2024年注目の「音楽トレンド」は? 音楽ジャーナリストが解説「女性アーティストがイニシアチブをとるような状況が続く」
◆2023年に大流行した“ジャージー・クラブ”
音楽ジャーナリスト、選曲家として活躍し、日々最新の音楽シーンを発信している高橋さんに、まずは2023年の音楽シーンを振り返ってもらうと「大流行したJersey Club(ジャージー・クラブ)を紹介したい」と言います。
ジャージー・クラブとは、2000年代初頭にアメリカ・ニュージャージー州で誕生したダンスミュージックで、2010年代に浸透し、ドレイクやリル・ウージー・ヴァートなどの人気ラッパーが、自身の楽曲に取り入れたことが1つのきっかけとなり、2022~2023年にかけて本格的にブレイクしました。また「1小節にバスドラムが5回入ることがジャージー・クラブの最大の特徴」と高橋さん。
そんなジャージー・クラブの代表曲として、イギリス・ロンドンを拠点に活動する22歳のシンガーソングライター・PINKPANTHERESS(ピンクパンサレス)が去年2月にリリースした「Boy's a liar Pt.2」(ボーイズ・ア・ライアー・パート2)を紹介。「アメリカでミリオンヒットを記録していて、ジャージー・クラブを超えた2023年を代表するヒット曲と言っていいと思う」とコメントします。
「Boy's a liar Pt. 2」を聴き「クセになりますね」と感想を語るれなち。ちなみに、日本のアイドル界にもジャージー・クラブが浸透しており、例えば、去年12月に配信リリースされた私立恵比寿中学の「BLUE DIZZINESS」にも、そのサウンドが取り入れられています。
◆2024年の音楽シーンのトレンドは?
続いて2024年の音楽トレンドについて伺うと、高橋さんは“アフロポップ”に注目。これは、ここ数年で世界的に躍進したアフリカのポップ&ダンスミュージックで、「アフリカ出身アーティストの楽曲が、欧米のチャートの上位にランクインすることが珍しくなくなってきているし、アメリカのヒップホップ、R&Bのサウンドにも大きな影響を及ぼしています」と解説。また、世界で最も権威のある音楽賞「グラミー賞」において、今年からアフリカ音楽の部門「最優秀アフリカン・ミュージック・パフォーマンス賞」が設けられるなど、注目度の高さがうかがえます。
そんなアフロポップを代表するアーティストとして紹介したのは、3月1日(金)にデビューアルバム『TYLA』がリリースされる南アフリカ出身の21歳シンガーTyla(タイラ)。昨年7月にリリースしたシングル「Water」が世界的に大ヒットを記録し、「今年、上半期の台風の目になってくるんじゃないか」と期待を寄せます。
また、今年注目のアーティストとして、イギリスの公共放送・BBCが毎年年初に注目の新人アーティストをランキング形式で発表している「サウンド・オブ・2024」で1位を獲得した5人組の女性ロックバンドThe Last Dinner Party(ザ・ラスト・ディナー・パーティー)を挙げます。高橋さんいわく、このランキングはその年の音楽シーンを占う重要な指標になっており、先ほど取り上げたピンクパンサレスも2022年の1位に輝いています。
ザ・ラスト・ディナー・パーティーについて、高橋さんは「結構クセが強いバンドで、ちょっとシアトリアルというか、演劇的なところがあるんです。曲調も、先の展開を予想させないトリッキーなものが多いんですけど、意外と中毒性が高い」と絶賛します。
今回、高橋さんが挙げたアーティストは、くしくもすべて女性アーティストでしたが、2月4日(※現地時間)に授賞式がおこなわれる「第66回グラミー賞」においても、最も栄誉のある部門「最優秀レコード賞」のノミネート枠8枠のうち7枠が女性アーティストで、これは史上初の出来事だそう。こうした状況に、高橋さんは「女性アーティストが音楽シーンのイニシアチブをとるような状況は今年も続いていくのかなという気がします」と分析していました。
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1月10日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
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<番組概要>
番組名:山崎怜奈の誰かに話したかったこと。
放送日時:毎週月~木曜 13:00~14:55
パーソナリティ:山崎怜奈
- 山崎怜奈の誰かに話したかったこと。
- 放送局:TOKYO FM
- 放送日時:2024年1月10日 水曜日 13時00分~14時55分
※該当回の聴取期間は終了しました。