『電波少年』ケイコ先生、浪曲の魅力語る「何役も演じ分けるのが楽しい」

東海ラジオの『源石和輝 ひるカフェ』(月~金 12:00~13:00)の5月15日の放送に、浪曲師の春野恵子がゲスト出演し、浪曲について語った。春野は、テレビ番組の企画「電波少年的東大一直線」で「家庭教師ケイコ先生」として一躍有名になったあの人だ。

「ケイコ先生」、「浪曲」との出会い

「ケイコ先生」のあと、バラエティ、情報番組、CM出演などを経験し、演芸に興味を持ち始めたのは2003年頃。講談目当てに出かけた浅草・木馬亭で「浪曲」と遭遇し、衝撃を受けたそうだ。その後、大阪の二代目春野百合子門下で修業を重ね、2006年3月に初舞台を踏み、関西を中心に全国各地で活動している。

浪曲は「ミュージカル」みたいなもの

伝統芸能の中での浪曲の特徴を問われると、春野は「浪曲は、三味線に合わせてメロディで語っていくもの。しゃべっていたと思ったら急に歌い出すところは、落語、講談のミュージカル版みたいなもの」と答えた。

浪曲にも新作あり

浪曲には、落語や講談同様、江戸の話が多いが、同様に新作もある。そして「とっつきやすいから」という理由で例に挙げる話の一節として、こんなくだりをスタジオで披露した。話の舞台は、アラサー、アラフォーの独身女性が多数生息する現代日本。フミ子という女性も独身で仕事をがんばっている。フミ子にはカナという友人がいて、二人は休みの日にはビールジョッキ片手に女子トークに花を咲かせる。その中で、会社でカナに嫌なことがあったシーンを再現した。

浪曲「スタジオライブ」は「アカペラ」で

「会社の若い後輩が『今度、私の友達が結婚することになったんですけどおー』、と言ったとたんに空気がサッと凍りつき、いかんぞ、だめだめ、タブーだろ。よりにもよって、カナさんの前で結婚話など、地雷を踏んでるようなもの。まるで、はれ物に触るように誰も口には出さないけれど、アイコンタクトがバチバチと飛び交う中のいたたまれなさ。その時、若い後輩がとどめの一撃食らわせた。『カナ先輩ってそんなに素敵なのに、まだシングルだなんてもったいないですねー』あんたに言われるまでもなく、私が一番そう思うって―・・・」

この日のスタジオは、三味線なしの「アカペラ」での披露となった。春野は、左右に首を振って演じ分け、さらにメロディに乗せて語っていく。表情もめまぐるしく変わる。春野は「ひとりで何役も演じ分けるのが本当に楽しい」と話す。

やっぱり古典を

そして「サンプルとして新作をやることもあるが、やっぱり古典を聴いてほしい。現代に通じる今の世代の人たちが聴いても共感できると思う」とも。古典の中でも 男女の話として、彼の気持ちをどうしても疑ってしまう恋心を描いた「番町皿屋敷」。ドラ息子が金をせびりにくる「女殺し油地獄」を例に挙げた。

是非「生」で一度

昨今は、テレビ、ラジオで浪曲を聴く機会はほとんどない。生で聴く機会も限られている。まずは一度、体験してみるところから始めてみたいもの。春野恵子の浪曲の会「浪曲ロッキュー2019」は5月22日(水)午後7時30分から名古屋市千種区の喫茶モノコトで開かれる。伝統芸能の中でも特に声の総合芸術といわれる浪曲。古典とエンターテインメントが融合したロックが楽しめるはず。

『源石和輝 ひるカフェ』
放送局:TOKAI RADIO
放送日時:毎週月曜~金曜 12時00分~13時00分

※該当回の聴取期間は終了しました。

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