SmartHRって、どんなサービス?

コロナの感染防止では、人の流れを抑える「リモートワーク」が呼びかけられていますが、これが中々できない企業が多く、背景には、紙の書類のために出社せざるを得ないという事情があります。

「SmartHR」さんは、ペーパーレスやリモートワークに役立つクラウドサービスの会社。ということで、6月24日(木)はその「SmartHR」について、TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で、レポーター田中ひとみが取材報告しました。

まずは、「SmartHR」とはどういうものなのか?株式会社SmartHRの、取締役COO、倉橋 隆文さんに伺いました。

人事・労務の仕事をペーパーレス化するクラウドサービス

株式会社SmartHR・取締役COO 倉橋 隆文さん
「「SmartHR」は、人事と従業員の間で行われている、全ての「紙」のやりとりをペーパーレス化する、クラウド業務ソフト。従業員と人事の間の「紙」のやりとりは、結構時間をとる。例えば、新しい会社に入るとき、従業員は本人確認書類のコピーを提出したり、何度も書類に名前や住所を書く。パート・アルバイトがいれば、半年や1年に1回、契約書を配り、判子を押し、それぞれで保管。一方で、人事・労務担当者は、受け取った情報を別の書類に書き写したり、パソコンに情報を入力するなど、かなりの時間を取られる。SmartHRを使うと、このような手続きや管理が、スマホやパソコンといったオンライン上で可能に。」
▼SmartHRのホームページ


「SmartHR」のHRは、ヒューマンリソースで人材を扱う人事労務部門のこと。文字通り「人事・労務をスマートに」、ペーパーレス化、効率化する、『クラウド人事・労務ソフト』です。

 

元々、社長のパートナーが妊娠9ヶ月の時、産休育休の書類を、大きなお腹で書いていたのを見て、こうした手続きをネットで出来ないかと考えたのが、開発のきっかけ。説明では、必要な作業は、「入社時に、名前や住所など、基本データを入力する」くらいと話していましたが、これだけで、アナログだった人事・労務の仕事が、効率化できるそうです。

悩みの種だった「年末調整」も、オンラインで簡単に完了

ただ、こう言われてもイメージが湧かないので、本当かな??と思ってしまいますが、ではどうすごいのか?人事・労務の仕事で一番の大仕事と言われている「年末調整」を例に、伺いました。
株式会社SmartHR・取締役COO 倉橋 隆文さん
「まず人事部が、全従業員分の書類とマニュアルを印刷し、配ります。一方で、従業員は、年に1回しか見ない難しい書類を、マニュアルを見ながら手書きで書いていきます。そして提出を受けた人事は、集めた紙の情報をパソコンに入力。これもかなり時間を取られる。これが、SmartHRを使うと、依頼はワンクリックで終わり、従業員は簡単なアンケートに答えていくだけですべて終了。実際に、数百店舗を持つ小売業の企業では、年末調整の依頼だけ、書類を用意して配布するだけで、人事総出で3日間かかっていたが、その業務が、1回のクリックで終わるようになりました。」

普通、年末調整は、人事労務が毎年12月、数枚の書類をプリントして配って、従業員側はそれに、「住所、氏名、扶養家族のあるなし、生命保険の情報」などを記入、そして人事労務が回収して、て入力して・・・と面倒。しかも、「毎年同じことを書く」という非常に非効率的作業の代表格でしたが、SmartHRを使えば、オンライン上で完結します。

例えば、「去年のあなたの情報はこれです。変更がなければ、イエスを押してください。変更がある場合は、ノーを押して、再入力してください」という風に、質問に答えていくと、数分で完了します。

この質問も、事前に登録されている情報から勝手に作ってくれるので、人事労務はそれをまとめてワンクリックで従業員に送るだけ!手間がかかりません。

こんなかたちで、給与明細も、契約社員の雇用契約も、効率化されるということで、この結果、ある会社では労務の時間が3分の1以下になり、年間数百万円のコスト削減ができた、という実績もあるそうです。

実は、営業や企画、開発と違って、人事や労務の仕事はあまり目を配ってもらえない部署。そのため、長年の非効率な習慣がそのまま残っていたということで、そこにニーズがあったようです。

溜めたデータを、人材育成に活用できる?

ではこのサービス、今後はどうなるのか?倉橋さんは、このサービスで蓄積したデータを、企業の人材育成にも使えると、話していました。
株式会社SmartHR・取締役COO 倉橋 隆文さん
「世の中の企業の人事部は、従業員データをバラバラのエクセルで持っている。住所氏名、過去の評価結果、異動履歴など。欲しいデータを常に探さなければいけなかったり、色んなデータをくっつけて分析。人材マネジメントに必要なデータを出すことが、結構な仕事だった。ところがSmartHRを利用すると、いつでも最新の情報を見られる。人事労務業務を効率化しつつ、副産物として常に最新の人事データが溜まり、そのデータを活用することによって、より働きやすい環境を作っていただける。」

▼スマートHRの倉橋さんに聞きました


そもそもデータがないので、勘や経験に頼って、人材育成や、評価を行う会社が多いのが実情。そのため、上司と部下の相性が問題になることも多いのが「会社組織」ですが、データで客観的に管理、評価することで、部下の不満を減らしながら育成できます。

 

すでに、人事労務の効率化、そしてコストの節約などが評価され、およそ3万もの、様々な業種の企業が導入しているという「スマートHR」。今度は、その実績をベースに人材育成でも活躍を目指していくということでした。

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“0歳~7・8歳”は「脳の発達」において影響を受けやすい時期…“子どもの成長”を支えるための考え方「はじめの100か月の育ちビジョン」について解説

杉浦太陽と村上佳菜子がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより」(毎週日曜 7:30~7:55)。「学びと成長」をコンセプトに、毎回さまざまなゲスト講師をお招きして、明日の暮らしがもっと豊かになる情報や気になるトピックをひも解いて、今よりもちょっと成長することを目指す番組です。

5月5日(日・祝)の放送テーマは「はじめの100か月の育ちビジョン」。玉川大学教育学部教授の大豆生田啓友(おおまめうだ・ひろとも)さんをゲストにお迎えして、2023年12月に閣議決定された「はじめの100か月の育ちビジョン」について伺いました。


(左から)杉浦太陽、大豆生田啓友さん、村上佳菜子


◆子どもの「はじめの100か月」は生涯の幸せを育てる期間

放送日の5月5日(日・祝)は「こどもの日」。そこで今回は、子どもの幸せにつながる「はじめの100か月の育ちビジョン」について学びます。

「はじめの100か月」とは“母が子どもを妊娠してから小学1年生(7歳)までの期間”を指し、この期間が人生において非常に重要な時期であることから、みんなが大切にしてほしい子育ての考え方をまとめたものが「はじめの100か月の育ちビジョン」です。ここでいう“みんな”とは、子育てに関わる人だけではなく、社会をつくるあらゆる人が対象です。

「はじめの100か月の育ちビジョン」の策定に携わった大豆生田さんによると、0歳から7・8歳までの期間は、脳の発達において特に環境の影響を受けやすい時期であると言われており、生涯の健康や特定の病気へのかかりやすさは“胎児期や生後早期の環境の影響を強く受けて決定される”との考え方もあるそう。さらには“質の高い幼児教育は長期にわたって影響を与える”というアメリカの研究発表もあり、世界中で幼児期までの育児期間が重要視されています。

しかし、その大切な時期を健やかに過ごせる子どもばかりではありません。「貧困や虐待などにより、厳しい状況にある子どももいます。実際、児童虐待により亡くなる子の約半数は0歳から2歳。つまり、はじめの100か月の時期にあたる子どもです」と大豆生田さん。

少子化が進んできょうだいの数が減ったため、保育園などに通うまで、子ども同士で育ち合う機会や保護者以外の大人と関わる機会、さまざまな社会文化や自然などの環境に触れる機会も各家庭の環境によって左右されます。

こうした背景などもあり“こどもまんなか社会”の実現を目指す、こども家庭庁を中心とした政府が「はじめの100か月の育ちビジョン」をまとめました。このビジョンには、置かれた環境に関わらず、すべての子どもが通る「はじめの100か月」をみんなで支えて応援していきたい、との思いが込められています。すべての人にこの思いを共感してもらうことで、社会の考え方を変えていくきっかけになったり、国や自治体がどのような政策に取り組むべきかを指し示す“羅針盤”のような役割を担うことが期待されています。

◆「はじめの100か月」を応援するための“5つのビジョン”

「はじめの100か月の育ちビジョン」では、こどもの育ちにおいて大切にしたいことを5つのビジョンにまとめています。

1.子どもの権利と尊厳を守る
2.「安心と挑戦の循環」を通して子どものウェルビーイング(※)を高める
3.「子どもの誕生前」から切れ目なく育ちを支える
4.保護者・養育者のウェルビーイング(※)と成長の支援・応援をする
5.子どもの育ちを支える環境や社会の厚みを増す

※ウェルビーイング…“身体”“心”“取り巻く環境や社会の状況”のすべてが良好な状態・幸せな状態であること

番組では、5つのビジョンのなかで気になるポイントをピックアップ。まず2に記載された「安心と挑戦の循環」について、大豆生田さんは「子どもは、不安な気持ちを持ったときに、大人が寄り添うアタッチメント(愛着)によって安心します。これを土台として、遊びと体験による“挑戦”を繰り返しながら子どもは成長していきます。だから“遊び”がすごく大事になるわけです」と解説します。

続けて、3の“「子どもの誕生前」から切れ目なく育ちを支える”について。子どもの成長過程は、下記のように分けることができます。

・妊娠期
・乳児期
・おおむね1歳から3歳未満
・おおむね3歳から幼児期の終わり
・学童期
・思春期
・青年期

成長に応じた環境の変化でつまずくことがないように、すべての関係者が連携して育ちを支えることが重要です。そして保護者は、育児の妨げとなる問題が発生しないように働き方を見直したり、学童や地域のサービスを検討する必要があり、「このような連携がスムーズに、当たり前にできる社会をつくっていくことが望まれます」と力を込めます。

子どもや子育てに直接関わりがない人であっても、すべての人が“子どもの育ち”にとって大切な役割を担っています。地域において、さまざまな人が関わり合い、つながっていくことで、子どもの育ちを支える環境や社会の厚みが増していきます。

最後に大豆生田さんは、「『はじめの100か月』は人生の幸せな状態“ウェルビーイング”で過ごすために特に大切な時期です。すべての子どもが等しく健やかに育つことができるように、ぜひこのビジョンを知っていただき、社会のすべての人が、それぞれの立場で子どもの育ちを支え、応援する社会を目指していければと思います」と呼びかけました。

番組のエンディングでは、杉浦と村上が今回学んだ「はじめの100か月の育ちビジョン」について復習。村上が注目したのは“ウェルビーイング”について、「(説明を聞いて)内容までしっかり理解できたと思います!」と声を大にします。続けて、杉浦が挙げたポイントは、「やっぱり“社会全体でみんなで子育て”。親プラス周りの方などをはじめ、いろいろな支えがいますから大事(な考え方)ですよね」とコメントしました。

「はじめの100か月の育ちビジョン」の詳細はこども家庭庁のホームページをご確認ください。


(左から)杉浦太陽、村上佳菜子



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5月5日(日・祝)放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2024年5月13日(月)AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

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<番組概要>
番組名:杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:杉浦太陽、村上佳菜子
番組Webサイト:https://audee.jp/program/show/300007925

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