つ目が新しい形の公民館です。芦辺浦という地域にこのような場所を開放することで新しく人が繋がったり、日々の日常が少し豊かになったりすることに貢献出来たらと考えています。

ACB Livingを公民館のように開放することで嬉しいことがあったそうだ。

中村さん:地域の小学生がACB Livingに寄って宿題をして帰るという光景が見られたり、地域の皆さんが企画したワークショップを開催したりと、憩いの場の一つになっていることが嬉しいです。

コロナ禍を経てリモートワークが浸透していく中で、「仕事を効率的に進めるだけだったらリモートワークでいいじゃない」という考えが広がっていると思います。一方で、リアルで会うことの価値が今までよりも高くなっています。どういう場所で密度の濃い時間を過ごすのかということを事業にしたかったんです。壱岐の空気や風を感じながら過ごしていただけたらという思いが込められています。

移住のきっかけは趣味だった!?

そんな中村さんは東京の会社に所属しながらACB Livingの運営をしている。島に血縁などもない。移住を決めたきっかけに、自身の「趣味」が関係していた。

中村さん:4~5年間に初めて壱岐を訪れたときの趣味が「釣り」でして…。移住してからは地元の漁協さんに入れてもらい、漁師さんと釣りに行かせていただいたりしています。壱岐は釣りの聖地だと感じて移住を決めたと言っても過言ではありません。海との距離感や自然との近さはもちろん、ACB Livingがある芦辺浦に移住者の方が増えている段階で、その方たちとのつながり方にも魅力を感じました。

ディレクター荒木とACB Livingの中村駿介さん(右)

壱岐での暮らしぶりは?

中村さん:壱岐島は人口25000人が住んでいるため、買い物などの日常生活で困ることは全くありません。インターネットの回線も、実は早い光ファイバーがあったりとして…離島のハンデみたいなものは感じません。高速船に乗れば1時間で福岡に行けるというのも大きなメリットかなと思います。不便さがない中でこんなにも自然や温かい人とのつながりを感じながら生きていけることは、壱岐の強い魅力だと思います。

施設内は常に「風」を感じる施設に

屋根下空間は風と木に囲まれている

中村さんが一目惚れした壱岐で完成させたACB Livingの施設内を案内してもらった。

荒木:1階は吹き抜けのような空間になっていますね。

中村さん:これは屋根しかない「屋根下空間」と呼んでいて、周りに白い農業用のビニールシートを加工したカーテンで雨などを防いでいますが、基本的には屋根だけの空間です。ACB Livingは外を楽しむ建物という趣旨もあり、外で一番気持ちよく感じるのは「風」だと思ったので、この風を感じやすいような作りをしています。カーテンがたなびくことで風を視覚的に感じることができるかなと思います。

屋根下空間ではオープンキッチンがあり、一通り調理ができるようになっている。地域の方が何家族か集まってみんなでクッキーを焼いたりなどで活用されている。2階にある15名ほどが収容できる研修スペースにも風を全身で感じる仕掛けがあった。

2階の研修スペースから

中村さん:常に外とつながっている建物ということで、2階にある4面の窓が全部開きます。その窓から壱岐の風がぶわっと入ってくるんです。窓から見下ろすと芦辺の通りになっています。

荒木:すごく気持ちいい風が入ってきますね、この空間「絵本」のようです!!空飛べそうなぐらいです!

中村さん:下の通りは地元の小学生が下校していたりするので、私たちに向かって「こんにちは!」と元気に挨拶してくれたりします。都会からワーケーションで来た人たちがその挨拶に、びっくりと同時に癒されると言っています。あまりにも風が気持ちよすぎて、どうやったら仕事しなくて済むかな?と一瞬考えるようなんですが、気づいたら深く集中していたという声を聞くので、そんな効果もあるのかなと思います。

ACB Livingを利用するには?

中村さん:朝9時から夜11時までコワーキングスペースとして利用することができます。リモートの会議等、しゃべらないといけない場合には近くにある個室を利用できます。利用についてはInstagramのDMかWebサイトからの予約で承ります。

歩いて数分の個室も快適空間

ACB Living 公式サイト

ローカる!
放送局:RKBラジオ
放送日時:毎週日曜 11時00分~11時15分
出演者:荒木風花
番組ホームページ
公式Twitter
公式Instagram

※放送情報は変更となる場合があります。

愛と経済の伝道師“宗さま”こと宗正彰「変動続くドル円相場“円安から円高転換の理由”と“為替介入効果”」を解説

本部長・マンボウやしろと秘書・浜崎美保がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「Skyrocket Company」。毎月第2水曜日に、我々が知っているようでよく知らない「お金」や「経済」の仕組みなどを、専門家の方に詳しく解説してもらうコーナー「スカロケ資産運用部」をお届けしています。

5月8日(水)の放送では、愛と経済の伝道師“宗さま”こと株式会社アイ・パートナーズフィナンシャル 上席執行役員の宗正彰(むねまさ・あきら)さんに、「変動続くドル円相場“円安から円高転換の理由”と“為替介入効果”」というテーマでお話を伺いました。

(左から)宗正彰さん、マンボウやしろ、浜崎美保


◆ゴールデンウィークのドル円相場 為替介入はあった?

浜崎:今回、宗さまには「変動続くドル円相場“円安から円高転換の理由”と“為替介入効果”」について、お話しいただきます。

やしろ:このゴールデンウィークに為替市場が大きく動きました。ゴールデンウィーク前半の4月末には、一時1ドル160円超えの円安 までなりましたが、あの時の理由は何だったのでしょうか?

宗正:1ドル160円は、約34年ぶりの円安水準です。為替市場の仕組みは、公園のシーソーと同じ原理で、どちらかが上がれば、もう一方は下がります。ドル円相場の上げ下げはアメリカと日本のどちらかの国に理由がある時です。ゴールデンウィーク前半の1ドル160円超えの円安は、日本の方にその理由がありました。

ゴールデンウィーク直前の4月26日まで、日銀の金融政策決定会合が2日間に渡って開かれました。そこで日銀総裁の植田さんから 「今の円安が物価の上昇に大きな影響を与えている訳ではない」という発言がありました。
日銀は前月の3月にマイナス金利政策を解除して、17年振りに事実上の利上げをしたばかりです。それもあって「4月の利上げは無いだろう」とマーケット参加者の多くは思っていましたが、そこまで言うのであれば「当分の間は無いんじゃないか」と(いう印象を与えた)。ただでさえゴールデンウィークはマーケット参加者が少ないので、上下に振れやすいですから、そこで一気に1ドル160円を超えたということです。

やしろ:その後、一転して急に円高方向に動きが変わったので、為替介入があったんじゃないかという噂もありました。実際には、為替介入はあったのでしょうか。

宗正:政府日銀は介入の事実は今のところ明らかにしていません。そのため断言はできませんが、あのドル円相場の動きを見る限り、十中八九、介入はあっただろうなと思いますね。

ゴールデンウィーク前半、3連休の3日目。1ドル160円を付けた直後、わずか数時間で 154円台まで円高が進みました。財務大臣が日銀に指示を出して、今回であればドルを売って円を買う為替介入が無ければ、あのような動きにはならないと思いますね。

◆2回おこなわれた為替介入

やしろ:ゴールデンウィーク中に(ドル円相場の大きな動きは)2回ありました。後の方の動きも為替介入があったということでしょうか?

宗正:十中八九そうでしょうね。2回目の方の円安の動き、あの時はアメリカの方にその理由がありました。日本ではゴールデンウィーク真ん中の、4月30日から5月1日。このタイミングで、アメリカの中央銀行FRBはFOMC(連邦公開市場委員会)という、要は日銀の金融政策決定会合に当たる会合を開いて、アメリカ金利を高い水準のままの据え置くことを決めました。つまりアメリカの金利が高いということは、ドル高ですよね。

やしろ:ドル高ということは、円安がさらに進んでしまう方向ですね?

宗正:そうなんですよ。その決定を政府日銀が見てか聞いてか、「いやいや、これはまずいだろう」ということだと思います。FOMCが終わったわずか2時間後に市場介入らしき動きがありました。

やしろ:それでゴールデンウィーク中に為替市場が大きく2回動いたんですね。単に為替介入といっても、その形にはいくつかあるそうですが、具体的にどのような形があるのでしょうか。

宗正:大きく3つあります。1つは実際には介入をしないのに、口先だけでマーケットを牽制する口先介入。

やしろ:「介入をやるぞ、やるぞ」と言われて、皆がそれに合わせて警戒して動くと。

宗正:はい。よく報道なんかで政府や日銀関係者が、「これ以上の円安は断固たる措置を取る」と言っていますよね。「措置を取る」と言っておきながら、実際には取らない。あれが口先介入です。

2つ目が、事前の通告は勿論しないで、日本単独で介入する「単独介入」というのがあります。1つの国だけが介入をおこない、介入の前後でその事実も明らかにしないため、覆面介入とも呼ばれます。

そして3つ目が、これが一番効果的な介入で「協調介入」。複数の国がそれぞれのマーケットで同時に介入します。

やしろ:そういう介入の方法があるんですか?

宗正:記憶に残るのは、2011年の東日本大震災 の時です。当時は今とは逆の円高で、1ドル75円台と史上最高値をつけました。あの時、大地震で大きな被害を受けた日本に、経済的な2次被害をこれ以上背負わせることはできないと、G7のメンバー各国が為替介入で協調して歴史的な円高から救ってくれたんです。

協調介入の結果、円高だったのが一気に円安方向に動きました。ただ、その時の協調介入が10年半振りですから、余程のことがない限り複数の国で同時に介入する協調介入はしないことが分かります。

◆為替介入の効果はどれくらい続く?

やしろ:今回の為替介入では、一時期の円安から確かに円高に向かいましたが、効果はどれくらい続くものなのでしょうか。

宗正:今回、あったとすれば日本一国による単独介入、覆面介入だと思います。その場合の効果は限定的です。言ってみれば時間稼ぎにしか過ぎないでしょうね。
先ほどお話しした東日本大震災の時の為替介入は、円高から円安の方へという動きですよね。今は逆に円安から円高方向に持っていかなきゃいけない。円高を防ぐ介入の場合には、円を売ってドルを買うんです。円は日本の通貨ですから、いくらでも調達できるので、無制限の介入が可能です。

ところが今回のように円安を防ぐ介入は、ドルを売って円を買わなきゃいけない。先ずは手持ちのドルを売る必要があるので、無制限に介入できる訳ではありません。

やしろ:どれくらい事前に用意しているのでしょうか。

宗正:最近は円に換算して、約45兆円でした。つまり自ずとドル売りの上限が決まってきます。現在、ゴールデンウィーク前半の為替介入に5兆円使ったと言われています。後半の介入が3兆円で、すでに計8兆円も使っているんですよ。これを踏まえれば、ここから先の介入原資に大きな余裕はありません。
政府日銀は日々24時間、為替市場の動きを見ながら、断続的に為替介入を続ける可能性もあると私は思っていますが、介入原資が限られるので、投機筋がそこにつけ込む可能性がありますよね。

やしろ:時間が経てば、再び円安の流れに戻る可能性があるということですね。私たちの生活への影響は、どれくらいありますでしょうか。

宗正:すでに現在(放送日の5月8日) 、1ドル155円台の半ばを超えて後半に入りました。今日だけでも1円以上(円安が)進んでいる。為替市場は、結局のところ2つの国の金利差に収れんします。ドルと円、アメリカと日本に、どれくらい金利差があるのか、結局はここですね。

一時的な円高がゴールデンウィーク中にありましたが、中長期的には円安の流れを想定しておいたほうが良いと思います。短中期的には様々な経済指標の動きを受けながら行ったり来たりもしそうですが、アメリカが金利の引き下げに踏み切るまでの間、大きな流れは円安でしょうね。そうなると、この秋からのもう一段の物価高というのは避けられない。せっかく実現した賃上げ、そして定額減税くらいは、軽く物価上昇で吹き飛んでしまうでしょうね。

やしろ:そんな感じなんですか。恐ろしいですね。

宗正:特に問題は原油です。原油はほぼ輸入ですし、(私たちが生活で利用する)目に見えるもののほとんどが原油からできています。ただでさえ中東情勢が不安定で、原油価格が上がっているのに、円安でダブルパンチです。

◆円安がさらに進んだ場合の懸念事項は…

やしろ:以前、為替はなかなか予想がしづらいというお話をしていただきました。僕の周りでは、「1ドル180円くらいまで行ってしまうのでは?」ということを言う人がいるのですが、そういう可能性はありそうですか?

宗正:可能性は0(ゼロ)ではないですよね。日本は金利を上げると言いながら、まだ0%をちょっと超えた位です。アメリカは金利を下げるかもと言いながら、なかなか下げない。今は5%超なので、日米で5%以上も金利差がある状態です。

やしろ:そんなにあるんですね。円安の流れに戻った場合、宗さま的に気になるポイントはありますでしょうか。

宗正:昔から「輸出立国日本」というこの単語、よく聞きますよね。円安は日本のプラス要素だと言われていた時代もありました。ただ日本企業による海外の現地生産比率は高くなって、円安効果は昔ほどではありません。それでも輸出関連企業の多くは、輸入コストの上昇分をある程度は円安による輸出効果でカバーできます。

ところが日本国内の売り上げ割合が多くを占める中小企業にとって、原材料やエネルギーの輸入コストが高くなる一方で、相殺できるものがほぼ無い。しかもコストの上昇分を、すぐに簡単に価格に上乗せできないんですよね。

中小企業の数は、国内企業全体の99%で、従業員の数で言えば約7割ですから、そこへの影響が私はすごく気になります。要は収益構造が違いますから、そうそう簡単に変えられるものでもない。この辺りは政府になんとかしてもらいたい、それが政治だと思いますね。

やしろ:いつもだったら、色々なことがあったとしても、宗さま的には前向きなお話や力強い言葉をいただけますけれども、今回の円安に関しては懸念事項のほうが多そうですね。

宗正:これが金利のある時代に生じる一つの事象です。経済知識の有無によって損得が生まれる、人生も大きく変わる時代に入りました。

やしろ:ありがとうございます。宗正彰の愛と経済と宗さまと。AuDeeにて毎月10日20日30日に配信です。宗さま、今月もありがとうございました。

宗正:ありがとうございました。


*   *   *

もっといろいろな経済のお話が聞きたいという方は、宗さまのAuDee(オーディー)「宗正彰の愛と経済と宗さまと」でも聴けます。毎月10日、20日、30日に配信していますので、そちらもぜひチェックしてください。


----------------------------------------------------
▶▶「2024年ゴールデンウィーク、円高方向に転換のその訳」の配信内容を「AuDee(オーディー)」でチェック!

----------------------------------------------------

<番組概要>
番組名:Skyrocket Company
放送日時:毎週月~木曜17:00~19:52(※コーナーは毎月第2水曜18:15ごろ~)
パーソナリティ:本部長・マンボウやしろ、秘書・浜崎美保
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/sky/

Facebook

ページトップへ