地域おこし協力隊制度の山梨の状況と課題は
渡辺麻耶が木曜日のDJを担当するFM FUJIの番組『Bumpy』(毎週月曜~木曜、13:00~18:50)。6月18日のオンエアにフリージャーナリストの松田宗弘さんが出演し、「地域おこし協力隊」について解説しました。
松田 今日は6月12日付の山梨新報で取り上げた記事を紹介します。山梨県で人口減少が進む中、県外からの移住・定住促進政策である「地域おこし協力隊」のお話です。この制度は、国(総務省)が17年前の2009年度から、全国で一斉スタートした地域活性化策です。
麻耶 どんな制度なのでしょうか。
松田 都市圏の人材に最長5年の任期で「地域おこし協力隊」として地方に移住してもらい、任期後の“定住”を図る制度で、人口増加と地域活性化の“一挙両得”を狙ったものです。隊員は受け入れ先の市町村や地域の団体などで、観光業、農業、町づくりなどに携わり、任期終了後は、そこで起業、就農、就職します。任期中の隊員の給与は、年間350万円(上限額)、活動費200万円(同)が、特別交付税を財源に支給されます。
麻耶 地域おこし協力隊員の隊員数はどれぐらいですか。
松田 総務省によると、全国の隊員数(2025年度)は過去最高を更新し、前年度比3.6%増の8196人で、このうち山梨県は9.9%増の122人(全国23位)でした。一方、注目される任期終了者の定住の状況ですが、、2020~2025年度の5年間の全国の合計数は8762人。このうち山梨県の定住者は129人。定住率は75%(全国9位)でした。
麻耶 定住率がベスト10入りで、4人に3人が定住なので、山梨県は健闘している感じですね。
松田 確かにそうとも捉えられますが、本来、本県の隊員は本県への定住のモチベーションが高い人たちなので、その4人に1人が、任期後、都市圏に戻るなどで“県外流出”することは、大きな課題とも捉えられますね。もともと、この制度は、市町村が隊員を公募し、任期終了後、その活動地域等に定住してもらう仕組みなので、市町村主導で制度を活用してきた経緯がありました。しかし、ここへきて県もより積極的に取り組みを始め、協力隊員の増員と定着率のアップ。そして、市町村格差の是正―「全体の底上げ」を目指しています。
麻耶 これらの課題解決に、県はどう取り組もうとしていますか。
松田 市町村格差は、数値に表れています。協力隊員を募集しているのは、県内27市町村のうち19市町村で、8市町村はゼロ。隊員数最多は北杜市24人、以下、丹波山村13人、韮崎市12人。一方、1~3人は9市町村と開きは大きいです。隊員が1人だと、抱いていたイメージと現実のギャップで悩む隊員が、相談相手もいなくて孤立することもままあるそうです。そこで県は、今年3月、協力隊OB・OGが参加する「やまなし地域おこし協力隊ネットワーク」を立ち上げ、現役隊員同士が交流できるようにし、なおかつ、OB・OGが隊員の悩みごと相談や、教育・キャリア形成を支援し、隊員が孤立化しないようにしています。
麻耶 これは隊員にとって有難いですね。ネットワークの機能はほかにもありますか。
松田 はい。同時に、受け入れ側の市町村職員への支援もします。職員側に制度の理解不足や、特に小さな自治体では、兼務が多すぎて手が回らないなどの支障が生じかねません。元協力隊員でネットワーク代表の小川悟さんは、「隊員と市町村への支援は車の両輪」と話していました。県はネットワーク設立に続き、6月補正予算では、観光、農政、産業など多分野に散在している支援メニューを隊員向けに一元化し、動画やリーフレットなどで発信して「見える化」する事業を検討中です。また、複数市町村にまたがる活動や、任期後のキャリア形成を支援するため、隊員OB・OGや有識者が参加する「研究会」を設置の方向です。
麻耶 なるほど。施策を積み上げていけば、成果が期待できそうですね。
松田 ただ、“市町村格差”は、政策的な支援だけでは是正が難しいと、取材を通じ感じました。移住政策に詳しい県立大総合政策学科の箕浦一哉教授は、「協力隊の受け入れは、私たち地域社会が、移住定住者を地域の担い手としてどう受け入れていくか――という大きな文脈の中にある。受け入れ側も『認識』を変え、県には、地域の実態に即した支援になるように努力いただきたい」と指摘されました。「人口減少社会では、『県内だ、県外だ』ではなく、県民と県外の人が手を取り合ってかねばならないのだ」と改めて強く感じました。
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